見果てぬ夢・第十四話 ~再会~
ザシュ!!!
私の一閃で消え去ってゆくデーモン達。
まさかこんなにデーモンがたむろしているとは・・・。
もし私の考えが正しければ下手に魔力を使うわけにはいかない。
いざというとき魔力が尽きていてはどうにもならない。
「グレイシア様!!アメリア様!!」
くるわぁぁ~!!!!
あとからあとから湧き出るデーモン。
こんな所にお二人だけで出かけているなんて・・・・。
なんて無謀なぁぁぁぁ!!!!
ことの起こりは数時間前。
あれから魔族によるちょっかいもさして目立つことなく。
三年の月日が流れている。
私は例のごとくここ最近体調が思わしくないエルドラン国王の代理で、
私の姿を国王に変えてフィリオネル殿下とともに会議に出席しているのだが。
本日は沿岸諸国連合や他の国々からの報告の会議が行われているのだ。
そして会議の中である情報が寄せられる。
それはサンブルグ方面にここ最近デーモン達が出没するというもの。
セイルーン領内ではなくラルティーグ王国領内だが
セイルーンからかなり近い距離である。
ふといやな予感が頭を駆け巡る。
「こうしてはおられん!!平和を守るのが王家の役目!!」
言って殿下はまたまたお忍びで出かけようとするし・・・・・。
まあ、殿下だからなぁ~・・・。
すでに毎回のことでなれている私。
「では、私はグレイシア様とアメリア様に報告してきます。」
言って私は姫様達の部屋へといく。
以前何もいわずにでかけたところ。
二人ともかなりすねたためである。
「失礼します。ドレイク入ります。」
そういってグレイシア様の部屋の扉をあけて私が見たのは、グレイシア様とアメリア様の姿。
ぎくっ!!
その場に硬直している二人。
「あ・・・あら。ドレイク・・じゃあ、私達はこれで・・・。」
言って逃げようとする二人。
「・・・・・・待て(汗)」
私はそんな二人の手をつかむ。
「お二人はどうしたぁぁぁぁあ!!!!!!コピー達ぃぃぃぃぃ!!!!!!!!」
思わず叫ぶ私。
「あ゛・・・あははは・・・・。やっぱドレイクにはばれるわよねぇ・・・・。」
カラ笑を上げているグレイシア様コピー。
「まあ、元々私達はドレイクの魔力を分割してる宝珠(オーブ)だし・・・・。」
冷や汗ながしているアメリア様コピー。
昔、姫様達が私の能力を知って自分達もやりたい!!
とかとんでもないことを言ってきたので。
気休めに私がお二人に差し上げたのがこの複写宝珠(コピーオーブ)である。
姿だけは同じ分身(コピー)を作り出せるアイテムである。
一日の持続時間は六時間から約半日程度。
あくまでも姿と声が同じだけなので口調。そのほかの魔力などは一切もっていない。
だが、これでも口うるさい大臣達から逃れられるといって喜んでいたのだが・・。
どうしてコピーたちがここに!?
ちなみに余談だが解呪呪文を唱えるとコピーたちはまた元の宝珠に戻る。
「で?姫様達は?」
私が聞くと。
「あ・・・あははは♡
それがサンブルグ方面にデーモン達が出現したと聞いて♡」
「二人で力試しとかいって、出かけちゃいました♡朝方♡」
・・・・・・・まててててててぇぇぇぇぇいいいい!!!!!
殿下に一言断りをいれ。
私は殿下の姿へと姿を変える。
それでなくてもここ最近、殿下や姫様達を狙った暗殺者が増えているのだ。
そんな中でも一向にお忍びで外出するのを止めようとしない殿下や姫様方。
だから私はあえて姿を変えて毎回おとりになっているのだ。
今回は急がねば!!
「フリーグランド地方にデーモン発生!!」
セイルーン領内にもデーネン発生の情報が伝わってくる。
「こうしてはおられん!!いくぞ!!」
「殿下!!私は姫様達を追います!!」
「うむ。頼んだぞ!!儂も説得がすみしだいすぐに行く!!」
殿下は困っている領内の人々を助けるため。
そして私は姫様がたをお助けするために別々に行動する。
・・・・・しかし、殿下・・・・
レッサーデーモンやブラスデーモンには説得は通用しませんが・・・。
「フィリオネル王子!!覚悟!!」
山道に差し掛かったとき。
思ったとおり姫様達の方に向かう私を殿下と勘違いして。
襲ってくる約五ダースほどの暗殺者達。
そしてその中に―。
「きさま・・・。魔族だな・・。」
その中の一人を見つめて私はいう。
けっこうぞくりとするほどの美形ではある。
はっきりした顔立ち。
すらりとした手足。
鼻筋など整っている男性。
「リ・・・・リーダ―?」
私の言葉に戸惑っている暗殺者達。
どうやらこいつは暗殺者達のリーダーのようである。
「ほう・・・・。さすがですね。でも、この私を人目で魔族と見抜くとは・・・。
何者です?フィリリオネル王子ではありませんね?」
正体を言い当てられても同じる様子一つもなく。
「・・・魔族からみか・・。」
言いながら私は剣を抜き放つ。
封印している剣を。
「―ほう。エルメキア・ブレードですか・・・・。」
それを見て声を漏らす魔族。
何かまだ暗殺者達はざわついているが。
「どういうことですか!!?リーダー!?」
「ウクレックサイト!?」
魔族に口々にいっている暗殺者達。
「―彼方たち。五月蝿いですよ。」
ぎ・・・ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~!!!!!
ほんの一瞬。
そいつが彼らの方に手を向けると。
暗殺者達は体全体をミンチに切り刻まれる。
バチャバチャバチャバチャ!!!
―辺り一面に赤い湖が出来る。
―な゛!!
「申し遅れました。私。冥王神官代理ヘル様の部下でウクレックサイトと申します。」
にこにことしれっと自己紹介している魔族。
「きさま!!仮にも仲間だったのだろーが!!こいつらと!!」
魔族にそんなことはいっても無駄だとはわかってはいるが。
なぜか私はものすごく怒りを感じる。
彼らは暗殺者とはいえ自分達がリーダーと呼んで信じていたこいつに・・・。
・・・・一瞬で殺されたのだ。
「何言っているんです?利用できるものは利用する。それにこれらは大事の前の小事です。細かいことですよ。」
ぐしゃ!!!ばちゃ!!
一つだけかろうじて原型に近かった肉塊を踏み潰しているウクレックサイト。
「では、楽しみましょうか?」ただただ笑っているウクレックサイト。
くっ・・・。
どうする!?
魔法を使えば簡単に勝てるだろーが・・・。
「ほらほら。早くしないとあの二人もヘル様のご飯ですよ。」
―あの二人!?
はっ!!まさか姫様方!!!
「さすがに守りたい存在がいなくなれば自我なんてもろいものなんですよ。人間は。」
人をどこか見下したように言い放つウクレックサイト。
何?
もしかしてこの世のどこかにいるというシルメリア様の魂に関係しているのか?!
「少し干渉しだけであっさりといざこざを起こす人間なんてねぇ♡」
なにやら笑いつつ、完全に人間を小馬鹿にしているウクレックサイト。
むかっ・・。
私はその台詞にかちんとする。
「人はそんなに弱くない!!人を憎み、いがみ合い、確かに殺し合いもする。落ち込みもする。
だがそれをばねに成長してゆく!!人を思いやりもし喜んだりもする!!それが人間だ!!」
人はそんなに弱くない。
人はだれにも負けない強い心を持っているのだと私は信じたい。
「ふ・・・・。たわごとですね。」
私の言葉を一笑のうちにうけながすウクレックサイト。
まあ、こいつら魔族には何をいっても無駄だろーが・・・。
「では試してみましょうか?」
言ってウクレックサイトは私の横の方の茂みに向かって魔力球を放つ。
がさっ。
そして今まさに魔力球が向かうその先に・・・・子供の・・・・姿!!??
「危ない!!」
ばしゅ!!!!!
私は間一髪その子供に魔力球があたる直前で剣で受け止める。
「・・・・え??」
その子供が声を出す。
見たところアメリア様より歳は一つか二つ上。
栗色の髪の毛に真紅の瞳。
なんだってこんなところに女の子が???
「大丈夫だったか?」
私が聞くと。
「あ・・・・。」
何かその子が言いかける。
・・・・お礼でもいうつもりなのだろうか?
「おじちゃん!!おじちゃん!!!!それ!!その剣!!!剣!!!!
ちょ~だいいぃぃ!!!!!」
ずごごごげっ!!!!
思わず女の子の声を聞いて私はこける。
・・・・あ、ウクレックサイトまでこけてる・・・。
今のはかなりの精神攻撃になったようである。
「ね!!それって伝説に残っているエルメキア・ブレードでしょ!!あたしにちょ~だい!!
ただでとはいわないから!!銅貨五枚で!!あたしって太っ腹ぁ♡」
さらに言ってくる少女。
ずがしゃ!!!!
今度は滑ってしまった・・・。
ど・・・・銅貨五枚で何が買えるぅぅぅ~!!!!(汗)
「あ・・・あのねぇ・・・・。お嬢ちゃん・・・。」
「あたしには『リナ』って名前があるの!!」
私の言葉に即座に突っ込みをいてれてくる少女―リナ。
「じ・・・じゃあ、リナちゃん。これは売れない。第一これは私の両親の形見だから。」
私が疲れたようにいうと。
「じゃあ、あの人♡ちょーだい♡」
私の後ろを指差していうリナちゃん。
・・・ちゅどおおおんん!!!
こ・・・こんどは吹っ飛びそうになったぞ!!?
こ・・・このリナちゃん・・今何ってったぁぁ~!?
「あれ、魔族でしょ♡魔族♡わくわく♡あたし戦って見たいのよねぇ♡」
何かうきうきしてるリナちゃん・・。
「・・・・人間よ。たかが子供に我がどうにかなるとで・・・・。」
ウクレックサイトが言いかけると。
「・・・我と汝の力もて、等しく滅びを与えんことを!!ドラグスレイブ!!!!!」
どどごごごごごおおおおおおおぉぉぉぉぉんんんんん!!!!
「うどわっ!?」
いきなり呪文を解き放つリナちゃん。
「・・・・・ち。よけたか・・・つまんない♡」
なんかそんなことをつぶやいているリナちゃん・・・。
・・・まてまて(汗)
こ・・この年で・・。
あのドラグスレイブだとぉ~!?(汗)
さすがにウクレックサイトは空間移動で逃げてたようだが。
・・・・ま、あんなのをくらえばダメージは受けるだろ~が・・・・。
「き・・・・きゃぁぁぁぁ~!!!!!」
そんな私の耳にアメリア様の悲鳴が聞こえてきた。
「アメリア様!?ちっ!!ウクレックサイト!!勝負は預けた!!」
私は急いでその場を離れ悲鳴が聞こえてきた方向へといく。
「まて!!」
何かいってくるけど無視!!
「あんたの相手はこのあたし♡遊んでよね♡」
「なめるなぁぁ~!!ガキがぁぁ~!!」
何かそんな会話が聞こえてきているが・・・。
大丈夫なのだろうか?あの子供・・・?(汗)
「姫様!!アメリア様!?グレイシア様!?」
―いない。
確かにここから悲鳴が聞こえてきたのだが―。
山を降りたふもとの一角。
だが、あたりには何もない。
―はっ!!殺気!!
ききぃぃぃぃぃんんんん!!!!!
とっさに私は剣を受ける。
そして向かい合うのは―金の髪の・・・・男の子。
歳のころは十歳よりすこし後であろう。
その少年が私に切りかかってきたのだ。
「まだ生き残りがいたか!?」
わけのわからないことをいって切りかかってくる。
キキィィン!!カンカンキンキン!!
・・・は・・・早い!!
この少年!!ものすごい剣の腕である。
くぅ!!
鋭い痛みが走る。
どうやら少年のあまりの剣圧に内臓がやられたらしい。
―ぼたり。
口から一筋血が流れる。
「いい腕をしているな。名前は?」
何かここまで剣の腕がたつ存在と向き合っているとうれしくなってくる。
何せこの私よりも上をいっているのである。
この少年は。
まだまだ子供だというのに。
余談だが、私はかなりの剣の腕前である。
「ガウリイ!!ガウリイ=ガプリエフ!!」
「私は・アヴァロン・・・・いや、ガイルス=ウル=バロ=ガイリアだ。」
口元がにやりとしたのが自分でわかる。
私はこの少年との手あわせを喜んでいるのだ。
うるぐるわぁぁ!!!!!
『デーモンか!?』
そんな私達に向かってくるデーモン数ダースご一行。
私と少年―ガウリイは同時に駆け出し。
ものの数秒もたたないうちに全て駆逐していた。
チン!!
ガウリイが剣を治める。
「なんなんだ?あんたは?魔族の気配も確かにあんたからする。
でも、人間の気配もする?あいつらの仲間じゃないのか?」
何か思うところがある様子なガウリイ。
「・・・あいつら?」
私が聞き返すと。
どどどどどどどどどどぉぉぉぉぉぉううううううううんんんんんんんんん!!!!!!
山の上からすざましい音が・・・。
ふと見れば。
山に深い深い闇が降りている。
あの辺りは・・・たしか・・・・あの女の子と魔族がいた辺りでは・・・?(汗)
しかも、この感じは覚えが・・・・。
なんかあの存在に近い感覚をあの黒い闇からは感じるのだが・・・・。
「なーんかなつかしいような感覚だなぁ・・。」
ガウリイ少年がそんなことをつぶやいて。
「あいつらとは知り合いじゃないのか?
さっき狙われてた姉妹が呼び出した変なものにおっかけられて、あっちのほうに三人がいったが・・。」
・・・・三人?
「それはもしかして、二人連れの女の子ではなかったか?歳は八歳と四歳の。」
私が聞くと。
「そうだけど?」
何か不思議がるガウリイ少年。
ふと気づけば少年は剣の柄を外して。
柄だけの存在にして光の刃を出現させていた。
―光の剣!?
確か、ミプロス島のガブリエフ家に伝わっている伝説の剣のはずだが・・・。
ということは、この少年は?!
「まあ、あいつらの仲間じゃないんなら。関係ないか。依頼とは別だしな。」
なんかわけのわからないことを言っている。
・・・・一体?
「じゃあ、俺はこれで。まだ仕事の途中だし・・・。」
いって立ち去るガウリイ。
・・・・どうやらあの少年・・・。
本能的に私に残っている魔王の魔力を感じ取って攻撃してきたようだが・・・・。
ものすごい本能である。
「うひゃぁ!?姉様!?また暴走してるぅ(涙)」
「お~ほほほっ!!アメリア!!何当たり前のことを言っているのよ!!」
・・・あ゛・・・・。
・・・見つけた・・・・。
私がようやくお二人を発見すると。
どうやらグレイシア様が呼び出したと思われる、岩竜に追いかけられている真っ最中・・・・。
・・またか(汗)
「何で!!あの人間!!何やっても頑丈なわけ!?」
なんかその横で頭を抱えている魔族―ヘル。
どうやら逃げているアメリア様とグレイシア様の頭上に様々な物体が飛んできて。
そしてまともに当たっているのだが。
二人とも。
ただ痛いです。というだけで、いたって無傷。
・・・頑丈さは姫様達はフィリオネル殿下似だからなぁ・・・。
しかし、それにもまして、当たる直前にはじかれているようだが・・・。
よく目を凝らしてみてみると。
・・・・・・・・・シルメリア様!!!????
アメリア様の後ろにシルメリア様の姿が。
そしてシルメリア様がグレイシア様と、アメリア様を包み込むようにして守っているのである。
・・・そうか。
シルメリア様はあれからずっと姫様達の側にいたのだな・・・。
私はここにいたってようやくあのゼロスの言葉の意味を理解した。
「あら・・・・。ふふふ・・・・。ちょうどいいわ・・・・。何かむちゃくちゃ腹がたってたのよねぇ・・・・。
どんなにやってもあの子達・・・死なないし。死ねば魔王様の魂が復活するはずなのにぃ!!」
なんか叫んでいるヘル。
「―それが理由か!?シルメリア様の中にいた魔王を覚醒させるためだけに!!
シルメリア様だけでなく姫様達まで狙ったというのか!?」
私は叫ぶが。
・・・・実はあまり今は体力は全開ではない。
あわてて探していたので、あのガウリイとかいう少年と剣を交えたときの傷を私は治してはいないのである。
さすがというべきか・・・・。
横腹などは見事に内臓の近くまで剣圧で切り裂かれていた。
リカバディは唱えて血は止めているが。
さすがに回復(リザレクション)を使うと、
後々ヘルや純魔族と戦うことになったとき、魔力が全開でなくては神聖呪文は使えない。
「そーよ!!魔王さまの復活が第一!!
それに成功したらあたしははれてあの方・・・・。冥王様の直属の神官になれるのよ!!」
きっばりと言い放つヘル。
「―だから、邪魔すると許さない―。」
それが攻撃の合図。
私はその間、すこしアストラル世界から石竜にチョッカイかけて姫様達を別の安全な方向へと導いてゆくように仕向けた。
やがて、一瞬視界が揺らぐ。
「ふふふふ・・。ここなら誰にも邪魔されないわ・・・・。
ふふふふふふ。」
ヘルがにっこりという。
どうやらヘルが張った結界の中であるようだ。
「そうだな。私にとっても好都合だ。」
そして、私とヘルとは互いに攻撃を開始した。
動くたびに血が吹き出る。
だが、このヘルは今殺しておくか滅ぼしておかねば、これから先も姫様達は狙われつづける。
それだけはなんとしてでも防がねば!!!!
「ふふふ・・・・。さよなら。」
ヘルが私を絡め取る。
どうやら有利にたったと思っているらしいが。
私はそんなヘルの手を握る。
剣に魔力を込め。
結界の壁に突き立てて。
「観念した?」
とことん勘違いしているヘル。
―そうではない。
剣はもし、万が一にも今から私が放つ術が外に漏れないため。
そのための防壁である。
「ЪИЖФЩ!!!!!」
私はカオスワーズを唱え放つ。
これは実は異世界の呪文。
写本に書かれていたもう一つの呪文の応用。
これは自らの全ての魔力を解き放ち相手にダメージを追わせるというもの。
その魔力にはイメージアレンジでさんざまな特質を与えることもできる。
「何!!??」
「滅びろ!!!!ヘル!!!!!」
「き・・・・きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
私が込めたのは、魔王の特質とそして竜神の特質。
いわゆる神魔混合呪文である。
まばゆいばかりの光とともに。
ヘルは瞬く間に消滅してゆく。
そして、それは私の身体にも負担がかかり―。
どざっ・・・・・・・・・・・・・・・。
私は大量に体中から血を流しつつその場に倒れ付す。
そして、ヘルが滅んだことを証明するようにヘルが張った結界が掻き消える。
「―ドレイク!!?」
どれくらいの時間が流れたのか。
何か聞き覚えのある殿下の声・・・。
そして・・・・。
「いやぁぁ!!目をあけてよぉぉ!!」
「じぃ!!」
薄れた意識の中で姫様達の声が聞こえてきた。
ふと、動かないはずの目を開けることができると、
そこには、泣きじゃくる私が仕えている殿下とそのお二人の姫様達が・・・。
ああ、姫様達は、助かったのだな・・・。
ふと、安堵する。
これで、シルメリア后様にも、顔向けができる・・・。
(・・ですよね?)
私が彼女の方を向くと、シルメリアさまは、ただ、アメリア様の横でにっこりと笑っていた。
アメリア様方はご存じない・・。私も、ついさっき、気がついたのだから・・・。
あまりに幼い子供を残して、心残りがあった為か、シルメリア様はアメリア様の守護霊となってることに。
「しっかりしろ!!アヴァロン!!」
殿下が私に声をかけてくださっている。
だが、私は、もう・・・。
それよりも、今回は、また、なんとか、阻止できたが・・・。
また、陰謀が殿下達を巻き込まないとは限らない・・・。
私は、残りの力を振り絞って・・・。
「・・・殿下・・・。くれぐれも・・気をつけて・・・。」
言いたいことはあるのに、その言葉しか、声に出せない。
だが、殿下にはそれで通じたようだ。
さすがは、私が見込んだ殿下である。
「・・分かった・・・。安心して、眠るがよい・・・。アヴァロン・・いや、ガイルス。」
殿下が私の本名を言う。
殿下は、親切にも、私の本名を誰にも、話しては下さらなかった。
私の名は、『アヴァロン=ドレイク』
だが、真実の名は、『ガイルス=パロ=ウル=ガイリア』
ディルス王国の直系の王族でもある。
私は、殿下のおやさしい言葉をきいて・・・。
そして、気がつくと、自分の血まみれの身体の横で泣きじゃくっている姫様達と、
涙をこらえて、姫様達をなだめている殿下の姿が下に見えた。
「私は・・・死んだのか・・・。」
私がふと、自分のおかれた状況を判断する。
これで、やっと、彼らの元にいけるのか・・・。
「お疲れ様。ガイ。」
ふと、声のする方をみてみると、
そこには、かつての仲間達・・四人が笑顔で私を待っていてくれている。
「ダイアナ!!ルシオ!!カシェル!!ジェーン!!」
私は彼らの名前を力の限り叫ぶ。
私の唯一の、幼馴染であり、大親友達でもあった、彼らの名前を・・・。
彼ら・・・いや、ダイアナは、私の手をとり、
「これからが、始まりよ。」
そう言って、私を連れて、移動してゆく。
ふと気がつくと、私は、かつての本来の外見と、二十代の姿へと変わっていた。
そうして、私は、かれらに連れられて・・・。
・・・・移動してゆく。
―混沌の海の中へと―
そこで・・・。
「はい♪じゃ、今度は、あんたもこっちで仕事すんのよ♡」
かつて出会ったことのある絶世の美女でもある、あの女性がそう言ってくる。
私の大切な仲間達。
金色の魔王の元であれから働いていたようである。
「で。というわけで。リナス様とカウリイ様が人間に転生してるので。
我々が頑張らなくなはいけなくなってるわけ・・・。オッケー?」
親切に説明してくるカシェル。
・・・なるほど。
あのリナちゃんがリナス様でガウリイ少年がカウリイ様だったとは・・・。
どうりで強いわけだ・・・・。
私としては、またダイアナに再会できたのがとてもうれしい限りである。
シルメリア様もアメリア様の守護についていると分かったし。
ここは、時間などは関係なくゆるやかに流れる虚無の空間。
全てはここから誕生しここに戻ってくる母なる場所。
「―結婚してくれないか?ダイアナ?」
私は昔ずっと後生大事に持っていたダイアナへのプレゼントを再度渡す。
今は私もダイアナも同じ立場。
二人とも・・いや五人ともすでに死んでいるのだから。
「―いいの?ガイ?」
とまどいの瞳のダイアナ。
「・・・・私はずっとダイアナ以外には考えられない・・・。」
いって私はダイアナを抱きしめる。
こくん・・・。
ダイアナがうなづく。
これからは五人で頑張ってここで働いていこう。
―大丈夫。側には今度はいつでもダイアナや皆がいるから・・・・・。
ー見果てぬ夢・終了!!!!!-
追伸:余談だが、私とダイアナとの間に生まれた子供をあの御方が、とある次元のあの世界に送り込んだらしい・・・・。
あの世界での私はかなり違ってはいるが・・・
あと、リナス様たちもあそこにはいない。
なんか面白そうだからという理由で、同じ人間はいるよーだが・・・。
リナという人間とガウリイという人間もいたりする。
そのゆがみの修正なんかも私達の仕事なのだから・・・・。どんどん仕事がふえてゆく・・・・・。(涙)
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あとがき:
かお:えーと・・・・。長くなったので、
リナとガウリイのサイドのエル様一人称は次回にまわします(汗)
エル:それはそーと、あんた、長編は?
姫:漫遊記は?
かお:ぎくぎくぎくぅ!!!そ・・そのうちに・・・・(汗)
エル:それじゃ遅い!!!!
姫:そうそう♡
ならジェムストーリの今後の私がでるとこまで打ち込みなさい♡
かお:・・・・長編が終わってからでも・・・(汗)
姫:あら♡そんなこといっていいのかしら♡
かお:うう・・。ロッドはやめてくだいぃぃ(涙)
エル:じゃあ、とっとと打ち込みvv打ち込みvv
姫:そうそう♡
かお:しくしく・・・・。
それでは・・・・。
あと、ヘルとフィブリゾの番外編でこれ・・・終わりの予定ですので・・・・。
では・・・・・・。
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