こんにちわ♪ようやく、本筋vvというわけで、物語は始まります♪
ではでは♪

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    悪夢の夢(ドリーム・ナイトメア) 第19話 〜希望をかけて〜




コッコッコッ・・・・。
石畳の道の上を歩いてゆく長い黒い髪の女性。
「・・・シルフィールさん・・。」
ぴたり。
その言葉に足をとめ、そちらを振り向く女性。
そして、そこにいる人物の名前を呼ぶ彼女。
「・・フィリア・・・。」


年月がたつにつれ、―人々は疲れ果てていき。
・・・そして。
とうとう・・。


「・・お一人で行くつもりですか?」
町の出入り口の木の下で。
待ち受けていた金の髪の女性・・フィリアがいう。
かつて、同じ台詞を。
シルフィールは、別の人に、言ったことがある。
その彼らがいなくなって、はや数年・・。


―もう、何年も、太陽の光は見ていない。
・・あれからというもの。
空に広がるは、どす黒く赤黒い、網の目のような、雲のような光の筋。

さすがに、黄金竜というだけはあって。
たかが、数年では、その容姿には変化は見られないが。
歩いていたもう一人の女性は違う。
その表情は、すでに、夢見心地の乙女の顔でなく女性の顔。
きりっと決意を胸に秘めて。

ねちねちといたぶるように、殺しつくされてゆく今の世の中。

―ふぅ・・。
深く溜息一つ。
「もう、私しか、動けませんわ?私がいかなくて・・誰が、竜王様方と、腹心の方々を助けるとでも?」
シルフィールが、フィリアに向かって。
深く溜息をもらしつつ。
それでいて、はっきりと答える。



先日の、戦いにおいて。
水竜王、天竜王、地竜王。
獣王、覇王、海王そして冥姫。
その彼らが。
捕らえられて幽閉されてしまっていくばくか。

命を懸けて。
彼らを助けようとした、存在達もまた・・。
そして、それに参加していた、唯一の、あの人の面影をのこしていた。
あの人も・・今はもういない。
あのときに決心したのだ。
彼が、敵として、目の前に現れた時。
あれは、こともあろうに。
あの人の声を使い、彼を駒にした、あのときから・・。


混沌としたこの世の中でも。
新たなる命は生まれてくる。
そして・・・。
大切なあの人の忘れ形見であるあの子達には・・。


「確かに、もう、ミルガズィア殿も、主たるメンバーも。
   殺されてしまうか。もしくは、敵の操り人形と化すか。そして・・今、また竜王様方も・・。」
いいつつ。
コツコツコツ。
ずっと夜明けなどはこない薄暗い視界の中で。
足音を響かせつつ、シルフィールの方にと歩いて近づいてゆくフィリア。
そして。
ぴたり。
シルフィールの目の前で止まる。
そして、強い眼差しにて、シルフィールを見つめる。
「シルフィールさん、私もいきます。」
決意を秘めた瞳できっぱり。
シルフィールに告げているフィリア。
「な゛!?何いってるの!?フィリアさん!?貴女は、この前、折角!ようやくに!!」
シルフィールは驚き。
何とかそれを止めようと試みる。

この地に集う力にて。
フィリアが大切に保護していた卵が孵り。
そして、ゼフィーリア女王の力もあって。
完全に元の姿にて復活を遂げたヴァル。
いや、復活というか、新たなる転生を果たした。
存在的には、ゼフィーリア王家と同等の位置にあり、彼らもまたこの世界の見守り役であったはずの。
古代竜エンシェントドラゴンの唯一の生き残り。
―ヴァル。

その彼との間に。
先日、フィリアとヴァルの間に。
新たなる命・・・卵が誕生したばかり。
何としてでも止めないと・・。


「―そういうシルフィールさんこそ。お子さんたちを置いていくじゃないですか?」
フィリアの決意は変わらない。
「―それは!!!」


あの時。
あの子達が、お腹の中にいなければ・・。
あの人の子供がお腹にいなければ・・。
自分はどうなっていたかわからない。
―エルク。
偶然に、父親と同じ名前だった。
その優しさと、その正義感。
そして・・力強さ。
ガウリイにあこがれていたのは、本当の恋というか、淡い乙女心の恋。
戦いの中で。
シルフィールも見つけ出した。
本当に大切な人を。
それが・・彼。エルク。
彼には、双子の弟がいたが・・。
その彼ももういない・・。


ニ年前。
ルナとレイが消えて。数年が経過しようとしたとき。
前線で一緒に行動した彼と。
シルフィールが互いに惹かれあい。
恋人同士となり、そして。
結婚ししばらくしてからの戦いにおいて。
シルフィールを庇って死んでいった、シルフィールの夫、エルク。
そのとき。
シルフィールは、身ごもったばかりであった。
彼らの目的は・・・シルフィール。


フィスは、その力をもて。
シルフィールが、一番自分に脅威足りえる存在だと気付いたのである。
だからこそ。
無自覚のうちに、始末しようとして。
ゼフィーリアから出奔させるように仕向け・・・。
そして。

シルフィールを庇って、命を落とした、シルフィールにとって大切な人。


彼の思いを無駄にしないためにも。
そして・・・。
生まれてきたあの子達のためにも、このままにはしてはおけない。

ここ一年と少し。
しばらく子育てに紛争していたが。
もう、大丈夫なはずである。
あの子達は、王宮に預けてきた。
物心ついたら、自分の言葉とこの思いを聞かせようと思い。
自分の心情を語った、記憶球(メモリーオーブ)とともに・・・。


「いくら、シルフィールさんが、二つの欠片を宿している。とはいえ。
   ヴラバザードは。異界の神々や魔王達の力を取り込んで、自分の力として使っているんですよ?かなうわけが・・。」
フィリアの指摘に。
「わかってます。でも、力をある程度、封印することは可能なはずです。」
―そう。
かつて。
水竜王が、北の魔王を。
氷に閉じ込めたというあの力。
大切な人が目の前で殺されて。
自分の中に・・・・。
何がいるのかを理解したシルフィール。
そして。
もう一つ。
微弱ながらの別な力も。
「でも、さすがに、元火竜王、魔王達、神々の力。それを同時にするのは難しいでしょう?―だから、私もいくんです。」
きっぱりと言い切るフィリア。
「彼は気づいてないようですが・・。使っているのが、ヴラバザードである以上。
   それらの力のすべてには、何らかのヴラバザードの力が。
   火竜王の力が使われています。・・・それを私が押さえ込みます。」
フィリアがいい。
「その隙を突いて、俺が、全員を助け出す。―そういう寸法さ。」
かさり。
フィリアの後ろの木陰から。
もう一人の人物が出現する。

かつて。
同属であるはずの、火竜王に仕える黄金竜に一族を皆殺しにされ。
唯一、生き残り、魔竜王ガーヴの腹心となっていた、ヴァルガーヴ。
とある一件にて。
彼は、無事に。
魔族との属性を切り放たれて。
そして今。 
フィリアとめでたく夫婦となっている。
古代竜ヴァル。


「・・・・でも!」
「これは、私達が決めたことです。」
シルフィールの言葉をさえぎるフィリア。
「そうそう、あのおっさん、ほっといたら。こんどは、他の竜王や腹心たちの力までもを吸い尽くして。攻撃してくるぞ?」
これは、そうなる前の、楔。
「俺達は・・少しでも、子供に、いい未来を残してやりたいんだよ。」
「それは、シルフィールさん、貴女もだからでしょう?だから、一人で、いこうと・・。」
フィリアの問いに、言葉もないシルフィール。
うまくすれば、
力をある程度削ぐことが出来れば。
その隙を突いて。
誰かが、道を切り開いてくれるはずである。
これを決意したのは。

―…夢をみたのだ。

リナ、ガウリイ、アメリア、ゼルガディス。
そして、自分達が。
集まって、それぞれの子供達が、集まって遊んでいる姿をみながら、お茶タイムをしている自分達の姿を・・。



予知。


目覚めたとき、唐突に悟った。


―……未来は、まだ希望がある・・と。

・・・だから。
・・・できることをしたい・・・・。


「・・・でも、いいの?もしかしたら、私、魔王の欠片に意識を乗っ取られるかもよ?」
シルフィールの問いに。
「あら、大丈夫ですよ。シルフィールさんなら。ロートル魔王に取引、持ちかけたでしょう?」
・・・・そこまで読まれてる?
くす。
非常識だとは思うが、少し苦笑する。


― 私の肉体をお貸しします。ですから、力を貸してください。
 ・・・貴方とて、金色の王のお仕置きはいやなのでしょう?―
自分の中にある。
竜神の力の欠片にて、わかったこと。
そして、魔王の欠片からも。
金色の王の真実なる姿。
よくもまあ、そんな大それたものをリナさんは、コントロールできたものだ。
と、今更ながら、リナのすごさに感心しつつ。
そして。
それらの知識と。
ゼロスを締め上げて吐かせた真実。
― あのゲームは、金色の王と、もう一人の別の誰かとの共同制作したもの。
ということ。
― 肉体は提供しなくていい・・どうにかしてくれ・・この状況・・・(汗)―
精神を集中させて。
自分の中に封印されている魔王と直談判をした結果。
こころよく、力を全面的に貸してくれることにとなっているからして。
・・ある意味、はっきりいって脅しである・・・・・。
さすが、シルフィールというか。
交渉の仕方は、かなり精密であった。


「じゃあ、いこうぜ。早くしないと。竜王達の力まで吸い取られちゃ、たまんないからな。」
ヴァルの言葉に。
「私が、近くまで、移動します。」
かつて。
フィリアは、火竜王の神殿の征夷一位の巫女頭であった。
大神官長の娘。
それゆえに。
大神官に与えられていた権限。
彼らは少し、火竜王のその竜王たる属性の力を使うことができる。
いってみれば。
その属性を利用して。
多少なりとも、その力を一瞬でも、打ち消すことができるのである。
フィリアの言葉に。
シルフィールがうなづき。
「・・・・アリス、ホープ・・・未来は任せたわよ・・。」
きっと二度と戻ることはない。
それでも。
竜王達を救い出せれば・・・・。
まだ・・希望はある。
夢と希望。
こんな世の中だからこそ。
生まれてきたわが子に。
そのような名前をつけた。
「では、いきます!」
はぁぁぁ!
フィリアの叫びとともに。
金色の光が収縮し・・・。

シュン!

その後には。

彼らがいた形跡はただ。
彼らが残していった、足跡のみ・・・。


 「・・うまくいくのだろうか・・。」
宮殿の中で。
不安におののく人々。
このゼフィーリアの兵士達。
シルフィールから。
竜王達を助ける手段があるときき。
その代わり、子供達を頼む。
と頼まれた。
「聖花(クライシス・フラワー)が実るには。まだ少し時間がかかるというのに・・。」
一人のつぶやき。

聖花。
それは。
この王国の、緊急措置。
器たる、女王がいない場合。
というか、大概、この国は。
男がいても女王が王座につくのが定め。
それは、次なる後継者を確実に残すべく。
ときどきは、男性が王座につくこともあるが。
今、この国の女王と王子は精神のみの存在として、この国の結界を保っている。
本来ならば、女王から生まれ出る、次なる後継者。
それが仮に宿るのが、この聖花(クライシス・フラワー)。
あと、数年もしないうちに。
この花から。
次なる後継者となるべく、命が生まれ出る。
この花をもし、フィスに盗られると。
もう、彼を止めるものは・・・。
たとえ、それが。
竜神と、魔王の力、総がかりでも難しいであろう。
それが、この国の人達の意見。


花は、しずかに息づいていた・・。



とりあえず。
今、この世界が保たれているのは。
フィーラが。
滅びの砂漠など。
数箇所にわたって。
魔の花(デモン・フラワー)を群生させたからに他ならない。
花がうまくバランスをとって。
世界に広がる瘴気などを吸い取り。
そして。
命の糧ともなる、聖なる空気を作り出しているからに他ならない。
その花畑に知らずに足を踏み入れた存在には。
ただただ、気の毒というより他にはないが・・。


「・・・・こ・・・ん・・な・・。」
間近にみると。
いつも、悔しく思う。
ここは、自分達の町であったはず。

かつて。 
何を考えていたのか。
赤法師レゾのコピーが、自分はオリジナルより上だと消滅するがために。
たったのそのためだけに。
この町を壊滅させ。
その後、冥王の力によって、彼の操りの死霊都市とかし。
そのときに、この地に。
金色の王(ロードオブナイトメア)がリナを媒介にして降臨してきて。
さらに、その後。
この地の表裏一体のその場所に。
魔族が何かを仕掛けて、世界が震撼した。
それが、何だったのか。 
今のシルフィールには。
魔王の欠片の知識にて理解しているが。

かつて、フラグーンがあった場所に。
そして、その後。
冥王宮があったその場所に。
紅い水晶のごとくに聳え立つ、紅い、紅い神殿。
雲の上にまで届くその高さのその神殿は。


これが、火竜王フィスフレィン=フレイン=ヴラバザード。
彼が今、鎮座している神殿である。



「・・・・フィリアさん、本当にいいんですか?」
シルフィールがやろうとしていること。
それは・・・・・。
「ええ。覚悟はできてます。」
「その後に、俺が、お前たちには手出しできないように。彼らを助けたら、すぐに来るからな!」
フィリアの声に、ヴァルがこたえる。
「お前たちには、何人たりとも手出しはできないようにな!」
それは・・つまり・・・。
「・・・すいません。」
ぺこり。
シルフィールが謝る。
「大丈夫よ。リナさん達を信じましょう。視たんでしょう?未来の予知夢を?だったら、きっと、大丈夫。」
フィリアの言葉に。
「・・そうですわね。」
・・・・でも、ガウリイ様があんなにおいしい状況から。
好んで出てくるはずもないから・・・。
かといって、リナさんも、多分逃れられないし・・。
あるとすれば。 
ゼルガディスさん達が、戻ってきて、
連れ戻してくれるのでしょうけどね・・。
ガウリイが、執拗に、リナを愛している。
というのは、シルフィールは、知っていた。
というか、その動作から、何から何までて理解出来ていた。
でも、リナが気づいてないので。
ある意味、意地悪にからかっていただけのこと・・。
かなわない。
というのは。
あのガウリイの様子をみれば、一目瞭然だったからして・・。
とことん鈍いリナに涙していたガウリイの姿を思い浮かべ、シルフィールは苦笑する。

「・・・では、行きます!」
「・・・・ラナ・・ウルトヘメ・・・・・。」
シルフィールが、力を組み合わせ始めるのをみてとって。
フィリアが、呪文を紡ぎだす。

上層部にのみ伝えられている緊急時のこの禁呪。
一時ほど。
竜王の力を止める効果がある。
これを使えるのは、同等な竜王か、もしくは竜神、魔王。
そして。
例外において、火竜王神殿本部、大神官。
フィリアは、その後継者であるがゆえに。
いや、あったがゆえに。
今、その禁呪は紡ぎだされてゆく・・・・。


これは。
その精神の力によって、起因する。
つまりは。
大神官程度が使うと。
・・・・まず、命はない・・・・。


「・・・な゛!?」
がく。
一瞬、力が揺らいだ気がした。

「今です!!!!!エターナルフリーズ!!!!」

シルフィールの言葉とともに。

ぴし・・・・。


ビシビシビシシ・・・・・・。



「うぉっ!?小ざかしいまねを!」

ビシィィィィィ!!!!

精神世界の一部分。
半分くらいの程度にだが。
完全に。
そこは、氷に閉ざされていた。


一瞬、力が弱まっていたところに。
この永久凍結の呪文。
これは、さすがに、竜王の力ではとけない。
だから。
「・・・・くぅ!力が!」
一時ほど、フィリアが封じた力によりて。
力が振るえずに。
逆に、暴走しようとする力を抑えるほうに力を注ぐ結果と成り果てる。

「仕上げは俺がいくぜ!」
・・まってろよ・・フィリア・・。

キィィィィィン!!
「転送!!」


フィリアとシルフィールが。
力を解放したのを見繕い。
その直後。
幽閉されているその場所の結界が緩んだ。
その中に、入り込み。
捕らわれた竜王達と腹心を開放し。
全員気絶し、力を半分以上吸い取られてはいるものの。
今だに、死んだり滅びたりはしていない。
そのまま、安全な地帯。
ゼフィーリアの中心地にと。
瞬間移動させるヴァル。

その自分がやるべきことをすませて。
そして。
サイラーグにとやってきたヴァルは。

氷の中に閉ざされた。
愛する妻であるフィリアの側までいき。
ヴァルもまた。
その古代竜としての。
この世界を見守る役としての、その力を解放する。
人、竜、そのほか。
存在する、生き物には、代表が選ばれている。
だが。
かつて、この世界は。
人間が、エルフを虐殺していた経路にて。
エルフの代表はすでに滅んでしまっているが・・。

「うぉぉぉぉぉ!!!?」

ぴしっ!

しばらく。

力の楔に繋がれるヴラバザード。

だが。

この仮なる封印も長くは続かない・・・・。



さぁ・・・・・・。

星に。
数年ぶりに。
覆われていた雲の筋が晴れて。
所々、太陽の光が差し込んでゆく。

だが。

「・・・・まさか、こんな手でくるとはな・・。」

 
精神分離。

それを使い。
端末は。
命がけの彼らの封印から、逃れ出ていた・・・。

「・・・だが、今までみたいに、力が振るえないな・・・。どこかで調達せねば・・。」
ゆらり・・・・。
マグマが揺らめく・・・・。

悪夢は終わらない・・・・・。


                                    −続くー


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 あとがき:
     薫:・・・次回。
       竜王達、目覚めます。
       一応、これからは、今までほどには、ひどくないです・・・。
       世界の悲鳴・・・・いや、ある意味ひどい??(汗)
       何しろ、ところかしこで、火山が噴火開始・・・(汗)
       そんなこんなで、年月が経過していきます・・・・。
       ではでは・・・・・・。
 
     姫:もう少しで私達の出番vv
    エル:でも、こいつ、それ、省こうとしてるわよ?
     薫:・・・ぎくっ!(汗)
       そ・・それでは!!

  ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!

  遠くで、何やら悲鳴が巻き起こってゆく・・・・。

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