希望の行方 第5話
ベットに横になりつつも。
先刻いったあの場所がかなり気になる。
母様・・・・お店にでてるし・・・・。
ミルクを飲んだためか。
うとうとしかけるその脳裏に。
まだ遊びたいという衝動に駆られてしまう。
・・・・えと・・・・。
ふと見れば、高い天井。
・・・・・・まだリナ、あそびたい・・・。
そう思うのは仕方がないのかもしれないが・・・・。
その、思いの赴くままに。
ユラ・・・。
まだ、完全に移動など出来るはずもないのに。
・・・・移動するリナの姿が。
リナの子供部屋にて見受けられているのであった・・・・。
「・・・・・・・・・ふえ?」
自分は海といわれている場所に行きたいのに。
ここは一体、何処なのか。
見たことのないお店などが立ち並び。
目的のものなど微塵も見えない。
しかも。
そのお店にまだ人がいればまだしも。
そこは、今は季節外なので。
人の気配などは皆無。
軒並みに店などはあるものの。
人の気配などあるはずもなく。
何か潮のような香りがしているのであるが。
リナはまだ。
それが潮の香りだと。
知識ではしっていても理解をしていない。
少し離れた場所に移動していれば。
そこが離れ小島であることがまず分かるであろうが。
いや、リナの小さな体では。
それはまず不可能かもしれないが。
未だによく回りを【視る。】その能力も使いこなせていないリナである。
自分が行きたかった場所とは違う場所。
しかも。
自分から家を出たのであるからして。
当然、そこにエルもユニットもいないのは当たり前だというのに。
きょろきょろと。
二人の姿を捜しつつ。
そしてまた。
最近よく店にやってくる二人の姿をも探して行くが。
当然、そこにそんな二人の姿があるはずもなく・・・。
「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇんんんん!!!!ははさまぁぁぁあ!ゆにっとねーさまぁぁ!るなぁ!れいすぅ!」
ふぇぇぇぇぇぇぇぇんんんん!
そのまま。
ちょこんとその場に座り込み。
泣き始めてゆく赤ん坊が一人・・・・・
「・・・・・・・・・・・あら?」
また、気配がないのにふと気づく。
変なところで隠すのが上手になってきているかわいい娘。
どうやら、気配を隠すのは。
無意識のうちにできるようにまではなってきている。
だがしかし。
「・・・・エル?迎えにいく?」
「今はそれより・・。リナの泣いた反動で生じたこの歪み。どうするか・・・なのよね。まっ。いっか。このままで。」
「そーね。」
一応、この世界の核として作り出しているだけのことはある。
まあ、その性質転換はすでに済んではいるものの。
その反動で生じる歪みは後を絶たないが。
ま、それはほっとくとして。
そんなことを思いつつ。
「じゃ、ここの店番、部下二人でも呼んで。任せてリナを迎えにいきますか(はあと)」
そういいつつ。
パチンv
軽く指を鳴らす。
その刹那。
―ドデっ!
それと同時に。
空間から二人の人物がいきなり目の前にと落ちてくる。
金色の髪に金色の瞳をしている絶世の美女と。
黒い髪をポニーテールにしている青い瞳の少女の前に。
落ちてくる二人の男女。
一人は長く黒い髪。
一人は紫がかった青い髪。
特質すべきは二人とも燃えるような紅い瞳をしているということ。
「はぁぃvRvSv店番よろしくねv」
にっこり微笑む金色の髪に金色の瞳をしている絶世の美女のその言葉に。
ぴしり。
二人して一瞬のうちにと凍りつく。
目の前の女性の言葉には逆らうことなどできるはずもなく。
『エエエエエエエルさまぁぁ!?』
突如として呼び出しをうけ。
かなり混乱しているこの世界の魔王と竜神・・その当人たち。
いきなり召喚・・というか呼び出された二人が叫んでいる、その同時刻。
「・・・・・・・・おや?ゼラス様?何か子供の泣き声がしませんか?」
ふと。
のんびりと、なぜか、目の前が見えないほどに大量の荷物をもち。
その背後にも、なぜか。
そりを引くがごとくに。
数メートルはあろうかという、荷物の山の帯が出来ていたりもするけども。
それにも関らずに。
なぜか、足場もない場所である空中を歩きつつ。
ふと。
上空にて赤ん坊らしき声を捕らえている黒い神官服を着ている、男性が一人。
「ふむ。確かに聞こえるな。ゼロス、様子を見て来い。」
そういって。
何も持たずに。
そんな彼の前を歩いていた女性が。
傍らにいる男性にとそう言っていたりする。
「・・・・あ・・あの?僕がですか?この荷物は・・。」
「持ったままに決まっているだろうが?」
「・・・・・はい・・・。」
上司の命令に逆らえるはずもなく。
それでいて。
荷物を異空間に保管するのも禁止。
そういわれていては、どうすることもできずに。
その体の一部を入れ物にして。
とりあえず荷物が傷つかないようにと保護しておいてから。
言われたままに、声のした方向にと移動してゆく黒い神官服の男性が一人。
ふえ・・・フェェェン・・・。
誰の気配もするでなく。
かといって。
また移動しようにも。
・・・・未だにリナはどうやって、自分が移動しているのか。
・・・・・・・完全に理解できていない。
ただ、海で遊びたかった。
それだけの思いだけで空間移動しているリナ。
金色の髪に金色の瞳のかわいらしい女の子。
未だに自分の意思だけで。
思うところに移動など・・・・まだリナは出来はしない。
ふと。
泣きべそをかいているそんなリナの近くに。
何かの気配を感じ取り。
ふと。
涙を湛えた瞳で空を見上げるリナ。
ちょこんと。
足を投げ出して座り込んだままの姿勢で。
ふと。
視線を降ろせば。
そこに、なぜか。
周りに人の気配などないというのに。
なぜか、小さな・・・完全に人間の赤ん坊。
歳のころは、まだ数ヶ月もいっていないであろう。
小さなころころした物体が一つ。
沈みかけた太陽のその光に。
赤ん坊の金色の髪が反射してきらきらと煌いている。
「・・・・どうして人間の赤ん坊が・・・こんな所に?」
周りに他の人間の気配などはない。
少なくとも、この辺り半径数キロ四方において。
こんな赤ん坊が一人。
こんな海の中にぽつんと位置している離れ小島にいるはずもなく。
首をかしげつつ。
それでも。
何となくほうっておくと後味が悪いような気もしなくもないので。
そのまま。
その赤ん坊の近くにと降りてゆく男性・・・・獣神官ゼロスの姿。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
きょとん。
何となく、近くに着たら。
何となくだが・・・何というか。
こう・・・。
何と表現していいものか。
自分をまっすぐにキョトンとした瞳で見つめているその赤ん坊は。
なぜか、金色の髪に金色の瞳。
・・・・そして。
その纏う雰囲気そのものが。
・・・・・・・・はっきりいって人間のそれではない。
何か畏怖するような・・・・恐れ多いような。
そんな感じの気配ではある。
「あ・・・・あ・・・・あの?ゼラス・・・・さ・・・ま?」
何となく、この気配には覚えがある。
震える声で。
自分の後ろにと降り立った彼の上司でもあるゼラスにと問いかける。
ゼラスもまた。
そこで目にしたのは。
金色の髪に金色の瞳をしている女の子。
・・・・・・・・まるでとある御方を連想させるような。
・・・・いや、とゆーか、『あの御方』の気配・・・・そのものに近い。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゼロス・・・・。」
そんな赤ん坊の姿を目にして。
二人の脳裏に。
一瞬とてつもない考えがふと浮かぶが。
それをどうにか振り払う。
・・・払うが・・・・。
先日、突如として消え去った暁の竜の大陸。
そして。
そこに残っていた・・・。
間違いのない、『あの御方』の力の気配。
そして・・・。
その波動を辿っていった彼らの上司であり王でもある。
赤瞳の魔王のそれからの不可解な行動。
そして・・・。
今いる目の前の赤ん坊・・・・。
「・・・・ま・・・まさか・・・な・・・・。」
「そ・・・そうです・・・よ・・・・ね・・・・・。」
思わず顔を見合わせて。
しばらく、沈黙・・・・・。
一瞬とんでもない可能性がふと横切るが。
それをどうにか振り払う。
二人の脳裏に。
とてつもない可能性が浮かんだのは。
何か最近、上司であり魔王であるシャブラニグドゥが。
・・・・・赤ん坊の玩具などをよくもって、どこかにいっているのを目撃しているがゆえに。
「え・・・・ええと。おじょうちゃんの家は・・何処ですか?」
とりあえず。
何か声をかけないと。
今思い浮かんだ考えが肯定されてしまいそうで。
普通なら放っておくであろう。
たったの小さな人間の赤ん坊が、たかだか一人。
だがしかし。
なぜか聞かずにはいられない。
質問せざるを得ない何かが突き動かす。
自分に声をかけてきたこの男性は・・・。
確か・・・・。
必死に与えられているその情報を手繰り寄せ。
「んと・・・・あ!じゅうしんかんぜろすにぐれーたーびーすとぜらすだ!」
小さな手をぽんと合わせて。
きゃっきゃと声を上げるその声に。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』
一瞬硬直。
どうしてこんな子供というか赤ん坊が・・・自分達の。
しかも、気配も隠しているというのに。
正体をずばりと言い当てているのか。
そんな彼らの心情はリナには伝わってはいるのだが。
・・・・リナはまだ。
そういった感情などを読み取る防壁がまだ形成されてなく。
無造作に相手の心のうちを読んでしまうという今の実情。
そのまま。
無邪気なままの台詞で。
「あのね。りなね。ははさまたちのみせからね?
いどーとかいうのをしたらしくてここにきたけど・・・。もどれないの?ね?つれてもどってくれる?」
・・・・・・。
何かとてつもないことを今聞いたような気もしなくもないが・・・・。
二人はそう思いつつ。
顔を見合わせ。
「あ・・・・あの?少しお聞きしますけど・・・・・。そのあなたのお母様って・・・・・・・・どなたですか?」
何かさまをつけないと、恐ろしいことになるような気がする。
それはもう確信的に。
その言葉にキョトンとした表情で、そんなゼラスとゼロスを見上げつつ。
「んっとねぇ。るなおねいちゃんとか、れいすおにいちゃんとかは。ははさまのこと、エルさまってよんでるけど?
ゆにっとおねいちゃんは。ははさまのこと、えるってよぶの!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・。
二人の思考はすでに停止。
―・・・一瞬のうちに滅んだ大陸。
―・・・そこに残った残り香というか気配。
―・・・・それの調査に出向いた魔王様の行動不審。
―・・・・・・・かの御方を彷彿させるような金色の髪の赤ん坊・・・。
―・・・・・・その赤ん坊が母と呼んでいる人物は・・・・。
――エル様――
そう呼べるべき人物を・・・。
彼らは一人しか・・・・いや、間違いなく間違いないであろう。
一人しか・・・・あの御方しかありえるはずもなく・・・・。
しばし硬直したのちに。
「まじですかぁぁぁぁぁ!!!!!?」
「で・・・・・でぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
きょとん?
どうしてこの二人・・・・そんなに驚いているの?
自分が爆弾発言をしたなどと。
夢にも思わずに。
そんな二人をそのきょとんとした大きな瞳で見上げているリナ。
二人の・・・・獣神官ゼロスと、獣王ゼラス=メタリオムの中で。
先ほど浮かんだ考えが・・。
恐ろしいまでの現実として。
突きつけられた瞬間でもあった・・・・
「??????どーかしたの?」
まったく。
意味を理解してないリナを前に。
しばらく混乱してゆくゼロスとゼラスの姿が。
その場にて見受けられてゆく・・・・。
−続くー
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まえがき:
ふふふふv
今回は、ゼロス&ゼラスのリナとの出会い!
そーして驚愕の事実の判明!(笑)
つまり。ゼロス&ゼラスがリナのことを知っていた理由ですね(爆!)
んではではv
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あとがきもどき:
薫:・・・・・短いけど。ここできります!(こらまて!)
え?なぜかって?・・・・今日の更新に間に合わないからです!!(どきっぱり!)
ふう。やっぱ闇の行方より、こっちはほのぼのv
もう一個の方はもうリナとスティルバイトが出会ってるシーンだからなぁ。
こっちはまだだしv生まれたてのリナだしv(こらまて!)
ではでは。また気分転換にいつかこれ、打ち込みますねv
それでは。またv
2003年5月14日
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