まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。
ううん・・・・・。よし!!!!!
悩んだ末に、ゼルガディス偏だ!!!!
ではでは♪
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神託の行方~第3話~
何があったというのか。
全身白尽くめの彼はぼやきとおしている。
世界を覆う、不思議な現象。
とある町では、やたらと寒く。
とある村ではやたらと熱く。
こういった、異常気象が起こっていたのは、ほんの数日前まで。
とある日をきっかけに。
世界を覆っていたいやな気配も消え。
レッサーデーモンたちなんかの亜魔族の大量発生もとりあえずは止まり。
だが、発生したデーモンはいなくなったわけではない。
今日も今日とて、旅をしていると、商人がデーモンに襲われている。
そんな情景が日常的となりはてている、今現在。
あの感覚は、なんとなく記憶にある。
以前、自分にしては、唯一。
仲間と認める彼らと出会ったときの、初めての事件。
あのときの感覚に等しいものを感じた彼。
原因を探ろうとしてたら、いつのまにか、その気配すらも立ち消えた。
多分、おそらく、またあのお二人さんが絡んでいるのだろう。
彼は今日もまた。
自らの身体を元に戻すべく、その方法を探すあてのないたびを続けていた。
以前ほどは、この身体をうとんじたことはない。
なぜならば、この身体でも、うけいれてくれる仲間がいたから。
それでも、やはり人間の身体に戻りたい・・・・・と願うのは。
当然のことだと彼は思う。
待っているといってくれた人のためにも。
のんびりとはできないのだ。
早く、解決方法を見つけねば。
まだ、告白すらしていない、そっと想い続けている。
黒い髪の少女のことを考えながら。
彼―。
赤法師レゾの血縁にして、彼の孫。
孫なのに、レゾの手により、力を求めたら
人ではなく
― ゼルガディス=グレイワーズ。
以前は、レゾの狂戦士とか呼ばれていた時期もあったが。
彼は今。
自らの身体を元に戻すべく、あてのない旅路をすすんでいた。
「……神託?」
とあるもぐりの宿屋で誰かが話しているのをきいた。
「何でも世界中に下されたそうじゃないか」
「誰かその意味……わかっているのか?」
「俺は、世界にとんでもないことが起るのを期待するな」
平和になれているからその台詞・・か。
ゼルガディスは、それを聞き流そうとする。
「それで?何て神託なんだ?」
ゼルガディスの斜め後ろで、食事をしていた男性二人組みの会話。
「それがだな。わかりにくいったら。
『紅き星より分かたれし 7つの光 2つの光 闇へと返りゆかせし
純粋なる真実の意思 思いゆえにこそ誕生せし
尊き光 招き入れざる 器とあいならん 暗き深遠の闇に ニ筋の道をつくりたもう 』
だってさ。七つの光なんて。なんのことやら……」
……がしゃ。
思わず、フォークを落としそうになるゼルガディス。
……まさか、まさか、まさか!?
七つの光……それすなわち、七つに分たれた魔王シャブラニグドゥのことではないのか?
紅き星というのもうなづける。
そして。
彼は、もっと驚愕したのは。
『純粋なる真実の意思』というくだりだった。
『私は…かつて、リナと呼ばれし存在の意思によってこの地に現れた。
それは・・おのれの全てと引き換えて、その男の命を・・助けること』
かつての、サイラーグの出来事が脳裏によみがえる。
『リナと呼ばれし者の、純粋なる意思 真実の願い 尊き願い 誠の意思 純粋なる心
その想いゆえに 我はここにある』
金色に輝く、かつて仲間だった彼女が語った言葉。
……まさか!?
純粋なる真実の意思とは……まさか!?
ゼルガディスは驚愕する。
この神託は――自分にとっての、大切な仲間。
リナ=インバースと、ガウリイ=ガブリエフを指しているのでは?
ということに、彼は気づいたのだ。
「だがよぉ。器ってなんのことだ?」
「まさか、誰かに誰かが乗り移るとがたったりして…がははは!!」
完全に高笑いしている後ろの男達。
……まさか!?
まさか、またリナがあれを召喚するとかいうのでは!?
ゼルガディスに冷や汗が走る。
あのときは、気まぐれなのか、二人は確かに無事に戻ってきた。
だが……
二度はないはず……
あれのは、『我が意思こそ 我が力 我が力こそ 我が意思』といっていたという。
……ならば、闇そのものが、あれの正体だということになる。
闇の正体は…おそらく……
全てを抱擁しているという……混沌の海……
ゼルガディスがそんな考えをめぐらして、冷や汗ながしているところに。
「二筋の道ってなんなんだろうなぁ?」
「さぁなぁ?ひょっとして異界の道ができたりして!」
「まっさかぁ!!!」
二人して笑っている後ろの男達。
単なる会話。
だが、会話の中にも真実は含まれる。
― そう。
彼らが冗談としていった言葉の中にも。
「それで、御偉いさんは、どうするって??」
「なんでも、ゼフィーリアにいるらしい
「ああ。あれって、噂じゃなかったのか?スィーフィードナイトは?」
「本当にゼフィーリアにいるらしいぞ?」
がたがたがたっ!!!!!
ゼルガディスは立ち上がる。
「おい!!!!お前ら!!!今の会話…本当か!?」
彼らに聞き返すゼルガディス。
「な゛…なん゛たよ??神託のことか?」
驚く男二人連れ。
「違う!!その後だ!!」
ゼルガディスの剣幕に。
「ああ。いるらしいぜ。
もっとも、俺はゼフィーリアのゼフィールシティにいるらしい。というのしか知らないがな」
答える二人連れの中の一人。
「というか、好きこのんでゼフィール・シティにいく馬鹿はいないよなぁ」
「ああ。どこかの盗賊連盟が刺客を送り込んで。全員音信普通になったらしいしな」
のんきに会話している男達。
生きているわけがないのだが。
まあ、手加減一発、岩をも砕くのお国柄。
そんなところに盗賊や暗殺者がいったところで、返り討ちにあうのが関の山。
それに、ゼフィーリアには、彼女がいるのである。
「ありがとうな!!!!」
ゼルガディスは目を輝かす。
噂には聞いていた。
赤の竜神の力を宿した人間、
裏の世界でも、有名だった。
だが、それが、何処にいるかまでは、彼は知らなかったのだ。
噂は噂。
どこまで真実か、偽者か。
だが、彼は。
この四面楚歌の状況で。
望みをかけていってみることにした。
「ゼフィーリアのゼフィール・シティか……確か、リナのやつもゼフィーリア出身だったな……」
一度、かの御方に身体を完全に乗っ取られた栗色の髪の仲間を思い出し。
「……そういや、リナには姉がいたな。
……そこから、探ってみるか。何かの手がかりにはなるかもしれない」
ゼルガディスは、いって、次の目的地を。
ゼフィーリアのゼフィール・シティへと定めたのだった。
……まさか、リナの姉が当の本人だとは夢にも思わないまま……
ゼルガディスがゼフィーリアに出発を決めたその前後の日。
ここ、セイルーンでも。
「一度、神託について、スィーフィードナイト殿の意見も聞いたほうがいいのでは?」
会議にて。
そういう意見が飛び出した。
「ルナ様ですか?ですが、ルナ様はバイトが忙しくて、これませんよ?」
会議に出席しているゼフィーリア王国代表。
出席しているのは、普通の人間の女性。
普通といっても、ゼフィーリア王宮に仕えている神官である。
彼女もまた、自分達の国の存亡意義を、仕えるにあたって、叩き込まれていたりする。
そして……
『……ルナ?』
スィーフィードナイトの本名を知らない人々が聞き返す。
「
どんがらがっしゃぁぁぁぁんん!!!!
その台詞に、こけているエルメキア王国代表に、ディルス王国代表。
『イイイイイイインバース!?』
彼らの脳裏には、きっちりと。
リナ=インバースの姿が浮かんでいたりするのだが。
「ええ。そうです」
「……ひょっとして…妹とか…姉とか……いたり…するか?」
汗をながしているルヴィナガルド共和国の代表者。
すこし、髪に白みがかかっているその男性は。
なぜか、適任がいないからとかいう理由で、
代表に選ばれている共和国。特別捜査官。ワイザー=フレイオン。
「妹??ああ、リナ様のことですか?ええ。いらっしゃいますよ。リナ=インバース様が♡」
どんがらがっしゃぁぁぁぁぁぁんんんん!!!!!!!
その言葉に。
会議に出席していた全ての参列者達は……一斉に椅子からころげおちたのだった。
リナ=インバース。
その名前は、よくも悪くも。
いまや、世界中に響き渡っていた。
アメリアのおせっかい…もとい、冥王を滅ぼした人物の一人として……
「ええ!!リナさんのお姉さんですか!?私がいきます!ねっ!いいでしよ!!父さん!!」
アメリアがそれを聞いて。
父親であるフィリオネルに自分がゼフィーリアにいくと言い始める。
あの、リナさんのお姉さん。
リナさんがあんなに恐れるお姉さん。
それは、スィーフィードナイトだったからなのですね。
ってことは、リナさんのあのむちゃくちゃな性格も、その辺りが原因ですね。
極まりなく、失礼なことを思っているアメリアなのである。
「まあ、いいか。グレイシアも戻ってきたらからな」
アメリアと一緒に、戻っているナーガ。
フィルと一緒に。
外交などをこなしているのだが。
……ぼろというか自がでないことを祈るばかりである……
「一人の方が気が楽です!!ついでに、正義を広めてきます!!」
アメリアはそういって。
一人でセイルーンを後にした。
王女を一人で旅立たせるセイルーン王国……
今後がかなり心配の国ではある。
とある宿の食堂で。
アメリアとゼルガディスは食事をする。
出会いは、いつも、唐突に。
ー続くー
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