狭間の選択     〜旅の始まり〜



「き・・・・きゃぁぁぁぁぁぁ!!」
朝の静けさの中。
少女の悲鳴が一つの部屋にと響いてゆく。
ごそ・・・・。
同じベットの中、その横で、身じろぐ一人の人物。
「うーん・・・・何だよ・・・リナ・・・・。」
「な゛な゛な゛///」
口をぱくぱくさせているのは。
栗色の髪に、紅の瞳の女の子。
たいして。
その視線の先にいるのは。
金髪、碧眼。
そこまではいい。
いいのだが……
「何で、あんた、上半身、裸なのよぉぉ!!!
   しかも、何で、男性の姿になってるのよぉぉぉ!!!!」
リナの悲鳴が。
宿屋の一室にと響き渡ってゆく。
   
リナとガウリイが旅を始めて次の日。
宿を取ったのはいいものの。
目覚めたときに。
確かに、リナは、女性のララと寝たはずであったのであるが。
目が覚めると、そこにいたのは。
男性の姿のララというか、ガウリイ。
   
「いや、だって、俺、寝るとき、いつもこうだし。」
「何か着てよぉぉ!!!///」
「何だよ?お、もしかして、照れてるのか?
   リナが一つのベットで寝るって言い出したんだぞ?」
そんなリナの様子を。
くすくすと笑いつつ、見ているガウリイ。
なぜ、リナが悲鳴を上げているかというと。
ガウリイの姿に問題があるのだ。
ただいまのガウリイの姿はといえば……上半身、裸……
なのである……
ズボンはきちんとはいているものの。
「私が、いつ所に寝るっていったのは!
   女のバージョンのあんた!男のあんたじゃないの!」
その叫びに。
「どっちも俺だって・・・。」
「全然違うぅぅぅぅぅ!!!!!」
ぜいぜいぜい。
真っ赤になって、布団で、顔を隠して、叫んでいるリナに。
か・・・かわいい!
ガウリイは、そんなことを思っていたりするが。

彼の名前は、ルシフェル=ララァ=ガウリイ=ガブリエフ。
男にも女にもなれるという彼であるが。
それは、彼の母親が。
無機質の物質であり、性別など関係ない、とある石の精霊だから。
子供もまた、どちらの性別にもなれるという特性をもって生まれているのである。
対して。
リナ。リルナ=インバース。
彼女もまた、男にも女にもなれるのであるが。
こちらは、ガウリイとは違い。
一族の特徴。
彼女の一族、インバース一族は。
代々、男性の力と女性の力。
その両方を兼ね備え、どちらにもなれる、種族であるのである。
それは。
一族がかつて仕えていて。
そして、今も。
リナはその事実をまだ大人になっていないがゆえに。
知らされていないが。
この世界の、至高神。
赤の竜神(フレアドラゴン)スィーフィード。
その、竜神の、力を受け継いでいる。
とも言われている種族である。
   
「分かった・・分かった・・・。」
いいつつ。
気を集中させて。
そのまま、男性の姿から、女性の姿にと変えてゆくガウリイ。
・・・・・・・・・・・・。
しばし、目を点にするリナ。
「これでいいだろ?」
にっこりというその姿は。
女性の姿・・なのであるが。
「こ・・・・このぼけぇぇぇぇ!!!!服を着てからにしろぉぉぉぉ!!」
思いっきり。
上半身裸のまま。
女性の姿になるとどうなるか。
上半身裸の女性の姿のガウリイが。
そこには見受けられてゆくのであった。


く・・・くそ…
こ・・・こいつ、女性になったら、
この私よりも、胸が大きいぃぃ!
などと内心涙しているリナ。
突っ込むところが違うようなきもするが。
ともかく、変なところで対抗意識を燃やしているリナであった。
「・・・結構、大きいって・・自信・・・あったんだけどな・・。」
くすん。
自分の胸を掴みつつ。
何だって、私の周りには、腹が立つほど、馬鹿でかい、
胸の高笑い人間もどきや。
胸の大きい人ばっかりが、いるのよぉ!
女性としての、コンプレックス。
といっても。
リナは胸もない。
というわけでもなく。
サイズとしては、軽く、九十を超えているのだが。
普段は、リナは、男性の姿をとっているので。
ついている噂が。
『平面胸のリナ=インバース』とか。
『男女のリナ』『第魔王の食べ残しリナ』
『ドラマタリナ』などなど。
さなざまな異名をもっているが。
何しろ、リナ。
男性になっているときも。
小柄で華奢であるがゆえに。
男?女?
と、殆どが区別がつかないのである。
さすがに。
いやらしいことをしようとして。
リナが男であるのに気付いたときの、その盗賊などの。
反応もまた、リナにとっては楽しみの一つであるのであるが。
    


とりあえず。
リナに、散々、叩きのめされて。
それでも、すぐに復活しているガウリイ。
「・・あんた、打たれ強いわよね・・。」
リナが感心すると。
「いやぁ、小さいころから、ミリーさんとか。
    エルさんとかに、散々しごかれてたし。」
のほほんというガウリイ。
「・・・誰よ?それ?」
「ミリーさんというのが。ミリアムさん。
   俺の母親であるファーナ=ドナ=ガブリエフ。
   その本質である、石の本来の持ち主らしいけど。
   んでもって。エルさんというのが、そのミリアムさんの友人。」
のほほんと。
宿にと儲けられている、一階の食堂で。
メニュー全てを十皿づつ、注文し。
朝食を食べながら。
そんな会話をしているリナとガウリイ。
ガウリイの両親の名前を。
セルディ=ウル=ガブリエフ。
ファーナ=ドナ=ガブリエフ。
その二人の間に出来たのが、この、ルシフェル=ララァ=ガウリイ=ガブリエフ。
ちなみに。
男性のときは、ガウリイと名乗り。
女性のときは、ララと名乗っている。
リナは、男性の時には、リルナ。
女性の時には、リナ。
あまり、代わり映えはしないけど。
とりあえず。
この辺二人、名前を使えわけて、その両方の性にとなれる特質を利用して。
楽しんでいることには代わりがない。
リナはといえば。
自分以外、つまりは、一族以外で。
どちらにでも慣れる仲間を初めてみつけ。
それで、警戒をまったくしていないのであるが。
ガウリイはといえば。
実は、昔から、祖母などの話から、リナのことをきいて。
ずっと、心で思っていたりするがゆえに。
はっきりいって、リナに対して、恋愛感情を持ちまくっているのだが。
そんなことは、リナは知るよしもなく。
ガウリイの提案のままに。
リナとガウリイが二人で旅をすることに決まったのは。
二日前のこと。


「ああ!ララ!それ、私の、ローストチキン!」
「ああ!リナ!それは、俺の!」
ガッキィィン!
ナイフとフォークのぶつかり合う音がしばし。
そして。
ぴたり。
「こうなったら、早いものがちよ!」
「おう!」
ババババ!
机の上にと並べられた朝食の数々を。
争しつつ、あっという間にと平らげてゆく。
その様子を他の客たちが、唖然として見守っているのはお構いなしに。

・・・二人とも、結構かわいいのに・・・・。
そんなに、お腹をすかしていたのかしら?
姉妹?それとも、友達?
金色の髪に、碧玉の瞳であるララと。
栗色の髪に紅の瞳であるリナをみつつ。
そんな会話をしているほかの一般客達の姿がしばし見受けられているのであった。
    
「ふぅ・・・食べた、食べた。」
「もういいのか?デザートもあるぞ?」
「もう、全部二十づつ、食べたから、もーいい。」
お腹をさすりつつ、いうリナに。
「それじゃ、これからどうするんだ?リナ?」
ガウリイというか、今は町の中なので。
女性の姿になっているのでララと呼ぶが。
ララの質問に。
「そうね。別に決めているわけじゃないけど。
   とりあえず、アトラス・シティによって。これも、換金したいし。」
いって。
ジャラリ。
マントの中で。
ガウリイと出会うその前日に。
盗賊から、没収した、品物の数々を少しマントごしにとさわり。
そんなことをいっているリナ。
「そーいや、あんた、魔法は使えるの?」
リナの素朴な疑問に。
「使えるぞ?というか、何だっけ?カオ・・何とかっていうのは、いらないけど。
    気分のままに、ある言葉を唱えたら、それで発動するし。」
ばくり。
最後のケーキの一口を口にほおばりつつ言っているララ。
「?何よ?その言葉って?」
「いや、俺の名前、『ルシファー』その愛称で。
   そして、心で、何を使いたいか、というかどういう用途か。
    それで発動するし。それが普通なんじゃないのか?」
のほほんというガウリイのその台詞に。
「ちょっとまったぁ!?何それ!?きいたことないわよ!?」
目を丸くしているリナ。
「だって、エルさんとか、ミリーさんとか。
    何も言わないで、どんどん力、使ってるぞ?」
まあ、何しろ、二人とも。
混沌の気配の人だからなぁ。
そんなことを思いつつも、それは言葉にしてないガウリイ。
「・・・・あんたの周りもとんでもない人物がいるのね・・。」
「まあな。そういうリナは?」
その問いかけに。
「・・・・・姉ちゃんが、『赤の竜神の騎士(スィーフィード・ないと)』・・・・。」
超、小声でつぶやいているリナ。


そんな会話をしつつ。
「ま・・・まあ、互いに、とんでもない、家族のことは、おいといて・・・・。
   とりあえず、これ、どっかで換金したいし。私。
   ここって、魔法道具屋、ないんだもん。」
この町というか、小さな村に近い町なので。
そんな魔法道具を扱っている店などあるはずもなく。
そんなこんなで。
店があるちょっと、大きな町にと移動することに決定する二人の姿が見受けられてゆく。






「この、オリハルコンの女神像なんて、かなり、値打ちがあるわよねv」
昨夜のうちに。
すでに、作業は終えている。
そして。
「なあ、リナ。何とかって石、また中に戻してるけど・・・いいのか?」
「何とかじゃなくて、『賢者の石』よ。
あんたは、昨夜、あれだけ説明したのにわすれたのかぁあ!」
スパパァン!
リナによるハリセン攻撃の音が響き渡ってゆく。
ごとごとと。
荷車の上に便乗させてもらい。
街道を進んでいるリナとガウリイ。
町から出たので。
とりあえず、二人とも、男性の姿になっているのであるが。
「いってぇすなぁ!?どこからだした!?そのハリセン!?」
「身だしなみの一つよ。」
きっぱり。
言い切る、リナの言葉に。
「・・・・・。」
無言になるガウリイの姿がしばし見受けられ。
そして。
何事もなかったかのように、にこやかに。
「それに、いいのよ。別に。ある程度、これから、純粋な結晶は。
   取り出したから。あと残っているのは、くずだし。」
あっさりといっているリナ。
昨夜、ちょっとばかり、作業して。
その女神像の中にと入っていた、どうみても、石炭にしか見えない、小さな石ころ。
それをとある作業をし。
その中にと含まれていた成分を取り出して。
そして、残った粕の成分を残したまま。
再び女神像の中にと入れているリナなのであるが。  
女神像を壊さずに、中の品物だけ。
瞬間移動の応用で、取り出しているリナ。
さすがというより他にはない。
「そ・れ・よ・り!
   いーい!絶対に、今度から、寝巻を着ずに寝ないでよ!!」
釘を刺すリナに。
「なら、リナも一緒に、裸健康法vやろうぜv」
〜〜〜〜/////
誰がするかぁぁ!!!!ぼけぇぇぇぇ!!!!!!!」

どっごぉぉぉぉん!


リナの手加減なしの呪文一発が。
のどかな街道に響き渡ってゆく。
この二人、かなりいいコンビである。


その呪文の影響で、乗っていた台車が壊滅し。
ダッシュで。
リナとガウリイが走って逃げたのは。
いうまでもないこと……


ついでに余談であるが。
リナの呪文に巻き込まれた、台車の持ち主は。
なぜ。
台車が壊れたのか。
そのことだけ、綺麗に記憶をなくしていたのは。
また別の話。


かくして。
リナとガウリイの旅は、今、始まったばかり。


                                       −続くー

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あとがき:
  薫:・・・裸健康法vでしたv(笑
    リナ、ルナに鍛えられて。
    分子レベルの再構成。
    出来る実力もってます(笑)
    ああ・・ここの世界の魔族って・・哀れv(まて!)
    ガウリイが言ってた。
    エルさんと、ミリアムさん・・・・・。
    わかる人には、わかるでしょうv
    というわけで、ガウリン、
    かなり、小さいころから鍛えられてますv
    何しろ、あのお二方が(汗)
    それではvv
    のりは、ギャグとシリアスが含まれるかも(?)
    知れないかもしれないという。
    それではvv
    またいつかvv