まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちら

ようやくレゾ登場v
ちなみに、結構ルルをネコかわいがりしているレゾを書くのはたのしかったり(笑
何はともあれ、いっきますv

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If  ~もしも…~取引…そして・・・~

「……な゛……」
ゆっくりと振り仰げば、そこに浮んでいる一つの赤い影。
「レゾ!?」
「「レゾ殿!?」」
ルルとロディマスとゾルフが叫ぶのがほぼ同時。
そしてまた。
「赤法師レゾ!…って、その腕の中の……」
よくよくみれば、その腕の中に小さな子供らしきものを抱きかかえているレゾの姿がそこにある。
そんなウィルの言葉に。
「ああ、この子のことですか?私が今は忙しい、というのに。
  この子の母親がぜひ病気を治してやってほしい、としつこくてね。
  で、母親には死んでもらったのですが…
  ついでにこの子を使って私がどんな手段を用いてもアレを手にいれたいと思っている。
  というのをあなた方にわからせようかと思いましてね。
  ついでにルルティーへの見せしめにもなりますし。
  これをみたら、私の元に戻ってくる気になるでしょう?」
にこやかにふわふわと浮びつつ言い放つレゾの手の中にいるのは、まだ幼い男の子。
いきなり、母親が目の前にレゾに殺され、そして気がついたらレゾにと捕まり。
そして…今はなぜか空中にと浮んでいる。
幼い思考力では、何がどうなっているのかわからない。
泣き叫ぼうにも、あまりの恐怖に声がでない。
にっこりと笑い。
そして。
すっ。
ゆっくりとその手を離そうとするレゾ。
「何をするんですか!?」
それをみて思わず叫ぶウィルに対し。
「交換条件ですよ。あなた方が素直にアレを私に渡してくれれば、この子は無事に戻しましょう。
  ですが…どうしても渡さない、というのであれば……」
にっこり言い放ち、その手をゆっくりと手放してゆくレゾ。
それと共に。
あまりの恐怖に声もなく、ただただ、声を当人は出しているつもりなのであるが。
口をばくばくさせ、恐怖の表情を浮かべている男の子。
「卑怯ですよ!」
そんな叫ぶウィルに。
「どこがですか?
  …ああ、やっぱり一人で生きていくのは大変ですしね。では、やはり手を離しましょう」
ぱっ。
「……!!!!!!!!」
浮遊レビテーション!!」
そんなウィルの言葉に続き。
にこやかに、何でもないように子供を抱きかかえている手をばっと広げる。
それと同時に。
レゾの手にと捕らわれていた子供がまっさかさまにと地面に向かって落ちてゆく。
それをみて、あわてて術を唱えるているウィル。
「おや…」
がしっ。
どうにか空中で子供をつかむが。
だがしかし。
「ひっかかりましたね…」
低い、レゾの声が辺りにと響き渡る。
ふと、抱きかかえた子供を見れば、次の瞬間。
ぼごっ!
「っっっっっっっっっっ~!!!」
声にならない悲鳴を上げて、子供がもがきだす。
それと同時に。
その皮膚という皮膚から、何やら蔓のようなものが体内より飛び出してくる。
そして、その蔓は、そのままウィルの体を包み込み……
「さあ、おとなしく女神像を渡さないと、そのまま、その蔓に絞め殺されますよ?
  ああ。いい忘れてましたが、その子はすでに、その植物の種を植え込んでますから。
  発芽したら助かりませんよ。ちなみに、その植物は動物の体液を糧としてますから。
  早くしないとあなたも食べられてしまいますよ?」
にこやかに何でもないようにとさらり、と言い放つレゾ。
「何ということを!」
それをみて、叫ぶロディマス。
罪もない子供を利用するなどとは…かつてのレゾからは考えられないこと。
全身から蔓を生やし、そして、そのまま息絶える子供。
だがしかし、植物のほうはまだ生きており、そのままウィルの体を絡め取ってゆく。
「くっ!」
下手に術を使おうものならば、ウィルまで巻き込みかねない。
「その植物が苦手なモノはここに。女神像と引き換えですよ」
ゆっくりと、そんなことを言いながら。
リナン達の横にと舞い降りてくるレゾ。
迷っている暇は…ない。
その間にも、ウィルはどうにか植物から逃れようともがいているようであるが。
どんどんとその全身が絡めとられているのが明白。
「…先に、ウィルを開放したら、これを渡す」
いいつつ、先ほどウィルから手渡されていた女神像を手に、レゾのほうにと話しかけるリナン。
すでに、蔓に絡まれ、ウィルはそのまま地面にと落っこちてきている。
それは、どうにかリナンが風の術をかけ、落下速度は低くなり、怪我などはないものの。
だが……
「信用できませんね」
そんなレゾの言葉に。
「ならば、こっちがこれをもっていくから。それをこちらに」
レゾがもっているのは何らかの液体がはいった小瓶。
それがどうやら植物を枯らす薬であることは、
伊達にリナンは姉から様々な知識などを叩き込まれてはいない。
それゆえにわかる。
「いいでしょう。少しでもおかしなまねをしたら、これは叩き割りますからね」
そんなレゾの言葉をうけ…
そのまま、ゆっくりと。
女神像を手に…レゾにと向かってゆくリナン。
もし、中に入っているのが屑だけだ…と相手にいまバレたら、それこそウィルの命はない。
すでに、中に入っていた賢者の石は…精製しているがゆえに、
成分の少ない部分のみが中に石の状態で残っているだけなのだからして。
だが、レゾはそのことは知らない。
ならば。
中に賢者の石が入っている、と思わせておいて…何よりもウィルを助けるのが先決。
やがて。
レゾとウィルが向かい合い。
そして。
その互いにもっている品物を交換し。
「ララ!これを!」
レゾからこびんを受け取り、すぐさまにララにと投げているリナン。
それをキャッチし。
急いで蔓にと巻かれているウィルの元にと駆け寄り、その小瓶の中の液体をその植物にと注いでゆく。
どろっ……
やがて。
その液体が効いたのか、体を覆っていた蔓はどろりと溶け。
そして、その中から、とりあえずは無事なウィルの姿が垣間見えてゆく。
「ほっ……」
リナンがそれを確認するのと同時。
リナンから受け取った女神像を軽く握り。
そして…
パッキィィン…
そのまま、その力をもってして女神像をこなごなにと壊し、中にある石を取り出しているレゾ。
「ふふふ。ついに手にいれましたよ。これです。これこそが……」
これこそが、捜し求めていた賢者の石。
実物は見たことはないが、確かに感じる魔力の波動。
「ふむ…あまり効果はなさそうですね…ですが……」
伝説に伝えられているほど、あまり効果が何となく手にした波動から感じるのは期待ではない。
ならば。
よりよく効果を発揮するためには。
そう言い放ち。
そして。
ごくっ…
そのまま、その像の中にと入っていた石を飲み込んでゆくレゾの姿がそこにあったりするのだが。

「ウィルさん、大丈夫ですか?」
ルルの言葉に。
「どうにか…って…助けられませんでした……」
みれば、すでにミイラと化した先ほどまで生きていたはずの男の子の姿がそこに転がっていたりする。
体液をすべて植物に吸い取られた結果、ミイラと化してしまったのであるが。
ウィルをどろどろに解けた植物の中より救出しているルル、ララ、そしてロディマスにゾルフ。
ふと。
「リナン!すぐにそいつから離れろ!」
『…マスター、気配が…』
彼らがウィルを助け出すのと、レゾが石を飲み込むのとほぼ同時。
ララの叫びと。
ゴウッ!!!!!!!
次の瞬間…
辺りに、風もないのに、いきなり突風が吹き荒れる。
レゾを中心に…何かとてつもない力が…集まってゆく。

「って!?もしかして、アレだけでも危険だったのか!?」
よもや、まさか、賢者の石の屑だけで、アレが目覚める…などとは。
夢にも思っていなかったが故に、思わず叫ぶリナン。
そして…

「ふ……ははは!見える、見えるぞ!!目が!!」

吹き荒れる突風の中…その中心に立たずむレゾがゆっくりと目を見開く。
その見開いた両目は…真紅の紅き瞳……

そして、それと同時に。
『…どうやらこれは不完全…というか屑であったようだが…
  ……だが…我が目覚めるきっかけとなるのは十分……』
「?!」
自分の中から別な声がするのに驚くレゾ。
『我、ここに目覚めたり…』
「…な゛!?何!!!!!!!?うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!」

その瞬間
レゾは叫びとともに…その体を変化させてゆく……

「…って!?ゴルンノヴァ!?屑でも魔王が目覚めるのか!?」
『…いってませんでしたっけ?』
「「聞いてない!!!!」」
あわてて、ララの横にと駆け寄り、がくがくとララの剣をつかんで何やらいっているリナンに。
ララとリナン。
二人まったく同時にそんな声が発せられる。
「…な゛…あれは…まさか…・・・」
辺りに満ち溢れるのは…間違えようのない…濃い瘴気の渦……

レゾの魂のうちにと封じられていた七つの欠片のうちの一つが。
賢者の石…といっても、リナ達がある程度成分を精製してのけていたので、完全ではないにしろ。
それは…魔血玉デモンブラットと正式には呼ばれている品物。
それは、赤眼の魔王・シャブラニグドゥの魔力の集合体であるがゆえに……

ゆっくりと…かつて、赤の竜神スィーフィードにかけられし、七つの封印が。
今、まさにレゾが賢者の石を飲み込んだことによって…解き放たれているのであった。

レゾの魂のうちに封じられていたもの。
それは…
この世界の闇を統べる・・・赤眼の魔王・シャブラニグドゥ……


                              -続く?-


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あとがきもどき:
薫:次回でとりあえず完結ですvv
  ちなみに、レゾが種を植え付けた子供。
  家族は母親だけでした。・・・賢者の石が手にはいらなくて。
  あまつさえ、ルルが自分の元からいなくなり・・・いらいらしているところにやってきた母子。
  ・・・・・・・・・・・・・気の毒、というか哀れ・・・というか・・・・・・・・
  子供を助けるために、がんばってやってきたのにね・・(汗)
  何はともあれ、次回でラストvそしてエビローグですv
  ちなみに、意見があれば、二巻、三巻分・・・と続いていきますvこれv
  んではではvまた次回にてvv
  2004年12月31日某日

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