狭間の選択     ~それぞれの?~
   


  まあ、確かに。
  その護衛はある意味最強ともいえるであろう。
  何しろ、まず間違いなく、いくら欠片、しかも七分の一。
  とはいえ、魔王であるそれの意識にかなうものが、普通いるはずもなく。
  リナやガウリイをいつも見ている人物ならば、どこか感覚が麻痺するかもしれないが。
  それほどに、実際は魔王の意思、というものは巨大なのである。
  普通は、人間の精神力程度で抑えこめられるものではなく。
  また、ルークがそんな魔王の精神というか心と共存しているような格好になっているのは。
  一重に、魔王の協力があってこそ。
  「ま、一応正規の兵士たちもやっとこさ動き出して何人か護衛についてるしな。
    当人がいい、っていうし、何より、このまま何もしない、というのはなぁ…」
  いいつつ、そんなことをいってくるルーク。  
  「ま、魔王がついてるんだったら問題はないわよね。
    後数名、仲間がいるようなこと、暗殺者たちはいってたけど。」
  だがしかし、彼らとは違うグループもいた。
  というのもまた事実で。
  そんな彼らは、ただ、一人の神官の命を狙っているのもまた事実。
  「とりあえず、どうするんですの?リナさん?」
  そんなミリーナの冷静なまでの問いかけに。
  「そうね。まずは…聞き込みから…ね。」
  いくら、自白があっても証拠がなければ、それは陰謀だ。
  と、突っぱねるのは明白。
  ならば、逃れようのない証拠を突きつけて、今回の一番の発端であるその人物と。
  そして、はっきりいって人類の敵である人物を大神官の地位より下ろすのが、何よりも先決。
  そんなことをおもいつつ。
  「とにかく、このあたりで安宿とか立ち並ぶいかにも怪しい場所から調査開始よ!」

  リナの一声により。
  
  ルーク・ミリーナ・リナ・ガウリイ。
  四人の調査の幕はあけてゆく。



  街の南に位置する、はっきりいって、あまりというかまず間違いなく、
  絶対に観光客などが寄り付かないそこ。
  まず、こんなところにくるのは、わけありの人物くらいであろう。
  間違ってこんなところに浮かれ気分の観光客が混じりこんだりもしたならば。
  まず、この場にたむろしているごろつきたちの餌食というか格好の獲物になることは間違いなし。
  観光地。
  という裏で、どうしてもこういった場所ができるのは、人間の心に善と悪が常に滞在しているせいか。
  いや、それらを自分自身で制御できない人間が多数いるためであろう。
  街の分院よりもさらに南にとくだったところにある、
  ひしめく建物と、そして、いわくありげな人物などがたむろし。
  そして、その路地のスキマには、野宿というかそこで生活しているのであろう。
  浮浪者らしき人影すらも具間みえる。
  探すは、プロの暗殺者。
  こういった場所に彼らが潜んでいても、違和感なく受け入れられるが故に。
  逆にすべての黒幕、というか、裏で糸をたとえば引いている人物からすれば、逆に。
  暗殺者たちに対しては自分のところの傭兵というか雇い入れている人物として、
  飼っていたほうがあつかいやすい。
  だがしかし、プロの暗殺者などは、当然、そんな馬鹿なことはしない。
  駆け出しのものなのは良くその手を使うので、その世界を知らない者たちは、
  彼らは自分たちの元にと常にいる。と勘違いしているものも多数いるのもまた事実。
  普段、ブロのそういった裏の仕事を生業としている人物などは、
  大概、彼らをまとめる総元締めの持ってきた依頼や。もしくは。
  それぞれに受けた依頼をこなすために各自目的をもって行動しており。
  普段はどこか目立たぬところにと潜伏し、そして指定した時刻と場所にと現れて。
  そして、支持を乞う。
  というのが一般的な彼らの仕事のあり方。
  たまに意表をついて街の中心にあるような高級ホテルになど滞在しているときもあるが。
  そういったときは、必ず、ほぼ100%の確立で、彼らの足はついて、彼らの身を危うくさせる。
  「本当なら、私とガウリイの二人と、そしてルークとミリーナの二人。
    このメンバーでの二組に分かれて聞き込みでも…と思ったけど。」
  いいつつ、思わず苦笑する。
  それと同時に。
  「まあな。その心配もなさそうだ。」
  いいつつ、路地の先にある暗闇をみているガウリイ。
  「まあな、しっかし下手な尾行だなぁ。
    んな殺気まるだしじゃあ、不意打ちなんてできるはずもねーぞ?ん?」
  そしてまた、ルークもその闇にむかって苦笑しつつも問いかける。
  そんな彼らの言葉に一瞬、その場にと沈黙がおちていき。
  やがて。
  「…ばれちまったんなら、仕方ないな。…」
   声とともに、とおりの影から男が姿を現してゆく。
  一人。二人、三人……
  リナたちがいる通りの陰と、そしてその先にある物置の陰から。
  わらわらわら。
  リナたちの目の前にと現れたのはいかにも、自分たちは悪党です。
  といわんばかりの顔をしているごろつきたち。
  その数、およそ十数人。
  思わず。
  「「すくなっ!」」
  ガウリイとリナの声が重なるが。
  「ま…まあ、あんたらにとっちゃ、そうだろうな…」
  そんな二人の声に思わずぽつりとつぶやいているルークではあるが。
  そんなリナたちの声をまったく無視し。
  「…お目えらがうろついてると目障りだ。ってお人がいるんでな。
    ちょいと痛い目みてもらうぜ。」
  いいつつ、その頬に傷のある男性がその手にナイフをちらつかせながらいってくる。
  だがしかし、ちらりとリナとガウリイの視線が交じり合う。
  「へっ。そりゃあずいぶんとおめでたいヤツもいたもんだ。」
  鼻で笑うルーク。
  そして、さらに続けざまに。
  「てめぇらみたいな一山いくらの雑魚で、俺たちの相手が務まる、とおもってるんだからな。」
  などと、明らかに相手を挑発するかのごとくに高らかにと言い放つ。
  「何だとぅぅぅう!?」
  そんなルークの挑発にあっさりと乗っているそのごろつき。
  「なめやがって!やっちまえ!」
  どこぞの盗賊でもましの台詞をいうわよ…
  などと思うリナの前で、決まりきった台詞をほざき。
  そのまま、それぞれに思い思いの獲物を手にし。
  リナたちにと襲い掛かってくるそんな男たちの姿。
  だがしかし。

  「魔風(ディム・ウィン)!!」

  ドゴォォォン!!!!

  リナの放った術が、そのまま上空にと向けられ。

  そして、その刹那。
  響くのは、空中で、へ炎が爆発、四散されてゆく音。
  リナが放ったのは傘を差したくらいの子供程度ならば吹き飛ばせるくらいの風力をもつ、
  ちょっとした風の呪文。
  まあ、一般には殺傷能力はない、とされている。
  …普通に使えば。
  あたりに生じる爆音と、頭上から舞い降りてくる白光。
  『-な゛!?』
  それに対してごろつきたちの驚愕の声が辺りにと響き渡る。
  放ったのは屋根の上にと身を隠していた暗殺者たち。
  そして、刺客として今リナたちにと絡んできた彼らは。
  そんな暗殺者の存在を知らされていなかったりする。
  つまり、構図としては。
  調査をしていたリナたちが、ごろつきに絡まれているところに。
  うん悪く、暗殺者の生き残りがいて、それらもろともに殺された。
  という筋書きを暗殺者を雇っている人物は構想したのである。
  何しろ、殺した。というか、口ではきちんと、殺せ。
  といったわけではないにしろ。
  言外にそれを含めて送り出したはずの刺客は。
  いともあっさりと、リナたちにと倒され。
  しかも、自分が刺客をはなったブランは生きている。
  そうなれば、リナたちがその真実を聞いているのではないか?
  と疑心暗鬼になるのは当然の事柄で。
  ―最も、リナたちだけを始末すれば、どうにか言い逃れができる。
  とタカをくくっているのも、またその彼らしいといえば彼らしいのだが。
  つまりは。
  リナたちにと絡んできたごろつきたちはただのおとり。
  本体は屋根の上にと身を隠している暗殺者たち。
  彼らとしては気配を隠しているものの、当然、リナとガウリイにそれが通じるはずもなく。
  結果。
  彼らが放った術はいともあっさりとリナの術に空中分散されたのである。
  「え…えぇぇぇぃ!ひるむな!あんな呪文など単なるこけおどしだ!」  
  いいつつ、部下たちを叱咤している頭たる男性。
  彼らはだがしかし、聞かされていない。
  自分たちが襲う相手が、攻撃呪文やそして、剣技にたけている、ということを。
  それゆえに、自体をまったく理解することもなく、わめきつつ、部下たちを叱咤しているその男性。
  そんな彼の言葉に。
  『お、おう!』
  素直にその言葉を信じて再びリナたちにと挑みかかってくるごろつきたち。
  まあ、素直、というか何というか。
  そもそも、人目みて、自分たちが手に負えられる相手か、その力量なのか、検討がつけられない。
  という時点で、彼らがはっきりいってただの街のごろつき、というのは一目瞭然。
  「…というか、こいつら、脳みそないんか?」
  そんな彼らをみてもっともなことをつぶやくルークに。
  「ルーク、こういったやつらは何をいっても無駄ですわ。」
  さらりとそんなことをいっているミリーナ。
  まあ、ある意味その通りなのだが。
  こういった、自分の力すら把握できないおろか者たちには。
  力をもって説明するのみ以外の何ものでもない。
  彼らには状況判断がまったくできていないのだ。
  つまりは。
  彼らを雇った人物が、彼らごと、闇にと葬り去ろうとしている。
  ということにすら。
  しかし、その事実に気づくこともなく、そしてまた。
  自分たちとの力の差にも気づくことすらなく、そのままリナたちの力を見くびって、
  そのままつっこんできているごろつきたち。
  「だぁぁぁぁ!もう!こいつらはぁぁ!」
  思わずあきれた叫びを上げるリナではあるが。
  だが、次の瞬間には。
  「氷結弾(フリーズ・ブリッド)。」
  低い、ミリーナの声が響き。
  ギィィィィン!
  そのまま、ミリーナの放った術は、向かってくるごろつき数名をあっという間にと、
  行動不能の氷の彫像にと化してゆく。
  「リナさん、こういったやつらには言っても無駄です。」
  いとも冷静に言い放ち。
  次なる呪文を唱えているミリーナ。
  「ま、確かにね。」
  そういいつつ。
  「とりあえず、遠慮なく♡」
  いいつつ、リナが次なる呪文をつむぎだす。
  といっても、当然、リナにはカオスワーズなる呪文詠唱など、あまり大きな大技でないかぎり、それは不必要。
  「氷霧針(ダスト・チップ)!」
  バビュビビュ!
  リナの言葉に従い、リナの手の先から、通常はつめの先ほどの小さな氷の矢を。
  無数に放つこの術も、リナの手にかかれば、ごらんの通り…
  ドシュシシュ!!
  ちょっとした腕の半分の太さくらいはあるであろう、そんな氷の矢が無数に。
  向かい来るごろつきたちにと襲い掛かる。
  『うどわげぎゃぁぁぁぁ!?』
  意味不明な叫び声をあげ、のた打ち回っているごろつきたち。
  まあ、何しろ、彼らの体を無数の氷の矢が切り裂くようにと襲い掛かっているのである。
  そして。
  「はっ!」
  剣を鞘にと収めたまま。
  ガウリイが一声とともにその剣を一閃させたそれだけで。
  ゴウッ!
  辺りに生じる剣の衝撃派。
  ペチペチペチ!
  『ぐげおにょわぁぁぁあ!?』
  またまた、意味不明な叫びをあげつつ、今度は赤い何かを空中にとさらしつつも、
  吹き飛んでいっているごろつき数名。
  「…つーか、やっぱりあいつらにとっては赤子同然だな…」
  とりあえず、残ったごろつきを相手に軽くあしらい、そんなリナとガウリイをみつつ。
  ぽつりとつぶやいているルークではあるが。
  だがしかし、ルークの警戒もそんなどうでもいい、たんなるごろつき、というか、
  相手にもならない雑魚以外の何ものでもないそれらとは違い。
  頭上にいるやつらだと、理解しているがゆえに、そちらにと注がれている。
  そして。
  それが、動くのは、ほんのしばらく後というか、
  あまりにごろつきたちが、いともあっさりとリナたちにと撃退されているときのこと。

  パリッ。

  頭上より響く、小さな音。

  「…ワンバターン。」
  つぶやきつつ、そのまま、すれ違いざまにと、ごろつきの一人の剣をその腰から奪い取り。
  そしてその手にしている剣を少し斜め先にと放り投げるリナ。
 
  と。

   パリパリバリィィィィ!!!!


  辺りに、間違えようのない、音が鳴り響く。
  それは、あたかも雷が落ちたときの音ごとくに。
  …事実、それは雷、というか魔力の雷に他ならないのだが。
  無数の光の残像と、そして、光の螺旋が頭上にて鳴り響き、
  それはまるで文様を描くかのごとくに、リナたちがいる地面にと向かって突き進んでくる。
  そして、それは、当然、大地に突き立てられている金属である剣にと一転集中し。
  そして、その光の渦はその近くにいたごろつきの一人をまともにと直撃し。
  そして、その人物はいともあっさりと黒こげにとなってゆく。
  身を隠している…と本人たちは思い込んでいる暗殺者たちは。
  リナとガウリイが本気になったら自分たちがかなわない。
  というのを本能的に感じ取り、先ほど一瞬で焼き尽くそうとしたが、それが失敗し。
  今度は広範囲型の雷撃の術を放ってきたのである。
  というか。
  この程度の術でこの二人をどうにかできるか…それは、否。
  ということに、いまだ暗殺者も、そして、この場にいるごろつきもまた気づいてない。
  
  いともあっさりと自分たちの攻撃がかわされて。
  思わず目を見開いている暗殺者たち。
  だが、そのうちの幾人かは。
  「…こうでなければ…わが同胞の仇…」
  などと口を笑みの形にとゆがめてつぶやいていたりする。
  

  「おのれ!妙な術を!」
  いいつつ、今のがリナたちの術だと勘違いした頭らしきごろつきが。
  リナたちにと叫び返してくるが。
  『というか、いい加減に気(きづけ)(づくのが普通ですが?)!!!!』
  まったく同時に。
  リナ・ガウリイ。そしてルークとミリーナの突っ込みが。
  そんなごろつきの頭の男性にと入ってゆく。
  そんな彼らの突っ込みと同時。

  ブワッ。

  このままでは拉致があかない。
  とおもった彼ら暗殺者たちが同時に屋根の上から舞い降りて、そのまま、リナたちの目の前にと着地する。
  そして、その姿を目にし。
  それでもまだ、状況を理解してない頭その一。
  「な…なんだ!?ええええい!かまわねぇ!いっしょにやっちまえ!」
  まったく何も考えていないそんな彼の号令の元…
  混戦の幕はきって落とされてゆく。


  「だぁぁぁぁぁぁぁぁ!もう!鬱陶しいぃぃぃ!」
  まず、先に叫んだのはリナ。
  それでなくても、こういった馬鹿たちをあいてにするには、
  それなりの見返りがあってこそ。
  だがしかし、どうみても、今絡んできているごろつきたちは
  金銭というか金目のものなどまったくもっている様子はなく。
  そして。
  あまりの鬱陶しさに、リナがとった手段とは。


  ごそごそと、袋からあるものを取り出し。
  そして。
  「ルーク、ミリーナ!とにかく耳栓して!」
  『-は?』
  思わず唖然とするが、だがしかし、瞬時にリナが手にしているそれをみて。
  一瞬のうちにと顔色を変えるルークとミリーナ。
  「おい!おま!それ!!!!!?」
  顔面蒼白で叫ぶルークと。
  そして。
  「・・・・・・・ルーク。はい…」
  無言で、魔力強化した耳栓…何でもルークの中にいる魔王から習ったらしいのだが。
  それを懐から取り出してルークに手渡しているミリーナ。
  ミリーナの顔色も悪いのは、何も気のせいではないであろう。

  そして。


  ポイッ。


  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!!?

  SIPE+WXIWQ(Z?WIE>R!?


  理解不能な叫びがあたりにこだまし。


  後にはその場にそのまま、完全に失神したごろつきと。
  口から泡を吹いて倒れている暗殺者の姿があるのみ…



  「…つーか、あんた…いきなり、ミルガズィアさんのあれはやめろよな…」
  耳栓をしているがゆえに。
  その被害を免れたルークがぼつりと。
  累々と転がるそんな人々をみつつ。
  誰にいうともなく、呆然と気の抜けた声でつぶやくその声は、風にと吹き流されてゆく。



  リナたちが、そんなごろつきたちに絡まれているちょうど同時刻。
  「…ふぅ、えらい目にあった。だがしかし…」
  いいつつ、ゆったりとした椅子にと腰かけ、その手にワイングラスをもちつつ。
  そして。
  残った左手は横にいるなぜかバニーガールの姿をしている女性のお尻をなでていたりする。
  兵士たちにと説明を終え。
  自分の関与の否定を真っ向から否定し、まあそれは虚偽なのだが。
  いいつつ、とりあえず、コトが納まるまでは自室にて待機。
  というお上の意向もあり、彼はこうして自分の私室にてくつろいでいるのだが。
  「あ、あの?フランシス大神官さま…」
  そういう女性の声は震えている。
  「今日はそなたにするかのぅ?ふふふふふ。」
  その笑みに。
  完全にと凍りつくその女性。
  …今、彼を止めるべき人物は、今この館にはいない…


  「まだだ!まだ!」
  いいつつ、とにかく、体格のいいものばかりを集めているこの神殿を収めているこの神官。
  「あいつらは、この私を黒幕だと思っているらしい!
   力こそ、すべてなのだ!だが、私は暗殺など、といったことはしない!
   正々堂々と勝負をしてから、それから地位を確立してみせる!
   まずは…神のお言葉に従い、この私が!
   この地の責任者となるのだ!」
  そんな彼、ライアン大神官のその演説に。
  『ぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおお!』
  熱き男たちの声がこだまする。
  とにかく、力ある、男たちを…
  力こそが、正義であることを愚民どもに知らしめるために!
  彼を止めていた火事で死亡した元神官長は…もはやこの世にはいない。
  それに輪をかけて、彼は【神の声】を聞いてしまったが故に。
  暴走は…果てしなく、暗殺者、魔、と現れた、というのに、とどまることを知らない…



  「うーん、こういうときに、やはり神官長さまが生きていてくださったら…」
  ねちねち、愚痴々。
  延々と、なぜか水をのみつつも本気でよっているケレス大神官のその言葉に。
  周りの者たちは困惑する以外の何ものでもなく。
  『ほぅ。その神官長というものは、そんなに聖者であったのか?』
  しかも、傍目からみれば、彼はなぜかバンダナと話しているのである。
  ケレスのみに聞こえているその声は、ほかのものには聞こえていない。
  「そうなんですよぉ。もう、あのお方は、それはそれは…」
  ただひたすらに、延々と。
  バンダナにと意識を移している魔王にと、愚痴をいっているケレス。
  彼は知らない、自分が今、魔王当人と話している、などという事実は…



  「だめです!」
  なぜか、確かに自分たちは殺されたはず。
  なのにこうして生きている。
  そのときの記憶があいまいのなはよく覚えてないが。
  「ともかく、ブラン大神官さまは!今はともかく!怪我の治療に専念してください!」
  いいつつ。
  彼を見ている魔道医がベットから起き上がろうとするそんな彼にと注意を促す。
  ブラン大神官。
  ガウリイたちにと命を救われたというのに。
  リナに抱きつこうとして、記憶を失うまでにぽこぽこにされている神官である…


  それぞれの、事情、それぞれの思惑、などをひきつれて。

  ただ、刻々と時のみがながれゆく―――……
  

                             -続くー

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    あとがきもどき:
       薫:さてさて、今回は!
         それぞれのこの地、セレンティアの大神官にスポットを当ててみましょう!(おひ!

     神官たちの説明(?):
     殺された(原作で)ブラン神官は、実はかなり救いのない女好き
     (表現少し濁してるけど観光客などにも手をつけてる・・・汗)
     フランシスはフランシスで、かなりの権力集中者。
     しかも周りには女性をはびこべらせて、しかも裏ではのろいとかもやってるらしい。
     で、その結果、暗殺者なんかも雇い入れるタイプ…
     ライアンは力こそすべてのタイプ。
     力でこの地そのものを支配しよーとしているやからという・・・・。
     ケレス大神官は。ご存知のとおり。
     ネチネチと愚痴を言い続けるタイプ。
     彼の話が始まったら、まず数時間以上は覚悟すること間違いなし。

  
    薫:いかがでしたか?
      というか、んなまともな神官がいないこの町って・・・・・・・・(汗
      おーひ。きちんと功績だけでなくて、人柄もみようよ?ね?(滝汗
      何はともあれ、彼らの性格を頭にいれておいたら。
      何となぁぁく、というか、完全に背景はわかります。あしからず。
     それでは、また、次回にてv

    2004年1月15日某日