悪夢の夢(ドリーム・ナイトメア) 第17話
「・・じゃあ、質問を変えよう。おそらく、俺達が、ここに来る原因となった。
・・おそらく間違いはないと思うが。・・・『ドリーム・ナイトメア』というサイコロゲーム。知っているか?」
「―――――――――え゛(汗)」
ぴしっ。
その言葉に。
「あれ?ゼロスさん?」
こつん。
アメリアがつつくと。
ギギギ・・・ゴトッ。
そのまま、ゼロスは、硬直したまま石化していた。
「ゼロス、どうかしたのか?」
がさり。
ゼロスの背後から金髪の女性が出てくる。
茂みの中だというのに、なぜか着ているのはチャイナ服。
「・・貴様らは?」
アメリアとゼルガディスの姿をみつけ。
眉を潜める女性。
鋭い獣のような眼差しをしているその女性は。
「ちょうどいい。ゼロスがなぜか石化したから。―あんた、ゼロスの上司の獣王だろ?
・・知らないか?『ドリーム・ナイトメア』というゲーム。俺達、あれをやってて、どうやらここに来たみたいなんだが・・。」
―――ビシシシっ!
ゼルガディスが出てきた女性。
獣王(グレータービースト)に語りかけると。
―・・・一瞬、しばし、ゼラスはしばし凍りつき。
そして。
「な・・・・何ぃぃぃぃぃぃぃぃ~~~!!!!!」
ゼラスの叫びが響き渡ってゆく。
「・・・あ~。そういえば、昔、アメリアさんと、ゼルガディスさんには。お会いしていたことがありましたねぇ~・・・。」
ふと、フィーラが漏らす。
あれは、まだ自分が生み出されて間もない時。
しばらく子供のころ、アメリア達に遊んでもらっていた経験があったりする。
それゆえか、彼女は。
魔族で結構純粋なる精神生命体だというのにもかかわらず。
精神攻撃などには結構耐久性がある。
そして、アメリア同様、生の賛歌などを平気で歌えたりする。
昔、これを兄であるフィブリゾの前で歌い。
しばらく、兄を寝込ました。
という経験もあったりするが。
「・・なるほど、あれは、今回の件で。過去に飛ばされていたんですのね・・。」
しみじみと一人納得しつつ。
群がる火竜王の刺客達を。
にこにこと笑いながら切り刻み楽しんでいるフィーラの姿が、滅びの砂漠にて、見受けられている。
辺りには苦渋のうめき声。
「兄さまって、どうして、こうも殺風景にしたのかが不思議よねぇ・・・」
いって、滅びの砂漠を見渡し、ポツリと一言。
フィーラがこの砂漠にて。
任されていたのは、南の土地。
その南の一角は花々で覆われている。
「さて♡ご飯(肥料)もたっぷりと出来たから♡しっかりと咲いてね♡」
チュ。
手の平にのせた、小さな種たちに唇を落とし。
軽く接吻する。
累々と連なる死体の山。
中には、まだ息があるものもいたりするが。
「さっ、おいき♡」
ふっ。
フィーラが手のひらの上の種に息を吹きかけ、種を飛ばしてゆく。
風にのり、無数の黒いその種は。
舞い散りて、そして、連なる死体の上にと降り注いでゆく。
・・・むく。
むくくむくむく・・。
「さて♡この調子で、この滅びの砂漠♡花畑に変えてしまいましょう♡」
にこにこと笑っているフィーラ。
種が死体の上や動けないでいるそれらの上にと舞い落ちてゆく。
種は、その死体の中や、体の中に入り込んでいき。
そして、発芽してゆく。
一種の寄生植物。
この花は血のような真っ赤な花がつく。
彼らは、この花を。
『魔の花(デモン・フラワー)』と呼んでいる。
この花の養分は、命ある生き物の体。
今は、死体などを苗床に、根付いていっているが。
本来は、その甘い香りで、獲物をおびき寄せ。
生きたまま、苗床にと化してゆく花。
そして、この花が好むのは、瘴気。
瘴気を吸って、成長するのである。
魔族の中で、この花の葉からできる、紅茶の葉は。
かなりの高級品として、知られているのだが。
もう一つの特徴として、この花は、いらない物質や気。
つまり、瘴気を吸収した後に残る。
浄化された空気など。
聖なる空気をも作り出する
光と闇が一対のように。この花もまた。
その両方の特性を兼ね備えていたりする。
かつては、町の空気を神聖に保つために。
あえて、この花を待ちの外にと植えていた町などもあったりしたが。
それももう昔のこと。
「あ♪また、プランター代わりがきたvv肥料vv肥料vv」
フィーラの目には。
やってくる刺客達は、自分の花畑の肥料と映っていた。
♪星中に、こんなに負の感情や瘴気が溢れて♪
瘴気が強まってきているから、花畑の完成♪案外早いかもね♪
これを利用して、滅びの砂漠といわれているこの場所を。
デモン・フラワー、群生地にすることをたくらんでいるフィーラ。
勝てるはずもないのに。
『主のいうことが正しい。』と思い込んでいる火竜王の部下達は。
殺され、または眠らされ、動けなくされて ― 花の肥料にと成り果ててゆく。
・・・・・・・果たして、どちらが幸せなのであろうか・・。
「・・・くっ!結構しぶといわね!」
「・・肉体を保ったまま、結界の維持、難しいよ?姉様?」
互いに顔を見合わせて。
肉体から離れ、この地に同化して。
結界を張る決意を固めるヴィーナスとアルテミス。
世界中から、星中から、避難してきた人々で、ごったがえすゼフィーリア。
だが、すべてがすべてではない。
中には、故郷に留まりおいて、生き延び、戦い。
又は、自ら故郷に戻って、戦う者達も少なくない。
ディルス王国、アルス将軍は。
すべての元凶である、火竜王ヴラバザードを何とかしようと。
軍隊を創りあげ、ヴラバザードがただ今腰を降ろしている、サイラーグにと向かっていったりもしたが―。
その足取りはすでに分からなくなっている。
サイラーグに向かうものすべて行方不明と成り果ててゆく。
サイラーグを中心に。
空に伸びてゆく赤い、まるで蜘蛛の糸のような筋の光。
その赤い筋が。
空を多い尽くしてゆく。
すべてのこの世界の不安が、絶望が、全て。
この赤い空を多い尽くす糸の光によって、ヴラバザードの元にと向かってゆく。
その力のすべてが、フィスの力と成り果ててゆく。
本来、光であるはずの竜王が。
闇に染まるとき―その闇は、まるで底なし沼のごとくに、どんどんと深くなってゆく。
光が強ければ強いほどに、闇もまた強くなるからして。
その典型的な例といえようが。
だが、本人は、そんなことにはまったく気付かずに。
自分が、ただ力に飲まれている。
ということにすらも気付かずに。
すべてを滅ぼし、自らが王となるべくその力のたくわえとして。
この星で、滅びの力を蓄えていくことを決めているフィス。
・・・・・・・・・世界すべてに『破壊の波動』が襲いかかってゆく・・・・・・・・
ヴィーナスとアルテミスが。
肉体を離れ、ゼフィーリアの聖なる場所にと融合したことで。
何とか、ゼフィーリアだけは。
その『破壊の波動』から、逃れることができていた。
「・・・大丈夫ですか?復活(リザレクション)」
シルフィールの癒しの光が傷ついた体を癒してゆく。
パタパタパタ・・・。
回復呪文が使える人々。
そして、動ける人々は。
その怪我の手当てや、心のケア。
様々なことにと追われてゆく。
竜王、三人、
アクア、アッシュ、スカラが力をあわせ。
サイラーグの神殿に力を放ったものの。
あっさりとはじき返されてしまっていた。
終わりの見えない、戦いの中で。
一つ・・また一つと、手駒が敵の手にと落ちてゆく・・。
・・・・さしたる、解決策もみいだせぬままに。
―ただただ、時だけが過ぎてゆく・・・。
「・・・・う///」
家の外、裏側に。
ドラグスレイブを多少アレンジして。
ちょっとしたクレーターを作り出し。
そして、水精霊の力を借りて。地下水を巻き上げて温泉を作ってみた。
そこまではいいのだが・・・。
「・・だ・・め・・は・・ん//」
温泉の中で身じろぐリナ。
ぺろり。
「ひぁう!」
耳元を舐められ、かなりかわいい声をだしているリナ。
「・・リナ、かわいい♡」
リナを後ろから抱きかかえるように一緒に入っているガウリイ。
「だ・・や・・・・ひぁ・・・・・」
そのまま、ガウリイの手の動きにおぼれてゆくリナ。
「・・・あんたねぇ///何なのよぉ・・今までの子供扱いはぁ・・・。」
きっと。
瞳をうるうるさせて、ガウリイを睨んでいるリナ。
今だにリナは理解していない。
その表情が。
ガウリイをさらに煽り立てているということを。
「子供扱いしないと、理性が保てなかったからな。」
「・・・・いつから、あたしをそーいう目でみてたのよ・・//」
あたし。
あんたに子ども扱いされるたびに悔しく感じてたんだからね・・・。
向きを変えられたので。
ガウリイに抱きつく格好になっているリナ。
そうしないと、ガウリイが、この温泉の一番深い部分より少し手前。
つまりは、リナの背が届かない位置に移動しているから抱きつくより方法がない。
「・・は・・んっ!」
リナがのぞけってゆく。
お湯の中で、いまだにある行為は続行中であるからして。
「リナと初めて出会ったときからかな♡」
「・・・な゛!?//」
「逃がしたくなかったからな。お前は、絶対に。」
だから。
人のよさそうな振りをして保護者と名乗った。
リナは覚えてないようだったが・・。
一目で、あの時の子供だと分かったから。
・・・初恋の相手。
そして、リナの心に。
自分を男として認識させるように。
ずっと、無害な振りをして。
リナの側にいたガウリイ。
かなり計画的な犯行である・・が。
唯一の問題は、リナがその手にとことん疎いということであった。
自分以外のことでは、その辺りは鋭いのだが・・。
何しろ、リナは。
ガウリイに襲われた後も。
その時ですら、ガウリイの気持ちに気付いてなかったのであるからして。
衝動的なものだと思っていたらしいが・・。
ガウリイが、ストレートに好きだ。結婚してくれ。
といっても。
本気でいっているのにも関らず。
性質の悪い冗談いうなぁ//
と、真っ赤になって、呪文で吹っ飛ばしていたリナ。
・・勘違いさせるような期待させるようなことをいわないでよぉ・・。
・・・馬鹿ぁぁ///
と。
そのたびに、リナは泣いていたのだが・・・。
勘違いでなく、本気にしてほしいものである。
何しろ、ガウリイがした、リナの両親への挨拶にも、それと気づいてないリナであったからして・・・。
さすがに。
執拗的に。
約半月以上。
愛しているといい続け、ずっと毎日リナを抱き続けていたガウリイに。
・・もしかして?
と、このたびようやく気付いたリナであった・・・。
それから。
この二人の攻防というか、リナがいい様にされる日々が続いているのである。
元の世界がどうなっているか。
二人には知る由もない。
「・・・・なるほど・・そういうことですか・・。」
「・・ありえるわね・・。」
ゲームの名前を持ち出した所。
ゼラスに連れて行かれたのは、かなりの大きさの宮殿。
そこに―。
『ルナさん!?』
アメリアとゼルガディスも知っている。
ルナ=インバースの姿と。
もう一人の知らない男性の姿。
「?確かに、私はルナ。ルナ=パールディア=スィーフィード。この世界の光を任されているけど・・。」
紫がかった青い髪、暁いろの赤い瞳。
肩の辺りにまで伸ばしたその髪をその辺りで切りそろえているその女性は。
そんな二人に名前を呼ばれ首をかしげる。
「私は、レイ。シュブニック=レイ=ブラッディ=シャブラニグドゥ。この世界の闇を任されているが・。」
艶やかな長いストレートの黒髪を。
腰の辺りにまで伸ばし、紅い瞳の男性がいう。
二人、並んでいれば、まるで一対の絵。
司る力は違えども、同等の力をもつもの同士というのがよくわかる。
二人の前に連れてこられたアメリアとゼルガディス。
さすがに。
目の前の男性が。
魔王・・赤瞳の魔王(ルビーアイ)シャブラニグドゥと知ったときには驚きもしたが。
アメリアなどは。
それを知った直後。
「正義の心をもってして!!まっとうな人間になりましょう!人間が無理なら、いい魔族になって、正義の心を広めましょう!」
などと。
言い寄っていたりしたのだが。
二人の意見を聞き。
互いに汗を流す二人。
「・・・・元の世界に戻るには。あれを通じてきたのであれば。時空ゲートも使用不能。あれを作動させて戻るのみ・・。」
ルナの口から言葉が発せられる。
この時代。
ルナはまだ人としては転生していない。
竜神本来のそのままの姿であるのだが。
「・・・しかし・・問題が一つ・・。」
ルナの言葉に続けて。
言葉を発しているレイ。
『・・・今、あれ、行方不明(なのよね)(になっている)・・・・。』
ルナとレイ。
互いの声が同時に漏れてゆく。
・・・・・どべしゃ!
そんな二人の言葉に。
思わず、その場に突っ伏すゼルガディス。
アメリアも同じく床に突っ伏してゆく。
「・・今、大急ぎで総動員して捜しているんだが・・な・・。何しろ次はここがイベント会場だからな・・。」
汗を流している魔王・・レイ。
いや・・イベント会場って?
どうにか起き上がり、突っ込もうとするが。
何か聞くのが怖い。
「前回は、滅深の世界だったわよねぇ・・。」
ルナがふと溜息一つ。
「ふっ。今回は、白、黒、蒼、赤の四界の世界に当たったからな・・。」
レイが溜息一つ。
「あんたが!チョキだすからいけないんでしょうが!」
ルナがそんなレイに突っ込んでゆく。
・・・いや・・・・あの?
チョキっ・・て・・?(汗)
ゼルガディスとアメリアは心の中で同時に突っ込む。
「仕方ないだろう!まさか、あいつら、全員が、『グゥ』でくるとは!」
言い返しているレイ。
「一発で負けないの!」
「何をいう!三回勝負して、三回ともすべて全滅して負けたんだぞ!」
「・・威張るなぁぁぁぁぁ!!!」
スッパァァン!
どこから取り出したのか。
オリハルコン製のハリセンで、レイを叩いているルナ。
そんな言い合いをしているルナとレイ。
これが、この世界の光と闇を統べている、赤の竜神と、赤瞳の魔王である。
唖然としているアメリアとセルガディスの前で。
しばらく、二人の言い合いは続いてゆく・・。
-続くー
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あとがき:
薫:・・・よーやく、次回で、年月経過♪
ふぅ・・・・。
よーやく、ホープたちが出てくるところにこぎつける・・・。
・・その前に。
リナサイトの、あの台詞、入れてみよっと♪(まてこら!)
エル:そういえば、あのとき、
せっかく預けていたあのゲーム♪
盗まれてたのよねぇ♡
姫:そうだったわねvv
薫:・・・・あ、何かにこにこと話し合いをしているお二人が・・。
・・・とりあえず、赤の世界からは・・。
避難することをお勧めします・・。
それでは。
また。
・・・・多分、明日もこれ、打ち込みますので・・(まて!)
ではでは・・・・。
エル様とすみれちゃん。
にこにこしつつ、何やら会話して・・。
掻き消えてゆく・・・。
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