見果てぬ夢・第四話    ~出会い~


・・・また、負け戦だった・・・。
私は、自分のことを思い返しながら、酒場で酒を飲んでいる。
「よう!!ドレイク!!また、生きながらえたんだって?」
傭兵仲間がからかうように言ってくる。
「まあ、なんだな。なぜか、お前が正規の軍なんかの傭兵にならないのが、最もな原因だろ~けどな。」
下品に『がはははははははっ!!!!』と笑いながら私の肩をバンバンと叩いてくる。
「ひゅ~!!ひゅ~!!ドレイクちゃぁあん♡その背中の剣は飾りかなぁ♡一度も抜いたことがない剣なんてねぇ♡」
酒場にいた、傭兵全員が私を指差して笑っている。
私は、背中にとある剣を持っている。
しかし、この剣はむやみやたらに使えないのである。
なぜかといえば、国を出たときに、母から父の形見だといって、手渡された唯一の剣である。
・・そう、今は、伝説と化している『エルメキア・ソード』のそれである。
あと、つかえない理由――実は、柄にこの剣には、ディルス王国の王族のみが使えるという紋章が刻まれているのである。
見る人が見れば、一目両全なのだ。

あれから、十年が経過している。
風の噂に、母が私が王国をでてすぐに死んだというのを聞いた。
葬式にも出れなかったので、
母と父の誕生日には、かかさず、匿名で花を送っている。
母は、死ぬ直前に国王・・つまり今のディルス国王(英断王の息子)に、私が生きていることを伝えたらしく、
諜報員が私を探し回っているのが今の現状である。
母は、私が姿が変わっているというのをいう前に、亡くなったらしい。
そんな状態なのに、背中の剣が使えるはずもなく。
また、正規の軍の傭兵にでもなろうものなら、絶対に詳しい身の上調査なんかが行われているのは、必死である。
だから、私は、なるべく基準の簡単な正規軍ではない、傭兵の仕事を請け負っているのだ。
そんな私を皆は、『臆病ドレイク・死体ドレイク』などと呼んでいる。
私がいつものように、お酒をあおっていると、
「よお。アヴァロン。久しぶりだなぁ。」
額に一筋の傷を負っているどこか冷たい感じのする男性が語りかけてくる。
・・また、こいつか・・・・・。
こいつとは、なぜか、十年来の付き合いとなっている。
私は、こいつには、気を許さないようにしているが。
なぜかというと・・・・・。
私は、魔王の呪術の影響のせいなのか、
ある特定の存在に関しては、見分けることが出来るのである。
それにこいつと出逢った経路というのが、とある村が滅び行く現場であるのだ。
八歳にも満たない、
少女を燃え盛る家の中から助け出したあの日が鮮明に思い出される。



私が偽名を使い始めて、数年の月日が流れていたとき。
私はとある村に立ち寄った。
そこの村人は私の姿をみても、なんの抵抗もなく受け入れて丁寧にもてなしてくれた。
そこの村の依頼は、最近、山にデーモンが住み着いているからなんとかしてほしい。
といった内容だったのだが。
私は、その依頼をなんなく解決に導いた。
精霊魔術の最高峰であるラティルトを扱える自分にとっては、とても簡単なことだった。
そんなある夜。
いきなり轟音が村を駆け巡った。
私があわてて、外にでてみると、デーモン達が一斉に村を襲っている!!
飛び交う悲鳴と血のにおい。
そして、
「きゃあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
空を突き抜けるような叫びが私の耳に届く。
私は急いでそちらに向かった!!
・・現場はとある小さな家。
炎の中から人影が見え隠れしている。
(我らに協力しないというならば、死あるのみ・・・・)
そんなつぶやきとも取れる声が炎の中から聞こえてくる。
炎に見え隠れしながら、一人の男性が両手に男と女をぶら下げていた。
二人とも、炎よりも赤い血を大量に地面におとしながら。
そして、それをみて、笑っている男・・・・。
(ん?ちっ・・・。人の気配が・・・ん?この気配は・・・。)
男はつぶやき、炎にまかれて姿が消えうせる。
あれは・・・・・・。
私がそれがいなくなったのを確認して地面に投げ出された男女の下にと駆け寄ると、かろうじて、女性の方は意識があった。
だが、完全に心臓を一突きされている。
時間の問題・・・。
「・・娘を・・・娘を助けて・・・。」
彼女はいう。
耳をすますと、燃え盛る炎の奥のほうから、女の子の泣き声が・・・・。
「エア・シールド」
私はある結界の呪文を唱えて燃え盛る炎の中に身を投じる。
炎の奥に、銀の髪の少女が泣いていた。
面影は、さきほどの女性とよく似ている。
私は少女を抱きかかえて、家の外に出る。
と、同時に家が燃え尽きた。
「ほら、娘さんは無事ですよ。」
私が彼女に助け出した娘を見せると、彼女は娘の髪をひとなでしてから、
「無事で・・・・」
それだけ言って事切れた。
「お母さぁぁん~!!!!!!!!!!!!!」
少女の叫びが響き渡る。
その間にも、デーモン達の襲撃はやまない。
かろうじて、どうにか、デーモンを全て撃退したときには、すでに・・・。
村の生き残りは、十人にも満たなくなっていた。
家々は全て焼け落ち、そして、死体の山々・・・。
「・・・・許さない・・・。赤い髪の男も!!あの傷のある男も!!」
少女・・レーンは瞳に復讐という名を刻み込んでいるようで、銀の髪が熱っされて、熱くなった風になびく。
この少女はおそらく、見たのであろう。
父と母を殺した相手を。
そして、その原因となったことも。
私は生き残りの村人とともに、手厚く死者を埋葬して、その村を後にした。
私は、炎のすきまから、その人物の姿をはっきりと捉えていた。
実のところ。
そして、そのときから、私がとあることに気がつくというのも判明したのである。

その村であの少女の父と母を殺した男・・・・それが、この『カンヅェル』である。



「それでだな・・。聞いているのか?アヴァロン・・・!?」
半分苛立ちながらいうカンヅェル。
なぜか、このカンヅェルあれからしばらくして、私の周りに傭兵仲間として紛れ込んでいた。
すきを見ては、さりげなく勧誘なんかしてくるので、私はあまり関わらないようにしている。
「・・・でだな。いい話があるんだ。何でも、とある王国の王子が近くにきてるらしい。」
にやりと笑いながらカンヅェルはいう。
「今度は、私はあいつらが、ターゲットだな。」
まるで、ゲームを楽しむように、人間を殺していっているカンヅェル。
まあ、彼らからすれば、人間なんかさしてどうなってもいい存在なのであろう。
まるで、私の無力を思い知らせるがごとく、自分が次ぎに殺す相手を私に言ってくるのである。
このカンヅェルは。
毎回、私は、それを阻止しようとはするのだが、いつも失敗に終わっている。
そんな私の負の感情を食らっているのであろう。このカンヅェルは。
言うだけ言って、カンヅェルはどこともなく消えてゆく。
私は、今度ばかりは、完全にあいつを阻止せねばと思いながら、道をあるいてゆく。
と―。
「あの?もし?」
女性の声が後ろから聞こえてくる。
振り返ると、
「え゛!?あのとき、死んだはずの女性!?」
私は思わず声を出してしまった、
そこにたっていたのは、あの村の事件のとき、私の目の前で息を引き取っていった彼女に瓜二つだったのだ。
「やっぱり!!お久しぶりです。アヴァロンおじ様、私、レーンです。」
銀の髪を風になびかせて、にっこりと少女は笑いかけてくる。
かつての、生き残った少女は・・・すでに十二歳へとなっていた。

つもる話もあるので、とりあえず、近くの宿屋の一室を借りて、そこで、私とレーンは話をすることにした。

レーンの話とは、やはりカンヅェルのことであった。
あれからレーンはカンヅェルの行方を追っていたが、なぜか、私の周りに出没しているという情報をつかんだようである。
そして、私に敵討ちの手助けを願い出てきているのである。
・・・かちゃ。
私は、飲んでいた紅茶をテーブルへと置いて、ひたと彼女を見つめていう。
「・・レーン、敵討ちは、あきらめるんだ。あいつは、この私が滅ぼせはできずとも、必ず殺すから。」
と。
「・・・?滅ぼせないけど、殺す?」
私の台詞に、首をかしげているレーン。
「・・・あの、カンヅェルは・・・魔族だ・・・。」
刹那、レーンの表情が凍りつく。
私がわかる存在―それは、魔族である。
たとえ、どんな姿をしていようが。
だから、自分には無理だと即座に対応なのができるのだ。
これは、おそらく、魔王が私にかけた呪法の影響が一部残っていて、わかるのだと私はとらえている。
レーンには、竜族の力の波動が感じられるが、おそらく、これが彼女の両親と村が襲われた理由だろう。
あの村の人々も、全員が竜族の力の波動を持っていたので。
「ま・・魔族?」
「そう、だから、私にまかせておけ。な?レーン、両親のためにも、お前までもが死んだら二人は浮かばれないぞ?」
私の説得にかろうじて納得してくれるレーン。
とりあえず、『事後報告はするから』といって、レーンの泊まっている宿を聞き出してから、私はレーンと分かれる。


「クリストファ殿下だな?悪いが、死んでもらう!!」
にたりと笑って右の頬に刀傷がある男性が言い放つ。
「弟になにする気だ!!平和主義クラッシュ!!」
いきなりカンヅェルに飛び掛る十歳くらいの男の子。
しかし、十歳にしては、かなり頑丈そうである。
そこがまた、かわいいけども。
「ほう・・・。フィリオネル殿下まで一緒とは。」
にたりと笑って、デーモン達を出現させるカンヅェル!!
「兄上!!」
「クリス!!僕から離れるな!!平和主義パンチ!!」
素手で、デーモン達をつきなみ倒している男の子・・・。
私が現場につくと、そんな光景が展開されていた。
・・素手で・・・・。
しばらくあっけに取られてしまった私だが、かろうじて正気を取り戻し、カンヅェルの方に向かってゆく。
「ほう・・・・。遅かったな・・・。今度は、ようやく、その気になったか?アヴァロン?」
からかうように、諭すように言ってくるカンヅェル。
「黙れ!!魔族の仲間にはなるものか!!死んでいった仲間たちのためににも!!」
私はさけび、
あれから一度たりとも、戦闘でも抜いたことのなかった背中の剣を抜き放つ。
刀身が青白く光り、うすぐらくなりかけた、あたりの景色を青白く浮かび上がらせる。
「何!?エルメキアソード!?それに、いつ、気がついていた!?だが、それでは、我は倒せまい。」
薄気味悪く言い放つ、カンヅェル。
傍では、まだ、幼い王子が弟をかばって素手で、デーモン達をのきなみ倒していっている。
確かに、このカンヅェルはかなり上位の純魔族のようである。
かつてであったことのあるゼロスとかいう魔族には劣りはすれども。
エルメキアソードだけでは、太刀打ちすらもできない。
そう、このままでは。
私は、にやりと笑う。
「このままではな。」
「我が名ガイリアの名のもとに、紋章に封じられし真実の力よ!!いまこそ目覚めららぬことを!」
「РЯФЧ!!!」
言葉にならないカオスワーズとともに、剣の柄に描かれている紋章が赤く光り輝く。
これは、ディルス王室、しかも王族のみにか、しらない真実。
ディルスの紋章は、とある呪文によって、力を向上させるものになったり、ある特殊な結界を張れたりするのだ。
これは、かつて、赤の竜神より伝わったとされている。
あまりに、年月がたちすぎていて、完全にその本質を知る者などはいないが。
私が完全にコントロールできるのも、かつてお世話になったとある家でおそわったからである。
一応、王国をでてから、挨拶によったのだ。
あのときに。
そのとき、教えてもらったのである。
呪文とカオスワーズはお爺様からきいてはいたけども、本質の意味が私は理解できてなかったのだ。
だからかそれまでは、この呪文を唱えても、王族の人々は、完全にこの紋章を使いこなせなかったのである。
長い年月の間に、忘れ去られて、知識が湾曲したためらしいが。
「何!!??」
カンヅェルが驚愕の叫びを上げると同じに、私は、剣をカンズェルにつきたてていた。
私が今の呪文で、行ったこと、それは、精神世界からの隔離と末端への攻撃。
本体が巨大ならば、切り離して、末端だけでも殺せばいい。
それが人間が魔族に対抗できる唯一のこと。
「・・ば・・・馬鹿な!!!!さすがは・・・・・・・・・・!!!!!!!????」
それだけ言って、カンヅェルは砂のように崩れ落ちてゆく。
カンヅェルが消え去る寸前に私に聞こえた言葉・・・。
「さすがは、魔王の力の波動がなぜか感じる人間だけのことはあるな・・。」
カンヅェルが消え去るのと同じに、デーモン達も、一斉にいなくなる。

「終わったな・・・。」
私が剣をしまい、振り向くと、そこには、二人の王子がたたずんでいた。
「おかげで、助かりました。」
「ありがとうございました。」
年齢にあわず、丁寧に言ってくる二人の王子。
と。
「フィリオネル王子ぃぃ!!!クリストファ王子ぃぃ!!!!!!!」
ずどどどどど!!!!!
数名のいまごろになって、ようやく、彼らのお供であろう、兵士達が駆けつけている。
「おお!!ここだ、ここだ!!今、この男性にあやうい所を助けてもらったのだ。」
年齢にあわず、やけに大人びた口調の兄王子。
「そ・・それは、かたじけない。」
中でも身分の高そうな人物が私にいい、
「これは、ほんのお礼だ。」
といって、金貨を私の手に握らせてくる。
「アヴァロンとかいったな♡機会があれば、また、その気になれば、いつでも、セイルーンへとくるがいい!!」
兄王子がいい、
「それはいいですね。兄上。魔族に対抗できる人物は、大歓迎ですね。」
弟王子が賛同する。

『ま・・・・魔族ぅぅぅぅ!!!!!王子様方ぁぁぁぁぁぁ!!!!!魔族に狙われたのですかぁぁ!!??』

当たり前ながら、全員が驚愕したのであった。

「僕は、セイルーン王国第一王子。フィリオネル=エル=ディ=セイルーン。
  こっちが弟のクリストファ=ウル=ブロッゾ=セイルーン。アヴァロンとやら、セイルーンにくれば、歓迎しよう!!」
まだ、十歳にもならないというのに、王者の威厳というものを持っているこの王子。
子供なのに、頑丈な体つきがいかにも威厳をかもし出している。
かなり大物のようである。
そうして、セイルーンの二人の王子はお供の兵士達とともに、また、旅立ってゆく。
なんでも、お忍びで、正義を広めているとか、なんとか・・・・・・・。
まるで、昔のルォン兄さんのようである。


「・・・・・・フィリオネル王子・・・か。」
私は、フィリオネル王子と別れてから、今度こそは、ルォン兄さん達とは同じ悲しみをさせたくない。
というのもあって、フィリオネル王子に使えるとこを決心した。

そして、私は、一応、きりのいいとこで、セイルーンへと出向いていった。


                                       -続くー


 HOME     TOP     BACK     NEXT



************************************


あたしは、とにかく出かけようとしている。
「あ、お母様♡あたしも行く♪」
リナスがあたしに向かって走ってくる。
どうやら、また、カウリイからにげているようだが(笑)。
「まあ、なんだかんだといっても部下Sは、部下達、配下のしつけがなってないなぁ・・。母上、俺も行きます♪」
いきなりカウリイまでもが現れて言ってくる。
「まあ、いいでしょ♡じゃあ、三人でいきましょ♡」
あたしはそう言って、リナスとカウリイを連れて、部下Sのことにいく。
「あ゛あ゛あ゛!?なんで、リナス様達までぇぇ!!!!!(涙)」
Sが泣き言なんかいっているけど。
「あら♪部下のしつけがなってないから♪お仕置きにきたに決まってるじゃないの♡」
「そうそう♡魔竜王ガーヴが離反してるらしいじゃない?」
「まあ、人間味方にしようといてるらしいしなぁ♡」
あたし、リナス、カウリイの台詞と同時にあたし達はお仕置きを開始していたりする。

「うどきゃゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

なぜかカタート山脈一杯にSの叫びが響き渡った。

とりあえず、今回は、二年だけでこのたびはお仕置きはすませてあげたのよ♡
S♪こころやさしい、あたしに感謝なさいね♡
しっかし・・・ガーヴって・・・何考えてるのかしら?
大方、というより、私には、考え覗いたから分かっているけども・・・。
なんでも、生きたいからといって、部下Sに反逆企てて、
んでもって、竜族との混血でもあるとある村の人物の長老に協力要請して、断られたら、そこ、全滅させて。
今度は、どうも、人間の世界の王族に入り込もうとしてるのよねぇ・・・。
このあたりのこともあるので、この件に関しての部下Sのお仕置きは、
四年でとりあえず、お仕置きは昼夜を問わず、心優しくも済ましておいた。
な~んか、たかが、続けての六年のお仕置きだけで、動かなくなるSだし・・・。
つまんない・・・。
他の世界にもいきましょっと♪
あたしはリナスたちを連れて、とりあえず、なぜか、決着が変な感じにつきかけているとある世界へと移動した。
なぜか、あたしの干渉によって、すんなりとその世界は消滅するし・・・。
つまんないので、再生させておいたけど。
「しかし、あのガイルスって、結構楽しめるわね♪お母様♡」
「そうね♡今後も楽しませてもらいましょう♪」
まあ、暇つぶしも兼ねて、あいつだけは、まだ、あの世界に生きながらえさせているのだし。
ちなみに、あいつの運がないと言っているのは、あたしやリナス、カウリイがいじくっているから♡
やっぱり、楽しませてもらわないとね♡


 HOME     TOP     BACK     NEXT


#####################################

  あとがき:
     もし、おかいしところがあれば、指摘してやってくださいな(笑)
     だって、あまりに寒いので、布団にもぐりこんで打ち込んでいるので(こら!!)
     線を延ばしたら、どうにか布団に届いたので、
     布団の中で寝転んで打っています。←こらこら・・・。(実話・・爆!)
     まあ、画面が見えにくいというのが欠点ですけども(爆!)
     次でアヴッァロンはセイルーンへと仕官(?)する予定です。それでは。


 HOME     TOP     BACK     NEXT