鏡の迷宮
・・・・・・・うっ・・・
遠くなる意識の中で、見えたのは。
周りにある、どこかの木々。
そして・・・・
あたしは完全にと意識を失ってゆく。
おにょれ!・・・あいつにまだわたしはお礼参りしてないのに!
「…ヴァ…ル…」
その名前は忘れてはいけない。
そして、もうひとつ・・・・
ガウ・・・・
だけども、何だか頭の中にもやがかかったかのように。
そのままあたしの意識はやがて、完全に闇にと包まれてゆく。
「・・・・・う・・・ん。」
あれ?
目が覚めれば、そこはどこかの家らしきベットの中。
あたしは・・・・いったい・・・
・・・・・・・あれ?
「あ、気がつきましたね。あなた、リナ=インバースさんでしょう?」
だぁれ?この人?
何かあたしに話しかけてきているこの男性。
この人があたしを助けてくれたの?
・・・・というか、あたしは・・・・・あたしは?
「…リナ?」
それが・・・あたしの名前なの?
「??リナ=インバース?」
何か聞き覚えがあるような気もするけど、それって・・・誰のこと?
あたしは・・・・あたしは誰!?
あ゛あ゛!名前すら思い出せない!?どうなってるの!?
「とぼけてもだめですよ。あなた、リナ=インバースなんでしょう?
とにかく、気づいたのなら、ちょうどいい、こっちにきてください。」
何やらいってきているこの男性。
よくわかんないけど。
もしかしたら、この人なら、あたしのことを教えてくれるかも。
「?どこいくの?」
とりあえず、何もわからないこの状況では、付き従うよりほかにはないし。
そのまま、あたしは、この男性に連れられて。
家の外にベットから起き上がり、出てゆくことに。
どうやらここは、どこかの村らしき場所。
そして、なぜか男性はあたしを村の奥に、奥にとつれてゆく。
?そこに何があるんだろう?
ふと見えたのは、何かちょっとした大きな穴。
「ここです。で、この穴の中を見てもらえますか?」
何やらそういってくるし。
「?」
何があるんだろ?
そう思いつつ、その穴を覗き込む・・・・と。
「おおっと!足がもつれた!」
どっん!
「うきゃぁぁぁあ!?」
完全にわざと、とわかるほどの声を上げ。
あたしに体当たりしてくるその男性。
思わずあたしは足がよろけ、バランスを崩し。
そのまま、その穴の中にと落ちてゆく。
「あ、リナさん、その穴の中に住み着いているコブリンたちを退治してくださいね。お願いしますよ。」
何かそんなことが穴の上から聞こえてるけど・・・
「うきゃぁぁ!・・・・レ・レビテーション!」
ふわり。
思わずとっさに声がでる。
ふわり、と体が浮き上がり。
どうにか怪我ひとつなく、無事に穴の奥にと降り立つあたし。
「まったく!いきなり何してくれるのよ!」
思わずかなり高い位置にとなってしまっている穴の出口の方にとむかって叫ぶ。
まったく、花の乙女が怪我でもしたらどうするのよ!?
って・・・・。
あれ?今、あたし、何かつかった?
えっと・・・・今のは・・・・・
「・・・・呪文?」
よくわかんないけど、今あたしが使ったのは、呪文、と呼ばれるものだ。
と確信できる。
さて、これからどうしよう?
そんなことをあたしが思っていると。
「リナさぁぁぁぁぁぁん!ようやく見つけましたよ!コブリン退治、この私も未熟ながらお手伝いさせてください!」
などといいつつ、何やらかけてくる一人の女の子。
「・・・・・・・・・・・だれ?」
いきなりあたしの手を握り。
何やら手伝わしてくれ、だのといってくるこの少女はいったい?
「いやだなぁ。リナさん、私、キャニーですよ。」
何やらにこにことそんなことをいってくるけど。
「??キャニー?」
あたしが首をかしげていると。
「くすん、ひどい、リナさん、せっかく私がリナさんが、村人に頼まれて、
一人でコブリンの穴にいったときいて、お手伝いしようとおもってきたのに。
いくら以前のことがあるとはいえ、私のことを忘れたふりをするなんて…」
何やらいきなりいじけ始め、しかも、あたしの前でなき始めてるこの女の子。
「・・・え、えっと、いやあの、なかないで?ね?
というか、あたし記憶がないのよ?それに、名前すら。あたしの名前、リナっていうの?」
さっきの男もこの子もあたしのことをリナって呼ぶし。
ならあたしの名前は間違いなくリナなんだろう。
「ええ!?リナさん、記憶が!?」
あたしの言葉に何やら目をみひらきつつも。
「いったいどうして…。まあ、それはおいおいと話すことにして。私はキャニーといいます。リナさんとは知り合いです。」
にっこりと微笑んであたしの手を握ってくるこの少女。
ショートカットにその背に構えた槍が何とも愛らしいけど。
「そうなの?ところで・・・コブリン退治?」
「ええ!この穴の中にコブリンが住み着いて村人が困ってるんです。
で、そんなときにリナさんが村に訪れて、こぶりん退治を引き受けてくれた、とききまして。」
何やらにこにこといってきているこのキャニーさん。
つうか、ひきうけるも何も、あたしはいきなりここに落とされたんだけど・・・・
「とにかく、いきましょう!」
何かこの子強引だなぁ・・・
「・・・ま、いっか。えっと・・・よろしくね。キャニー・・・さん?」
とりあえずこのキャニーさんに確認を取るそんなあたしの言葉に。
「やだなぁ。リナさん、そんな他人行儀な。キャニー、でいいですよ。」
にっこりとほえみかえしてくるこのキャニー。
「んじゃ、キャニー、とりあえず、コブリン退治をして、ここからでるとしますか。」
とりあえずは、どうも話の流れから、退治しないとこの子納得しそうにないし。
後からきっちりとあたしを穴に落としたやつらから依頼料はきっちりともらってやる!
そう固く心に誓いつつ。
あたしはこのキャニーと名乗る女の子とともに。
穴、というか、洞窟となっているこの場所の奥にと進んでゆくことに。
しっかし・・コブリン?
んな、雑魚というかからかえば面白いやつらに脅威している村人たちって・・・
・・・・・・・・あれ?
何であたし、そういうことは覚えてるんだ?
・・・・ま、いっか。
そこは、どうやら、コブリンとかの住処、とかいわれている洞窟だけあって。
なぜだかコブリンたちが大量、とはいわないまでも住み着いているそんな洞窟。
とりあえず、そのまま、奥に、奥にと進んでゆくあたしとキャニー。
変わった性格のコブリンとかなら、光ものとか好きなヤツなら結構なお宝をためこんでるはず!
・・・・って、何であたしそんなことは覚えてるんだ?
というか、すんなりとそんなことが頭に浮かんだし。
ま、いっか。
そんなこんなで、奥に、奥にとすすんでゆくと。
何やらちょっとした開けた場所にとたどり着く。
そして。
「うわ!?って!?あれ!?」
何やら叫んでいるキャニー。
みれば。
その開けた場所になぜかそこに不釣合いな椅子がひとつ。
そしてまた。
その椅子に座っているのは。
なぜか棘付のショルダーガードにドクロのネックレス。
そして、無意味、ともいうべきほとんど布のない服、ともいえないそんな代物。
何かぞくり、と悪寒がするのは、何も絶対に気のせいではないはず。
「…え、えっと。キャニー?みなかったことにして、ここ、でない?」
何か本能がそういっている。
素直につき従うそんなあたしの言葉に。
「あれ?ナーガさんじゃないですか?こんなところで何をしてるんですか?」
何やらどうやらその人物と知り合いなのか話しかけているキャニー。
つうか、まて、絶対に話しかけるな!
何かあたしの頭の中で警鐘が鳴り響くが。
「あら?キャニーにリナじゃない。ひさしぶりね!おーほっほっほっほっ!何ってことはないわよ!
ちょっと道にまよって、この洞窟の中にやってきて、気づいたらコブリンたちのトップに躍り出ているだけよ!
おーほっほっほっ!一人でこの洞窟、出るの怖いし。」
何やらものすっごく耳障りな高笑いをしつつ、そんなことをいっているこの女性。
頭の中で警鐘が鳴り響く。
「・・・んじゃ。そーいうことで。」
くるり。
と向きを変えてその場を立ち去ろうとするそんなあたしの姿をみとめてか。
「ふっ。リナ、見ないふりをしようだなんて。そうは問屋が卸さないわよ!
あなたがここにいる、それすなわち、何やらお宝関係、もしくは金儲け。
それ以外にあなたがこんなところにいるはずがないもの!おーほっほっほっほっ!」
「って、決め付けるな!人間の自覚がないようなやつにそんなことを決め付けられたくないわい!
つうか!あたしはいきなり村人にここに落とされたのよ!ここの住み着いたコブリンを退治してくれっ!って!」
思わずそんなよくいえば、はるか昔の絶滅した悪の魔道士ルック。
そうともいえるそんな格好をしている女性に向かい思わず叫び返すあたしだけど。
というか、こんなやつにそんなことを決め付けられたくないわよ!
「ふっ。おーほっほっほっほっ!ついに尻尾を出したわね!リナ=インバース!
あなたがその程度で素直に聞く、とも思えないわ!
ということは、すなわち、その後に何かお宝の気配がある、ということね!」
「だからどうしてそうなる!」
何かこの人・・・・だよな?人・・・なんだよな?
どーみても人にみえないけど。
というか、誰にはばかることなくこんな格好をしているこの人って・・・いったひ・・・
つうか、あたし、こんな人と知り合いだったわけ?
でも、何か、こう、確かに頭の中でかかわるな、かかわったら話がややこしくなる。
とか警鐘が鳴り響いてるし…
…やっぱり知り合いなんだろうなぁ・・・うみゅぅ・・・
あたしがそんなことを思っていると。
「ふっ。ごまかそうってだめよ!わかったわ。この白蛇(サーペント)のナーガ様も。
その儲け話というかお宝を奪取する計画に参加してあげようじゃないのよ!おーほっほっほっほっ!」
うわっ!?
この人、人の話をまったくきいてないぞ!?
・・・・・・・・・・というか、何かどうもこれが当たり前のような気もするあたしもあたしだけど・・・
「というか、ナーガさん?私たち、ここのコブリンたちを退治しにきたんですけど…」
横で何やらいっているキャニー。
「はっ!そうよ!えっと…ナーガなんかにかまってる暇はないわ!つうか、ここのコブリンたちをとりあえずは追い出さないと!」
そうしてから、ここの村人から洞窟にいきなり叩き落した慰謝料と、コブリン退治の依頼料せしめないと!
まあ、とりあえず、こいつなんかはさんづけなんかしなくて十分。
なぜかそう確信もてるし。
あたしのそんな言葉に。
「ふっ。わかったわ。それじゃあ、ここのコブリンにはよそにいってもらうとして!
リナ!お宝を独り占めしようなんて、そうは問屋が卸さないわよ!
この白蛇のナーガ様も一緒に行動させてもらうわ!おーほっほっほっほっほっ!」
「・・・・って、まてぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
なぜかあたしの抗議の声もむなしく。
勝手にあたしについてくる、と宣言し。
そのまま本気でついてきているこの何か白蛇のナーガ、とかいうこの人物。
つうか、本気でこいつ、人間なのか?
何かこいつのいうこと、コブリンたちが素直に聞いて、
何か洞窟の中の横にと開いている、横穴から、別の場所にと移動していっているコブリンたち。
何でも、ナーガのやつは、この穴を通ってこの洞窟に迷い込んだらしいが…
ふ、深くは追求しまい…何か頭がいたくなりそーだし・・・・
「え、ええと、とりあえず、リナさん?コブリンたちはいなくなりましたし。」
「・・・そね。洞窟から出ましょ。」
なぜかものすっごく疲れたような気がするのは、何も気のせいではないはず。
絶対に。
とりあえず。
あたしは先ほど使った術にて、洞窟から出て村の中にと戻ってゆく。
うーん、この術以外は思い出せないのは…何でなんだろ?
あたし、もっとすごい術が使えてたはず・・・と思うんだけどなぁ?
ま、今はとりあえず!
「とりあえず!村長の家にいって、慰謝料と依頼料をせしめるわよ!」
今はそんなことを考えてもしかたがないし。
今する最優先のことを優先させる。
そのまま、村長の家にいき、依頼料を受け取ることに。
といっても、何かナーガが高笑いしつつ、ほとんど脅迫的に受け取ってたけど・・・
ま、いっか。
人をいきなり穴の中に落としたんだから、それくらいはいいわよね。
「さて、もらった金貨三百枚で、そのあたりで何か食べましょ。それはそうと、リナ?あなた何か元気がないわね?」
村長の家をでて、あたしにそんなことをいってきているこのナーガ。
うっ・・・・
「そ・・それは・・・」
「ま、いいわ。とりあえずそのあたりの食堂にでもはいってから食べながら話をしましょ。」
そんな会話をしつつ。
あたしたちはとりあえず、村の中にある一軒の食堂の中にとはいってゆく。
何かとりあえず、こいつ、あたしをしってるみたいだし。
一応、あたしの記憶がない、というのをいってみるか。
・・・・・絶対に無駄、というのが何かひしひしとわかるような気もするけど・・・
そんなことを思いつつ。
あたしはこのナーガ、とかいう人物(?)とキャニーとともに食堂の中にとはいってゆく。
とりあえず、腹ごしらえは大切よね。うん!
とりあえず、食堂にとはいり。
奥のテーブルにと座るあたしたち。
「あ、おじさーん、スベシャルコースAセット五人前ね!」
などと席につくなり注文をかけているナーガ。
んなに!?
ならば、あたしも!
「あ、あたしはこのメニューの上から下まで全部八人前づつね!」
何かさっきちょっと動いたからか、おなかすいてるのよねぇ。
あたし。
「・・・・・・・・・・・・・・・・あ、私は山の幸セット一人前でいいです…」
何か小さい声で注文をかけているキャニーだったりするけども。
なぜかあたしたち、というかあたしとナーガの注文に目を丸く見開いて驚きつつも注文をとってゆく店の人。
とりあえず、食事がくるまで、ナーガとかキャニーの話を一通りきき。
やがて、食事がやってくるころにあたしの説明にと切り替わる。
「それで?」
もぐもぐ。
何か食べつつあたしにと聞いてきているこのナーガ。
「実はあたし、記憶がないのよ。」
「あっそ。あ、これおいしいわ。それもおいしそうね。リナ、それちょうだいね。」
「ああ!!!ナーガ!それあたしの!おにょれ!ならば、あたしはこの蛸さんウィンナーを!」
あたしが記憶がない、と告白したのに対して。
あっさりとそれを認め、しかもこともあろうにあたしのお皿からお肉さんを奪ってゆくナーガ!
おのれ!ナーガ!許すマジ!
「ああ!リナ、それはあたしのよ!!!!」
カンキンキン!
あたしとナーガのフォークとフォークの合いまみれる音がしばし響き渡る。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
なぜかそんなあたしたちを無言でなぜか冷や汗ながしつつ見ているキャニー。
うっし!
ナーガとあたしの戦いは、あたしの勝利でまくを下ろし。
かくしてあたしはナーガのお皿さんから蛸さんウィナー他、五品をゲットする。
…って、あれ?何か目的が違うような気もするけど…ま、いっか。
まあ、多分、このナーガにいっても、何もわかんないとおもうし。
というか、逆に余計にややこしくなる、と頭の中でなぜか納得できるし。
そんなことを思いつつも、とりあえず、運ばれてきた食事にと手をつけてゆく。
そんなあたしたちのテーブルに。
「あ、あのぉ?もしかしたら、あなた方があのコブリンを退治してくださったんですよね?」
などと、何やら話しかけてくる一人の男性。
「おーほっほっほっ。愚問ね。それ以外の何だというの?」
なぜかビールジョッキを片手に高笑いしているナーガ。
というか、食事しつつのビールはあまりよくないような気がするんだけど…
ま、いっか。
あたしはその隙に…っと。
ナーガがそちらに気をとられている隙に、とりあえず。
ナーガのお皿からめぼしい品物をゲットしておく。
いやしい、というなかれ。
これは、自然の摂理である。
余所見しているほうがわるいんだし。うん。
それに、どうせここのお金だすの、絶対にあたしだし…
何か記憶ないけど、このナーガって…今までに自分からお金はらったことがないような気がするのよね…
だから、これはいわゆる当然の権利!うん!
「まあ、そうだけど。」
とりあえず、何やらあたしにも話しかけてきているようなので。
とりあえず返事を返しておくあたし。
そんなあたしたちの言葉をうけ。
「ああ、やはりそうですか。実は話を聞いてほしいのですが…」
何やら深刻そうな顔をしていってきているこの男性。
うーん、今食事中なんだけどなぁ。
「ま、話を聞くだけならね。」
とりあえず、食事は堪能したいし。
話だけなら食事しながらでも聞けるしね。
そんなあたしの言葉にぱっと顔を輝かし。
「聞いていただけますか。実は、この村はコブリンだけでなく、ヒドラにも困っておりまして…
それで、あの凶悪なコブリンを退治してくださった、あなた方ならば、ヒドラも退治していただけないかと…」
ひどら…ねぇ…
まあ、確かに、村人にはヒドラなんてものはかなりきついかもしんないけど。
…って、どーしてあたし、そーいうこととかの知識はのこってるんだ?
・・・・・・・・・まあ、深く考えまい。うん。
「それで、人にものを頼むのは、それなりのものが必要、というのはわかってるのかしら?」
何やらそんなことを男性にといっているナーガ。
まあ、確かにそのとおりだし。
こいつでもまともなことはいうのねぇ。
そんなナーガの言葉に。
「そうですね。お礼は、ここの食事たべほいだい、というのではいかがでしょう?」
うーん。
食べ放題。
確かに魅力的な言葉の響きではあるが。
でも、ここ、まがりなりにもおいしい、とはいえないんだけど…
でも、やっばり、食べ放題、しかもタダ!というのは捨てがたいわよね。うん。
「食べ放題か…いいわ。その依頼、うけたげる。」
あたしの言葉に。
「リナさん!さすがです!困っている人をほうっておけないなんて!私は今までリナさんのことを誤解してました!」
何かそんなことを横でいってきているキャニー。
って、おいこらまて。
「・・・あんた、あたしのことを今までどんな目でみてたのよ…」
あたしの言葉に。
「まあ、それはそうと、それで?そのヒドラのいる場所はどこなんですか?この私もおともいたします!」
何やらそんなことをいってるし。
つうか、この子、役にたつのか?
・・・・・・・・はっきりいって、あまり役にたたないような気がするんだが・・・
「いやよ。あたしは。といいたいけど…ヒドラごときにこの白蛇のナーガ様がおじけづいた。といわれても癪だし。
それに、リナ、あなた、記憶がないんでしょう?ならいつものような呪文とかも使えないはずよ。
今のあなた一人ではヒドラなんて到底無理ね。
しかたないわ。この白蛇のナーガ様も一緒にいってあげようじゃないのよ!おーほっほっほっ!
何しろこの私はあなたの、生涯最大のライバルなんですからね!おーほっほっほっほっ!」
などと何やらいってきているナーガだし。
う゛っ!?
確かに、それは思ってなかったなぁ。
というか、何でか以前は使えてたと思うような術もすんなりと出てこないし。
まあ、魔道書でも読んだらすぐにでも思い出すだろうけど。
それか、人がつかってるのをみたりとか・・・ね。
まあ、確かに。
今のあたしの状態では、ヒドラには…ちょぴっと苦戦するかもしんないし。
何かひじょぉぉぉぉぉにいやだけど、このナーガでもいたら、少しは違うか…
「と、とりあえず、話はわかったわ。それで?そのヒドラがいる場所はどこなの?」
「それは、この村の…」
とりあえず、あたしたちはヒドラがいる、という山の情報をきき。
今日のところはゆっくり休んで、次の日に出かけることに。
うーん、ナーガと一緒かぁ。
何か非常に別の意味で危険…なようなきがするのは…
…記憶がない今の状態でそこまで思うんだから…そうとうなものなんだろうな…
か・・・・覚悟しとこ・・・・
ヒドラ。
それは、ちょっとしたどこにでもいるようなちょっとした動物。
まあ、小さいときにはそこなりとかわいいが、ほうっておけば、軽く山ひとつ分くらいは大きくなる。
もっとも、ヒドラにもいろいろと種類があるのだが。
中には毒をもってたりする種類のやからもいたりする。
まあ、たいてい世の中でヒドラ、といえば、頭が数個もある凶暴な動物。
というイメージが強いのであるが。
でも、何か、あたし、あれをそのあたりの小石ひとつで倒した人しってるような…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・な、何か思い出そうとするんだけど、身震いが先にくるんだけど・・・
・・・・とりあえず、あまり無理してこのことに関しては思い出さないでおこう。うん。
「ここね。ヒドラがいる山の洞窟、というのは。」
そんなことをいっているナーガ。
あたしたちは今、とりあえず食事を簡単にすませ。
ヒドラがいる、という山のふもとにときていたりする。
「あ、あのぉ?リナさん?」
そんなあたしたちの後ろから、何やら声を震わせて、何やらいってきているキニー。
まあ、こういう場所にはお約束ってやつ?
「へっへっへっ。おじょうちゃんたち、どこにいくのかな?」
「この先にはすすませないぞ?有り金全部おいてきな。
それとも何か、いたいめにあってかわいがられたいのか?んっ?」
何やら、そんなことをいいつつ、数名の男性がわらわらと、横手の森の中からでてくるし。
ラッキーv
盗賊さんたちじゃないv
「おーほっほっほっほっ!笑わせてくれるわね!痛い目をみるのはあなたたちよ!おーほっほっほっ!
痛い目を見たくなかったら、そっちこそ、金目のものをおいて立ち去るのね!おーほっほっほっほっ!」
何やらそんな盗賊たちにむかって高笑いしているナーガ。
そんなナーガの姿をみて。
「?何だぁ?そんな変な格好をしてるくせして、この姉ちゃん、頭おかしいんとちがうか?」
などとそんなことをいっている盗賊その一。
「ちょっと!今のは聞き捨てならないわね!」
自覚してないんかい!
思わず突っ込みそうになるあたしだけど、とりあえず、ここは抑えて。
「ふっ。あんたたちなんかに渡すお金なんかは一銭もないわよ!」
きっぱりと、目の前に立ちふさがる盗賊たちに言い放つ。
「なにぃぃぃい!?こちらが下出にでればつけあがりあがって!!!かまわねぇ。
少々痛いめみせて、後から後悔しても遅いくらいにたぁぁあっぷりとかわいがってやるよ。」
などとねちりとした笑みと視線をこちらにむけてそんなことをいってくるし。
いつ下出にでた!?いつ!?
「おーほっほっほっ!笑わせてくれるわね!」
まずっ!
「キャニー!!伏せて!」
思わず条件反射で思わずその場にと伏せるあたし。
と。
「ボム・ディ・ウィン!!!!」
ナーガの術がいきなり放たれる。
やっぱしかぁぁぁあ!?
なんかそんな気がしたのよね。
つうか、記憶がないのに体が覚えてるあたしっていったい…
ということは、こいつ毎回こーいうこと、してた、ということだな・・・
『うどわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?』
ナーガの放った高圧力の風が、ものの見事に盗賊たちを吹き飛ばし、空たかく舞い上げてゆく。
カーカーカー。
あ、カラスが飛んできてるし。
そんな彼らをちょうどいいえさとおもったのか、カラスがつついていたりするけど。
何か面白いかもv
やがて。
しばらくカラスたちにもてあそばれ。
全身から多少の血を流しつつもそのまま、地上に落下してくる盗賊たち。
どしゃ!
何かものすごい音がしたけど。
「ふぅ。・・・ま、いっか。さって、お金、お金・・・っと♪」
なぜか地面にのめりこんでいるそんな盗賊たちから。
とりあえず、金目のものをすべて迷惑料として没収してゆくあたし。
「・・・あ、あのぉ?リナさん?」
何か横でキャニーがいってきているけど。
「ああ、気にしないのよ。キャニー。こういうやつは、二度と馬鹿な真似をしないように。
その気にならないように、おもいっきり身ぐるみはいでそのあたりに転がしとけばいいんだし。」
あたしの言葉に。
「おーほっほっほっほ!そのとおりよ!キャニー!
このあたりには、こいつらを突き出せる役所とかもないからね!おーほっほっほっ!」
高笑いをしつつ、あたしの横で、こちらもまたごそごそと盗賊の懐をあさっているナーガ。
「・・・・・・・・・」
何かその横でキャニーが無言になっていたりするけども。
とりあえず、金目になりそうなものはすべて剥ぎ取り。
そのあたりにそのまま。
ナーガが何やら術を唱えて拘束し、そのままそこにと転がしておく。
何かまた上空からカラスとかが飛んできて、それら盗賊をつついているけど。
まあ、それはそれ。
「さってと、雑魚もかたづいたし。洞窟にいきましょ。」
「そうね。」
いいつつ、歩き始めたあたしたち。
と。
「ああああ!やっぱり、リナさんとナーガさんだぁぁぁぁ!お久しぶりですぅぅぅぅ!」
何やら甲高い女性の声が、あたしたちの向かう洞窟がある、という山の方から聞こえてくるし。
走ってくるのは、ちょっとしたショートカットの一人の女性。
何か格好から魔道士見習いのようだけど・・・
「・・・・・・・・だれ?」
思わずあたしがつぶやくと。
「そういえば、リナ、あんた記憶がなかったんだったわね。」
あたしの横でそんなことをいっているナーガ。
そして、その見習い風の女の子は、あたしたちの前にと走りより。
「きゃぁぁあ!やっぱりリナさんたちだぁぁ!よかったぁぁ!
コブリンを退治した魔道士さんが、ヒドラ退治にでかけた、と聞いて。まっていた甲斐がありましたぁ!」
などとはしゃいでいるこの子・・・いったい?
「ふっ。それで?クレア、何のようなの?」
どうやらこの子の名前はクレア、というらしいけど。
そんなナーガのせりふに。
「それがぁ。じつは、協会からぁ。今度はヒドラのレポートを出すように、といわれましてぇ。
ですけど、ヒドラってあれじゃないですかぁ。ですからぁ。リナさんたちとご一緒してレポートを仕上げようかとぉ。」
何やらにこやかにそんなことをいってるし。
つ、つうか、ふつう、魔道士見習いにヒドラのような動物のレポートかけ。と命じるか?普通??
記憶ないあたしでもそれは違うような気がひしひしとするんですけど?
「ええと、クレア・・・・だっけ?あなた、あたしのことしってるの?」
とりあえず疑問は疑問で問いかける。
そんなあたしの言葉に。
「ひどい!リナさん、私のこと忘れたんですか!?そんな!?以前吸血鬼のレポートを書くときに手伝ってくれたじゃないですか!?」
・・・・・・・・・・・え、ええと、ヒドラの前は吸血鬼?
・・・・・何かんがえてるんだ?その課題を出している人物は?(汗)
「あ、あのね。クレア、というか、あたし記憶がすっぽりとないのよ。だから、何もわからないわけ。」
とりあえず、何やらいい始めるクレアにと説明しておくあたし。
そして、しばらくのあたしの説明の後。
「そうだったんですかぁ。あ、ところで、リナさんたち、ヒドラを退治しにきたんですよね?
とりあえず退治するのに私もご一緒させてくださいねv」
なぜかあっさりと納得し。
そんなことをいってくるこのクレア。
つうか、あたし、一体全体、記憶あるとき、どんな人物とかかわってるんだ?
などと自分自身に多少の疑問をも感じつつ。
とりあえず、見習い、とはいえ、一応は戦力になるであろう。
というのもあり。
クレアを含めてあたしたちはヒドラがいる、という洞窟の方にとむかってゆく。
しっかし、今のあたしの力でヒドラ倒せるかなぁぁぁ??
そんな一抹の不安を感じつつ…
「おそらく、ここがヒドラの居場所よ!」
などと自身タップりに言い放つナーガ。
確かに、村人から聞いたとおりに、まあ、あるわ、あるわ洞窟が。
しかも、無数、というか十数個も。
この中のひとつにヒドラのいる場所につながっている洞窟があるらしいんだけど。
どうしろっていうんだ?いったい?んな洞窟の中から探しだすって・・・
「というか、確か、ナーガ、あんたコブリンの洞窟、迷い込んで入り込んだ、とかいってなかった?」
そんなナーガに問いかけるあたしの言葉に。
「ふっ。おーほっほっほっ!そんな昔のことは忘れたわ!」
・・何か間違いなく、ここではないような気がする。
うん、ぜっいにそう、間違いなくここではない。
「しっかし…こんな洞窟がたくさんある中から、ひとつの洞窟を選ぶって…」
あたしのその言葉に。
「おーほっほっほっ!何を悩むのよ!リナ!
ならば、ここごと、ヒドラを生き埋めにすればいいじゃないのよ!おーほっほっほっほっ!」
などといいつつ、いきなり呪文を唱え始めているこのナーガ。
「…って、まてぃぃぃぃ!」
「えええええ!?」
「そんな、ナーガさん!?」
何やらあたしたちの抗議の声は何のその。
だがしかし、あたしたちの制止の言葉もむなしく。
やがてナーガの口から力ある言葉が解き放たれる。
ごごごごご!
ずごごごごご!
ごごごごごごぉぉぉぉん!!!!!
あたりに響き渡るはっきりいって、鼓膜が破れるほどの衝撃音。
「だぁぁぁぁぁぁぁあ!あたしたちまで巻き込むなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ふと気づけば、ナーガは目の前にあるがけごと…ではなく。
今、あたしたちがたっている足場ごと、何やら術をかけてるし。
「ちっ!レビテーション!」
あわてて、とりあえず浮かび上がるあたし。
「うきやぁぁぁぁぁ!?」
「おーほっほっほっ!おーほっほっほっ!」
なんか高笑いしつつも、もくもくとあがる粉塵と瓦礫の中にと埋もれてゆくナーガらしき姿と、何やら逃げ惑っているキャニーの姿。
「まったく、ナーガさんにも困ったものですよねぇ。」
ふとみれば、いつのまにやらこちらも呪文を唱えたらしく。浮かび上がっているクレアの姿が。
まあ、この子も魔道士見習い、ということだから。
この程度の術はおそらくつかえるんだろうけど。
「…というか、山ごと…消えてるんだけど…」
あたしたちの眼下では。
ナーガの放った術により。
ちょっとした洞窟がある小山はきれいにと崩れ去っていたりする。
しかも、ちょぴっと近くにある村とかにまで、その被害が拡大していたり…
・・・・・・ええと。
とりあえず、地震、ということをかたをつけよう。
うん。
局地的な偶然の地震、ということはよくあることだし。
「いい?クレア、この山が崩れたのは、地震のせい?わかった?」
にっこりと、笑っていない笑みを浮かべてクレアの肩をがっちりとつかんでおくあたし。
そんなあたしの言葉に。
「それより、私のレポートは?ヒドラがいなくなったらどうするんですか!?リナさん!?」
何やらいってきているクレアだし。
と。
「キューキューキュー…」
いまだにもくもくと粉塵が立ち込めている元山があった場所。
して、何やらがけが崩れてできたであろう、瓦礫のそばから、這い出しているひとつの物体。
「…え、ええと。」
そこにいたのは。
かなりかわいい、手のひらサイズの小型のヒドラ。
「きゃぁvかわいいvあ、リナさん、この子、私がもらってもいいですか?
とりあえず、今の意見には賛成して、口裏はあわせておきますから。」
何かそんなことをいいつつ、その手の平サイズの赤いヒドラを手にとりつつ。
そんなことをいってきているこのクレア。
うーん。
「きちんと面倒みるんだったらいいわよ。でも、約束は守ってね?」
「わかりました。それでは。ヒドラも手にいれたことですし。私はこれで。」
何やらそういいつつも、ヒドラを懐にいれて、この場を立ち去ってゆくクレアだし。
…ま、いっか。
さて、そういや、…ナーガは、うん、大丈夫だろう。
問題は。
「えっと、キャニー、生きてる?」
なぜか瓦礫の下敷きになっているキャニーをひっぱりだしつつ。
とりあえず問いかける。
何か気絶してるけど。
「・・・う、ううん…」
お、いきてる。
「・・・あれ?リナさん?私・・・いったい?」
どうやらショックで記憶混乱があるようだけど。
「ちょうど地震が起こって、瓦礫の下敷きになったのよ。」
まあ、それを起こしたのがナーガとか、そういったあたりの事実はとりあえず伏せておく。
「そうだったんですか?・・・頭がいたい…って、あれ?ナーガさんは?」
あっさりと納得してるし。
・・・・まあ、人間、思い出さないほうが幸せ、ということはあるのである。
うん。
あたしは記憶取り戻したいけど…
キャニーがそうつぶやいたその直後。
「おーほっほっほっほっほっ!こんな程度でこの白蛇のナーガ様がどうにかなるとでも!おーほっほっほっほ!」
などといいつつも、瓦礫の下からいきなり高笑いしつつ、立ち上がっているナーガの姿。
しかも、無傷!?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・こいつ、本当に人間なんだろうか?
「ちょ、ょっと!?ナーガ!?」
あたしが思わず問いかけようとしたそのせつな。
「ぐぉぉぉぉぉぉぉんんんんんん!」
聞き間違えのようなうな、怒りにみちた、何かの動物らしき声があたりにと響き渡る。
視線を声のしたほうにとむければ。
ガラガラガラ…
何やら瓦礫の下から出てくるのは。
ちょっとした大きさをもっている赤い、赤い、頭が十本あるヒドラの姿。
「うきゃぁぁぁあ!?でたぁぁぁぁ!?」
何やら叫んでいるキャニーに。
「あら、この子も頑丈ねぇ。まあいいわ!おーほっほっほっ!
このナーガ様が、食べ放題のために、今ここで引導を渡してあげるわ!」
などといいつつも、そちらにむかい。
何やら言い放っているナーガだし。
「…みゅう…。」
何かあたし、頭いたくなってきた…
つうか、何かもうどうでもよくなってきたし。
頭の中で何かの警鐘が鳴り響く。
ナーガにこれ以上術を使わせるのは危険だ。
と。
そして、ふと。
唐突に頭の中にと浮かぶ文字。
「ブラスト・アッシュ。」
ぽびゅっ!!!!!!!!
あたしの力ある言葉に従い。
黒い何かが、ヒドラの方にとむかっていき。
そのまま、ヒドラの固体のみをそのまま無とかしてゆく。
「ちょっと!リナ!私の活躍は!?」
「どやかましい!これ以上事態をややこしくさせるんじゃない!ともかく!とっととここから立ち去るわよ!」
そうよ。
ここでのんびりしてたら。
それこそ役人とかに捕まるじゃないのよ!!
何やらいまだに抗議の声をあげてくるナーガをひこずりつつ。
そのままその場を後にしてゆくあたしたち。
つうか。
やっぱ、あたし、威力ある術、使えるのよねぇ。
でも、術を使った後、むちゃくちやに体がだるいのは・・・何でだろ?
・・・・ま、いっか。
考えてもしかたがない。
とりあえず、ビトラも退治したことだし!
依頼のお食事さん食べ放題にむかうとしますかね!
そのまま、逃げるよう・・・・もとい、依頼を果たした報告を早くするために。
あたしたちは村にと戻ってゆく。
さって、食べまくるわよ!!!!
−続くー
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あとがき:
薫:・・・とりあえず、やっぱ前、中、後編。
というのは無理ですね(まて)
普通に連載で、なるべく10以内完結めざそう、うん。
流れ的に…大丈夫・・かなぁ?(汗)
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