見果てぬ夢・第五話 ~セイルーン~
「私は、反対です!!!!!!」
開口一番に口を開いたのは、大臣の一言。
私がフィリオネル殿下に誘われて、一応、挨拶にと寄った王宮で、フィリオネル殿下は、
こんな私を自分のおつきにしたい。
と申し出たのである。
当然のことながら、反発する者はでてくるのは当然のことで・・・・・・。
今もそのことで、国王に大臣は話しているのである。
「まあ、そういうな。大臣よ。フィリオネルの意見は尊重してやりたいのだ。」
国王・・・エルドラン国王が大臣に向かっていう。
実は、私は、かつて、何度か、この国王にあったことがある。
そのときとは、自分の外見はまったくかけ離れているので、まさか、自分だとはわからないであろう。
そして、こそっと・・・。
大臣に耳打ちし、
「考えてもみろ。息子は、ああいう外見だ。
側に、とんでもない外見の人間がいるだけで、息子があまり気にされなくなるのではないか?」
親ながら、とんでもないことを言っている国王。
まあ、殿下は、はっきりいって子供とは思えない容姿だが・・・・・。
「う・・・。まあ、確かに・・・・・・。」
大臣たちは、そんな国王の台詞にうなる。
「それにな。一応、この男、かなりの魔術や剣の達人のようだし。護衛にはうってつけなのではないか?」
今、ここ、セイルーンでは、とある国々とのトラブルを抱えていた。
噂では、セイルーンに攻め込む用意のある国があるとかないとか。
そんな情勢なので、殿下たちは、始終、暗殺者に狙われる毎日をすごしているのだ。
だが、そんな情勢だというのに、殿下は、一行にお忍びで、城から出てゆくのをやめようとしていない。
「正義の心をもってすれば、人類は皆、兄弟なのですから!!」
とか言いながら。
大臣たちは、かなり困っていた矢先らしかった。
そんな殿下は、市民からは、親しまれているようである。
このあたりの正確も、ルォン兄さんになんとなく、似ている殿下である。
やがて、しぶしぶながら、大臣たちは、
私が殿下のおつきとなるのに賛成したのであった。
私は、国の政なんかのノウハウなどは、
しっかりとお爺様や、父、母、そしてルォン兄さんから、幼いころから、しっかりと叩き込まれていた。
だから、私が外交に比較的、明るいのにかなり大臣たちは、驚いていた。
相手と顔をあわすことがなくても、
裏からの政策なんかは、ほとんどといっていいほどに、私に任されるようになってきている。
「ほぅ・・・・。人は、みかけでは、判断ができないとは、このことだな・・・。」
エルドラン国王がそんな感嘆の言葉を言っていたりするが。
ごたごたしていた、外交関係も、私の裏からの作戦によって、落ち着きを取り戻しつつある。
そして、とある国と血縁関係のある沿岸諸国連合の国の王女と、フィリオネル殿下の結婚が決定される。
これは、婚姻関係を結ぶことによって、混乱を収めようとする国王のいきな試みであった。
それを進言したのは、私なのだが。
フィリオネル殿下、十五歳の年であった。
一年は平和に過ぎてゆく。
が。
それは唐突に巻き起こった。
国からの使者と名乗る女性がセイルーンにやってきたのである。
冷たい感じのするかなり美人な赤い髪の女性。
国王たちは、大変にもてなした。
だが、私は、彼女の正体にいち早く気がついていた。
・・・まさか、どうどうと入りこむとは・・・・。
私が国王に彼女に気を許さないでください。
と進言しても、誰も私のいうことには、耳を傾けず。
そして、事件が起こった。
「いうことを、あくまで、聞かないというのね?」
その女性がアーリィ皇太子后に向かっていう。
「私の、父たちが、貴方たちと、手を結んだというのは、納得がいきません!!
それに、私は、今は、このセイルーン第一王子!!フィリオネル=エル=ディ=セイルーンの后です!!!」
ひたりとまっすぐに見据えて言い返すアーリィ様。
アーリィ様が寝室で休まれているときに、いきなり寝室へと出現したのである。
そいつは。
「ふん・・。下手なプライドは、死を早めるというのを覚えておくのね。
ルヴィナガルドはすでに、半分は我らの手に落ちたも同然なのだから。」
冷酷に言い放つ、女性・・。
「・・・・。なぜ、魔族が人間の王国なんかに、取り込もうとするのですか!!?アマンダ!!!!」
ひたと燃えるような瞳で、女性・・・魔族アマンダを見据えているアーリィ様。
「人間が知らなくてもいいことよ・・・。」
それだけいって、ある呪文を唱え始める。
「させません!!!!エルメキアランス!!!!!」
放った術はあっけなく霧散する。
やがて、アマンダの術が完成する。
「ふふふふふ。このまま、我らが僕となり、手足となって働くがいいわ・・・・。ふふふふふ。」
「くっ・・・・・。そ・・・そうは、いきませんわ!!!!!」
どしゅっ!!!!!!!!!
床が見る間に真っ赤に染まる。
同時に、
『アーリィ様!!??』
「アーリィ!!?」
兵士達と殿下が寝室の異変に気がついてドアを蹴破って入ってゆく。
始めに目に入ったのは、
アマンダの前で、剣を自ら突き刺して、血まみれになっているアーリィ様の姿。
「きさま!!アーリィに何をした!!」
殿下がアマンダに詰め寄る。
―が―。
「ふん。人間ごときが、教える義務なんて、ないわね。」
アマンダはさらりと髪をかきあげる。
「殿下!!このままでは、奥方様が!!!!」
「いかん!!!!早く、手当てを!!!!!」
私達がアーリィ様の手当てをしようとした矢先。
「つまらないわね。でも、ガーヴ様には、かなわないわよ。そして、さよなら♡」
えっ!!?
一瞬、何が起こったのかが、わからなかった。
私達の目の前で、むなしくも、アーリィ様の体は、崩れゆく。
・・・・私には、これがどういうことか、よく分かっていた。
戦場で、そして、あの出来事で、私の周りで起こった出来事―。
「アーリィィィィィィ!!!!!!!!!!!!!」
殿下の叫びが夜の宮殿に響き渡る。
「おのれ!!!!なぜ、なぜ、アーリィ様を殺したぁぁ!!?」
私は、思わず、封印していた剣を引き抜いて、アマンダに切りかかる。
「あら?その剣・・。そう・・・、あなたが、カンズェルのいっていた、人間なのね・・・。
確かに、魔王の力の波動がすこしばかり感じられるわねぇ・・。」
小ばかにしたように言い放つアマンダ。
「でも、貴方のもっている剣が、いくら『エルメキアソード』でも、この私を滅ぼすのは、無理よ。じゃ~ね。ぼうやたち。」
それだけいって、アマンダは夜の闇へと解け消える。
「待て!!!!!」
「カンヅェルがそのうち、貴方にお礼をするらしいわ♡首を洗ってまってなさい。
ドレイク!!!!!そして、我らは、セイルーンをあきらめないからね!!」
虚空から声が響き渡る。
私が放った剣の一撃は、かろうじて、アマンダを捕らえたものの、たんなる傷を負わせただけで、あっさりと逃げられてしまった。
私が剣をしまい、アーリィ様のところにいくと、アーリィ様は、かろうじて、まだ息があった。
「リ・・・リオル・・・。ごめんなさい・・・・。私、貴方に迷惑をかけたくなかったの・・・・。」
アーリィ様が殿下に手を伸ばしていう。
殿下は、そんなアーリィ様の手をとり、
「大丈夫だ。絶対助かる!!」
励ましているが、すでに命の火がきえかけているのは明白・・・・。
「マ・・魔族の動向に気を・・・つけて・・・・・・・。」
「・・・・アーリィ?・・・・・・・・・・・っ!!!!!!!!!!!!!!!」
殿下の声にならない叫びが私の胸をついた。
次の日、しめやかに告別式が行われた。
表向きは、病死・・・・・。
殿下の強い希望で、傷などもすっかり治っているアーリィ様を棺にいれ。
王宮は、魔族の侵攻は予想もしてなく、結界の強化に力を入れ始める。
「それで、魔族の動向はつかめたか!?」
国王自ら、表にたって、情報を集めだす。
「それより、アーリィ様の死亡で、親戚関係にあった、アストリアに不穏な動きが!!」
寄せられる情報は、またまた混乱に陥るばかりの内容の代物。
「・・・・・国王、この私に、情報収集を担当させてはもらえませんか?」
私は、あえて、自ら、志願する。
私なら、魔族の気配を感じることができる。
こんな体質も、役にたつときがあるのなら。
そして、すこしでも、殿下の傷がいえるのなら。
そして・・・・。自分が側にいながら、・・・また死なせてしまったアーリィ様の供養のためにも・・・・・。
「よかろう。アヴァロン=ドレイク!!本日より、手前に情報収集を認める!!!!こころして、とりかかるがよい!!!!」
「ははああぁぁ!!!!!心に誓って!!!!!」
かくして私は、魔族の動向、そして、真実を突き止めるべく、セイルーンをあとにした。
-続くー
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「私、殿下のそばに居たいんです・・・・。」
あたしのとこに戻ってきても、まだ、夫のことを気遣っているアーリィ。
ここまで、人を愛せるというのも、すごいわね。
始めは、完全に嫌がっていたのにねぇ♡
このアーリィ。フィリオネルとの結婚は♪
「本当に、それでいいの?」
リナスがアーリィに再度確認を取っている。
こくん。
うなづくアーリィ。
「はう・・・・・。ま、いいでしょう。これも、あたしの仕事のうちだからね・・・。」
リナスは言って、アーリィをとある輪廻の中に組み入れる。
・・・・せめて、娘としてでも、お側で見守りたい・・・・・。
それが、アーリィの純粋なる願い。
「人間ってのも、ちょっとはいいのかもね・・。」
リナスはそんなことをいってたりする。
「お♪リナス、仕事が終わったのか♪じゃあ♪」
「い・・・いやぁぁぁぁ!!!!!いい加減にしてぇぇぇぇ!!!!ルー!!!!!」
リナスはわめくが、カウリイはお構いなし。
抵抗もむなしく、またまたカウリイに連れられていっているリナス。
「いやぁぁぁぁ!!!!お母様!!
前に、ちょっと休暇とってもいいっていってたわよね!!ってことで、あたし、今から休暇に入るから!!!!」
それだけいってリナスはいきなり下界(?)に降りてゆく。
どうやら、リナスはまたまたカウリイから逃げてきたようである。
そして、下界のどこの世界を選んだかというと。
あらあら♪
あそこの世界を選んでいるし♪
リナスは♪
と。
「リナスぅ♪あれ?母上?リナスは?」
カウリイがあたしに聞いてくる。
「あ。リナスだったら、休暇とるとかいって、赤の世界にいったわよ♪」
「何ぃぃ!!!!母上!!俺も休暇に入ります!!!!」
カウリイは言い放ち、リナスを追って、赤の世界の輪廻の中に入っていったりする。
あらあら♪
面白くなりそうね♪
カウリイの方が先に人間として世界に誕生した。
それは、ちょうど、セイルーンでとある騒動が持ち上がっていたときでもあるけどね♪
んふふふ♪
これからが、楽しめそう♪
「さてと♪リナスとルーがいなくなったので、あんた達、リナスたちの仕事もこなしてね♡」
『え゛え゛え゛え゛え゛!!!!!!!!!!!!』
あたしのとこで、働いている、ジェーン、カシェル、ルシオ、ダイアナ、の叫びがなぜだか、響く。
なんで、そんなに狼狽するのかしら♡?
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あとがき:
かお:一応、年齢の説明いきます♪←こら(笑)
ガウリイがフィル殿下が十六歳のとき、赤の世界にガウリイ=ガブリエフとして、転生してますのです♪
このとき、リナとルナの母親となる彼女は、十八歳です♪
ただ今、その後のリナ達の父親となる人物と旅をしてたりするのです♪
ではでは♪
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