ドリーム・ナイトメア(悪夢の夢)  ~ACT-2~


ゼフィーリア・ゼフィールシティ―。
「うう・・・・疲れた・・・。」
栗色の髪の女性が
ばたん。
と、ベットに倒れ付す。
「俺も・・・。」
ぐだっ。
「ちょいまて!何でガウリイがここにいるのよ!」
「も、動けない・・・。」
「だぁぁ!!!乙女のベットの上に寝るなぁぁぁぁ!!」
そのまま、目を閉じそうになる、自称保護者にわめいている女性。
「そんなこというがなぁ・・。リナ。俺、本当に動けないんだが?」
「ぐ・・・・。特別だからね・・・。」
ま、確かに。
ここ五日。
姉ちゃんにさんざんしごかれてたからなぁ・・・・。
ガウリイのやつ・・。
それでも、姉ちゃんの腕に一日、二日としたら。
完全についていっていたりするのには、たまげたけど。
リナはそんなことを思いつつ。
「ほら、ガウリイは、こっち!あたしは、こっち側で寝るからね!」
ゼフィーリアにリナとガウリイが戻ってきて、はや一ヶ月。
何しろ、戻るなり、さんざんにお仕置きコースがまっていた。
そして、リナがガウリイを助けたいがために。
ギガスレイブの完全版を唱え、金色の王を召喚したことまで。
やはりというか、リナの姉は知っていて。
そのことで、かなりお仕置きがまっているかと、リナは覚悟していたのだが。
思ったより、お仕置きはなく。
逆に、剣の腕の稽古と、呪文の稽古を姉であるルナ直々に指導をうけて。
この一ヶ月。
心身ともに疲れ果てていたりするリナ。
そして、ガウリイもまた。
ルナの剣の稽古に付き合い、すでに、グロッキー状態。
「んじゃ、お休みぃ♡」
スピー・・・。
何の警戒心もなく寝ているリナ。
「リナぁ・・・・・。はぁ・・。ま、この寝顔がかわいいから・・。うう・・・・。理性・・保てるか?」
というか、こんな寝顔みてて・・・・寝れるか!!
何しろ、好きな女が手の届く範囲で無防備に寝ているのである。
はっきりいって、いろいろな意味で寝られるわけがない。
「しっかし・・・・まだ、リナのやつ・・・・プロポーズだって・・。気づいてないし・・・・。」
はぁ・・・・。
それが一層に疲れる原因となっている。

ここ、リナの実家であるゼフィール・シティに一緒にきてから。
きちんと、リナの両親と、リナの姉に挨拶したガウリイ。
―リナの側で一生を過ごさせてください。俺にリナを一生守らせてください。―
こう、両親を踏まえて、話した時点で。
普通、プロポーズと気づくとおもうのだが・・・・。
リナは気づいてなかったりするのが今の現状。
それゆえに、リナが気づいてないだけで。
ガウリイは、この家というか、ゼフィーリアの何処でも、リナの婚約者。
ということが全員分かっているのだが。
肝心要なリナがそれに気づいていなく。

すぴすぴと警戒心などまるでなく、眠るリナに。
「まったく・・・このお姫様は♡」
「んっ・・・・ん・・・・・んぁ・・・・。」
完全に眠っているのを確認し。
いつもの行為ではあるが、その唇を味わってゆく。
これくらいしなくては、いつか、理性が負けてしまう。
よく、俺・・・我慢できてるよなぁ・・・。
リナが気づいてから、やっぱり、同意の上でしたいし・・。
ああ・・・でも、本当は今すぐにでもやりたい!
などと心で、毎日葛藤しているガウリイ。
「リナぁ・・・・。指輪、プレゼントした時点で・・・気づいてくれよぉ・・。」
ううう。
ここまで、疎いとは・・。
ま、惚れてる弱みだから、気長にまつが・・・。
いつまで理性が保てるか・・。
今や、ガウリイは、理性との勝負にと入っていた。
「ともかく、リナを悲しませるようなことにならないように、腕をどんどん磨かないと。」
ルークの一件では。
リナにつらい役目をさせてしまった。
今後、リナにはあんな目にはあわせたくない。
だから、自分からルナに頼んで、剣の稽古を付けてもらっているガウリイ。
それゆえに、ここ、ゼフィーリアに戻ってからは。
今まで以上に、ガウリイの腕は格段に上達していた。
何しろ、今では、ルナをもしのぐ腕にと上り詰めているのだからして。
人間、守りたいものがあるときは、どこまでも再現なく、上達ができるものである。
その典型的ないい例であろう。
このガウリイは。

「よう、ガウリイ、頑張ってるな。
   あ、お前だったら、リナを悲しませるようなことはしないだろーが・・・。
   というか、もしリナを泣かしたら・・・過去のことをばらすぞ?」
「やだなぁ。義父さん、俺がリナを泣かすとでも?」
「実際に、死にかけて、というか、冥王に捕まって、リナを泣かせたのは、何処のだれなんでしょぅねぇ♡」
「ぐっ・・・。」
それを言われると、立場がない。
にこにこというリナの父と、母の言葉に。
ガウリイが思わず絶句する。
ここに戻ってから、ガウリイは。
はっきりいって、いいように、リナの両親にこき使われていたりする。
「しかし、まさか、ガウリイ、貴様が俺の息子になるとはなぁ。」
「まさか、俺もあんた・・いや、義父さんの義理の息子になるとはあのときからは、想像もしてなかったがな。」
「まあ、てめえは、いい表情になったよ。これも、うちの娘のおかげなんだろうがな。
  しかし・・・てめえ、リナの前では、とことんくらげ・・演じてるなぁ。」
「リナには嫌われてたくはないですからね。」
「この二重人格が!(苦笑)」
しかし、ルナにも勝てるようになっているこのガウリイ。
始めは認めたくなかったものの、何しろ、ガウリイを苛めようとすると。
リナが無意識に涙を潤ませるのである。
さすがにその攻撃は。
リナの父を説得するのには十分過ぎたのだが・・・。
「でもまあ、リナにもいい相手ができてよかったわ。あとは、ルナにも相手が出来たらねぇ。」
にこにこというリナの母―セシル。
「うん?よく来ている・・ほら、あのアシュィア殿は違うのか?」
リナの父であるマルスの言葉に。
「あら、貴方、気づいてなかったの?あれは、ルナの部下でしょぅに。」
「いや、そうだが。あ、そっか。アシュィア殿は、スカラちゃんとカップルか。」
さらり。
といっているマルス。
「ああ、あの、竜王達ですか。」
見ただけで、それらが竜王だと。
その野生の勘で、理解していたりするガウリイ。
ここまでくれば、あきれる以外の何者でもないが。
そんな会話をほのぼのとしつつ、
本日の仕入れと、開店の準備を手伝いながら。
インバース商会の開店準備をしていると。

ドン!!!
ヒュルルルルル・・・・・・。
ドグワガシャァァァァァン!!!!!!



上空から、何かが落っこちてきていた。


「あらあら、今回は、フィリアさん、派手な来訪ねぇ。」
にこにこにこ。
「壊れた屋根の修理は、持ってもらわないとな。」
うんうん。
「・・・・いや、とゆーか、気配からして・・・大怪我・・してるようなんだが?フィリアのやつ・・・・。」
というか、どうして、ここにフィリアが?
まあ、大概の検討はつくが・・。
そんなことをガウリイは思いつつ。
大きな音がした、玄関の方。
そこは、天井に大きな穴があき。
そこに、人間形態となり、全身傷まみれで、血がこびりついている。
金色の髪の巫女服を着ている女性が倒れ付していたりする。
見た目は、女性なのだが、その正体は、黄金竜。
かつて、リナ達が、闇を撒く者(ダークスター)の一件のときに。
知り合い関りあいがあった、元火竜王の神殿の征夷一位の巫女。
フィリア=ウル=コプト。
その人である。

その懐に、大切に庇うように、小さなバスケットを抱えつつ。



「う・・・・ううん・・。」
たじろぎながら、目を開く。
ぼんやりと入るは、知らない天井。
「・・・ここ・・・は?」
こんな場所・・・家の中にあったかしら?
フィリアの思考が回転するより早く。
「あ、フィリア、気がついた?」
ぱたん。
扉の開く音とともに。
果物をもって入ってくるリナの姿。
「・・・・リナ・・・さ・・ん?」
そうか・・・・。
私は・・・・・。
はっ!!
「― ヴァルは!!!!!?」
「卵なら、そこのバスケットの中にあるわよ。」
飛び起きるフィリアに、横のテーブルの上を指すリナ。
そこには、バスケットの中に淡く光る球体が柔らかな布に包まれていた。
「― 何が・・あったの?」
リナが聞いている最中。



ここ。
セイルーンでは。
「何ですってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「まさか、それを信じているのか?」
「いや・・しかし・・・・。」
「神とて、真とは限らないであろう?」
よりによって、神託として。
力ある王国を滅ぼせ。
世界に災いをなすもの。
と、火竜王の神殿にそう下ったという報告をきき。
完全にエキサイトしているアメリアと。
冷静にそれを分析しているフィリオネル。
「― その通りですわ。」
『―え?』
そんな報告を受けていた会議の最中。
突如として、声が響き渡った。

「こんな出現の仕方、失礼いたします。
   実は・・・・・セイルーンの方々・・いえ、人間にも協力していただきたい事柄が、起こりまして・・・。」
にっこりと。
空色の髪と空色の瞳をしている女性が話しかける。
しかし、特質すべくは、その人物は、空間に浮かんでいる。
ということである。
「貴殿は?」
動じずに、話しかけているフィリオネル。
他の兵士などは腰を抜かしていたりするものもいたりするというのにも関らず。
「申し遅れました。私。スカルテラ=サファイア=エマ=バールウィン。
  名称は、天竜王(エアロード)バールウィンと申します♡スカラって呼んで下さいね♡」
にっこり。
そう、空色の瞳を悪戯っぽくほそめて。
スカラは、すとん。
と、会議の最中のその一室に降り立っていた。


「では、我の力をもって、仮に復活は可能か?アクア?」
黒い髪に黒い瞳の男性の言葉。
あたりの空間が、ゆらゆらと絶え間なく変化している特殊な空間。
「それは・・・可能ね。というか、リナさんが、二つ、滅ぼしてくれてるから、かなり制限がなくなって。
    あと、二つ、三つ、ちょっとした欠片さえみつかれば。完全に復活できるけど?アシュィア?」
青い髪に青い瞳のその女性。
「ならば、話ははやい。・・・とーとー、フィスフレィン・・フィスのやつが・・。馬鹿始めやがった・・・。」
「あらら・・・・・・。そりゃ、何とかしないとねぇ・・。」
まってて。
そういって、辺りの空間が、刹那。
震えると同時に。
その場にあった、球体が、ゆらりと揺らぎ。
一つの形状をなしてゆく。
つまりは人の形に・・。
そして、ゆっくりと目を開く。
「― 他の存在には、私から話をつけておくから。」
そういう姿は、ちょつとした小柄のお婆さん。
「しっかし、アクア、いい加減に人前にでるとき、その姿でとおすの・・止めないか?」
「あら?この姿はおかしいかえ?」
「・・・話し方まで変えるんだからな・・。」
苦笑するアシュイアの言葉に。
「このほうが、話を聞いてもらえやすいのよ。」
その姿からは想像もつかない、澄んだ声が紡ぎだされる。
「ま、それはともかく。― 何とかしないと。それこそ、あの御方の怒りに触れるからねぇ・・。」
「・・・・まったくだ・・。」
いいつつ。
二人の姿は、その場から掻き消えていた。


                                        -続くー


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   あとがき:
      豆知識。
        天竜王(エアロード)バールウィンの本名。
        私は、ここでは、(この話では)
        スカルテラ=サファイア=エマ=バールウィン。
        と設定してあります。
        通称、スカラ。
        地竜王(アースロード)ランゴード。
        アシュィア=ラズリピス=アース=ランゴード。
        通称、アッシュ。
        水竜王(アクアロード)ラグラディア。
        アクア=マリーナ=パール=ラグラディア。
        通称アクア。
        
       ふふふふふふふふふふ(まて!)
       それでは・・・。
       次回・・・・。
    

   エル:はやく本題に入りなさいぃぃぃい!!
    薫:ひぇぇぇぇ!!!!!!!(滝汗)
       それでは!!!!


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