悪夢の夢 第15話  ~セイルーン壊滅~





「・・・ここが、セイルーンか・・。我が主、ヴラバザードさまのために・・。消滅せす!!!」

ぽう・・・・。

その手に。
赤い炎が収縮してゆく・・・・。


『転送!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』

その炎が解き放たれると同時に。

ゼフィーリアの土地の聖なる場所にて。
その地殻の奥深くに存在している聖なる場所。
そこから。
二人の男女の声が。
同時に響き立っていた。

ごぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!

セイルーンの町を国を、業火の炎が多い尽くしてゆく。




「美しい・・・・。」
東の方向の空が真っ赤に染まりあがる。
雲の上まで届く神殿の頂上。
その頂上に位置する玉座から。
見下ろしているのは赤い髪の男。
その赤い瞳に赤い空が映りこむ。
これこそが芸術。
「ヴラバザード様。生意気にも、人々や、代表者達は。直前に逃げたもようです。」
膝まづく報告にきている一人の兵士。
「そのようだな。」
いいつつ、北東の方向をみる。
そちらの空に伸びるは。
虹色の光の柱。
「・・・・ふん。小ざかしいまねを・・・。まあいい・・・。外からじっくりとせめて行けばいい・・。くくくくっ。」
あそこを手に入れれば、我は無敵。
ゆくゆくは、この星だけでなく、この太陽系。
そして、銀河。
すべての宇宙を我が物に。
我の力をもって、絶対秩序を敷くべし。
「くく・・・ふははは!正義とは何たるか分からぬ愚か者共め!そんなものどもはいらん!
  すべてを排除し、そして、新たなる世界の王にこの我が君臨する!この力さえあれば、恐れるにたりず!」

カッカッカッ。

テラスに出ると、眼下に無数の部下達。
先の一件で。
一つの神殿の手ごまは亡くなったが仕方がない。
パッ。
マントを翻し。
「いけ!我に従わぬものは正義にあらず!災いの種となりしもの!すべてを排除せよ!我らが正義のために!」
浪々と、彼の声が響き渡る。
『わぁぁあ!火竜王様!!!火竜王様!!』
火竜王ヴラバザードの演説に。
集まっていた彼の部下達の大歓声が巻き起こる。
一声に歓喜の声を上げている。

――…誰一人として、間違っているとは気付いてもおらず。
火竜王がいうのだから、それが平和への道だ。
と、心より信じ込んでいるのだからして、どうにもならない。

演説が終わり。

ババババ!!

一声に羽ばたきの音と、
ドドドド!
大地を揺るがす音とともに。
侵攻が開始されてゆく。


「我が正しい・・・。そう、間違っているのは、この世の中。我が絶対主になるべきなのだ。」
それが分からぬものどもには・・。
バッ!
上空に向かって手を掲げる。


その手から、水の球のような、小さな小さな空気のような小さな気泡が無限に生み出されてゆく。

「―我に従わぬ愚かなものには・・・無限の苦しみを!くく・・・ふははははは!!」

ザァァァ!!!!!!

風とともに。
そして、星全体を取り巻く気流にのって。
星全体に、世界中に、余すところなく、その気泡は広がってゆく・・・・。



炎が直撃するその一瞬。
セイルーンにいた、滞在していた全ての命あるものは。
その一瞬で、まったく異なる場所にと移動していた。
いまだ無事であった命ある者達。
『何だ!?何が起きた!?』
いきなり、知らない場所。
今までいた場所とは違う場所。
当然のことながら、ざわめきの声が上がる。
その建物の外である。市街地でも。
移動させられた一般市民がかなりうろたえている。

カツン。
そんな彼らの耳に、ハイヒールの音が響いてくる。
「―ようこそ、我がゼフィーリアへ。危険でしたので、こちらに皆さんを、強制的に転移させていただきました。」
彼らの前に歩いてきたのは。
金色の髪に、暁色の目をし、ストレートの長い髪の女性。
国々の代表者の中には。
その彼女の顔に見覚えがあった。
…滅多と人前に、表に出るとこがないといわれているその人物は…
『ゼフィーリアの永遠の女王(エターナルクイーン)!?』
彼女を見知りおいている数名の国王、代表者の声が重なる。




「おや、どうやら、あちらさんが、足手まといさんをどうにかしてくれましたねぇ♡」
ゴオオォ・・・。
燃え盛る炎の中。
にこにこといっている黒い神官服の男性。
これで心置きなく、何をやってもいいというもの。
「ふっ。僕を甘くみないでくださいよ♡」
業火の中に。
無数にうごめく異形の存在。
クルクルクル。
スッ。
錫杖をクルクルと回し。
そして、空にとその先端を向ける。
その刹那。
ズドドドドド!!!!
小さな黒い錐の雨が、辺り一体に降り注ぐ。
『ぎゃぁぁぁぁぁぁ~!!!!』
断末魔をあげて滅びてゆく対峙していたそのものたち。
そんな彼らをみつつ。
「うーん♡これはこれは♪いい趣味してますねぇ♡あの魔王の力を使ってますか♡」
にこにこにと。
滅び去ってゆく、異形のものをみつつ。
黒い神格服の男性 ― ゼロスは、ほくそえんでいた。


「あ・・・・あいつ、何考えてるの!?何やってるの!?命を何だと!?」
悲鳴に近い声を上げているのは。
スカラ。
天竜王(エアロード)バールウィン。
赤の竜神に仕えている直属の部下であり、竜王。
新たに出現している異形の怪物・・を倒したのはいいものの。
それが滅びる間際の、崩れ去る、その一瞬の瞬間。
元の形―。
すなわち、人間、エルフ、笠、エトセトラ・・・にと変化する。

つまりは。
自分達―火竜王たちが殺していっている生命という生命は。
異形の怪物として、自分の手足の捨て駒として、戦力の一部にしているのである。
死んでからなら、まだ救いは多少はあるかもしれないが。
心を残したまま。
ましてや、生きたまま。
その捨て駒にと変化させられている存在もいる。

そして。
そのように捨て駒として、使われている彼らに。
襲われた人間やエルフ達も。
すべての生きとしいける存在もまた。
そのまま、異形と成り果てて。
火竜王の捨て駒の戦士にと操られてゆく。
今まで、味方だってものが、敵になる。
我が子が、家族が、夫が。愛するものが敵にとなってゆく。
心をのこしたまま、愛するものを手にかけてゆく。
抵抗しても、抗えない。

「心を強くもて!」
地竜王の叫びもむなしく。
次々と駒と成り果ててゆく人々。
強い精神力さえあればそれは退けられる。
・・だが。
愛するものが敵になる。
というので、正気でいられるわけもない。
そんな理由から。
次々にと、火竜王の捨て駒は増えてゆく。


力在る者達だけではすべて排除できない。
駆除しきれない。
助けることもできない。
いや、方法はあるにはあるが。
しかし、彼らの力では・・。
そして。
ただただ、力なき者達は。
隠れるか逃げるより他はなく。


星全体に叫び声のみが広がってゆく・・。


主要都市すべてが。
あっという間に壊滅してゆくのは、そうは時間はかからない・・・・・・・・・・・


「・・・・フィス・・・魔族より達が悪すぎるぞ・・・・(汗)」
ぽつりと。
地竜王(アースロード)ランゴード。
アッシュがもらしていたのその言葉は。
誰もが思うことと一致していた。



ゴォォォ・・・・。

セイルーンは、炎に包まれて。
建物が崩れ落ちてゆく・・・・。

そしてまた。
他の国々でも・・。




「・・・ヴィーナス殿?これは・・一体?」
一人、精神が丈夫なフィリオネルが問いかける。
何が起こったのか。
「セイルーンを標的にして。火竜王の側近である、フレイ=ウルド=バルバード。
  彼が攻撃を仕掛けようとしておりましたので。皆さんをとりあえず、こちらに避難させる名目で、瞬間移動させたのですわ。」
スッ。
その手にもっている扇が。
壁を指差す。
と、同時に。
炎に包まれているセイルーン。
そして、そのほかの国々の様子が映し出されてゆく。
・・・逃げ惑う人々。
そんな情景が。
壁にと、スクリーンに映し出されるかのように映りだされてゆく。
「今、世界中で、これのように同じような状態になってます。火竜王が、ついに全面攻撃に打って出たようです。」
そういって。
パチン。
扇を鳴らし。
そのとたん映像は掻き消える。

丁寧に説明しているヴィーナス。
ゼフィーリア女王、別名。永遠の女王(エターナルクイーン)。

「ここならば、そう簡単には、手出しはできませんからね。」
ついで説明しているのは。
ヴィーナスに雰囲気がにている男性。
ヴィーナスの弟であるアルテミス。
金の髪に紅の瞳。
「・・瞬間移動・・とな?どうやって?」
セイルーンの映し出された様子にショックを受けつつも。
気丈に聞き返すフィリオネル。
王者の威厳というものをこの彼はしっかりと持っている。
「・・何が一体!?」
取り乱しつつ、疑問をぶつけるエルメキア国王。
昔、ヴィーナスに言い寄って、振られた経験をもっていたりする。


「ここは、ゼフィーリアは。この星すべての力と。神と魔の力がすべて集う場所。そう簡単には陥落いたしませんから。」

全員に、とりあえず。
落ち着いてもらうために。
お茶を配っているアルテミス。
呆然としつつ、それを受け取っている人々達。



今。
ここには。
はっきりいって、戦力外の人々がやってきている。
戦力となるもの達は、今だに戦っていたりする。


「今、ここ、ゼフィーリアは、神魔融合呪文による結界をこの国全体に張ってます。
  今、エターニナルナイツに命じて、星中の人々の保護に当たらせているのですが・・。・・・どこまでできるか・・・。」
いって顔を曇らせるヴィーナス。


「まさか、ここゼフィーリアが・・。」
ぶつぶつ言っているフィリア。
フィリアは、実は、昔父親や両親に内緒で。
昔の文献を調べた形跡をもっている。
シルフィールも然り。
シルフィールの場合は。
両親たちともに調べた経緯があるのだが。
あまり戦力にならない。
そう判断された存在達もまた。
避難民の世話のために。
ここ、ゼフィーリアにと移動させられていた。



いらいらいら。
「今回の件は一体何なんだ!?」
一人がわめく。
武人風の男性である。
「・・こんなとき、あのリナ=インバースがいれば・・。」
そんな中、一人がつぶやく。

「・・・おやおや。こういうときだけ、たよりにするんですか?リナさんを火竜王の神託を間に受け、これ幸いと殺そうとした人が?
  まあ、そういうあれを利用して、この期に、リナ=インバースをこの世から抹殺しよう。
  そうやって行動していた人達が子の中に何人もいますけどね♡」
ふと。
人ごみの中から声がする。
『くっ!!!』
かなりの数の存在がうめく。
事実、刺客を送っていた国王たち。
挙句は、エルフ、竜族もいたりする。
「まったく。人というものは、いい加減ですよねぇ♡
  自分達が持っていない強い力を持っているものは、排除しようとして。
  困ったときには頼った挙句に。事が終われば、いろいろと無実の罪などを押し付けて。闇から闇へと葬り去る♡」
にこにこにこ。
シィン。
あたっているだけに、半数以上のものが口を閉じる。
それを言っている男性は。
黒い神官服に身をまとい。
どこにでもあるような錫杖をもっている。

会議の中で。
自己紹介があり。
彼が何なのか。
大概のものは会議に出ていたものは知っている。

― 何か困ったことなどがあれば、とことん利用するが。用が終わると闇から闇へ。
人類が、命在る物が、知識をもったものたちが。
今までたどってきている経路。

「・・・だが!今回の件はリナ=インバースのせいだろうが!」
いるのである。
何でも人のせいにして。
自分は悪くない。
そういって。
そして、自分は何もできない。
といって何もせず。
かといって、誰も何もしてくれなかった。
と、いうばかりの存在達が。
そんな自己中心的な一人の言葉に。

ピクリ。

ヴィーナスの眉がつりあがる。

「おやおや、そんなことはないですよ♡どちらかといえば、リナさんがいたから。
   今まで、火竜王さんは、こんな暴挙にでなかった。というのが事実ですけどねvv
   まあ、細かい暴挙には走られてましたけど。火竜王さんは、すでに。神魔戦争のその途中から。反旗、企ててましたし♡」
実際。
彼のせいで、死んでしまった、神族もいたりする。
「それに、いい例が、あの千年前に平和を願う、大人しい種族であった古代竜エンシェントドラゴン一族を。
  黄金竜よりも力があるから脅威。という理由で。
  そして、異界の武器を封印し、守っていたのに。それを利用して、悪意がある。と勝手に決め付けて。
  それだけの理由で、無抵抗な、卵から、何から何まで。惨殺しまくってますからねぇ。あのひとは♡」
そのゼロスの言葉に。
フィリアが自分の懐に手をあてる。
そこには、その古代竜の唯一の生き残り。
ヴァルの卵が入っている。
「ですからvvただ、その彼のそんな対象が、人間が脅威vvと捕らえただけですよvv火竜王さん、ヴラバザードは♡」
にこにこにこ。
そんなことをにこにこと言い放つゼロスに。
背筋が凍りつくような錯覚に陥る人々もいたりするが。
「しかし!」
我らは悪くない!
我らはただの被害者だ!
すべての罪は、あのリナ=インバースたちにあるのでは!
とことん、人に無実の罪をなすりつけようとする者達が声を荒げる。
頭の固い連中たちが。
そんな人々に。

・・・ぷちり。

「黙りなさい!!ただ、何もせずに文句ばかりいう人は。守る価値などありません!
  リナさんが、今まで、魔王の欠片二つを滅ぼし。冥王を滅ぼして、この魔族の結界を説いた功績もわすれて!
  それに、以前の異界の魔王の一件も!あなた方は何もせずに、指をくわえていただけ!
  そんな人達が、人をとやかくいう筋合いはありません!」
ぴしゃり。
言い放つヴィーナス。
「そうそう、それに、今獣神官がいったことは事実だし。実際、今までの文明からして。
  これまでずっと、利用するだけ利用して。無実の罪をなすりつけ、知らぬ、存ぜぬを決め込んだり。
  絶滅させたりしてるのは。人ばかりでなく、エルフも、竜族にも言えることだけどね。」
冷ややかに言い放つアルテミス。

この星ができてから。
この四十五億年。
それで何回文明などが絶滅していったことか・・。
それはすべて、驕りから・・。

「自分達は何もせずに。ただただ文句ばかりいい。自分はいかにもいい子なんだ。
  そのような自分勝手な考えの者は。ここにいる価値はありません。守る価値もない存在です。
  それでなくても、このゼフィーリアには、これからこの星中から避難民が押し寄せます。
  生きることの意味を、負けない心を持ったもののみ。私達は救います!―それ以外は・・立ち去りなさい!!」

―――カッ!!

ドンガラピッシャアアアアン!!

ヴィーナスの一喝とともに。
部屋の中にも関らず。
雷鳴がとどろき渡る。

そして。
一瞬の雷光の後には。
半数以上の者達が。

自分勝手な心を持っている者達はそれらすべては。
ゼフィーリアの結界の外にと放り出されていた。

中に入るのは・・。
心を改めること・・のみ。

だが。
「ふん、守ってもらわなくても。火竜王など、我らの手で、何とかしてみせるわ!」
力は我らにもあるんだからな。
・・・・とことん、無理解極まりない存在達。
何しろ、自分勝手なこの彼らは。
純魔族に対して、物理攻撃が自分達の方が有利。
と思い込んでいたりするのであるからして・・。
無知というのは、とことん恐ろしい。
だが。
「まあ、いざとなったら、火竜王にいくらか握らされば。何とかなるだろう。」
というような腐った考えの連中もいたりする。
・・・このような重役がいる国々は、かなり不幸である・・・・・・・・


くるり。
「さて、残った皆様方。改めて、自己紹介させていただきますわ♡」
厳しい表情から打って変わり。
残った人々に向き直り。
にっこりと笑いかけるヴィーナス。

すっ。
ドレスの端をつかみ、その場にと膝まづいてゆく。

                                     -続くー

HOME      TOP     BACK     NEXT



#####################################

あとがき:

薫:・・・ついに始まりました。火竜王の攻撃!!(滝汗)
  竜神と魔王の気配がなくなったから・・。
  そして、脅威を感じていた、リナの気配がなくなったから。
  今のうちに、ここをすべて滅ぼしておこう。という算段です・・・(汗)
  ・・・あーた、本当に竜王?(滝汗)
  ・・・・傲慢な考えが。
  自分が一番偉く。自分が世界を治めるにふさわしい。
  というように人格形成がなされているようです・・・・。
   ま・・まあ。
   過去、あのゲームに無理やりに参加去られらたのには同情はしますが・・。
   ・・でも、一緒に参加した存在達・・。そんなにひねくれてないぞ!!!!(涙)
   この状況・・。
   当然。
   ゲームの中の異世界に捕らわれている。リナ&ガウリイ。ルナ&レイ。
   そして、過去に飛ばされている。
   アメリア&ゼルガディス。
   ・・・知るはずもありません・・・・。
   そ・・それでは・・。
   また・・・・・。
エル:次回♪ゼフィーリア王国の真実♪とこいつはいってますが♪
 姫:ま、そんな大層なものでもないけどね♪
エル:いい加減に本題に入ればいいのにねぇ♪
 薫:しくしくしく・・。
    そ・・それでは・・・・。



HOME      TOP     BACK     NEXT