ドリーム・ナイトメア  (悪夢の夢)    ~ACT-5~



「リナ、五月蝿いわよ?」
「――――――――――――――――え?(汗)」
「あら、リナじゃない。久しぶりね。」 


ぎぎぎぃぃぃぃ・・・・・・。
間違えようのない声と。
聞きたくない声が同時にリナの後ろにある部屋の扉付近から。
リナの耳に届いていた。

な・・・何で・・・。
リナがそう思いつつ、硬直するのと同時に。
「あ、姉さん、ルナさんともう話しは終わったんですか?」
にこにこと声のしたほうに向かっていっているアメリア。
「リナ、遅かったわね。」
この声はまだいい。
いや、いいわけではないが。
ともかく、もう一人の声よりは。
「リナ、久しぶりね!おーほっほっほっほっ!!」
間違えようのない高笑いが響き行く。
「・・・・だぁぁぁぁぁぁ~!!!!姉ちゃんはともかく!!何でナーガまでここにいるのよぉぉぉ!!」
そちらのほうを振り向きざまに叫ぶリナ。
聞こえてきた二つの声。
一つは、まちがえようにもない、リナの姉で、
ゼフィーリアのゼフィール・シティの中の、リアランサーという店で、ウェイトレスのアルバイトをしているはずの。
世間一般では通称『赤の竜神の騎士(スィーフィードナイト)』
リナが唯一、畏れている相手。
リナの姉…ルナ=インバースその当人の声。
そして。
もう一人の声は。
「あら、家に戻っていちゃ、おかしいかしら?」
ふぁさっ。
その長い黒髪を掻き揚げている・・・・。
「・・・・え?」
思わず振り返ったリナの目が点になる。
「・・・・な・・・・ナーガ!?どーしたの!?どこか頭でもうったの!?まともな格好して!」
はっ!?まさか、影(シャドウ)・・のわけはないわよね!?一体!?
リナの思考回路が一時期寸断される。
「ずいぶんないいぐさね。それだと、私のいつもの格好がまともでないように聞こえるんだけど?リナ?」
その言葉に。
・・・・自覚ないんか!
思わず、心で突っ込みをいれていたりするリナ。
だが、今、リナの目の前にいる女性は。
いつもの、見慣れたくないが、見慣れてしまった、黒いとげとげのショルターガードに、ドクロのネックレス。
肌もあらわな、どこをどうみても、一昔前の悪の魔道士ルック。
どかこの大道芸人でも、あんな格好はしないない。
という姿は・・していない。
黒くシンプルな、膝の下の辺りまで、足元にまとわりつくような、すらっとした、身にフィットしている黒いワンピース。
肩開きがやけに広いが。それでも、いつもの格好とは比べ物にならない。
まるで、一見したところ、あの白蛇(サーペント)のナーガと、同一人物だとは絶対に思えない格好である。
「そういえば、リナさん、姉さんと、知り合いなんですってね。」
リナがそんなことをぐるぐると考えていると。
にこにことそんなリナにいってくるアメリア。
「・・・・・・・・・・え゛?」
聞きたくない言葉を聞いたような気がしたりナ。
「お~ほっほっほっ!!アメリア、私は、リナの最大最強のライバルなのよ!当然でしょぅ!
   まあ、私の方が強いけどね!!お~ほっほっほっ!!」
口に手をあてて、高らかに笑うナーガ。
・・・・・・・。
「・・・・あ・・・メ・・・リ・・ア?ひょっとして・・・。ましか・・・姉?・・・これが?・・・ナーガが!?」
ぎぎぃ。
ぎこちない口調で言葉を発するリナ。
わなわなと手を震えさし、女性を指差していたりする。
自称、白蛇のナーガ。
リナ曰く、金魚の糞。
何しろ、行動のためならば、目的を忘れる。
といった、とんでもないかつての、勝手について来ていた、まあ、敵に回すのは面白いが、味方にするとこの上なく不安である。
目の前にいるのは・・・その、ナーガであった。
「あら、そういえば、リナには、フルネーム、名乗ってなかったかしら?」
ぱさっ。
髪をかきあげつつ。
リナにとっては、死刑判決にも言いがたい言葉を紡ぎだす。
「私は、ナーガ。白蛇(サーペント)のナーガ。グレイシア=ウル=ナーガ=セイルーン。
   アメリアの姉であり、フィリオネルお父様の第一子よ。」
当然のように言い放つナーガに対して。
「うそよぉぉぉぉぉ~!!!!!!!!!!!」
その場にへたりこんで、泣き出すリナ。
「いやぁぁぁぁぁぁ~!!あの、ナーガが、ナーガがぁぁぁぁ!!!絶対に認めないぃぃぃぃ!!!~!!!!」
リナの泣き叫ぶ、悲鳴ともいえる声が響き渡ってゆく。
「お・・おいおい、リナ?」
ガウリイがおろおろと心配して、リナに話しかけると。
「ふぅぅえぇぇぇん~!!!ガウリイぃぃぃ!」
リナの肩に手を置くと。
そのまま、ガウリイの胸にすがって泣き出すリナ。
う・・かわいい///
思わずそんなリナにガウリイが見とれていたりするが。
「よしよし。」
頭を何度も優しくなでるガウリイ。
うう・・・頑張れ!!俺の理性!
などと、かなり心の中で葛藤しているが。
このまま、顔をあげて、無理やりにキスに持ち込んで押し倒したい衝動に駆られるのを。
何とか頭をなでて、リナに触れることで、
理性を総動員して押さえ込んでいたりするガウリイ。
「えぐっうぐっ。絶対にうそよぉぉ~!!」
ど~なってるのよぉ~!!
ここの王室はぁぁあ~!!
泣きじゃくるリナを満面の笑みで抱きしめているガウリイには、リナは気づくはすもなく。
「??リナさん?何泣いているんですか?」
きょとんとするアメリア。
「あら、私が王女だというのにショックをうけたんじゃないかしら。まあ、リナは民間人だしねぇ。お~ほっほっほっ!」
ナーガの意見のその通りなのだが。
その意味が根底から違っている。
ナーガが捉えていっている意味と。
リナが思っている意味とは根底からが違うということに。

ナーガは気づくはずもない。
第一王位継承者が、ことあろうに、ひげ面の、どこをどうもても、盗賊の親分か夜盗の親分。
もしくは、ちょっと小柄なドワーフもどきの、自称平和主義者。
さらには、その弟でもあった、司祭ランディオーネ、つまりは、第三王位継承者である二番目の弟もまた。
何も考えてない、優男で、王になりたかったから。
という後先考えずに、謀反おこす人物であったり。
そして、すぐしたの、第二子である、第二王位継承者である、クリストファーにいたっては。
その息子が魔族と契約していたり。
第一王位継承者の二人の娘は。
下がやたらと、正義おたくの少女であり、
そして、上がまともな人物であることを期待していたリナ。
しかし、その人物は、こともあろうに、白蛇のナーガ本人・・。
・・ふっ。
セイルーン・・・終わったわね・・・。
そんな思いが、リナの中を飛来していった。

「リナ、いい加減にラブラブなのはいいけど、離れなさいね。」
ルナが苦笑しつつ、あきれたようにリナにいう。
「――へ?」
いわれて、リナは。
自分がガウリイにしがみついているままというのに気づく。
「き・・・きゃぁぁぁぁ!!!////アークブラス!!」
バチバチバチぃぃ!!
「おっと。」
すかさず、リナを抱きしめたまま、その電撃を交しているガウリイ。
予想できていたのである。
「ちっ!!かわしたか!!って・・放せぃぃい!!!!//」
じたばたと抱きしめられているの手を振り解こうとしているリナ。
「え~。もーちょっと、俺、こうしていたいのになぁ♡」
さらに力を入れて、リナを抱きしめるガウリイ。
「な゛///何考えてるのよぉぉお!!!!//」
「リナのこと♡」
さらりと言い放たれて。
見る間にリナの顔がこれまで以上に真っ赤にそまり。
真っ赤になりつつ。
「だぁぁぁ~!!保護者がそんなこといったり、こんなことするなぁ~!!
   あんたにとって、あたしは、保護対象の単なるお子様なんでしょうが!」
期待させるようなことや、行動・・しないでよ・・。
そうおもいつつ。
・・あ、何か自分でいってて、なんかむなしいぞ。
この台詞。
ま・・事実だし。
・・・ガウリイ、あたしのこと、子供にしか見てないしね・・・。
そんなことを思って、でも、なぜか抱きしめられているのがうれしかったりするリナ。
理由は、リナにははっきりと理解できているが。
ガウリイが放れるくらいならば、ずっとこのまま。
自分の気持ちは、言い出せるはずもなく。
ずっとあいまいな関係。
・・・ここまでされても、とことん、ガウリイの気持ちに気づいてないリナ。
「・・・・・リナさん、本気でいっているんですか?(汗)」
あきれて呆然といっているアメリア。
「リナ?あんた・・・あいかわらずね・・・・。」
苦笑しているナーガ。
ナーガといるときですら、リナにこういった視線があったのは。
リナは一切、気づいてなかったのだから。
「・・・・リナ、かわいそうだから、気づいてあげなさい・・・。」
ルナが多少こめかみを押さえつついっている。
「???」
リナはとことん意味が理解できてない。
「・・・まったくだな。」
アメリア、ナーガ、ルナの声が重なるのと同時に。
もう一つ。
別の男性の声が聞こえてくる。
―え?
リナがそちらのほうを何とか首をむけてみてみると。
「ゼル!!久しぶり!」
何とか、胸に押さえつけられている格好であったリナが。
向きを代えるのに成功して言葉を発するが。
実はいまだにガウリイの腕の中だったりする。
「お~ゼル、久しぶりだなぁ。」
にこにこと、がっしりとリナを抱きしめたまま、羽交い絞めにしたまま、いっているガウリイ。
「・・・それはそーと・・本気でいい加減に放せぃぃぃぃ~!!!!!/////」
真っ赤になりどなるリナ。
しかし、真っ赤な顔でどなっても、説得力などあるはずもなく。
逆にガウリイの手にさらに力がこもるだけ。
あまりに、そんなリナの様子がかわいらしいがために。
そんな真っ赤になって、いっても・・。
それに・・・抵抗してないし・・・・。
その場の全員が、リナを除き。
全員が同じ思いでうなづいていた。

・・・・ぶち。
「ディルブランド!!」

どっごぉぉぉぉんんんん!!!!

そのまま、数時間。
そのままの状態で、真っ赤になって、硬直していたリナは呪文を放ち。
ガウリイの手から逃れることに成功していた。
「ぜいぜい・・・・。まったく//」
いいつつ、そっぽを向きながら。
ガウリイの怪我の手当てを真っ先にしていたりするリナの姿。


そんな二人の様子をみつつ。
集まっているアメリア、ナーガ、ルナ、ゼルガディスの四人。
小声でぽそぽそと話し合っている。
「リナさん・・・素直になればいいのに。」
ため息まじりにいうアメリア。
「うーん・・。やっぱり育て方・・失敗したかしら?」
本気で頭を抱えているルナ。
「まあ、リナ、自分のこととなると、とことん疎いからねぇ。」
あれほどまでされて、気づいてないリナにあるいみ感嘆しているナーガ。
「まったくだ。傍目からみていても、すぐに旦那の気持ち。分かるがな。」
ゼルガディスもガウリイに同情の眼差しを送っていたりする。
「でも、ガウリイさん、リナさんの気持ち。しってて、あれ・・わざとやってますよね?」
アメリアの指摘に。
「だな。まあ、旦那もあるいみあくどいからな・・・。」
つう・・・・。
ゼルガディスの額の一筋の汗。
ゼルガディスは、ガウリイの本質を知っている。
「そうなんですか?」
「ああ、あのくらげのふりも、リナに逃げられないように。ガウリイの旦那のやつが考えてリナの前ではあーいう風にしているしな。」
「ええ!?あれ、ふりだったんですか!?」
「あら、アメリアさん、気づいてなかったんですか?」
「あら、あのガウリイ・・かなりできるわよ?何しろ、今や、この私の腕すらも、超越してるしねぇ。ガウリイは。」
ルナの言葉に。
『赤の竜神の騎士(スィーフィード・ナイト)に??』
全員の声が重なり。
「ガウリイさん・・・。ことこん人間離れ・・してますね・・・。」
「まあ、リナがらみなら、あいつは、どんなことでも成し遂げるぞ。」
「それもそーですね。」
その言葉に。
真っ赤になりつつ、ガウリイに回復呪文をかけて。
スリッパでガウリイをはたいているリナの姿をみつつ。
全員が同じ気持ちで苦笑せざるを得なくなっていた。


「それで?なんで、姉ちゃんがここにいるの?」
恐る恐るリナが聞いてくるのは。
ガウリイがまた意味深なことをいって。
リナをさらに真っ赤にさせてから。
しばらくたってからのこと。
心を落ち着けるために、話題を変えたのである。
まったく。
あいつは、その気もないのに、期待させるようなことをいわないでよぉ!
などと、リナは心で叫んでいるが。
ガウリイは、またまた、プロポーズに気づいてもらえずに、多少落ち込んでいたりする。



「やれやれ・・・。ようやくどうにか終わりましたか・・・・(汗)」
アストラル・サイドにと避難していたゼロスが出現してくる。
さすがに、ガウリイのラブラブ攻撃はゼロスにはきついものがある。
「生塵、もどってこなくてもよかったですのに。」
ひきっ。
その言葉に引きつるゼロス。
「ああ!また、フィリアさん、生塵っていいましたね!何度もいいますが、生塵っていうほうが生塵なんですぅぅぅ!」
「あら、生塵を生塵といって、何が悪いんですの?」
「あああ!!またいいましたねぇ!」
ぎゃいぎいと。
そのまま、言い争いを始めていたりするフィリアとゼロス。
「・・・・あいかわらずですね。フィリアさんとゼロスさん・・。」
「まあ、魔族と竜族だしな。
   しかも、ゼロスのやつは、降魔戦争の折に、竜を滅する者(ドラゴン・スレイヤー)とまで呼ばれているやつだ。」
そこまでいって。
ふと気づいたように。
「そういや、どうして、ゼロスがここにいる?」
ゼルガディスが問いかける。
「それは♡」
そのまま、口に人差し指をもってゆくゼロス。
「秘密っていうのはなしです!
  さあ、ゼロスさん!今度こそ、魔族なんてやめて、真人間になるんです!さあ!!一緒に生の賛歌を!」
いって、アメリアが詰め寄ってゆく。
「そうね。秘密だっていうんだったら。この場で殺しておくっていうのも手よね。滅ぼしてもいいけど。この状態で、やるの面倒だし。」
さらり。
何でもないようにいっているルナ。
「す・・・スフィードさん・・(汗)わ・・わかりましたよ(汗)いやぁ、僕がここにいる理由。
  それは。リナさんにくっついてたら、問答無用で、事件が転がり込んでくるので。
   表だって、関るよりは、巻き込まれるような形で、関ったほうがいい。という上の方々のご命令です♡」
にっこり。
そう言い放つゼロス。
「あ、なるほど。」
「一理あるな。」
「実際、リナ、今回の件に巻き込まれてるからねぇ。」
「なるほど、赤瞳の魔王のやつも、考えたわね。」
口々に納得しているアメリア、ゼルガディス、ナーガ、ルナ。
「だぁぁ!ちょいまてぃ!どういう意味よぉ!」
「・・・確かに。火竜王は・・・・・。リナさんを殺せ。と命令だしてます・・・・。」
真っ青になってぽつりといっているのはフィリア。
さすがに、ここまでくると。
様付けするのがいやになっているようであるが。
「・・・・・へ?」
しばし理解不能なリナ。

しばらく間をおいて。


「どういうことよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ~!!!!!!」


リナの叫びが。
王宮中にこだましてゆく・・・・・。


リナを傷つけようとするやつは・・・。
滅ぼす!
ふふふふふふ・・・・・・・・・。
ガウリイの目がその言葉で据わっているのに。
リナ以外、全員が気づき。
しばし、そのままその場で固まっていた・・・・・・・・。



                                    -続くー


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まえがき:

   ― で??
  薫:・・・・(汗)
    すいません・・・。
    いい加減に頑張って本題に入るように頑張ります・・・・。
  ―よろしい(はあと)
  薫:しくしくしく(涙)

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   あとがき:
       薫:ようやく次回、今回の騒動の原因がわかります♪
          そーして、休息に。
          と、月日がたったある日に。
          アメリアがゲームをしよう。
          と言い出すところで、ようやく本編♪

      エル:・・・あたしが活躍してない・・・・・。
       姫:・・・・私も・・・・。
      薫:・・・ぎくっ!(汗)
         そ・・・それでは!!!!



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