狭間の選択     〜ガウリイの作戦?(笑)〜


    
じゃらり。
宿の一室で。
マントを広げ。
満足そうな笑みを浮かべて床にと座っている。
栗色の髪に紅の瞳をしている少女。
「・・・・なあ・・リナ、何やってるんだ?」
そんな少女に語りかけているのは。
長い金髪に、碧い瞳の女性。
身長はもう一人の少女より、少し高い程度。
はっきりいって。
美人の特性である金髪碧眼という思いっきり。
定番過ぎるほどの美貌を持っていたりするのであるが。
「何ってvvララv見てわかんない?」
「・・・・・それって・・・さっきの盗賊の品物だろうが・・・。」
あきれつつ、溜息まじりのその言葉に。
「だぁ!あんたわぁ!折角!
   女性になったら、綺麗なんだから、言葉遣いを直しなさいよね!」
ぴしっ!
そんな彼女に指を突きつけているのは。
彼女の名前をリルナ。リルナ=インバース。
まあ、世間一般では、リナ=インバースとして、名前が通っているのであるが。
「そういうリナの方こそ・・・・。」
じと目で睨むその言葉に。
「私はいいの!」
きっぱり、はっきりと断言してゆく。
「だったら、言葉遣いを治す気がないんだったら・・・。
   旅をしている時もその女性の姿でいろよな・・・。」
ぶすっとしていうその言葉に。
「それは、私の台詞よ!あんた、そんなに綺麗なんだから(はあと)
   何で旅するのに、男性になってるのよv
   もったいないvその容姿だったら、簡単に。
   騙されて引っ掛けられるでしょうに。お金のなる木とかv」
「・・・・・お゛い゛。」
「まあ、私は、やらないけど。そんなに安い女じゃ、私ないしv」
「そういう割りに。まだ知り合ってない俺と。
   同じ部屋で、よくまあ、いけしゃあしゃあといえるなぁv
   お前、危機感、ないだろ?」
くすり。
そう笑っているのは。
リナの旅の連れ。
といっても、先日一緒に旅をし始めたばかりの。
ルシフェル=ララァ=ガウリイ=ガブリエフ。
世間ではガウリイ=ガブリエフとして。
その傭兵としての実力を。
知らないものなど、その筋ではいない。
まあ、違う筋では。
ルシフェル=ガブリエフとして。
名前が通っているという事実もあるのであるが。
そんなガウリイの言葉に。
「へ?何を危機に感じるってのよ?あんたは仲間なのに?」
まったく危機感を持ってないリナ。
「そ・れ・に!二人で一部屋だと!安上がりなのよ!
   それに、ララちゃん、美人だしv私も結構美少女だから♪
   宿代まけてもらえるじゃない♪」
うきうきとしてきっぱり言い切るリナの台詞に。
「・・・・も・・・・いい(涙)」
うう・・・。
リナ・・・・全然俺を男としてみてくれない・・・・。
まあ、確かに。
今は女の姿だけどなぁ・・。
俺の本質は男だって!いってあるのに!
心でかなり泣いているガウリイ。
夕方。
近くにある盗賊のアジトを急襲し。
軍資金もとい、彼等が溜め込んでいたお宝の全てを。
彼等が二度と悪さをしないために、という理由で、全てリナは没収し。
とりあえず、それを続けて二件。
「でもまあ、そこそこって感じよね♪」
明日には、魔法道具屋(マジックショップ)がある。
そこそこには大きな町に着くし。
それまでに。
ちょっと、細工をしておいて。
高く売れるものは、売れるようにしておかないとねv
リナはそんなことを心で思いつつ。
マントの上にと、奪ったお宝の数々を並べてゆく。
「はいはい!ほら!ララも手伝う!
   あんたも出来るんでしょうが!」
「はいはい。リナ姫には逆らいませんよ。」
「よろしい。」
いって。
ん?
「ちょっと?何で私が姫なのよ?」
ふとようやく疑問に思い。
隣にいるララにと問いかけてゆく。
「普通、こういう場合、姫と王子だろ?」
いいつつウィンクひとつしているガウリイ。
そんなガウリイに対し。
「・・・・あんた、童話・・・・読みすぎ・・・。」
ガウリイが今まで。
読んでいた本をちらりと目の端で捕らえて。
苦笑しているリナ。
なぜか。
盗賊から奪った品の中に。
童話の本が含まれていたのである。
それを読んでいたガウリイことララ。
「まあいいわvガウリイは、これ、お願いね(はあと)」
いって。
ドサリ。
ガウリイにと傷の入っているルビーを手渡しているリナ。
「何だ?物質変換でもして、別の物質にとするのか?」
のほほーん。
のんびりと聞くガウリイに。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・。
「ちょいまてぃ!?何ょ?!その『物質変換』とかなんとかっていうのは!?」
しばし、目を点にして。
リナが叫ぶ。
「えええ!?普通誰でもできるんじゃないのか!?」
「できるかぁぁあ!!!」
ま・・・まあ、姉ちゃんなら・・できるけど・・・。
ガウリイが今いった、『物質変換』。
それをリナは。
幾度か見たことはある。
だが。
自らがやろうとしても、成功しなかったのも、また事実。
「だって、俺の母さんや、その友人のエルさんとか。
   挙句はミリーさんとか簡単にやってたぞ!?」
それゆえに。
誰でも簡単にできるものだと。
思っているガウリイなのであるが。
一人旅を始めて。
初めて自分が育った環境が。  
少し普通ではなかったのかな?
といった程度の感覚。
まあ、素性の分からない女の子供。
というので。
かなり、親族などから、いじめの対象などや。
挙句は、暗殺者などを送り込まれていたりもするのであるが。
いかんせん。
その母親と、その周りにいる人物が。
とてつもない存在であることに。
ガブリエフ一族の誰もが気付かず。
たくましく成長を遂げているガウリイ。
「・・・・あんたの周りって・・・・・・一体・・・・(汗)」
そんなガウリイの台詞に。
冷や汗を一筋流すリナ。
「で?どうすればいいんだ?
   これの根本のレベルを分解して。別の物質にするのか?」
「できるの!?」
そんなガウリイのあっさりした言葉にリナの目が輝く。
「できるけど?」
「んっふふふvそれじゃ、ララちゃん(はあと)
   これ、ぜぇぇぇぇんぶ、ダイヤに代えてねv」
「ええええ?!これ全部かぁぁ!?」
ドサササササ!
目の前に、座った身長の高さよりも積み上げられたルビーの山。
「私は、こっちを細工して、宝石の護符(ジュエルズアミュレット)を作るからv」
ちまっ!
ガウリイの目の前にある量の。
百分の一程度のルビーを前にして。
るんるん気分のリナ。
「・・・・・はあ・・・人使いがあらい・・・・。ま、いっか。」
リナが期待してくれてるし。
リナを喜ばすのもいいよな(はあと)
などと、ガウリイは一人納得し。
すっ。
山にと積み上げられた。
ルビーにと手をかざす。
「カルティスルシフェル。」
手をかざし。
ガウリイが、聞き取れば。
そういった発音にしか聞こえない言葉を発したかと思うと。
― カッ!
山になっているルビーの束が。
銀色の光にと包まれてゆく。
その一瞬の後。
キラキラキラキラキラ・・・・。
部屋を埋め尽くす、反射光。
眩しく白く、それでいてきらきらと輝く元ルビーの山は。
完全に白い塊にと姿をかえてゆく。
いや、白い塊というか。
完全に透明な塊にへと。
「ついでに、これで、指輪でも作ろうぜ(はあと)」
「あ、それいいわねvって、本気でできるのね・・。」
んっふふ。
こりは、本当にお買い得よ!
このララは!
オリハルコンも作れるっていってたし!
まさか、物質変化もできて、物質を変化させることができるなんて!
いやぁ、リナちゃん、日ごろの行いがいいから。
こんな役にたつララと引き合わせてもらえたのねv
にっこりといっているガウリイをみつつ。
そんなことを思っているリナ。
リナは、ララが本質は男性だ。
と聞かされているにも関らず。
まったくといっていいほどに。
警戒心ゼロ。
挙句は、完全に気を許していたりする。
それも、友達として、仲間として。
ガウリイにとっては、そういう風に見て欲しくは思いっきりないのであるが。
そんなことは、リナは。
まったく、気付く様子は欠片もない。
リナがそれいいわね。
といったので。
よっし!
とガウリイが一人ほくそえんだのに。
リナは気付くはずもなく。
「じゃぁ、これ使って、おそろいの指輪でも作るかv」
嬉々として、うれしそうにいうララの台詞に。
「そーね。ダイヤには、厄除けっていう効果もあるしv
   そーしましょっかvおそろいっていいかもね(はあと)」
完全に女同士のおそろいの指輪感覚のリナ。
「じゃ、決まりだなvリナ、何の石がほかにほしい?(はあと)」
??
「何かやけに乗り気ねぇ。ララ。
   あんた、女になったら、心まで女になるわけね。
   そうねぇ。折角だから、希少価値が高い、青ダイヤや。
   紅ダイヤとかもいいんじゃない?」
それに、あれらは。
魔力の増幅にも役立つしv
リナがその意味合いを込めていうと。
「よっし!じゃ、俺は今から作るからなv
   リナ、どんなデザインがいい?」
「変なやつ、まあ、折角だし。
   二人で気に入ったデザインでおそろいにしましょうか!」
リナは今だに。 
ガウリイの意図に気づいてない。
とりあえず。
盗賊達から奪った品物の処理を終えて。
二人して、デザインをあれこれと相談してゆく二人の姿が。
宿屋の一室において見受けられているのだが。
まあ、基本的に話し合いの結果。
リナの意見を、ガウリイが絵にと書いて。
リナの意見を聞いて、突き詰めてゆく。
という感じであるのであるが。
「あんたも意見、いいなさいよ。」
結構、自分でデザインするのって、楽しいから好きなのよねv
などとリナは思いつつ。
デッサンしているララにと向かっていうが。
「俺はいいんだよ。リナの意見が聞きたいからv」
にっこりと言い切るララに。
・・・・・・・変なやつ。
おそろいにするっていうんだったら。
普通、二人が話し合って、気に入ったものを。
女の子同士でやるのが普通でしょうに??
そんなことを思いながら、首をかしげつつ。
とりあえずは。
どんな感じのものがいいか。
話を敷き詰めてゆく。
    
やがて。
しばらくの話し合いのうちに。
「こんなものか?」
紙に描かれているのは。
台座に。
その中心にはめ込まれているダイヤが。
紅と青という差があるだけの。
まったく同じ対を成すデザインの指輪。
「いいんじゃない?あんた、デッサンも得意なのねぇ・・・。」
リナが感心すると。
「いやぁ、ミリアムさんなんかに。
   『知識は完全にあるのがいいから』っていって。
   物心つく前から、いろいと叩き込まれてるし、俺。」
・・・・・・・・・・・(汗)
「・・・・・うちと同じだ・・・・私も姉ちゃんに・・・・。
   ・・・・『知識は多いに越したことはない』って・・・。
   ・・・・いろいろと叩き込まれているから・・(汗)」
そのガウリイの台詞に。
こいつと私、とことん同類なのねぇ。
しみじみ感心しているリナ。
そんなリナの話をきき、にこやかに笑いつつ。
「じゃ、これで作るなv」
いいつつ。
デッサンした紙を。
ふわりと浮かび上がらせるガウリイ。
呪文の言葉も何もなしに。
そして。
リナにも聞き取れない言葉を。
ガウリイが何やら、つぶやくのと同時に。
・・・・・・・・・ポン!
軽やかな音がして。
ストッ!!!
音と同時に。
紙が消え去り。
その紙があった場所から。
小さな何かが二つ落ちてくる。
それを手のひらで受け止めているララ。
「こんなものでいいか?リナ(はあと)」
にっ。
笑って、差し出したその品物は。
間違いもなく。
今、話し合って決めた、デッサン通りの。
―  指輪が。
すでにそこには出来ていたりする。
「――早っ!」
思わず、リナが叫んだのは。
当然のことであろうが・・・・
目を丸くするリナに。
「じゃあ、リナが青で俺が紅なv」
いって。
するり。
目を丸くしているリナの指に。
はめてゆくガウリイ。
「・・・って!?何左手にはめているのよ!?
   逆でしょうが!?しかも、これ、サイズが違うわよ!?
   このサイズだと、薬指にしか入らないじゃないのよぉ!?」
いきなり。
右手にはめるつもりだったリナの左手をもち。
しかも、薬指にとはめているララ。
「え?普通、指輪って、左手の薬指にはめるものだろ?(はあと)」
「それは、恋人同士のことでしょうがぁぁ!!!!
   あんたと私は違うでしょうが!」
真っ赤になりつつ。
叫んでいるリナ。
「・・・・・気付かれたか・・・ちっ・・・。」
そんなリナの台詞に。
小さく舌打ちしているガウリイ。
「まあ、サイズを直したら。
  この台座のシルバーオリハルコン・・・・・のばすんでしょ?」
左手の薬指にとはめられた指輪をしげしげみつつ。
ララにと聞いているリナ。
実家の商売がてら。
指輪のサイズ直しなども手がけている幅広い商売なので。
そういった知識もリナは持っている。
「まあな。」
まあ、別に。
のばさなくても、できるけど。
それいったら、リナが、サイズを直せ。
というのは分かりきっているから。
リナの言葉に賛同しているガウリイ。
「それじゃ、もったいないし。このまま、右手の薬指にでもはめとくわ。
   それか、ネックレスにでもして。ありがとねv」
結構、気に入っているリナ。
「それじゃ、俺は、こっちにはめておこう(はあと)」
にこにことしつつ。
自分は、左手の薬指にとそれをはめているガウリイ。
「何あんた、そっちにはめているのよ?」
「男が五月蝿いからv」
「あ、なるほど。」
ガウリイの口からでまかせのその言葉に。
あっさりと納得しているリナであった。
そして、その言葉に。
ぽんと手を一つ打ち。
「そっか!酒場とか、しつこい男対策に!
    左手にはめればいいよってこない確率が高くなるんだ!」
これから、その手をつかってみよっとv
そう決めているリナ。
リナは。
まったく分かっていない。
おそろいのデザインの指輪を。
はめていたら。
周りがどういうように二人を見るかなど。
しかも。
宿屋以外は。
ガウリイは、殆ど、男性の姿のまま。
である。
ということにも。
    

    

くうくうくうくう・・。
隣で警戒心などまるでなく。
すやすやと眠るリナをみつつ。
「よっし!これで、周りは俺とリナを恋人と見るはずだ!」
ガッツポーズをとっているガウリイの姿が。
そこにはあった。
どうでもいいが。
リナが寝静まってから。
男性の姿に戻らないで欲しいものである・・・・・。



その事実を。
リナはまったく知らなかった・・・・・・。


リナの知らない間に。
周りから固められ始めているリナの姿が。
そこにはあるのであるが。
だがしかし……
リナがそのことに気付くのは・・・・・・。
 ・・・・・ないかもしれない・・・・・。
    

                                       −続くー

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あとがきもどき:
   薫:ガウリイの作戦炸裂!
   姫:・・・・気づいてないのね・・・リナ・・・・。
 ファー:・・・・完全に婚約指輪というのに・・・・。
  エル:・・・・ま・・・まあ、リナだしね・・・・・。
  ルナ:どうして、ユニット様にエル様までがいるのよぉ!?(混乱)
   薫:まあまあ。落ち着いてください。ルナさん。
  ルナ:いやぁぁぁ!(涙)
      ってことは、リナの相手のガウリイって・・・ええええ!?
       反対できないじゃないのよぉぉ!!?(絶叫!)
   薫:・・・・リナもルナさんに賛成させられたら。
      断れないでしょう(笑)
   姫:かなり仕込んで育てた甲斐があったわv
  エル:そうよねv
   薫:・・・・聞かなかったことにします・・・(汗)
  エル:ま、何はともあれv
   姫:この話。リクエスト次第で続くか。
     このまま打ち切りか。決めているそうなのでv
      エル:長編にするように全員で脅しましょうv
   薫:いゃぁぁぁぁ!(涙)
     せ・・・・せめて、ほかのが一つでも終わってからぁぁ!(涙)
     そ・・それでは!
     (立場がやばくなってきたので・・逃走!)
エル&姫:あ!待ちなさい!
     (逃げる薫を追いかけて・・・・・すぐに静寂・・・・)
     
ルナ:リナぁ!何ていう人に好かれたのよぉぉぉ!(涙)
        (ルナの泣き叫ぶ声のみが響いてゆく・・・・)