~スレイヤー・パニック   ~依頼の理由……~

「……え……えっと……」
思わず頭を抱える。
…なぜにあからさまに【人】とは思えないモノたちが町の中を練り歩き…
こともあろうに、草むしりや、ゴミ回収をしているのか。
しかも、なぜか、しくしくとなきながら……である。
町の人たちにいたっては、顔色も悪く、一切口を聞くこともなく足早にとその場を立ち去ってゆく。
「…何で魔族が草むしりなんかしてるんだ?」
じと目で横にいるゼロスをみているゼルガディス。
これが本来、その存在の本質がわかれば、当然の反応なのであろうが……
「…ですから…その復活した魔王様の息子さんの命令なんです……」
しくしくしく……
「「……??」」
だくだくと涙を器用にも流すゼロスの言葉に首をかしげるリナ達。
…と。
「…あれぇ?もしかして?」
何やらリナにとってはあまり聞きたくない、弱弱しい声が前の方から聞こえてくる。
…ひきっ。
思わず顔が引きつるのが自分でもわかるリナ。
「…げっ!?」
小さく叫んで硬直しているゼルガディス。
…実はリナとゼルガディスはその声の主に心当たりがあるがゆえに……

「お久しぶりですぅ。あ、もしかしてこの僕の新しい部隊を見にきたんですか?」
いいつつも、よたよた、よろよろ……
挙句はむせこみ、今にも倒れそうな一人の青年。
ひょろっとしたまったく肉のついてないからだに、色のない肌。
ちょっと触れればそのまま、ぽきり、と折れてしまいそうな…
そんなまるでモヤシのようなその男性。
ひくくくっ!
コメカミが引きつるのを確かにリナとゼルガディスは感じ……
「…いい天気よねぇ」
「そうだな」
などと気づかないフリをしていたりする。
「なあ?リナ?このよわ……」
ダダッ!
弱そう、そういいかけたガウリイの側に瞬時に駆け寄り。
「ガ~ウ~リ~イ!いらないことはいわないの♡」
いいつつもガウリイの首根っこをつかんでいっているリナ。
はっきりいって目が座っている。
そんな中。
「?あ、あの?あなたは?」
首をかしげ問いかけているアメリア。
「あ~。あなたには初めてお目にかかりますねぇ。
  僕、この町の自衛団の環境部主任のジェフリーといいますぅ。
  でもママが僕の為にと用意してくれた部下たちのおかげで、
  この町どころかこのあたり一体僕のテリトリーなんですよ。
  僕の実力からして当たり前ですけどぉ。
  ママがぁ。ゆくゆくはぁ。僕に王になる資格があるってぇ、いってますしぃ」
果てしなく嫌な予感は…気のせい…であって(くれ)……
リナとゼルガディスの思いが一致したその刹那。

「…どうしてこんな弱い人間が新たな冥王様に……」
ごがっ!!!!
ばきゃっ!!!
どごめす!!

横でいじいじと草をむしっていたとある魔族Aが思わず愚痴をこぼしたその刹那。
「弱い!とは何ざますか!!弱いとは!ウチのジェフリーちゃんほど優秀な子はおりませんことよ!!
  世界の王ですらこの子には当たり前すぎるほどの力をもってるざます!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なぜか覆面をし、
その手にハンマーをもっているちょっとぱかり太った女性がいきなり真横の空間より出現し。
その魔族を殴り滅してゆく。
そして。
「?あ、あのぉ?」
首をかしげるジェフリー、と名乗ったその人物の問いかけに。
「あら、おほほほほ♡気にしないでくださいね。私、単なるとおりすがりですので……」
すすっ……
そう言い放ち…再び空間にと解け消えてゆく…
そんな姿をみて。
「最近多いですねぇ。とおりすがりの人がそのあたりの人を殴っていきなり消えてくのって……」
ベシャ!
そんなカレの言葉に思わずこけるリナとゼルガディス。
「「…ゼ…ゼロス…マサカ…【アレ】がそうなんじゃ……」」
ぎぎぎぃぃ…
起き上がりつつ、ゼロスを見つめるリナとゼルガディスのその言葉に。
神妙な面持ちで。
「…そのマサカです……」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~!!」
「いやだぁぁぁぁぁ~~!!!」

…思いっきり、リナとゼルガディスの悲鳴としか言いようのない絶叫があたりにと響き渡ってゆく…
そんなリナ達をみつつ。
「…?一体?」
「さあ?」
首をかしげているアメリアとジェフリー。
そして…リナをなだめるガウリイの姿が、しばしその場にて見受けられ……


「…あのジョセフィーヌさんが母親の本能とかといって、
  …なぜか、魔王様の欠片を宿していたらしいんですけど……
  精神力で魔王様…のっとったんです…しかも、滅んだ冥王様の代わりを【彼】にやらせて…
  僕たち全員をこき使いつつ…【彼】にこの世界を治めてもらう…とかいってまして……」

……獣神官ゼロスの言葉のみがただむなしく、風にと響き渡ってゆくのであった………


                           -つづく(?)-

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あとがきもどき:
ジョセフィーヌさん、魔王をのっとって力を使いこなし、魔をこきつかってます。
しかも、息子にくっつけて(汗)
で、ジェフリーの悪口いった輩は問答無用でどつきたお・・・もとい、滅ぼしてたりしたりします・・・・・
精神上、魔族は元々本来は精神生命体であるがゆえに、
かなりの数の魔がすでに滅んでる現状です…
つまり、どうにかしてほしくて、魔の最高幹部たちの会議でリナ達に依頼をすることが決定した。
というわけですv

さて、次回・・・リナ達の下した結論は??

2004年12月11日某日

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