こんにちわ♪
んふふふふ♪
以前、リクエストを頂いたv白石さんに捧げますv
リクエストの内容は。
『リナ達の干渉を読んで、男なリナが見てみたい』
ということでしたv
いやぁ、干渉で、ガウリイが女性に転生してましたからねぇ(爆!)
ちなみに。
リナ達の干渉。どんな話?という人は、
こちらからv
何分、まったく、リクエストになってません!
それでは、いくのです!
多分・・・読みきり・・かな?
ではでは!


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         狭間の選択



ドゴォォォォン・・・・・・。
   山間に吹き荒れる、爆音とともに。
『うわぁぁぁ!?』
どうみても、一般人でないと、一目でわかる、男達が。
その辺りを右往左往としてゆく姿がみうけられてゆく、
夜のほとばりが落ちてしばらくのこと。
「ふふふふ・・・・・。」
その爆発を起こした当人はといえば。
小柄な体つきで。
髪の色は栗色。
そして、灰色のマント。
その、紅の瞳が印象的。
年のころならば、十四、五歳。
服装は、いたってシンプルに。
頭に巻かれたバンダナに。
そして、腰にさしている、レイピア。
そして。
特質すべきは。
その見た目では、少女とも、少年ともいえない、その姿。
どうみても、胸には膨らみがないので。
少年?ともいえなくもないのだが・・・。
顔立ちからすると、どうも、少女のようにも見て取れる。
女顔の少年でも、ちょっとかわいい少女とでも。
どちらにでも取れるその容姿。
「き・・・貴様!?まさか!?」
「男女のリナ=インバース!?」
煙の中から、出てきたその小柄な人物に。
叫んでゆく、一人の姿。
・・・・ぶち。
「だれが、男女だってぇぇぇぇぇ!!!!!!!?」
額に青筋を浮かべつつ。
声のトーンもまた。
低いともいえずに、高くもなく。
まったく外見では判断は不能。
しかし、その声の感じからして、その声は男の子のそれである。
「んっふふ・・・・。許さん!」
目を据わらせて。
そして。
腕を上げて、何かを唱え始めてゆくその人物。
「黄昏よりも暗きもの 血の流れよりも紅きもの 時の流れに埋もれし
   偉大なる汝の名において 我ここに汝に願わん・・・・。」
その言葉を聞いて。
『げげげぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!?ドラグスレイブぅぅぅぅ!?』
蜘蛛の子を散らすようにと逃げてゆくどうみても、犯罪者としかいいようなのない。
男達の姿。
逃がすか!
それを捕らえつつ。
そして、最後のカオスワーズを紡ぎだす。
「我と汝が力もて 等しく滅びを与えんことを!!竜滅斬(ドラグスレイブ)!!」

ドッゴォォォォォォン!!!!!!


その言葉一つで。
そこにあった、アジトらしき場所は。
粉々に吹っ飛び。
あたりの地形も一辺し。
やがて。

ブシュぅ・・・・・。

「ラッキーv温泉がわいたv」
地下水が湧き出て、そこに、自然の温泉が出来上がる。
辺りに人影が一切なくなったのを確認しつつ。
そして。
「・・・・・・ふぅ・・・・。」
そういって、つぶやいたその人物・・リナと呼ばれていた少年の姿が。
ゆらり。
一瞬揺らめき。
そこにいたのは。
小柄で、華奢で、健気で、はかなげな、先ほどまでの少年と同じ容姿の。
どうみても、かわいい美少女ともいうべき少女の姿。
なぜ、少女と分かるかといえば。
特質すべきは、その胸のふくらみ。
さきほどまでの少し大きそうであっただぶついた服が。
今は、ぴっちりと、その体にフィットしている。
小柄で、しかも、みれば、ウェストも細く。
しかも、胸の大きさも結構年相応にしては、大きなほうであろうか。
「やっぱり、こっちの姿の方が、落ち着くわぁ。」
いいつつ。
「汗かいたしv水浴びしよっとv」
いって。
服を脱いで。
今できたばかりの温泉にとつかっていく。

   
・・・・・・・・・。
まったく・・・・・・。
後ろを振り向けば。
追って来ている気配が感じられる。
昨夜、自分が壊滅させた、盗賊のどうやら生き残り。
今のリナの姿は。
昨夜、温泉に入っていたときとは異なり。
やはり、どうみても、その声のトーンと。
感じる雰囲気からして、少年そのもの。
「出てきたらどう?」
ぴたり。
リナが足を止めて。
思わせぶりにと誰もいないはずの空間に話しかけると。
ザワ。
周りの木々の陰から。
茂みの中から。
数十人の男性たちが、わらわらと出現してゆく。
「よっくも、やってくれたな!
   この、お礼はきっちりとかえさせてもらう!」
一人が、円月刀を振りかざし。
そう叫ぶ姿は。
つるつるの頭に、ラードの油をぎったりと塗りたくり。
どうみても、自分は悪人です。
と宣言しているようなその姿。
「盗賊殺しの、リナ=インバース!まさか、こんな男とも女とも、わからない子供だとはな。」
ぷち。
その言葉に。
「だぁぁれが、子供ですってぇぇぇぇぇぇ!!!!!?」
口調が裏返る。
「へん。こんなおお人数に勝てるかな?僕ちゃん?」
プチチチ・・・・。
こうなったら、全員まとめてふっとばしてやる!
そう、固く心に誓ったその直後。
「そこまでにしておくんだな。」
道の後ろから、別の声がしてくる。
みれば。
昼の太陽にと照らされて。
その人物の金色の髪が、きらきらと輝き。
太陽の光の元で見受けられるその姿は。
一言でいえば、容姿端麗。
金髪碧眼の、結構な美青年。
動きやすい、レーザーアーマーを身にまとい。
見たところ、流れの傭兵か何か。
「何ものだ!?」
なんか、お約束な展開なんだけど・・・・。
そう、リナは心でつぶやきつつ。
「悪人に名乗る名前なんかない!」
「しゃらくせぇ!まずこいつからやっちまえ!」
『おう!』
言葉とともに。
その男性に向かってゆくものの。
いともあっさりと。
全ての服を切り取られ、裸で逃げ出してゆく、盗賊の姿。
チン。
剣を鞘に収めつつ。
「大丈夫だったか?」
いって、リナの方にと向き直る。
「あ・・ありがとうございました。」
別に、危なかったわけではないけれど。
助けられたことには変わりがないので、お礼を一応いっておく。
しばし、そんなリナをじっと見ている男性。
「一人で旅をしているのか?」
周りをみつつ。
そんなことをいってくるが。
「まあ。いろいろと世界を見て周りたくて・・。」
そうリナがいうと。
「よし!なら、俺が一緒についていってやろう!」
・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
「な・・・・・冗談でしょう!?何で見ず知らずのあんたに、
  そんなことをいわれないといけないのよ!?」
しばらく目を点にしつつ。
リナが叫ぶ。
「いや、まったく知らない。というわけじゃないぞ?
   というか、俺、自分以外に同じ体質の人、見るの、初めてだし。」
いいつつ。
じっとリナをみてくるその男性の言葉に。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
リナの目が点になると。
「だって、あんたも、両方になれるんだろ?
   気配でわかるし。あ、でも、基本は、どうやら、女性の方らしいがな?」
「・・・・・・ちょっと!?何・・何何何のことよ!?」
言いよどむリナの声は上ずっている。
「・・・・まあ、みせたほうが・・早い・・か?」
いったその直後。
男性の姿が揺らめき。
身長なども多少異なり。
そして……
「え・・・・・・えええええええええ!!!!!!!!?」
リナの叫びが、静かな森の街道の中を響き渡らしてゆく。


「・・とまあ、こういうわけだ。」
・・・・・・・・しばし絶句。
「・・・・・私の一族以外にも、いたんだ・・・・。」
世の中って・・広い・・・・。
つくづく感心するリナに。
「というか、俺だけだけどな。俺の一族では。
  俺の母親が、性別の区別のない、無機質のとある石の精霊なんだよ。
   それで、俺の希望にそって、どちらにでもなれる。そっちは?」
その言葉に。
「まあ・・・私の方は。一族の体質・・ね。
  んー・・・・でも、いっか。どうやら、同類のようだし?
   あんた・・名前は?」
リナの問いかけに。
「俺は、ガウリイ。
   ルシフェル=ララァ=ガウリイ=ガブリエフ。君は?」
「私は、リナよ。リルナ=インバース。」
互いに自己紹介を済ませる二人。
   
同じような体質というか、仲間意識からか。
あまり、警戒しない、リナ。
「でも、よく見ただけで、わかったわね。
  私が、男にも女にもなれるってこと?」
道をあるきつつ。
リナが問いかけると。
「ん?見れば、普通わかるだろ?」
「いや・・・わかんないって・・普通・・・・。」
リナがつぶやく。
「そーか?俺の母親の、ファーナと、その本来の石の持ち主だという。
   ミリアムさんは、見ただけで分かるぞ?」
先ほどの、少し背が小さめで、ふっくりとし、
はっきりいって、男性がほっとかないような容姿の少女の姿になったとは。
夢にも思えずに。
再び男性の姿にとなっているガウリイのその言葉に。
「・・・・・どーいう両親なのよ・・それって・・・・・。
  あんたのところも・・・・一族・・・とんでもないみたいね・・・。」
「リナの方もなのか?」
「・・・・聞かないで(涙)」
世界を見てきなさい。
その一言で、旅に出たリナ。
   
リナの一族は。
その、自分の意思で。
どちらの性別にもなれる。
いってみれば、男性の力も、女性の力も併せ持っている一族。
とはいえ。
やはり、自分にあった、性別というのもは存在するわけで。
リナとしては、女性の方が、自分の称にとあっている。
しかし。
やはり、リナ曰く。
美少女が一人旅をしているのでは。
何かと、いろいろと問題も多く。
その点。
美男子の一人旅では。
あまり問題も起きない。
というので、普段は、男性の姿で通しているリナ。
ガウリイもまた。
普段は、男性の姿で世間には通していたりする。
   
「まあ、ともかく、そいうわけで、これから、よろしくなvリナ。」
「こっちこそ。あ、でも、支払いはそっちもちでよろしくぅ(はあと)」
にっこりというリナに対し。
「ええええええええ!!!?」
しばし、叫びつつも。
「・・・・ま、いっか。」
それで済ませているガウリイの姿がしばし見受けられてゆく。



「そろそろ、町に入るわよ。ガウリイvあんたも女性になんなさいねv」
リナの言葉に。
そういいながら、すでに、女性の姿にと変化しているリナの姿。
「ええええ!?何でだよ!?」
「んっふふ。わかってないわねぇ。
この私一人でもこの姿になったら、食事なんかは困らないけど(はあと)
あんたも一緒だと、絶対にお金を払わずに、タダ!
で、食事なんかができるからにきまってるじゃない!」
断言するリナに。
「・・・・おま、いつもそーやってるのか?」
あきれているガウリイ。
「そーよ。やっぱり、長所は生かさないとねえ。」
にこにこというリナに。
「もし、相手が、下心とかあったらどーするんだよ・・。」
「そのときは、呪文でふっとばすか。
でも、大概、しつこいやつには、男だっていったら、逃げるわよv」
「・・・・・・・・・・・。」
 ・・・・・メリルーン婆ちゃんたちから聞いてたとおりの性格だ・・な。
そう思い、苦笑しているガウリイだが。
んなことは、リナは知る由もなく。
「ほら!町に入るわよvささvvララvv」
「はいはい・・・・と。」
リナの言葉に促されて。
その直後。
ガウリイの姿が揺らめき。
そこにいたのは。
先ほどまでのガウリイの身長とは違い。
身長的には、160と少しくらい。
男性の時の姿は、170前後であるのだが。
そして。
髪質も、ふわふわの材質にと代わり。
しかし、髪の色は、金色のまま。
その碧くくりっとした大きな瞳が。
はっきりいって、まるで絵に描いたようなかわいさ。
雰囲気もまったく異なる、少女というか、女性の姿が。
そこには、現れていた。
リナもまた。
女性の姿にと変化させてゆく。


リナの目論見通り。
ナンパしてくる男達に。
食事を全ておごらせて。
一銭もお金を使わないリナとガウリイの姿。
さすがに。
二人とも、どうみても、普通の人達よりも、かなり食事が進むので。
リナ達に声をかけた男性たちは。
泣きをみる目にとあっているのだが・・・・。



「・・・・・・お・・・おい!リナ!」
「何よ?」
「・・・・い・・いや、その・・いや・・・じゃないのか?」
「何で?」
「いや・・その・・・・。」
「はいはい。ララはそっちね。私はこっち。
いやぁ、同属だから、気兼ねがないわぁ。んじゃ、お休みぃv」
ごそごそと、布団にもぐりこんで。
あっという間に寝息を立てているリナをみつつ。
「・・・・・・こいつ、危機感・・あるのか?
  ・・・・男として見られてないな・・俺・・・・はぁ・・・・。」 
溜息つきつつ。
同じベットにともぐりこんでゆく。
リナ曰く。
お色気作戦というか。
美人の二人連れv
ということで、宿代をしっかりと、定額の半額にまでと交渉し。
その夜、宿をとったリナとガウリイ。
しかし、とった部屋はたったの一つ。
― 同じベットに寝させてあげるんだからv
   ガウリイが使う予定だった、部屋分の金貨v私にちょうだいねv ―
と、しっかりとガウリイから、一人分の宿代を巻き上げて。
「ま・・いいか。時間は、まだまだこれからなんだしな・・・・。
   ・・・・・・・・折角見つけたんだ・・・逃がさない・・・・・。」
そんな、ガウリイのつぶやきは。
すでに、完全に寝入っているリナの耳には。
届くはずもなく。


物心ついたときから。
みていた銅像。
それにいつしかひかれ。
そして。
今。
確かに、その銅像の少女がここにいる。
自分と同じく、どちらにもなれる。
というのを祖父から聞いていたから。
また祖母から聞いていたから。
始めは興味をもっただけ。
いつのころからか。
その銅像の女性を。
意識し始め。
それが、彼にとっての初恋。
あのとき。
森の中で。
爆発音にとひかれ。
そこでみたものは。
一糸纏わずに、お湯にと浸かっている彼女の姿。
後を追いかけてゆくと。
都合のいいことに。
盗賊の残党にと襲われていたリナ。
偶然を装って。
人がよさそうなふりをして。
そして。
警戒されないようにと。
自分の姿を目の前で変化させてみた。
その結果。
リナの中に。
仲間意識が芽生え、目論見どおりに、警戒・・はされなくなったものの。
「・・・・・・・・リナ、一応、俺の本質は、男なんだから・・な。
   ・・・お休み。」
いって。
隣に、温もりを感じつつ。
かるく、額にキスをして。
同じベットにと横になってゆく。
リナが叫ばないようにと、
女性の姿のままで行動するガウリイの姿が宿の一室にて見受けられてゆく。




「しっかし、ララ、よくそんなお金、もってるわよね。」
リナがつくづく感心する。
宿代も、そして、食事代も。
すべてガウリイ持ち。
「ん?何か、お金がなくなったら、あるものを創って。
     それ売ったら、お金になると、ミリーさんがいってたから。」
あっさりといっているガウリイ。
「・・・何よ?そのあるものって?」
「・・これ。」
いって。
取り出した袋の中には。
鈍く輝く、とある物体。
「・・・・こ・・・・・これってててて!」
リナの目が見開かれ。
「何でも、おりなんとかって物質。」
「創れるの!?これを!?」
「それがとうかしたのか?」
「おっしゃぁぁぁ!!!!!でかしたガウリイ!」
のほほんといっているガウリイに。
ガッツボーズをとっているリナ。
んっふふ。
お金のなる木v逃してたまるかv
リナの思考は。
そこに落ち着いていき。
「それで、これからどうするんだ?リナ?」
「ガウリィンvときどきそれ、一袋くらい、私に創ってちょうだいvね?v」
瞳をうるうるとさせて、懇願してくるリナに。
今だに、町の中なので。
姿は女性の互いにままであるが。
「別にいーぞ?」
「よっしゃぁぁぁ!金のなる木ゲットぉぉ!」
「・・いや、金のなる木って・・・・・。」
つぶやくガウリイの姿が。
宿屋の一階にある食堂で。
みうけられ。


これから。
二人の旅路が、始まってゆく。




                      −続くー


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あとがきもどき:
   ボグ!
   す・・・すいません!
   リクエストになってないです!堪えてないです!!!!(汗)
   ちなみに。
   設定としては。
   ガウリイ。
   21歳。
   精霊フェアリーと人間セルディとの間に生まれた。
   半人間(?)
   ちなみに、うまれた当時は、男でも女でもありません。
   ・・・・・・フェアリー自体が・・なぁ・・・・(滝汗)
   あはは………
   リナ。
   インバース一族。
   その本家の次男。
   というのも。
   うまれたときには、性別。
   ないです。
   はい。
   姉(?)の影響と。持ち前の精神力で。
   たくましく育ち。
   一族の体質。
   つまりは、男にも女にもなれるという特異な体質を。
   エンジョイしております(爆!)

   ああ・・・・・リクエストになってないぃぃぃい(涙)
   では・・・・逃げます!!(だっしゅ!)



 








おまけ♪
   

ガサ・・・・・。
「・・・・・・・・これは?」
海岸を歩いているとき。
そこに倒れている、一人の人影を見つけた。
金色の髪の男性。
そこにいたのは。
黒い髪を長く伸ばしている、どうみても、女性の姿。
ふと、脈をみてみると。
意識があるのかないのか・・・・。
「・・・・う・・・・・・。」
うめく彼女に、彼女が生きていることを確認し。
「・・・いけない!体が冷え切っている!」
女性を抱きかかえ。
家にと連れ帰る。
   

「・・・・・私?」
気付くと、辺りは見知らぬ場所。
カチャリ。
「気がついたか?君は、海岸に倒れていたんだよ?名前は?」
その言葉に。
「・・・・な・・・ま・・え?ファ・・・・・」
ズキッ!
頭が割れるようにいたい。
「ファ?」
「・・・・あ・・・あの?私・・・・誰なんでしょうか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へ?」
不安で彩られている、その瞳は。
始めのうちは、不可思議な色に変化していたものの。
やがて。
碧い瞳の色にと落ち着いてゆく。
「・・・・わからない・・・・・何もわからない!私は・・・誰!?」
「・・・・・・・・無理はしないほうがいい。
  きっと、そのうち、思い出すから。
  私の名前は、セルディ。セルディ=ウル=ガブリエフ。
  このガブリエフ家の主だ。」
「・・・・セ・・・・ル・・・ディ?」
「そうだな。名前がないのは不便だな。
   ファ・・よし!君の名前は、ファーナだ。そう呼んでもいいか?」
そういった、金の髪に緑の瞳の男性の言葉に。
自分のことが何もわからなくなっている女性は。
ただ、こくり。
とうなづいていた。





「・・・・エルぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」
ばたばたばた!!!!
いきなり、空間を揺らして。
現れてくる、一人の少女。
「ち・・ちょっと!?ユニット!?どうしたのよ!?」
その少女に驚いて語りかけているのは。
金色の髪に、金色の瞳。
この世のものとは思えないほどの、絶世の美女。
「フェアリーが・・・行方不明になっちゃったのぉぉぉ!!」
・・・・・・・・・・・・・・。
「・・・・・・・・・は?」
「しばらく、休暇でもしてきなさいって。
   本体から、一部を切り離させて。骨休めさせてたんだけど・・・・。
   次元震と歪みに巻き込まれちゃったのよぉぉ!!!
   鏡の間を伝って、こっちにきたらしいのだけど!
   知らない!?気配が感じられないのよぉぉぉお!
   こんなこと、初めてぇぇ!」
目を点にしている絶世の美女の横で叫んでいるのは。
漆黒の黒い艶やかな髪を。
紅い大きめのリボンで、喋々結びにして。
ポニーテールにしてまとめている女の子。
「・・・・そーいえば、この前。
   かなりの規模の次元震があったみたいねぇ。」
「ああ!本体から、離れてるというのに!
  つながり今は細いから、何かあったら!」
「・・・・あんたがいる限り、絶対に、無になることはないでしょうが・・・。」
「でも、心配なの!」
その言葉に。
「・・・・・・それ、いつも、フェアリーが心配してるのと。同じよ?ユニット・・・・。」
「私はいいの!」
・・・・・・・。
「ま、揺れを中心に。捜してみなさいな。 自由に行動してもいいから。」
「ありがと!」
いって。
その直後にと掻き消える。
「・・・・・・久しぶりにみたわ。ユニットが取り乱している姿・・・・。」
くす。
少し笑いつつ。
たまには、こんなのもいいかもね。
そう思い。
再び、世界にとまどろんでゆく女性の姿が。
何もない、空間というか、いいようにない、空間の中で。
みうけられてゆく。


    
 

「・・・まったく、何処の馬の骨とも知らない女性を屋敷に招きいれて・・・・。」
ぶつぶつと文句をいう親族とは裏腹に。
彼の父とその母は。
いたって、ファーナに友好的。
そして。
「ファーナさん、どうなら、貴方は、人間ではないようですわよ?」
エルフである、その母親、メリルーンの言葉に。
「人・・・でない?」
「ええ。何となく、よくはわかりませんが・・・・。
    貴方から、感じられる波動は・・・精霊とかに近いものがあります。」
― 精霊。
パシっ。
「・・・・私は・・・・・大切な・・・・あの方の元に・・・・・あの方って・・誰!?」

頭に一瞬何かが浮かぶが。
頭と額にどうやら、倒れる原因となったらしき、傷が原因で。
完全には思い出せない。


やがて………
     

「・・・・これ、うけとって・・・くれない・・・かな?」
照れつつ。
ファーナにと差し出された小箱には。
小さな指輪。
「あ・・・あの!?」
「身元も分からない貴女に、こんなことをいうのは・・その・・・・。
   驚かれるかもしれないけど・・一目ぼれなんだ。」
照れつつ。
そういってくるその言葉に。
「・・で・・・でも・・・・私は・・・・・・。」
「君が誰であっても構わない。だめかい?」
「・・・・・記憶、取り戻したら、私は彼方のことを忘れるかもしれないのに?」
「それでも。」


熱意にほだされて。
記憶のないままに。
ファーナは。
ファーナ=ドナ=ガブリエフ。
正式に、セルディの正妻となったのは。
一年後のこと。


しばらく後に。
ファーナは、身ごもり。
そして。


「・・・・・おぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

「・・・・・・・・この気配は!? フェアリー!!!!」
「・・・・・・・・・!?ひ・・・・姫・・・様!?」
一人目の子供を出産したとき。
ファーナ……いや、フェアリーの記憶は。
そのかけがえのない少女の姿を目にして。
今、全てを思い出していた。
     
「・・・・ファーナ?」
「・・・・セルディ・・・私は・・・・。」
「ああ!フェアリー!精気、かなり消耗してるじゃないのよ!まってて!」
いいつつ。
ふわ。
横になっているファーナに。
不思議な色彩の石を置きつつ。
手をかざす、いきなり出現してきた女の子。
「つながりのないままに、自分の精気だけで!
    子供を育てないの!もし、自我になにかあったら、どうするのよ!」
本気でどなっているその姿に。
「・・・・すいません。姫様。私・・・・。」
涙ぐむファーナ。
ふわ。
「・・・・・無事でよかった!フェアリー!心配・・したんだからね!」
ぎゅ。
そのまま、無言で、強く抱きしめてゆく少女。
「あ・・・あの?貴女・・は?」
「あ、始めまして。私は・・・・ユニット。ミリアム=ユニット=ユニバース。
   ファーが、フェアリーがお世話になりました。
    この子は、フェアリー、この私の半身というべき家族です。」
「・・・・・姫様・・・そんな・・・もったいないお言葉・・・・。」
「・・・・ファーナ?記憶が?」
「ええ。全てを思い出しました。」
そういって、不安になる。
「・・・・・姫様・・どうしましょ・・・・私・・・その・・・・・。
    こちらの世界の人との間に子供を・・・・歪みが・・・・。」
心配するファーに。
「エルに頼むわよvきゃぁん(はあと)ファーの子供vなんて、初めてじゃないvかわいいv」
いって。
うまれた子供を抱きかかえる。
「あの?しばらく、私もここにやっかいになってもいいですか?」
そうにっこりと。
優しい瞳で、赤ん坊を抱きかかえつつ。   
愛しい表情でみられては。
反対できるものでもなく。
「いいですよ。ファーナ……いえ。フェアリー …でしたね。
その家族の方なら、大歓迎です。」
セルディの一言で。
ガブリエフ家に。
新たに、二人の住人が加わったのは。



リナとガウリイが出会う、二十一年前のこと。