・・・第、三話です。今回は、思いっきりシリアス&ダークです(汗)
今回は、ディルスのカタート侵攻です。ではでは。


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   見果てぬ夢・第三話    ~カタート侵攻・・・そして、物語は始まる・・~


―僕たち(私達)の役目は、そろそろ終わる。
・・でも、ガイは、・・・。
せめて、ガイは、幸せになってほしい。
僕たち四人の切なる願い・・。
あの場で、唯一、無事だった、ガイだけは・・・。
全てなる大いなる母よ、どうか、我らに免じて、ガイを・・・・。―




月日は流れて―。
皇太子が十五になろうかというとき。
また、魔族による被害が出たことを受けて、国王は、
「カタート山脈に、侵攻を開始する!!」
と宣言した。
このとき、私は、すでに、近衛隊長補佐となり、カシェルたちも、国王付きの近衛兵となっていた。
すでに、自分は、二十九歳となっているけども・・
そして―。
カタートへの侵攻の戦争は―・・・・・。
兵士、魔道士、一万人以上ともいえる、万全の体制で、行われるとこと、あいなった。
でも、私は、何か、いやな予感がするんだけど・・・・。

ともかく、私の母以外は、僕の親族全て、そして、ほとんど実力のある逸材の人間は、戦いに赴くこととなった。


「目指すは、カタートに封印されているという、
  北の魔王・赤瞳の魔王(ルビーアイ)シャブラニグドゥ!!この期において、魔族を撃退する!!」
『おおうぅぅ!!』
英断王・ディルス=ルォン=ガイリアの・・・国王の台詞によって、侵攻は開始された。
ちなみに、私たちは、国王の周りの警備の担当となっている。
なぜか、ダイアナやジェーンも一緒に参加しているのだけど。
なぜかというと、本当になぜか、ダイアナだけだったようなのだが、ジェーンも希望したからとか、なんとか・・。
まあ、ダイアナ・・かなり協力な神聖呪文・・つかえるから、理解できるけど・・・。
なんで、ジェーンまで?
それとか、ダイアナの暴走を食い止めるためなんだろ~か?
「お~ほっほっほっほっ!!この私、ダイアナがいる限り、安心なさいな!!お~ほっほっほっ!!」
進行隊にダイアナの高笑いが響く。
相変わらず、自信過剰というか・・なんとゆ~か・・。
まあ、ダイアナはそんなところもかわいいんだけど///
兵士達は、ちょっぴりなぜか引いているけど。
私の母は、神殿を守るというので、王国に残っているけど。
父は、しっかりと前衛の隊長をまかされている。
「では!!いざ、出発!!!」
かくして、盛大な魔族に対しての戦いの火蓋は切っておとされた・・・よ~かにみえた。


なぜか、本当に、なぜか、カタート山脈にはすんなりと入ることができた。
・・・不気味なほどに。
以前、来たときは、こんなに簡単ではかったはずだけど・・・・・。
『ヴルドワァァ!!!』
いきなりレッサーデーモンやブラスデーモンがダース単位で出現し、いきなり炎を放ってくる。
「ぐわわ!?」
「復活(リザレクション)!!」
兵士の叫びや、神官や僧侶の呪文が響く。
ごううぅぅぅぅ!!!!
いきなり、闇が出現したかと思うと、その闇に吸い込まれるようにして、数十名が消えうせる。
『・・・魔王竜(ディモスドラゴン)・・・。』
だれかが、そんなことを口走った。
そういえば、聞いたことがある。
カタートにしか、生息しない竜で、攻撃力は、ドラゴンロードと呼ばれている黄金竜(ゴールデンドラゴン)をしのいでいるとか・・。
闇の鱗にみをまとい・・。
うげげっ!?
そして、なぜか、かたわらには、どうも、人間標本のよ~な、人形魔族と、腕を六本もっている魔族の姿・・。
「・・・これが・・純・・魔族(汗)」
神官の一人がついと汗を流す。
・・・純魔族。
それは、デーモン達にくらべて、ものすごく強いといわれている魔族である。
中には、この純魔族と契約を交わして、不死になる人間もいるとかなんとか・・・。
「エルメキア・ランス!!」
ぱっきぃぃんん!!
エルメキア・ランスは、あっけなく呪文のような言葉で防がれる。
「ガーヴ・フレアー!!!!」
きしゃああぁぁ・・・・。
父の放った呪文によって、消え去る魔族。
「国王!!ここは、我々にまかせて!!進んでください!!ガイ!!国王を頼んだぞ!!」
父はそう言って、魔族の中に身を投じてゆく。
「頼むぞ!!」

私たちは、国王とともに、山を進んで行く。
そして、つぎつぎと魔族に倒されていく兵士達・・・・。
辺りに血のにおいが充満しているのが、きもちわるい・・・・・。
「ガイ!!危ない!!」
ざしゅ!!
間一髪で、僕は攻撃を逃れる。
どうやら、今度は、人間のようである。
でも・・・。
多分、こいつも・・魔族・・・・。
「ふっ。カタートに攻め込んだ人間とは、きさまらのことか・・・。」
結構ハンサムの部類に入るその男性が口を開く。
歳のころなら、二十歳前後。
きつい瞳がみょうに印象的である。
どうみても、武人の姿。
銀の髪をさらりと掻き分けて・・・。
こ・・こいつは!?
ま・・まさか、あの時の!?
「何者だ!!」
いきなり切りかかる兵士達。
「よせ!!やめろ!!」
ルシオがいうが・・・・。
ぐわわぁぁぁ!!!!!
兵士達は、のた打ち回り・・・そして・・・・。
ゆらり・・・・・。
『敵・・敵・・殺す・・・』
虚ろな目をしてこちらに向かってくる。
まずい!!
操られている!!
どうすれば!?
「ちっ・・・・。」
――――しゅん!!!!!!!!
ルシオはいきなり手にある骸骨の様な杖を出現させる。
「そ・・その杖は!?」
驚いている男性。
「悪いが・・・俺達のじゃまをしないでくれないか・・・。グラウシェラー・・・。」
ルシオがぞくりとするほどの低い声で男性に言う。
「な゛・・な゛ぜ、貴方様が、人間の味方など?!」
なぜか、混乱している男。
ん!?今、ルシオ・・・。
この男性のこと、確か・・・グラウシェラーと呼ばなかったか!?
―…グラウシェラー。
僕の記憶では、魔王が創り出したという腹心の魔族の一人。
つまり、超高位魔族の名前である。
「ふっ・・・。知りたいの?私達、あなたにあうのは、これで、二度目なんだけど?」
ジェーンが悟っているように語り掛けている。
国王は、とりあえず、僕たちがかばうようにして、その場に立っている。
「・・・なら、これなら、理解できるかしら!?」
ダイアナが言って・・・・。
おもむろに片手を突き出して・・・・。
刹那。
ダイアナの手から暁の光の弾が出現し、山に直撃する。
「・・・こ・・これは!?」
驚いている・・・多分、真実であろう、本人(?)覇王グラウシェラー・・・・。
「あ゛あ゛!?覇王様!?その人間達には、手出ししたら、やばいですよぉ!?」
いきなり虚空より、にこにこ笑いのあやしい神官風の男が出現する。
「・・・獣神官・・ゼロスか・・・。よけいなことをいうと、・・・知らないぞ?」
なぜか、忠告しているカシェル。
・・・・?
「覇王様!!」
なにやら、覇王に耳打ちしている獣神官ゼロスの姿。
瞬間、二人は、いきなり掻き消えた!!
「え゛!?」
私が驚いているのと、同時に、国王も驚いているよ~である。
「・・・い・・いまのは?」
かなり驚いているらしい国王。
だが、ルシオたちは、ただ、笑っているばかりである。
それも、悲しそうに・・・・。
「?ま・・まあ、いい。とにかく、進むぞ・・。」

国王の台詞にともない、僕たちは、どうも神殿らしき場所へとたどり着く。

「・・・ここが、水竜王の神殿・・。」
ダイアナがぽつりと言う。
その神殿は、かなり、朽ち果てていた。
しかも、どうやら・・・。
魔族の住処になっているようである。
「・・・もう、すぐだな・・。」
ルシオがいう。
それにうなづいているジェーン、カシェル、ダイアナの三人。
今、私たちの国王を守っている部隊は・・・すでに、十何人とまで、減っている。
・・・全員、目の前で、魔族にやられていったのだ。
まるで、そう・・・・。
・・・・十年前のあのときのよーに・・・・。



しばらく進み。
「こ・・これは!?」
国王が驚愕の声を出す。
私たちの前には、氷付けになっている男性の姿が・・・・。
「ま・・まさか!?伝説のレイ=マグナス殿では!?」
国王が言っているけど。
そういえば、ディルス王国には、レイ=マグナスの肖像画が代々、伝えられているんだったっけ・・。
でも、この男性って・・・。
「・・・・そのとおり。・・・・まさか、ここまで、人間がやってくるとはな・・。」
現れたのは、まぎれもなく、僕たちの目の前で氷付けになってる人間。
黒い髪を腰まで伸ばして、赤い瞳でこちらに向かって言ってくる。
そして、手には・・・ルシオと同じ杖をもって・・・。
「・・・ひさしぶりだな・・。北の魔王さんよ・・・・。」
「おひさしぶりね。ルビーアイ。」
ルシオとダイアナが同時に言う。
「・・・・・・・・・・・。・・・・・それで?あの御方はなんと?」
怯えるような目をしてなぜかルシオに聞いている男性。
かつて、十年前に、Sと呼ばれていた男性・・・。
『ただ、人間をここまで、運べ・・と。僕たち(私達)の役目はそれだけ・・。』
不可解な台詞をいうルシオ達四人。
そして、この男性が出現すると、同時に・・・。
私たち以外の兵士は・・・・・いきなり、いなくなっていた・・・。
「・・・・こ・・・これが・・魔王!?」
いうなり、いきなり国王は、
「ラティルト!!!!」
いきなりラティルトをぶちかます。
だが、呪文は発動しない。
「ならば、どんな扱いをしても、関係ないわけだな・・。この人間は・・。」
魔王はいうなり、いきなりわけのわからん呪文らしき言葉を唱え始める。
「ぐ・・ぐ・・ぐわぁぁぁぁ!!!!!???」
いきなりもがきだす国王。
「ルォン兄さん!?」
私の目の前で・・・・・
・・・・・・異形と化してゆく、国王・・ルォン兄さん・・・・。
そして、
「ぐぅ!?」
私にまで、その衝撃が襲い掛かってくる。
「・・!?よせ!!彼も、あのときに!!」
カシェルがさけび、
「・・逃げろ!!お前だけは!!僕たちと違ってまだ、生きている人間だっ!!」
ルシオがいい、
「逃げて!!ガイ!!あの御方には、頼んでみるから!!」
ジェーンまでもが僕にいってくる。
・・・・・一体?
私は苦しい息の中で、四人がなにやら、顔をみわあせて、うなづくのを目にした。
『・・・・・・・・すまんな・・・。(・・・ごめんね。)・・・・・。』
四人の声を聞くと同時に、
ぐらっ!!!
私の意識は遠のいてゆく。
そして、視界のかなたになってゆく、四人と魔王、そして、異形と化して行く、ルォン兄さんの姿が・・・・。

そして、私は、完全に意識をうしなった。




「ごくろーさま♪しっかし、部下S、あんた、たかが、人間にここまで、侵略されたわねぇぇ♡」
金色の神々しいまでの女性がいきなり出現する。
「え゛え゛え゛・・・エル・・様ぁぁぁ!!??」
魔王が狼狽し、
「あ♪あんた達は、も~い~わよ♪」
言葉と同時に、ルシオ達の姿は掻き消える。
「な゛!?」
「あら♪あの四人は、あのときに、すでにあたしの所に戻って来てたにきまってるじゃないのよ♪」
「・・・・・○×△□!!??」
言葉にならない言葉を上げている魔王。
「ってことで、お仕置き、スペシャルバージョンね♡」
「ひぎゃああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!」
そうして、血のにおいのむせ返るカタートに悲鳴が響き渡ってゆく。

一方、そのころ。

「何!?人間がカタートへ侵攻しただと!?こうしては、おられん!!」
カタートの入り口近くの竜達の峰(ドラゴンズピーク)では、
もう、すでにかたがついてるというのに、いっせいに黄金竜(ゴールデン・ドラゴン)や、黒竜(ブラック・ドラゴン)が飛び立ってゆく。

だが・・・・。
彼らの目にしたのは・・・・。
無数に連なっている人間の死体・・・だけであった。

「・・・無謀なことを・・。」
竜の長老がぽつりといった。
そして、一応、かれらに、氷の息を吹きかけて・・・。
丁寧にも、埋葬しているのだった。




ぽつり・・・・・。

どざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・。

どのくらいの時間が過ぎたのだろう・・・・。
私は、身体にあたる冷たい感覚に意識を取り戻した。
目を開けようも・・。
前が見えない。
そして、身体中が痛く、そして、沁みる・・・。
いったい?
どうにか、起き上がろうとすると、
ばしゃ!!
私は、足をとられて、転んだ。
どうやら、雨が降っているらしい。
・・・皆は!?ダイアナは!?国王は!?
「・・・大丈夫ですか?」
声は、後ろから聞こえてきた。
「ひぃ!!おばけ!?」
短い女性の悲鳴と、
「違うわよ。それに、こんな程度でおどろいていては、私達の町にすむのは、無理よ?シラサギ?」
よく通る女性の声・・・・。
「こんな程度って・・・・。いったい、ゼフィールシティって・・・・(汗)」
始めのシラサギとか呼ばれた女性の声が言っている。
「そうねぇ・・・。偉大なるある御方によって、作られている国・・とでもいいましょうか♪」
くすくす笑いながらいう女性。
「・・・たてる?」
かすれる目の先に手を伸ばしている女性がみえる。
「あ゛・・あ゛あ゛・・。」
私がどうにか、声をだすと・・・・。
私の声は、完全に今までとは違っていた。
どうも、声帯を傷つけたのか、あるいは・・・・。
「・・・・これ、人間・・・よね?」
シラサギが私を見て(だろう)言っている。
「・・・あら?魔族の残り香が・・・?そう・・・あなた、魔族と戦ったのね・・・。」
いきなり図星をさしてくる女性。

とりあえず、私は、傷のてあてをという女性の言葉に親切にしたがって、女性の家に厄介となることにした。

その日の夜―。
「ガイ・・ガイ・・。」
夢の中で呼ばれて振り向くと、そこには、ダイアナ、ジェーン、カシェル、ルシオの姿が。
「皆!?」
私はかけよろうとするが、身体が動かない。
私がいらだっていると、
「心配しなくてもいい。ガイは生きているから・・。」
やさしく微笑み、ルシオは言葉を続ける。
「心配しないで・・・。私達は、どっちにしろ、あの十年前に死んでたのだから・・・。」
ダイアナが言ってくる。
・・え゛!?
それは、どういう意味!?
「金色の魔王様の慈悲によって、カタート侵攻まで、死んでるまま、生きていたように生活できただけだから・・。」
ジェーンが続けていい、
「侵攻が終了したので、僕たちは、混沌へと帰るだけだから・・・。」
カシェルがいうけど・・・・。
それって!?
もしかして、四人は死んだということ!?
なんで!?なんで、どうして!?
「まってよ!!どうして!!?」
私が問いかけるのと、同時に、僕は目を覚ました。
・・・今のは夢?
・・・・いや、違う・・・・・・・・。
別れ際、ダイアナが、
「ガイ・・これ、貴方がお世話になった、人間・・エミーリアさんに言付けてね・・。」
そういって、私に託した、赤い小さな球体が、私の手の中に握られていた。
・・・エミーリア?
・・・・・・誰のこと?
「あら。きがついたのね。で、貴方の名前は?」
女性が言ってくる。
どうにか、私は目の腫れも引いたらしく、彼女の姿がはっきりと見えている。
「・・・?あの?あなたの名前は?」
私が聞き返すと、
「私?私は、エミーリア。エミーリア=ドナ=インバース。よ。」
にっこりと笑って、暁色の髪の毛が風になびいた。
「あ・・・母ちゃまぁ・・・。」
とてとてと、彼女によくにた少女がかけてくる。
「で、これが、私の娘。セシル=ドナ=インバースよ。」
歳は、おそらく、一歳より下らしく、にっこり笑って、
「あれ?母ちゃま、この人、チューフィードちゃまの気配がするぅ♪」
母親に言っている。
・・・ん!?
「あ、こりれぇだぁ♪」
私の手の中の赤い球体を見つけて言っている少女・・。
「・・・スィーフィード様の?一体?」
「あ・・・あの・・夢で貴方に渡すようにと、いわれたので・・・。」
私がそれを手渡すと、瞬間。
その球体は、セシルの中へと吸収されてゆく。
・・・・いったい?
「・・・どうやら、あなたも、
  赤の竜神(フレアドラゴン)・スィーフィード様の、欠片をやどされていた人間と接触があったのでしょうね。」
そうして、彼女・・・エミーリアは、語ってくれた。
インバース家は、代々、スィーフィードの欠片を集めているとこ。
何代に一人は、赤の竜神本人が転生してくることなどを。
そして、竜神が転生するまでに、ある程度の欠片を集めることが、使命だということを・・。
そして・・・・。
どうも、夢の中でダイアナに渡されたあれは・・・・・竜神の魂の欠片・・だったらしい。
「・・・!?そういえば、カタートは!?ディルス王国の侵攻はどうなったんだ!?」
私がベットから、起き上がっていうと・・・・。
「・・・・・知ってるの?あれは・・・・・・。全滅よ・・・・・・・。噂では・・・・・。
  国王が・・・・・・・・・・。変わり果てた姿になって、送りつけられたとか、生死不明だとか・・・・。」
エミーリアから聞いた台詞は、私を驚愕させた。
「と・・ともかく!!城にもどらなくちゃ!!」
起き上がろうとすると、痛みがつきぬける。
「ダメよ!!まだ、安静にしてなくちゃ!!」


私がどうにか、傷もなおり、ディルスに戻ると・・・・・。
町は、完全に消沈ムードがただよっていた。
とりあえず、私は、家に戻ったのだけど・・・・。
「しっしっ!!奥様は、あんたみたいな人間なんて、しらないはずよ!!」
家に仕えているメイドが私を追い返そうとする。
そして、始めて、私は・・・・・・。
家の正面にかざってあった鏡にて、かつての姿とはかけはなれている姿と成り果てていることに気がついた。
「・・・・・・・??!!」
・・・多分、魔王の影響であろう。
あんなに近くで出会ったのだから・・・。
瘴気で何があっても不思議ではない。
「・・どうしたの?出かけるわよ?」
目を真っ赤に晴らした母さんが奥から出てくる。
「・・・・・母さ・・ん・・。」
家の外で、母さんが扉をでてきたとき、私と目が合う。
「・・・・・・っぅ!!?ま・・まさか・・・ガイ!?ガイルス!?生きてっ・・・!!!」
母さんが僕に泣きついてくる。
「え゛・・・。どうして・・・。だって・・僕の姿・・。」
私の姿が変わり果てているのに、僕に気がついてくれる母さん。
「当たり前でしょ。私は・・・貴方の母親よ・・・。姿がかわっても・・よく・・無事・・で・・。」
声をつまらせている母さん。
そして、
「・・・・父さんは、・・・死んだわ・・・。」
ぽつりと言ってくる。
「・・・・・・っ!!!?」
あまりな発言であった。
「・・・ルォン兄さんは?」
「・・・・・いらっしゃい・・・・。いまから、行くところよ・・・・・。」
私は母さんにうながされて、王宮へとはいってゆく。
なぜか、母さんは、僕のことを生きてたとは誰にもいわなかったけど。
ただ、知り合いだから・・としか。

るうぉぉおおぉぉぉぉぉぉ・・・・・・・・

ある一室で目にした光景は・・・・・。
「ま・・・・まさか・・・・・。」
「そう・・・・。これが、国王。ディルス=ルォン=ガイリアよ・・。」
蛇を無数に肉の塊から生み出しながら、うめいている国王・・・。
「・・・・・魔族のみが使うとされていた呪法よ・・・・・。屍肉呪法(ラウグヌトルシャヴナ)という・・・・。」
母さんが説明してくる。
「・・・・ルシオくんがね。夢でこの呪法のこと、教えてくれたの・・。」
・・・・そうか・・・・。
・・・・・ルシオが・・・・。
そして、母さんは、ひたと僕をみて、
「ガイ・・・。落ち着いて聞きなさい。カタートに出向いて・・助かったのは、貴方一人よ・・。
  他は、全員・・・死んだり、こんな術をかけられたり・・・・・。・・・・あげくは、魔族にあやつられてたりするのよ。」
私に言ってくる。
そして、
「ガイ・・・。貴方が無事だったことは、とってもうれしい。でもね・・・・。
   今のこの国で、貴方の姿と、一人だけ、無事だったというのが知られると・・・どうなるかは、・・・・分かるでしょう?」
・・・・確かに。
一人だけ助かったという私。
しかも、僕は国王の一番身近にいたのにかかわらず・・・である。
当然、姿が変わった私を追及して、魔族の手先とか、偽者とか・・
・・・いや、悪くすると、母さんや、親族のみんな、そして、友達の家までもが巻き込まれるのは・・・必定・・・・。

「・・・・分かった・・・・。でも、母さん・・・。身体に気をつけて・・・・。」
そうして、私は、ガイリアシティを・・・ふるさとを後にした。



「アヴァロン=ドレイク」
それが、私の新しい名前。
私は、素性を隠して、傭兵にとなった。



                                            -続くー



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「ゆるして・・・でも、貴方を助けるには、これしか、方法が・・・。」
涙を流しながら、町からでてゆく我が子を見送るガイの母親。
そして・・・・・。
「父さん・・・あなた・・・・。ガイは・・・・・。無事・・・でしたわ。」
がくぅ!!!
その場に崩れ落ちる。
そして、背中からは大量の血が・・・・・。
実は、彼女は、夫と息子の安否を心配して、ついさきほどまで、カタートへ単独で出かけていたのである。
そして、・・・すでに瀕死の状態であったにもかかわらず、呪文を駆使して、どうにか、町まで、戻っていたのである。
・・・母親の本能というべきか・・・。

あららぁ~。
ま~た、人間があたしんとこに戻って来てるしぃ・・・・。
まあ、い~わ。この人間、次の輪廻にとっとと回しておきましょうっと♪

「お母様ぁ・・・。彼女の転生さき・・・ここでい~かしら?」
リナスがあたしにいってくる。
リナスは、主に有と無、創造と破壊、再生と破滅を力として担当している。
だからとりあえず、リナスがちょっと、面白いことを思いついたらしく、あたしに聞いてきているらしい。
「あら♪面白そうね♪じゃあ、部下Dのところに決定ね♪」
「あっ!!み~つけたっ♪リナスっ♪」
カウリイがやってくる。
カウリイは、主に光と闇、希望と絶望、誕生と滅びを担当してたりするけど。
つまり、リナスとカウリスは、裏表、相互関係にあるのである。
「い・・いやぁぁぁぁ!!!!!」
まあ、頑張りなさいな♪リナス♪
あんた達の子供って、結構、つかえるから♪
あたしは、全然、オッケーだから♪

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  あとがき:
     やっとこさです!!
     次が、よーやく、フィルさん達との出会いですぅ(爆!)
     スレキャラ登場!突入開始ですぅ!!
     プロローグにちょこっと触れて、で、フィルさんとの出会いに入りますので(汗)
     それでは!!


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