狭間の選択 ~いきなりの結婚式!?~
ざわざわざわ。
家から出ると、家の周り、得に家の敷地内にある、礼拝堂の周り。
そこのあたりが騒がしい。
どうしてこんな騒ぎに気づかなかったのか。
などと、自分でも一瞬驚くほどに。
まあ、人の数の多いこと、多いこと。
しかも、なぜか。
家の周りには、
『インバース家の次女の結婚記念に!あなたも二人のラブラブ饅頭!』
とか。
挙句は。
『インバース一族、祝!結婚!
何とお相手は!混沌の王の関係者!』とか。
・・・・・どこからその情報が出ているのか。
何となく、追求するのがかなり怖いが。
『結婚記念。愛のタベストリー』など。
なぜか、寸分たがわぬような、マスコットまでもが売り出されていたりする。
とはいえ。
・・・・・なぜかそこに。
とある場所で売り切れ続出となっている、『ピコピコリナちゃん』なるマスコットなども。
多々と出店に並んでいるのだが。
「って、何なのよぉぉぉお!これはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
そんな光景をみて。
思わずリナが叫んだのは……いうまでもない。
ガウリイといきなり結婚式。
といわれて、驚いていたリナではあるが。
そんな光景を目の当たりにして、そちらに対する驚きと、そして恥ずかしさと。
そんな感情の方が、結婚式よりもリナの感情の中では重要性を秘めてゆく。
「って!何旅の様子を記録してる記憶球(メモリーオーブ)とかまで売り出されてるのよぉぉぉぉ!」
などと、リナが絶叫をあげるも、…仕方ないこと。
何しろ、ここ、ゼフィーリアでの、インバース一族の結婚とは。
それほどまでに国の中にと溶け込んでいる、かなりの重要行事。
わめくリナをそのままに。
「はいはい、リナ、わめいてないで、いくわよ。」
そんなことをいいつつ。
リナの首ネッコをつかまえて。
ずるずるとひこずるようにして、礼拝堂にとリナをつれてゆくルナの姿が。
そこには見受けられていたりするのだが。
「でも、やっぱり、リナ、ガウリイさんと結婚かぁ。」
いいつつ、瞳をきらきらとさせている、黒い髪の女性。
とはいえ、その大きな目は以前と変わりなく。
「というか、これ…リナのやつ、知らされてないらしいぞ?」
招待状、というか、俺たちを連れに来たゼロスのやつが。
そういってたしな…
などと、半分冷や汗ながしつつも、そんなことをいっている、全身白尽くめの男性。
とはいえ、彼は、以前ならば、その顔まですっぽりとフードをかぶっていたのだが。
リナたちとであってからは、あまり顔を隠すようなことはしていない。
もっとも、小さな村とかなどでは、警戒されたりしても困るので、今だに顔を隠しているのが現実だが。
「いいんです!ゼルガディスさん!だって、相手は!あの!リナですよ!
きっと、リナのことだから、ガウリイさんがいくら遠まわしにプロポーズしてても、
絶対に気づいてないに決まってます!」
きっぱし。
そんなことをきっぱしと言い切っているのは。
セイルーンの第二皇女でもある、アメリア。
はっきりいって、大正解。
伊達に、リナと一緒に旅をしていただけのことはある。
「・・・・・まあ、確かにいえてるな…」
そんなゼルガディスの言葉に。
「あら、よくわかってるわねぇ。さすがはゼルちゃんたちv」
―ピシッ。
ものの見事に、その声を聞くと同時に。
まともにその場にと凍り付いている、アメリアとゼルガディス、この二人。
リナとガウリイと共に行動していたときにはよく聞いていた、
忘れようにも忘れられないその声。
ギギギ。
思わず、同時にまるで壊れかけたぜんまい仕掛けの機械のように。
同時に声のした方向にと振り向くアメリアとゼルガディス。
振り向いた先にいたのは。
二人もよく知っている人物、二人の姿が。
「…そういえば、この結婚式の主催者…エルさんたちだっていってましたっけ…」
ぽつりと、どこか遠くをみつつゼロスに説明された、というか。
彼が説明を怖がっていたがゆえにわかったことをつぶやいているアメリア。
ちなみに、彼ら二人だけでなく。
この場にいる他の人間などもまた。
アメリアたちにと話しかけた、二人の人物にと目を奪われていたりするのだが。
「あら?アメリアちゃん?どうかしたの?」
にこやかなまでな笑みを浮かべてそうにっこりと微笑んでくる、
はっきりいって、絶世の美女。
としかいいようのない、金色の光を気のせいではなく、纏っている、一人の女性。
「…と、とりあえず、お久しぶりです。」
「…頼むから無事に結婚式すんでくれよ…」
ぺこりと頭を下げて挨拶しているアメリアに。
なぜか、空を見上げつつ、そんなことを小さくつぶやいているゼルガディス。
「でも、まさか、お姉様とこんなところでお会いできるとは。」
いいつつ、瞳をうるうる潤ませて、うっとりとした表情で。
横にいる女性にと言っているのは、代わった鎧に身を包んでいるエルフの少女。
「おーほっほっほっほっ。当然じゃない。
この私はリナの最大にして最高のライバルの白蛇のナーガよ!
おーほっほっほっほっ!」
いいつつ、高笑いをあげている、なぜかかなり露出度の高い服をきて。
といっても、今回はその身に纏っているマントがいつもと違うことから。
あまり違和感を感じないのもまた事実ではあるが。
その身につけているものひとつで、見た目ががらりと変わるのは。
というか受ける印象が変わる、といういわゆる典型的な例であろう。
いつものトゲトゲつきのショルダーつきのマントではなくて。
何かどこぞの王族が身につけているようなマントをその身に纏い。
といっても、事実、彼女は王族なのだが。
「うむ、世間は狭いな。メフィの尊敬する女魔道士たる女性が。
よもやリナ殿の知り合いで、そしてまた、あのアメリア殿の姉君だとは。」
いいつつ、腕をくみ、しみじみいっている金色の髪の男性。
「おーほっほっほっ。でも、メフィ、あなた元気そうでよかったわ。
やっぱり高飛車にでたら人見知りなんてもうどうってことないでしょう?
おーほっほっほっ!結構それにその鎧のセンスも素敵だしね!
だんだん、あなたも私に近づいてきてるわね!おーほっほっほっ!」
いいつつ、高笑いをしているのは。
いわずとしれた、自称、『白蛇(サーペント)のナーガ』こと。
セイルーン第一王子、第一子、第一皇女、グレイシア=ウル=ナーガ=セイルーン。
「本当ですか!ナーガお姉様!」
そんなナーガの言葉に目をきらきらとさせているのは。
エルフ族のメンフィス。
そんな彼ら、というか、ナーガ、メフィ、そして、金色の髪の男性-ミルガズィアを。
どうってことのないようにさらりと受け入れているほかの人々。
普通というか、まず間違いなく。
ここ、ゼフィーリアでなければ、このような光景。
まず、露出度、というか、布があるのか?というような服を着て、
しかも高笑いを延々と繰り返し笑っている女性に。
そしてまた、その特徴的なとがった耳は隠しようもなく、それでいても目立つのに。
どこか変わった鎧を身につけている、エルフと。
少しかわったこちらもまた、軽装鎧らしきものをその身につけている、
金の髪の青年。
はっきりいって、彼らの存在は浮いている。
にもかかわらずに、違和感なく、さらりと溶け込んでいるのは。
さすがは、ゼフィーリア。としかいいようがないが。
「…リナ、すごい綺麗だな。」
思わずリナの姿に見とれて絶句しつつつぶやくガウリイ。
結局のところ、ルナに促されるようにして、私有地の中にとある、礼拝堂にと。
リナはやってきたのだが。
その入り口で待っていたのは。
なぜか、薄い紫色のタキシードをきちんと着こなしているガウリイ。
かなりその姿が似合っていたりするのはお約束。
まず間違いなく、もし彼が。
とある『王子』と並んでいれば、
ガウリイの方が確実に『王子』、と勘違いされることは、いうまでもないほどに。
思わずそんなガウリイの姿に不覚にも。
ドキッ!
思わずリナの心臓が高鳴るが。
その直後にはたと気づき。
「って!?ガウリイ!?これどういうわけ!?
というか、ガウリイからエルさんたちにこれ取りやめるようにいってよ!
あんただって、好きでもない人といきなり結婚、というの困るでしょ!?」
いいつつ、ビシッと。
ガウリイに指を突きつけて言い放つリナではあるが。
そんなリナの言葉に。
「オレはリナのこと好きだぞ?」
にっこりと、笑みを浮かべるガウリイに。
「だからぁぁぁぁぁ!そういった『好き』じゃなくて!
あんたの『好き』は妹とか、家族とか、もしくは仲間、としての『好き』でしょうが!
普通、結婚、というのわね!生涯にわたって連れ添いたい、
そう思う最高の伴侶となる人とする行事なの!わかった?わかったら中止にするように…」
ずいっ。
そんなにこやかにいうガウリイの目の前に顔を突き出すようにして、
結婚についての概念を述べているリナ。
「うーん、わかんないかなぁ?」
「だからぁ!……」
――チュ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
リナ、しばし硬直。
にっこりと笑みを浮かべ、そっとリナの顔にと手を添えたガウリイがにこやかに微笑み。
そんな彼の言葉にさらに抗議の声を上げようとしたリナではあるが。
次の瞬間。
ガウリイに顔を包み込まれるようにして、いきなりガウリイの顔が近づき。
次の瞬間には、何か暖かいものが唇に触れる感触をリナは感じ取る。
「な゛!?な゛な゛な゛な゛な゛!?」
いきなりのことで真っ赤になりつつ、ばっと口元を押さえて、ガウリイを見上げているリナ。
「ん?だから、こういうことvさ、リナ、結婚式あげようなv」
真っ赤になって、ナの字を連発しているガウリイとは裏腹に。
にっこりとそんなリナにといっているガウリイ。
「あああああああんた!?乙女に何てことするのよぉぉぉぉ!」
どうにか、今されたことの事実。
すなわち-ガウリイは今いきなりリナの唇にキスをしたのである。
真っ赤になったリナの叫び声がこだまする。
「うん?何だ?リナ?物足りなかったのか?そーか、そーかv」
「ちょっ!?…んっっっ!!!!!?」
真っ赤になるリナをにっこりと微笑みつつ。
そのままぐいっと自分の胸にと引き寄せ。
そしてさらに唇を重ねているガウリイの姿がそこにあったりするのだが。
「あ~…ガウリイさん、誓いのキスのときにはリナには手加減してあげてくださいね…
あ、それより、リナ、待ってるからガウリイさんと礼拝堂の中に入ってきなさいね。」
リナを開放しそうにないガウリイをみつつ、ため息まじりにつぶやくように。
多分、今のリナには言っても無駄だろうけど。
思考回路がパニックになってるだろうから。
と的確な判断をしつつも。
それでも一応はリナにことづけ。
そのまま、建物の中にと入ってゆくルナ。
建物の入り口でそんな光景が繰り広げられているさなか。
「さて、皆さん、お集まりいただきましてありがとうございます。」
「これより、新郎、新婦の入場とさせていただきます。」
パッ!
パパパッ!
四方から、そうなぜかマイクをもち、解説する二人の女性にと。
スポットライトが浴びせられ。
思わずそんな二人の女性の姿をみて。
参列者たちから感嘆のため息の声が漏れ出してゆく。
さすがに、きちんと正装しているこの二人をみれば。
それでなくても普段からでもはっきりいって、かなり目立つ、と断言できる二人である。
そんな二人が正装した姿など。
・・・ま、まあ、彼女たちが自分で決めている、本来の姿たる『正装』の姿ではないにしろ。
それをやったら間違いなく、この星そのものがパニックに陥るのはいうまでもないが。
インバース家の敷地内にある、ここ礼拝堂。
その正面の机の横にて。
燦々と輝くスポットライトを浴びている、二人の女性。
金色の髪にそして黒い髪。
そしてまた。
「えっと、角度はこうで…」
いいつつも。
そんな礼拝堂の二階部分、というか、設置されている廊下部分で。
必死にスポットライトの調整をしている人物たちの姿、およそ約八名。
それでいて。
せかせかと無言で正面に続くまでの道のりに。
花びらをまいていっている少年、少女の姿。
「というか、どうして我が…」
ぶつぶつと何やら文句をいっている銀色の髪の少年に。
「あら、いいじゃありませんか、グラウ。子供の姿も面白いですわよv」
などとにっこりとそんなことをいっている少女。
「…ダルはそうだろうな…」
伊達に長い付き合いのわけではない。
にこにこと、横でそんなことを本気でいっている同僚の言葉に。
深く、深くため息をつしているのは、花まき小僧ではなく、
一応、これでも、この世界の魔族。
地位的には、魔王の五人の腹心の一人。
覇王グラウシェラー。
対するもう一人の女性もまた同じく五人の腹心のうちの一人。
海王ダルフィン。
「まあ、何だな。魔王様たちの方が大変だとは私は思うぞ…」
いいつつも。
なぜかかなり似合っていたりする。
ウェイター姿の淡い金色の髪の女性。
ちなみにその手には銀色のお盆が両手に握られており。
部屋の中にと存在する、個々のテーブルにと。
飲み物などを運んでいたりする。
「うっうっうっ。どうして僕たちばかりが…
というか、どうして火竜王さんとか、ほかの竜王さんとかはいらっしゃらないんですかぁ~…」
などと、目の前も見えないほどに。
数十枚のお盆をその手にともち。
各自のテーブルにと料理を運んでいる全身黒尽くめの男性。
「…彼らは動けないらしいぞ?」
ぽつり。
そんなゼロスにぽつりと説明しているゼラス。
そう、彼らも確かに招待はされる予定ではあった。
だがしかし。
魔を滅ぼしたと思われる、リナ=インバースをどうにかしよう。
災いを呼ぶ前に削除する。
などと考えた極一部の竜王の考えにより。
ものの見事に、そのことが、金色の王たちにと伝わり。
―結果。
ただいま彼らは再起不能状態となりはて。
ここにこられる状態ではない。
というのが真実なのだが……
「それでは、式を開始します!新郎、新婦の入場です!」
高らかに。
絶世の美女、としかいいようのない金色の光をまとったようにと感じる女性の口から。
結婚式の開始の合図が公言されてゆく。
「おvリナ、いこうぜ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
いまだに初めてのキスに真っ赤になっているリナをみて、苦笑し。
そっと、リナの手をリードするかのようにと絡め。
とりあえず、呆然となっているリナをそのまま。
式場となっている礼拝堂の中にと。
ガウリイはリナと共にと、入ってゆく。
って、何が?どうなってるわけ?って、結婚!?
って、何でこうなってるわけ!?
というか、何でこいつ、私にキスなんかしてきてるわけ?え?え?え?
そんな考えをぐるぐるとリナは頭の中でめぐらしつつも。
それでも、人間、考え事をしていると、ほかのことには気が回らない。
ゆえに。
ガウリイに手をひかれ、少しばかり自分自身が足を進めている。
ということにあまり疑問も抱かずに。
そのままリナはガウリイにつられて。
式場の中にと足を踏み入れてゆく―――……
-続くー
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あとがきもどき:
薫:リナちゃん、まぁぁぁぁぁだ(笑)
ガウリイが本気、というのに気づいてなかったり。
というか、リナの思考回路はパニックになってます。
ちなみに、この結婚式のネタ。
次回のやつで、あ!あれだ!とわかる人は、完全なるスレファンですv
というかわかりますよねぇ?あのネタv
ただ、指輪がナックルではないだけで(笑
次回で結婚式の内容と、それと、お色直し
かなぁ?
何はともあれ、もうすこし!ファイトだ!おー!
と自分自身に言い聞かせつつ。
こんな意味のない駄文ですが、もうすこしだけお付き合いくださいませv
んではではvv
2004年2月2日某日