悪夢の夢(ドリーム・ナイトメア) 第21話 ~復活の兆し~




「・・・・じゃ、いくよ・・。」
ごく。

スタート地点に。
残り三個の駒を置き。
まず、ホープが。
先手をきって、サイコロを握っていた。


・・・・・コロロロロ・・・・・・・・ン・・・・・・。


サイコロの転がる音が。

廃墟と化した、元セイルーン王城にと響いてゆく・・・・。


―このゲームのことは、すべて現実となる―

注意書きに書かれていた言葉。
それがどんな結果になろうとも・・・・。
もし、成功して、自分達の存在が消えることになろうとも。
きっと大丈夫。
幸せな未来がまっているはずだから・・・。


「あ、何か文字がでてきたよ!」
ココロロン・・・。
サイコロが止まり。
大きめのマスにと駒が移動する。
ゆらり。
注意書きと説明が書かれている場所にある。
ちょっと大きめの水晶に。
文字が浮かび上がってゆく。

――――震撼せしは、祖は大地。悲鳴をあげにて 轟音がとどろかん―――――


「??」
首をかしげたその刹那。

ドドドドォォォォォンンンンンンンン!!!!!!!

「う・・・・うきゃぁぁぁ!?」
たっていられないほどの、揺れが彼らを襲う。
「じ・・地震!?」

ガラガラガラ・・・・。
ドドドドォ・・・・。
ズドドド゛・・・・。

その衝撃に耐えられずに。
外の城壁などが崩れてゆく音がする。

「ピンクシールド!」
クリスが、すかさず、この部屋全体にと結界を張る・・が。
すべての揺れを防ぐことなどは不可能。
多少、動けるまでには、防がれたのであるが。

このクリス。
黄金竜と、古代竜のハーフだけあって。
その潜在能力は、計り知れない。
まあ、当の本人が、そのことに一つも気づいてない。
というのがあるのであるが。
実力的には、腹心直属の、神官や将軍とほぼ同じ。
かなり域を超えている。


オオオオォォオンン・・・・・・。

「何だ!?何だ!?」
「じ・・地震!?」 
ゼフィーリア王城。
大音響とともに。
大地が震撼する。
「・・・・ステビリィ・・。」
ぽつり。
銀の髪の少女がぽつりともらす。
数年前。
ようやく誕生したばかりの。
次代のここ、ゼフィーリアの王女。
誕生といっても。
聖花から誕生したのであるが。
その器たる、母親の肉体が、今は活動していないがゆえに。
その蒼い瞳と銀の髪が。
普通の少女でないと、雰囲気が物語っている。
少女・・セレーネの言葉とともに。
ゼフィーリアの大地は。
安定を取り戻す。
―が。
星全体では。
しばらくゆれが続いてゆく・・・。


「次、はやく!」
一向に収まる気配のない、大地の揺れ。
「う・・うん!」
クリスにせかされて。
次に、アリスがサイコロを握る。


コロロン。

――震撼せし大地 その爪あとのこせしは 曽は無 曽は再生 曽はあらたなり――

グラララ・・・。

・・ぴたり。

「お・・・収まった?」
恐る恐る、外にでる人々。
こんな世の中でも。
まだ、かつがつ生き残っている人々はいる。
家の、その地下室で。
収まりを震えながらまつしかない人々の目に。
「・・・・あ・・・・。」
空から。
数本の光が漏れていた。


中には、初めてみるものも少なくない。


「・・・・太陽の・・光・・・・。」
全員が。
その光をみて。
なぜか、涙があふれ出てきていた。


・・・・最後に本当の太陽をみて。
いったいどれほどの年月が経過したことか・・・・。

いつも、とりとめもなく。
気にしていなかった、当たり前のこと。
こんなにも、太陽の光が愛しく感じるとは。
太陽を失っていたからこそ。
わかること。





「・・・・ちっ。今の揺れは大きかったな・・。」
星に張り巡らせた。
精神を吸い上げるための網の目も、今の地震で、ダメージをうけ。
ところどころに亀裂が入った。
「・・まあいい。すぐに回復させれば・・。」 
にやり。
星の中心。
大陸の中心に、その本拠地を移しているフィスは。
「・・・では、次は・・ここだな・・。」
星の立体映像をその前にして。
一箇所を指でさす。
「チェックメイト。」
その言葉と同時に。

―――カッ!!!

ドォォォォォンンンン!!!!


星の大陸の一点に。
光の帯が走り。
大音響とともに。
光の柱とともに。
その光の下の土地は・・・・何もなくなっていた・・。


この十数年間以上。
いたぶるように、こうして、大地を破壊していっているヴラバザード。
すべてを滅びつくして。
新たなる指導者に我がなる。
その信念のもとに。




「・・・あ、見て!あれが、多分!」
ふと、崩れた壁から外をみると。
数本の光の筋が。
網の目のような雲の間から覗いている。
神秘的な感じがする。
見慣れていた、光とは違い。
暖かな、生命を慈しむその光。
「・・あれが・・・太陽の光・・・。」
彼らは、生まれてこのかた。
太陽の光をみたことがなかった。
しばらく、その光をみつめつつ。
そこから覗く、透き通るような青空。
・・・それが本来の星の空。
あれをすべて取り戻すためにも。
「じゃ、次は私がいきますわ。」
いって。
クリスがサイコロを握る。


―――失わされしその時間 過去と現実と未来の狭間 時は正常に稼動せし 過去より旅人を戻しゆかせん―――


 


「ありました!ゼラス様!!」
「よくやったわ!ゼロス!」
ひしっ!
見つけた品物を持って戻っているゼロス達一行。
ゼロスが上司であるゼラスに報告すると。
ゼラスが涙ながらにゼロスに抱きついていたりする。
「さすが、私のゼロスよね。やってくれると信じていたわ。」
「いやですねぇ。僕はゼラスのためだったら。どんなに無理なことでも可能にしますよ。」
いちゃいちゃいちゃ・・。
『・・・・・・・。』
慣れた・・慣れたが・・・・。
「どうして、こんなにラブラブなのに、お二人、魔族なんでしょうか?」
アメリアが首をかしげる。
「まあ、魔族といえども、生きている命には変わりがないんだから。生まれの違いじゃないのか?」
ただ、その本質が、滅びを望むか。
生きることを望むか。
生と負。光と闇。
その対比のみ。
「パパ?ママ?」
キョトンとしている、アメリアにだっこされている。
二人の愛娘のアリア。
この幼さで、レッサーデーモンを素手で倒せる。
というのは、さすがに、セイルーン・・フィリオネルの孫娘。

「見つかったって!?」
「見つかったのか!?」
ふい。
そんな場所に出現してくる、レイとルナ。
この世界を任されている、光と闇の神。
そして。
机に置かれた、それをみつつ。
「よかったぁぁ・・・。これでお仕置きが免れるぅ・・・。」
本気で涙を流しているルナ。
「だな。どうにか、次のイベントまでには間に合ったな・・。」
くぅぅぅ・・・。
こちらも涙を流しているレイ。
・・・・一体、お仕置きって・・・なんなんでしょうか・・・(汗)
魔王と竜神がここまで畏れるお仕置きって・・・(汗)
アメリアとゼルガディスがそんなことをふと疑問に思いつつ。
「とにかく、これで、俺達は世界に戻ることができるんだな?」
いって。
ゼルガディスがその箱に手を置いたその刹那。

―カッ!!

箱から光が漏れ出でて。

――――――失わされしその時間 過去と現実と未来の狭間 時は正常に稼動せし 過去より旅人を戻しゆかせん―――


その光に文字が浮かび上がり。


パタタタタ!!!!


一気に、箱が開いてゆく。

『うわ!?』

その場にいた。
全員が、思わず、身構えたその刹那。

ギュゥン・・・・。

「うきゃぁぁ!?」
「くっ!アメリア!アリア!」
庇うように、二人を抱きしめるゼルガディス。
すざましい風の渦が。
その場を吹き荒れてゆく。


「・・収まった・・・?」
そっと、レイとルナたちが目を開けると。
そこには、アメリア達の姿がどこにもなかった。

「・・・・どーやら、未来で、誰かが起動させて・・・・。・・・・呼び戻したようね・・。」
ぽつり。
ルナが呆然としつつ、声をもらす。
「でもよかったじゃないですか♪あちらにもどすために、これ、やることにならなくて♡」
にこにこにこ。
にこにことゼロスがいったその刹那。

『ほぅ・・・・。我が預けていたのを盗まれていた・・ねぇ・・・・。』

・・・・・ビシリ。

完全に、透き通るような神々しい声が聞こえてきて。
その場にいた全員は凍り付いていた。





「うどわぁぁあ!?」
「うきゃぁぁ!?」
どすん!

「お・・・重いですぅ・・・・。」

いきなり。
部屋の中を。
風が吹き抜けて。
嵐が吹き荒れたと思ったら。
突如として。 
クリスの上に。
人物が三人落っこちてきていた。



「・・・う・・こ・・ここは?」
「あ・・・アメリア・・どいてくれ・・。」
「きゃぁ!すいません!ゼルガディスさん!」
結婚したというのにもかかわらず。
今ださんづけで呼んでいるアメリア。
まあ、結婚といっても。
両親の許可をもらってというのではなく。
口約束で、しかも先に子供ができている。
そういう現実もあるのだが。

気付けば。
見たことのない女の子の上に。
ゼルガディスがのっかかり。
その上に、アメリアとアリアがのしかかるようにと。
四人が重なって。
床に倒れこんでいた。


「・・・・ま・・さ・・か?」
ホープの声が震える。
おじさんから、よく聞いていた。
というか、肖像画は残っている。
当時の面影をそのままに。
大人の女性にと成長している黒い髪の女性。
そして、もう一人は。
おそらくそうなのであろう。
名前をそう呼んでいたから・・・・。
「・・・ひょっとして・・・。アメリア姫にゼルガディス=グレイワーズさん?」
アリスの言葉に。
よいしょ。
起き上がり、服をはたいていたアメリアとゼルガディス。
「そうですけど・・。ここ・・・何処ですか?」
きょろきょろ。
なぜか、懐かしい感じがするが・・。
そして。
ふと。
壁にかかった絵画に目をとめる。
廃墟といっても過言でないあれよう。
その壁に、見覚えのある・・その絵画は・・・。
アメリアはその絵画に釘付けとなる。

『や・・・やったぁぁぁぁ!!!』
三人が手をとり。
悦びあう、ホープ、クリス、アリス。
「やったね!ゼルガディスさんと、アメリアさんを呼び戻せたよ!」
「あとは、リナさんとガウリイさんを呼び戻せたら、すべてどうにかなるかもね!」
ぴょんぴょん。
飛び跳ねている、よく似た二人の男の子と女の子。
その面影は、どことなく、アメリア達の知っている顔にと似ているが。
「い・・一体?」
ゼルガディスの問いかけに。
「始めまして。私、フィリアとヴァルの娘で。クリスティーヌ=ウル=エンシェントといいます。
   あっちの二人が、シルフィールさんの娘と息子で。
   ホープ=ラグナ=ラーダとアリス=ネステ=ラーダ。母はから聞いた時間率でいうと。あれから・・・。」

クリスの説明に。
しばらく、意味を取りかねて。
絶句するアメリアとゼルガディス。


「そ・・そんな・・・じゃあ・・ここは・・・。」
外にでて、空に飛んでみれば。
廃墟と化しているものの。
面影がのこっている・・・・。
自分の国。
―セイルーン。
「・・・・嘘!!!!!!!!父さん!?姉さん!?」
アメリアの悲鳴が響き渡ってゆく。


「じゃあ、まだ、ガウリイとリナがこの中に?」
一人、冷静に判断して。
ありえないことじゃないな。
このゲームの真実をしった今としては。
納得しているゼルガディス。
アメリアが国を見回っている間。
クリスたちから説明を受けていた。
あれからどうなったのか。
などといった、様々なことを。
「・・・そっか・・・フィルさんが・・」
アメリアに何といっていいものか・・。
戻ってきたら、父親がすでに死んでいた・・なんて。
アメリアの悲しむ顔は見たくない。
「・・・で?クリアしたら、すべて元に戻る。そう、竜王達は言っていたんだな?」
ゼルガディスの問いかけに。
三人は。
こくん。
と大きくうなづいた。



「・・・よし。わかった。とりあえず、始めた原因は俺達なんだ。とにかく、何があってもクリアすぞ?いいな?」
「・・・はい。」
ショックからどうにか立ち直れたのは。
クリアしたら、父親に会える。
すべて元通りになる。
と聞いたから・・・。

再び。
アメリアとゼルガディスは。
ゲームを再開するために。
サイコロを握り締めてゆく・・・・・。


                            -続くー


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まえがき:

  こんにちわ♪
  なぜか、このごろまたパソがフリーズすることが多い私です・・(涙)
  ふっ・・・。
  小説打ち込んだ後のフリーズは・・しくしくしく(涙)
  とりあえず、よーやく、話が始まります♪(なのか!?そーなのか!?)
  さて・・・。
  皆さん、この小説の原作映画・・なぁんだ?(笑)
  (多分誰でも知っているぅ・・笑)
  んではでは♪
 
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 あとがき:
    薫:次回♪リナ&ガウリイ、合流♪
      そして、ゲーム開始♪
      クリア後に、子供達は・・?(ふふふふふふ・・・汗)
      そして。
      ヴラバザードの運命は?
      ま・・まあ、分かりきったことですけどね・・・・・。
      さあ!
      あと少しでクライマックス!
      最後は、やっぱりのりは一緒で♪
      未来の出来事で幕を下ろします♪
      ・・・・エピローグでですけどね(笑)
      ではでは♪
      また♪

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