見果てぬ夢・第二話  ~再会、そして・・・・~


あれから、十年。
僕たちは、ディルス王室の近衛兵となっている。
僕は、近衛兵隊長見習いという立場だけども。
「よお!!ガイ!!お前、また女に間違えられたんだって?(笑)」
ルシオが面白そうに言ってくる。
「それを言うなぁぁ!!」
まあ、十八にもなるというのに、まだ、声がわりしてないのである。ぼくは。
しかも、いたって、女顔だし・・・。
この前、ダイアナにブローチのプレゼントを買いにいったときだって、店員に、
「お客様でしたら、こちらのほうがお似合いですよ♪」
といわれてしまうし・・・・。
とにかく、この王宮に勤めだして何回目であろうか・・・・。
はぁ・・・・・。
ルォンお兄さん・・・とと、つまり国王は、笑っているけど・・・・。
くっそぉ・・・・・。
まあ、僕が国王に報告してたときなんか、新しい次女が僕を国王の愛人と勘違いするし・・・・。
思わず、僕は男だぁ!!と叫んだけど・・・。
ちなみに、僕たちが王宮に入ると、同時に、国王も交代している。
つまりは、僕の従兄弟にあたる『ディルス=ルォン=ガイリア』に。
まあ、僕は、よく、遊んでもらってたし・・・・。ルォンお兄さんに・・・・・。
・・・よく、王宮から抜け出て、僕たちと遊んでいたのである・・。
ついこの間、待望の跡継ぎの男児が誕生してるけど。
そんな理由もあって、僕たち―ルシオ、カシェル、ダイアナ、ジェーンは国王の信頼が厚い。
まあ、ダイアナは・・・この若さで、ディルス王室お抱え巫女頭見習いになってるけど・・。
どうも、なんでか、神聖呪文が扱えるだからとか・・・・・・。
そういえば、昔、そんなこと、誰かがいってたよ~な・・・・・。
いや、絶対、あれは、夢!!絶対ぃぃ!!
だって、夢でなかったら、何で、僕たちは、無事なのかが、分からないぃぃ!!
ちなみに、ジェーンもダイアナと一緒に巫女となっているけど。
・・・いいもん!!
もっと、一人前になったら、ダイアナにプロポーズ、するんだから!!
そんなやり取りをしつつの夜の警備である。
「しっかし、平和だよなぁ・・・。」
カシェルが見回りの最中、そんなことを漏らしている。
ここ、最近は、あまり、デーモン発生も目だってない。
そ~いえば・・・・・。
デーモンの発生が少なくなったのは・・・。
僕たちがカタートへ行ってからだったよ~な・・・・・。
「そういえば、ガイ・・お前、ダイアナにブローチ・・プレゼント・・したんだって?」
ルシオが僕に聞いてくる。
「あ・・・ま、まあ・・・。」
僕が顔を赤らめていうと、
「まあ、ダイアナは喜んでいたけど・・・・・・。でも、一応言っておくが、・・結婚はできないぞ?ダイアナとお前は・・・・。」
「ちょっとまってよ!!ルシオ!!それって、ダイアナが巫女になってるから!?」
あまりなルシオの台詞に、思わず、僕は叫ぶ。
それか、妹を取られたくない・・とか?
いや、ルシオはそういう性格じゃないし・・・。
どっちかというと、あっさりしてる性格だし・・・・。
『・・・・・・そういう、問題じゃぁ・・・ない・・・・・。』
ルシオとカシェルが同時につぶやく。
?一体??
そんな会話をしていると。

どっごおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉんんんんんんんんんんんん!!!!!!!!!

いきなり、爆発音が聞こえてきた。

「なんだ!?宝物蔵の方からだ!!」
僕たちは、一斉にそちらに向かってかけてゆく。

ぐるわわぁぁぁぁ!!!!
え゛!?なんで、王宮の中にレッサーデーモンが?!
「ぐわわぁぁぁ!!!」
魔法を使えない兵士達が倒れてゆく。
・・はっ!?ダイアナとジェーンは!?
確か、今日は、二人は、宝物蔵の点検とかいってたはず!!
「・・・・・はじまったわけでは、ないよーだが・・・。」
ルシオがぽつりとつぶやいた言葉は、僕には届いてなかった。
「とにかく!!いってみよう!!」
だだだだっ!!!!
僕たちは、一斉に駆けてゆく。
その間も、デーモン達が大量に発生してたけど、ラティルトぶちかましながら、進んでいった。
やがて、宝物蔵にたどりつく。
その周りには、血を流して倒れている巫女や、兵士の数々。
それに、必死で、回復魔法をかけている巫女や、兵士達の数々。
宝物蔵に近づくと、
「後ろ!!」
叫び声が聞こえてくる。
ぐるわぁぁぁぁぁ!!!!!
しまった!!背後をとられた!?
「虹色暁心激(レイン・フレアアタック)!!!」
聞きなれない呪文が響く。
刹那。
デーモン達は、暁の光につつまれて、消滅してゆく。
・・これは!?
「お兄ちゃん!!ガイ!!カシェル!!」
この声は・・・・・。
「ダイアナ!!」
そこには、ダイアナの姿が。
じゃあ、今の呪文は、ダイアナが!?
「おやおや♡これはこれは♡赤の竜神の力を使える人間がいるとは♡」
虚空より声が響いてくる。
瞬間。
闇がある一点に固まり、錐状になったかと思うと、人の形となりはてる。
黒い法衣に、どこにでもありそうな錫杖。
にこにこと笑っているどこにでもいそ~な、いかにも怪しい神官の男性―。
そして、その手には、ある本が握られている。
『写本!!??』
思わず、僕たちが叫ぶ。
「ふむふむ・・・。やはり、本物ですね・・。これは、」
ぼびゅ!!!!
いうなり、僕たちの目の前で、写本を燃やす神官・・。
僕は、こいつに出会ったことがある・・・・。そう、十年前に・・・。
『獣神官(プリースト)ゼロス・・・・』
「・・・・確か、ゼロス・・・・。」
ルシオ、カシェル、ダイアナ、ジェーンがいう台詞と、僕の台詞は違っていたけど、同時にいう僕たち。
そして、にこにこと笑っていた目を見開いて、こちらを見る。
どん!!
ルシオとカシェルが僕の背中を押す。
「いけっ!!ガイ!!国王に報告を!!」
僕に連絡を頼むルシオ。
「ガイ!!いって!!」
「私たちは、兵士達の回復してるから!!」
ダイアナとジェーンもそう言ってくるけど・・・。
「そんな!?僕だけで!?皆を置いて!?」
瞬間、僕は、あの夢とおもえし、情景を思い出す。
あのときも、僕は、なにもできないままに、皆が・・倒れていったのだ・・・。
あんな、思いは、二度と、したくない!!
僕が躊躇していると、
なぜか、ルシオ、カシェル、ジェーン、ダイアナは顔を見合わせて、
『大丈夫。獣神官には、僕たちは、殺せないから・・・。』
その言葉と同時に、
「空間転移!(ストラル・テレポーション)!!!」
ダイアナの呪文が僕を包み込む。


・・・・・・・・・気がつくと、僕は、王宮の中―国王の部屋の前に立っていた。




「ほう・・・。なぜ、僕が、人間を殺せないとでも?」
ゼロスはいうなり、いきなり精神世界からの攻撃をしかけてくる。
ゼロスは、人間に対しても、制限なく、アストラルサイドからの攻撃ができるのである。
だが―。
「な゛!?なぜ、攻撃が聞かないんですかぁ!?」
ゼロスは一瞬混乱する。
そう、ゼロスが放った攻撃は、ルシオたちには、何のダメージを与えなかったのである。
「だって、一回、死んでるし・・・。」
ジェーンがいい、
「私たち、あの御方の気まぐれによって、死体のまま、生きているよ~なものですし・・・・。」
ダイアナが悲しそうにいい、
「・・・獣神官・・ゼロス。・・・十年前での、カタートに入り込んだ子供達のこと・・・・・。
   ・・・・忘れているわけじゃ、ないだろう?」
カシェルがいう。
「まあ、それでも、攻撃してくるってのなら、・・・相手になるけど・・。」
言って、ルシオは、骸骨の様な杖をいきなり出現させている。
「そ・・それは!?」
ゼロスが驚くが―。
『あら、ゼロス♡その人間達に、手出しはしないでくれる♡あたしの玩具だから♡』
刹那。
声がゼロスにのみ届く。
ずざぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
一気に顔色が変わっているゼロス。
『まあ、そういうことです。』
ルシオ、カシェル、ダイアナ、ジェーンの台詞が重なる。
瞬間、ゼロスは
「失礼しましたぁぁ!!!!」
いきなり空間移動して、掻き消える。
あとには、ただ、残された、人間を回復させているルシオたちの姿が―。





「ルシオ!!ダイアナ!!ジェーン!!カシェル!!無事か!!?」
僕が国王に連絡してすぐ、僕は、ルォンお兄さんと一緒に、現場に駆けつけたのだけど・・・。
そこには、すでに、ゼロスの姿はなかった。
「申し訳ありません。国王、・・・写本・・・燃やされてしまいました・・・・。」
ジェーンが申し訳なさそうにいう。
「何!?と・・ともかく!!怪我人の回復を!!」
国王の命令で、全員が怪我人の回復にあたる。
そして、よ~やく、夜があけ、昼近くなってから、怪我人の手当ては終了した。

そして、僕たちは、国王の―ルォンお兄さんの部屋に呼ばれた。
「・・・で?状況を話してほしいのだが?」
その言葉をうけて、
「その前に・・・人払いをお願いしてもいいですか?」
ルシオがいう。
ルォンお兄さんがめくばせすると、僕たち以外の人間は、外に出てゆく。
「・・これでいいかな?」
「・・すいません。では、僕たちが知っていることを全て、お話します・・・。」
そして、話始めるルシオ、ジェーン、ダイアナ、カシェル。
「写本を燃やしたのは・・・・。魔族です。
  しかも、獣王ゼラス=メタリオムに直属に仕えている――獣神官(プリースト)ゼロス・・・・。」
「写本にかかけていた・・・あの御方・・『金色の魔王(ロードオブナイトメア)』に関する記述を一切、処分していってるよ~です・・・・。」
ルシオとカシェルの交互の説明に、
「なんで、そんなことを知っている!?」
つっこんでくる国王。
「・・・・・昔、僕たち、ガイも含めて・・・カタート山脈に・・・入り込みました・・・・。そのときです・・・・。」
カシェルが説明し、
「まあ、あのときは、私が、赤の竜神の力を借りて、結界張ってたんですが・・・・。」
ダイアナが説明する。
ここからは、僕には、記憶にないことだった。

なんでも、やっぱり、あのとき、たすけてくれたのは、あれが、金色の魔王だったとゆーこと。
ちなみに、あのときいた人間全ては、魔族だったこと。
ついでに、Sと呼ばれてたあの人物が魔王だということ。
気まぐれで、僕たちは助かったということ・・などなど。
そして、もっともおどろくべきことは、

『金色の魔王とは、混沌の海、そのものである。』

という、ルシオとダイアナの説明だった。
そんな報告を一週間ばかり、つづけて―。

やがて、

「―分かった。対策を考えよう・・・。」
国王は、そういって、それから、たびたび、会議を開くよ~になった。
そして・・・・・。

月日は流れて―。

皇太子が十五になろうかというとき。
また、魔族による被害が出たことを受けて、国王は、
「カタート山脈に、侵攻を開始する!!」
と宣言した。
このとき、僕は、すでに、近衛隊長補佐となり、カシェルたちも、国王付きの近衛兵となっていた。
そして―。
カタートへの侵攻の戦争は―・・・・・。
兵士、魔道士、一万人以上ともいえる、万全の体制で、行われるとこと、あいなった。
でも、僕は、何か、いやな予感がするんだけど・・・・。

ともかく、僕の母以外は、僕の親族全て、そして、ほとんど実力のある逸材の人間は、戦いに赴くこととなった。

                                        -続くー


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  あらあら♪よーやく、動き始めたわね♪
  「お母様、ただ今、戻りました・・・・。」
  「母上、ただ今、戻りました。」
  リナスとカウリイが戻ってくる。
  ちなみに、リナスは、全ての虚無と有を。
  カウリイは光と闇をおおまかに任せている。
  まあ、でも、どっちでも、使えるのだけど・・。
  力は。
  「あら♡また、家族が増えてるじゃない♡」
  あたしの台詞に、
  「しくしくしく・・・・」
  泣いているリナス。
  リナスの腕の中には、赤ん坊の姿が(笑)
  まあ、世界の再生で出かけるたびに、
  リナス・・・カウリイに迫られているよーだから・・・・。
  まあ、あたしとしては、力のある存在が増えるのは、大歓迎だけど♡
  「お♪よ~やく、赤の世界のあの星は、カタートの侵攻開始か♡」
  カウリスが楽しそうにいう。
  「そういえば、面白そうだから、ルシオには、Sの欠片を。
   ダイアナには、ルナの欠片を残してるままで、あそこにおいてるんだったわよね♡お母様♡」
  リナスがいう。
  実は、ルシオの中には、まだ、Sの欠片がいるのだけど。
  ちなみに、ダイアナもルナ―スィーフィードの魂の欠片を残したままである。
  だって、その方が面白いし♪
  あの四人の精神は、あたしの元―つまり、混沌の中にあるわけだし・・。
  大本は。
  まあ、だから、ゼロスごときや、Sごときがどうこうしようと、あの四人は死なないけどね♡
  「まあね♡じゃあ、Sの狼狽ぶりでも視て、楽しみましょう♪」
  あたしの台詞に、リナスとカウリイは賛成したのだった。
  さってと♪
  あの人間達で、も~ちょっと、楽しませてもらいましょっと♡


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  あとがき:
    ちなみに、ガイは、まだ、幸福(?)です。
    でも、次のカタート侵攻より、一気に、不幸になります(笑)
    まあ、容姿も声も、全て、変わり果てるのですから(笑)
    ではでは、・・。頑張って、次を打つ込みますのです・・・・。
    次は、カタート侵攻です(汗)あ゛あ゛・・。シリアスがかけないぃぃ(涙)
    それでは。

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