悪夢の夢(ドリーム・ナイトメア)第24話  〜ゲーム終了そして・・〜





そして。

「それでは、ゲームを再開します!」
半ば、やけになっているゼロスの言葉とともに。


次の順番である、ルナがサイコロを握り締めてゆく・・・。


― フルメンバ ー。
ゼロス、ゼルガディス、アメリア、ガウリイ、リナ。
ルナ、レイ。
ホープ、アリス・クリス。
― 以上の順番以外の介入は無効 ―。


基盤上に。
くっきりと、参加者の名前が書き出されていた―。


「それじゃ、私からね。」
いって、ルナがサイコロを握り締める。
カララン。
ゆら・・・。
「あ、何か文字が出てきますね。」
アメリアの指摘に全員が水晶をみると。
虚空に、浮かび上がる、基盤上の水晶の文字。

―過去と現在交錯せし、交わりは、集いをもちいて出会いにと回帰せし―


「・・って・・・何あれぃぃぃい!!!?」
世界各地で悲鳴が巻き起こる。
・・・・・ドスン。
・・・アギャァァァァ!!

ふい。
辺りの景色が揺らいだかと思うと。
まったく知らない、風景が出現し。
すでに、殆ど廃墟と化している町や村の中で。

そんな中にと出現してゆく、森や草原。
そして。

特質すべきは、それと同時に現れた生命達。
・・・・どうみても、でっかいとかげ。
しかし、見知っている竜ではない。
辺りにいる、デーモンや、攻撃している操り兵士達を。
捕まえては口に放り込んでいる、巨大な生物や。
こまわりがきき、獲物を追い込んで。
その口から毒液を出して、目をづふし。
いきたまま、食べている生物。
そして、いたるところで、尾に棘のついた巨大な生物と。
二本足でたっている巨大な生物などがひしめき合い。
空には、みたとこもない羽のない鳥のような巨大な鳥が飛んでいる。
「こ・・・これは・・・・。」
その様子をみつつ、汗を流すスカラ。
「・・この星に過去に存在していた・・・。」
いって、アッシュが汗をながしつつ、空を見上げる。
「これは・・・古代に栄えた、爬虫類の・・・。」
過去、この生命が発展していた時期がある。
今、この時点では、化石なども発掘され。
―人々はこう呼んでいる。
―すなわち、恐竜・・と。

俗に定説になっているジュラ紀と呼ばれる時代と。
今の時代が交じり合ったのである。
まあ、混ざり合ったのは、ジュラ紀の時代だけではないので。
過去、繁栄した、巨大爬虫類達など。
そのまま、ここに出現してきていたりする。



「う・・・(汗)過去と現在がごっちゃになったか・・(汗)」
つつぅ・・と汗を流しているレイ。
「・・・ゼルガディスさん・・あれって・・。」
窓の外から外をみて、飛んでいる鳥をみつつ、いっているアメリア。
「・・・あのときの生物だな。」
今まで、自分達がいた時代の生物が、外を闊歩していたりする。
それをみて、額から一筋汗を流しているゼルガディス。
「と・・ともかく。次は我だな。」

滞りなく、順番どおりに。
ゲームは進行してゆく。



「それでは、ようやく僕ですか・・・。」
ゼロスの休みの時期がおわり。
ゼロスが震えながらサイコロを握り締める。


コロロ・・・・ン。

そのサイコロの音が、異様に長く感じる。
すでに、これまでに。
世界には、巨大な肉食性の植物や魂を好む生命など。
そして、無意味に小さき生命が巨大化するなど。
今までいろいろと起こっていたりするけれど。


―凍れる大地は、母なる元にと還りゆき、星の母なる海へと―


水晶から浮かび上がる文字。


「?これって、どういう意味?」
リナが言いかけると。
「・・・・きゃぁ!?皆、早くこれにのって!」
あわてて、呪を唱え。
船を作り出しているルナ。
イブかしりながらも。
リナ達が船に乗り込むと。


・・・ゴォォォォ・・・・・・。


轟音が響き行く。


「きゃぁ!?アクア!?協力しなさいよ!」  
「手を抜いたら駄目よ!ダルフィルン!」
その轟音に、パニックになってるダルフィンとアクア。
海王と水竜王。
彼らの視界の先には。
数十メートル以上あろうかという。
・・・津波の壁。

互いに光と闇。
水を司るものとして、その荒ぶりを納めようとしている二人だが。
何しろ、北と南の氷の大地がすべて溶け切ったのである。
必然的に海面の水位は上がってゆく。
「グラウ!あんたは、どうにか、元どおりに凍らせて!」
パニックになりながら、被害を食い止めている腹心たち。
しかし、すぐにできるという規模ではない。
何しろ、彼らは、力を大分弱体化させられているのであるからして。

かろうじて残っている竜族などは、高台に避難するように世界を飛び回り、警告をだすが。
それも間に合わずに。
飲まれてゆく、島の数々。


・・・・チャブン・・・・・・。
次のゼルガディスの駒の回で。
何とか、北と南の氷の大地の、溶けだす量は収まり。
それでも、大陸の三分の二は、すべて海で覆われてゆくこの惑星。
暁色に光る船にのっているリナ達の視界の下で。
海がおしよせ、海の一部と化してゆく大地の姿。
ある程度の高さかある建物以外は。
すべて、海のそこにと沈みゆいていた。


ガウリイ、リナとも。
何もイベントのない駒にと止まり。
そして。
ルナとレイとがサイコロをふる。
レイがサイコロをふったとき。
空にかかる外壁の雲が、実物化して。
世界中にと降り注ぐという、イベントが発生したりもしたけれど。


約二十年ぶりに。
大陸の三分の二が海の一部と加わった、この惑星上に。
太陽の光と青い空が戻ってゆく。


このまま、あと、二十がでたら、クリアだし。
そんなことを思っているホープの心を見て取ったのか。
「ホープ、ソレは駄目よ?これ、エル様。金色の王達がおつくりになったゲームなんだから。
   そんなことをしたら、どんなことになるか分からないわよ?」
いかさまで。
二十を出そうとしていたホープの様子に気付き。
待ったをかけているルナ。
「僕はただ、サイコロの目が二十がでれば。クリアできるから。・・そのようにだそうかなぁ・・・と。」
「それをいかさまというのよ。頼むから、危ないことはやめて・・・。」
ホープの言葉にリナが懇願を開始する。



「・・・これは・・・。」
取り込んでいる力の知識で。
「誰があれを再会させたんだ!?」  
一人どなっているフィス。
ヴラバザード。
もしかすると、この力を目当てに、誰かが?
せっかく、あと少しで、いまいましい封印がとけるというときに。
力の源である、雲の網の目の星を覆う吸収雲も。
すべて、大地と化して、地面にと降り注いでいった。
そして。
動ける力を総動員して。
その力の波動の源を調べ始めてゆく。



リナの説得に折れて。
まあ、リナが自分以外の男性。
・・・子供なのに。
と話しているのをみて。
ガウリイが焼もちやきまくり。 
しばらく、リナを必要にキス攻めにしていたりもするが。
そんな中で、普通にばくちを打たずに転がしてゆくホープ。
カラララン・・・・。


―降り注ぐは、非の雨、初期はやさしく後期は激しく 時間(とき)とともにと、激しくなりゆき 真空より贈り物が見えたまわらんー


浮かびあがる文字と同時に。
世界各国に。
流星雨が降り注いでゆく。

始めは、かるく。
そして、だんだんと大きく。
そして。 
はげしく。

ドォォォォン!!

たった一つの隕石でも。
大陸を破壊するには十分な力。


止めようと、次にサイコロを転がすが。
止まるのは、すべて、普通のマス。
どんどんと降り注ぐ隕石の数は増えてゆく。

ゴォォォォ・・・・・・。


やがて、巨大な火の玉が。
三つ。
こちらに近づいているのが、昼間の空にとくっきりと浮かび上がってゆく。


「うきゃぁ!あんなのが衝突したら、助からないじゃないのよぉ!?」
「というか、精神世界にも何か近づいてきているぞ!?」
物質世界だけのことではない。
すべての次元においての世界において。
今、巨大な隕石が接近しつつあった。


大きさ的に。
星の大半か、またはすべて。
消滅するだけの、その隕石は大きさを備えていた。


「と・・・ともかく!次をやって!」
ルナが促すと。
「ねーちゃん!?それどころじゃないんじゃない!?」
悲鳴を上げているリナ。
「大丈夫よ!クリアしたら、すべて元になるから!」
「というか、ルナ!お客さんだぞ!ここには近づけるな!」
外に感じる一つの気配。
みれば。
「・・・・貴様達・・戻っていたのか・・・・。スィーフィードにシャブラニグドゥ・・・。」・・・・・そして・・・リナ=インバースも・・。
上空に佇む一つの影。
近づいてきている隕石には、目も暮れず。
というか、その意味をまったく分かっていないフィス。
「雑魚は引き受けるから!」
いって、向かってくる操られている人々と対峙してゆく、ホープ達。


あと・・・・少し。
敵を排除しつつ。
何とか、ゲームを続けてゆく。
コロロロン・・・・・。
ガウリイの手からサイコロが転げ落ちてゆく。

だが・・・それは、攻撃の余波により・・・・・
―――海の中に・・・・・と落ちてゆく・・・・

・・・・コポポポ・・・・・・・・。

沈んでゆく、一つのサイコロ。


「だぁぁ!次!どうするのよ!」
悲鳴を上げているリナ。
「私が取ってきます!」
いって。
―バシャン!
水に飛び込んでゆく、アリス。


「ふ。ちょうどいい。赤の竜神と、赤の瞳の魔王とともに。貴様も排除する!
  リナ=インバース!とそれに関りのあるものたちよ!」
船を取り囲むようにして、包囲した、フィスが高らかに宣言する。
「・・あんた、ほんっきで、神族のくずね・・・。」
そんなフィスを睨んでいっているリナ。
「追放命令、許可申請、仮にとおったのよ?あんたは?」
そんなフィスを睨んでいっているルナ。
「ふん。我の正義がわからぬ、世界など・・・・。・・滅びて、我の絶対制度のもとに、新たな世界を我が作り出す!」
いいつつ。
その身に、力を集中させてゆく。



コッカァァン・・・・・・・・・・。



海のそこで。
サイコロが、地面にたどり着く・・・・・・・・。


ころ・・・ころろ・・・・・・。


・・・・ぴた。

『あ!!!!?』
ゲームを守っていたゼロスとクリスが声を上げる。

ガウリイの駒が、進み始める。


一つ・・・二つ・・・三つ・・・・・・・。


そして・・・・・・・。


ススッ・・・・・。

たどり着いたその先は・・・・・・。


「ふん、何か言い残すことがあればきいてやろう!」
こいつらの力では、我の今の力にかなうわけがない!
勝利を確信し、余韻に浸っているフィス。
『ガウリイさん!!』
ゼロス達の声がガウリイを呼ぶ。
ちらりとみれば。
ガウリイの駒は・・・・・。



「・・・ラスト・・だ。」

リナを庇うような格好で、にやりと笑うガウリイ。
「??」
「まあいい!死ね!!!!」

――ゴォォォォォウ・・・・・・・・!!!!


言葉と同時に。
とうとう大気圏を抜けて、隕石が入り込んでくる。


「ラスト・オブ・ドリーム!!!!!」




『・・・・あ・・・・・・・。』
ぐらり。
自分達の意識が遠のき、体がなくなる感覚がした。
対峙していた、フレイを叩きのめす手をとめてエリー達は顔を見合す。
・・・・・
そして、そのまま互いを見渡し。
「・・ちっ・・運のいいやつ・・。」
残念そうにいっているエリー。
「まあ、エリーに傷を負わそうとして。これで済ますのがちょっと残念だけどv」
いって、すでに、原型を止めていないフレイを見下しているユーリ。
「あ・・・消える・・・。」
やがて、リリーとルルの体が透けかけてゆく。
「・・そろそろ・・・だね。」
「・・だね。楽しかったね。」
エリーの言葉に、ユーリが続く。
最後に・・・・。
せめて・・・・・。
いいたいことがあるの・・・・。
父さんと母さんに・・・・・。
掻き消えるようなエリー、ユーリ、リリー、ルル。
四人の姿は。
その場から、まるで音もたてずに、掻き消えてゆく。




「あ・・・・。」
「・・・どうやら、クリア・・したようだね。」
自分でわかる。
存在がなくなってゆく感じが。
―本来の時間率では。
まだ、自分は生まれていないのだから。
「・・ねえねえ、こんど、ちゃんと生まれたら。・・・またあえる?」
アリアの言葉に。
「大丈夫だよ。父さん達と、アリアの両親、友達で親友だし。また会えるよ。」
「・・・できれば・・・母さん達に一言・・いいたい・・・な・・。」
「・・・きっと・・・。」
いえるよ・・・。
そういいかけるレオンの言葉を待たずして。
アリアとレオンの姿も掻き消えてゆく。



「何をほざいてる!!!!!?」
ヴラバザード・・フィスが叫んだその刹那。


・・・・ゴォォォォォォォォ!!!!!!!!


ゲームの上の基盤の水晶から。
すざましい風が巻き起こってゆき。
世界に降り注いでいた、隕石。
はびこっている恐竜たち。
このゲームで出現した、様々なものが。
ここ、ルナが作り出している船の上にと、
ブラックホールのように、吸い込まれてゆくために。
集まっては、吸い込まれてゆく。


「リナ!!!!」
「きゃぁぁ!」
リナを抱きしめ守っているガウリイ。

「アメリア!」
「!!!!?」
飛ばされそうになるアメリアを抱きしめて、力を入れているゼルガディス。

「やった!!」
「よっし!よくやった!ガウリイよ!」
ゲームがクリアされたのを確認し喜んでいるルナとレイ。


星に隕石がぶつかる衝撃も。
水晶の中にと吸い込まれてゆく・・・・・。


グォォォ・・・・・・・・。



星全体を。
渦巻きと、轟音とが覆ってゆく・・・・・・。







「・・・エリー!?ユーリ!?あんた達!?」
ふと、自分達の前に、子供達がいるのに気付くリナ。
手を伸ばしても届かない。
このままいくと・・渦に飲み込まれて・・消えてしまう!
「エリー!!!あんた達!!はやくこっちに!」
リナがガウリイに抱きしめられたまま、必死で手を伸ばす。
「いーの、母さん、私達、まだ生まれてない時間率に戻るだけだから。」
「父さん、はやく僕達作ってねvv」
「まったね!父さん、母さん!」
「また絶対に会えるよね?・・・・産んでくれないと暴れちゃうからv」
「まあ、時間はあてにしないでまってるから。・・・母さん、疎いから・・・・。」
口々にいっている、リナとガウリイの子供達。
そして。
「アリア!こっちに!」
アメリアもリナと同じく手を伸ばす。
「ママ、パパ、今までありがとうね?・・でも、私もレオンたちと同様に。
  ・・まだ生まれてない時間率に戻るから・・・。あ、最後にいいこと教えてあげるね。
  ママ、パパ。あの時間率・・本当の過去だから。
  ・・・だから、あの遺跡、パパとママの本当の時代にも、あるから!だから!」

言いかけるアリアの体を風の渦が取り巻いてゆく。


『・・・さよなら。・・・またね。・・・・未来の父さん、母さん(パパ。ママ)』


「エリー!ユーリ!リリー!ルル!レオン!アンナ!!!!」
「アリア!!」
リナとアメリアの悲鳴が重なる。

ゴォォォォウ・・・・・。

にっこりと微笑んだ子供達は。
手を振りながら。

・・・風にと飲み込まれてゆき・・・・。
水晶の中にと吸い込まれてゆく・・・・・・。


『いやぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!!!!!』
『危ない!!』

追いかけようとするアメリアとリナを。
必死に止めおいているゼルガディスとガウリイ。


ドドドドォォォォン!!!!!!


爆音が、彼らの耳にと響いてゆく―――――。

















ざわざわざわざわ・・・・・・・・・・・・。


しばらくすると。
耳に、何か人のざわめきを。
リナとアメリアは捕らえていた。


                         −続くー

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 こんにちわ♪悪夢の夢もはや24話♪
  今回で、ようやくゲームの終わりです♪(・・多分。)
  それでは、いくのです♪
  

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# あとがき:
     薫:・・・・原作(?)となっている映画。
       それがわかると、何が起こったのかvv
       多分全員理解できるはずvv
       さて・・・と♪
       ゲームが終わり。
       束縛の時間率から逃れたリナ達。
       そこでまっている事柄は?
       やっぱり、当面は、反旗を翻しているフィス!(爆!)
       んではでは♪


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