残すところもあとわずか。
  最後の最後のセレンティアにて。最後の性別変換かな?(まて!
  何か最近というか、ディルス編に入ってから。
  ガウリイ、男性のままだからねぇ(だからまてぃ!
  何かどっちにでもなれる。
  というのがまったく生かされてないなぁ・・・・・。
  ま、所詮はこんなものか。私の書いてる小説だし(まてぃ!
  このバージョンでいったら(こらこらこら!
  何はともあれ、いっきますv


 #####################################

        狭間の選択     ~覇王との攻防~
   


  「なあ、少し聞くが、本物の国王さんはどうしたんだ?」
  とりあえず、しらけたというか、その場に少し意味の違う空気が漂っているのを見て取り。
  ぽりぽりと頬をかきつつ、そんな質問をしているルーク。
  本来ならば、逃げ出すのがもっとも賢い選択であろう。
  そう頭ではわかっているのに、どうもリナとガウリイがいる。
  ということもあり、そのあたりのことが頭から麻痺しているミルガズィア。
  「…おじ様…勝ち目…あるんでしょうか?」
  そんなメフィのつぶやきにはたと正気に戻り。
  いまだに部屋全体を包み込む、覇王の存在感がもたらすプレッシャーに向き合いつつ。
  脂汗を流しているミルガズィア。
  もっとも、以前のドラゴンズ・ピークの一件で。
  どこかもうあれ以上はないであろう経験をしているがゆえか。
  どこか悟りきっているミルガズィアなのではあるが。
  そんなミルガズィアとメフィの様子をちらりと視線を走らせ見て取り。
  そしてすぐさまにその視線をルークやリナたちにと向け。
  そして。
  「城の端で呻く肉塊がひとつから二つに増えたところで、気にするものなど、誰もおるまい?」
  ルークの質問に淡々と答える『ヴェルズ国王』の姿をした覇王。
  「―っ!」
  その言葉に思わずミリーナが呻く。
  そう言い放つ覇王の姿はリナたちの目の前でゆっくりとその姿を変化させてゆく。
  頭から後ろに向かって二本の角のようなものが伸び。
  頬が、繭が目をまるでカバーするがごとくに硬化、変色してせり出してゆく。
  彼としては、今目の前にいるルークの存在が。
  唯一の救い、ともいえるべきもの。
  リナとガウリイがかかわったのは計算外ではあったが。
  だがしかし、こうして『見つける』ことはできたのだからして。
  後は、とにかく。
  『目覚め』させればいいのである。
  ―だが、どうやって?
  そう覇王が心の中で思っているそんな中。
  「…趣味わりぃな。だがな。負けないんだよ。俺たちは。
   『グラウシェーラの部下だから、シェーラ・グルゥ』なんて
   安易なネーミングをするやつにはな!」
  そういいつつ、剣をすらりと抜き放つルーク。
  確かにこの威圧感は、魔に間違いはないのだろうが。
  だがしかし、負ける気がしないのは一体全体どういうわけか。
  そんなことを思いつつも、それでも、万が一を考え、
  さりげなくミリーナをかばう姿勢で体制を整えて覇王に向かい合っているルーク。
  そのほかは『ディー・ノースト』覇王の部下は計四人。
  そんなルークの言葉にふと。
  「名前か…そういえば、シェーラめもそのようなことを聞いておったな。」
  そのことを思い出しつぶやくようにしていっている覇王。
  そして、その口元を笑みの形にと吊り上げ。
  「獣王(グレータービースト)ゼラスも自分の神官に自らの名前の半分を与えた。
    とか言っておったが…正直、われには理解できぬな。
    何ゆえにたかが、道具である部下の名前にこだわる必要があるのだ?」
  淡々と何でもないようにと言い放つ覇王。
  というか、事実はいい名前が思いつかなかった。
  というのがこの覇王には根底のところであるのだが。
  まあ、それも個人の性格、といえるであろうか。
  『……っ!』
  そんな覇王の言葉に思わず声を失っているミリーナとルーク。
  「…まさか、あのシェーラにもそう?」
  声を振るわせつつ質問を投げかけるそんなミリーナの言葉に。
  「答えたが?まあ、仲間(魔族)の負の感情、というものも結構乙なものではあったな。
   …だからあの御方がああされるのはまあ、それは関係ないとしても。」
  最後の方の言葉が少しばかり震えているように感じるのは。
  何もリナやガウリイの気のせいではない。
  だがしかし、そのことに気づいているのはこの場ではリナとガウリイのみ。
  後の残り四人は。
  覇王が放つその威圧感に圧倒されつつ、どうにか気力を保つのがやっとであるがゆえに。
  そんな覇王の言葉をうけ。
  「…ですから先ほどのシェーラは追い詰められたように見えたのですわね。」
  一人納得しつつ、そんなつぶやきをもらしているミリーナ。
  こういう場合でも、冷静に物事を分析できるのは、ミリーナの特技の一つ。
  「いっとくけど?私の周りで騒ぎを起こしてもらっちゃ、迷惑なのよねぇ?
    私がルナ姉ちゃんに何か言われるじゃないのよ!」
  どこか論点が違うことを怒鳴っているリナに。
  「別に騒ぎを起こしてもいいけど、リナを巻き込んだ罪は…わかってるよなぁ?」
  こちらもこちらでまったく関係ない論点でそんなことをいっているガウリイ。
  「くっ!だが、いくらインバース一族のリナ=インバースと。
    あの御方の関係者のルシフェルだとて、われ等にも引けぬ理由はあるがゆえに!
    ―来るがよい。命もちたるものどもよ!」
  いいつつ、半ばやけ、ともいえるような声を発しつつ。
  その手にジャキッと構えるちょっとした大降りの一振りの剣。
  「んじゃ、遠慮なく♡」
  「だな。」
  まったくこの場にそぐわない、軽い口調のせりふがリナとガウリイより発せられ。
  そしてまた。
  構えた覇王が放つそのプレッシャーに押されつつも。
  臨戦態勢にと入ってゆくルークとミリーナ。
  
  覇王対、リナたち一行。

  戦いの幕は、今きって下ろされる。


  

  『螺光衝霊弾(フェルザレード)っ!!』
  まず仕掛けたのはルークとミリーナ。
  その言葉と同時に二乗になった光の螺旋がグラウシェラーに向かい突き進む。
  が。
  「―ふむ。わが戦いを始める号砲としてはやや華々しさにかけるな。」
  直撃したものの、まったく気にせずに、そんなことを言い放つ覇王。
  『…な…?!』
  それをみて、驚愕の声をあげる二人。
  「…とゆーか、んな呪文、通用するわけないって…魔力容量が高ければ別だけど。」
  そんな二人をみつつ、ぽつりとつぶやいているリナ。
  そう、人間の魔力容量では、精神世界に干渉する力が限られており。
  当然のことながら、彼らが放った今の精霊魔法は。
  精神生命体である覇王に通用するはずはなく。
  「―封印解除(ディスシールド)!!」
  そんな二人の声にとわれにと戻り、自らを精神世界から見えないようにと隔離していた、
  鎧の封印を解除し。
  そして、そのまま、魔力を収束させて、覇王に向かって解き放つ。
  メンフィスの『鎧(ゼナファ)』が放つ閃光の吐息(ブレス)。
  そのブレスが覇王にそのまま直撃し。
  そして、それは。
  「…そのような光で、われが抱く『闇』を砕けると思うておるのか?」
  淡々と言い放ち、その手に平に生み出す小さな黒球。
  それがその光の本流を飲みつくしてゆく。
  「…ちっ!なら!」
  いいつつ、先ほどの魔術が通じなかったこともあり。
  剣を構えて、そのまま覇王にと突進していっているルーク。
  その剣にチャージしておいた、ラティルトの威力を直前にて解き放ち。
  そして、覇王がそれを無効化させている隙に、そのまま間合いにと切り込んで行く。
  ぎうっ!  
  ギィン!
  あたりに響くは金属がかみ合う音。
  ルークの一撃、一撃をそのまま覇王の大剣がうけ、はじいてゆく。
  「ほぉう、なかなかの腕だな。面白い、つきあってやろうではないか。」
  いいつつも、剣を構えている覇王。
  覇王としては、このまま、戦いの中で、『彼』の中に眠るそれを覚醒させること。
  それのみが目標。
  ゆえに、あまり本気をだすわけにはいかない。
  かといって、リナやガウリイにそれを気づかれてもいけない。
  などと思いつつ。
  だがしかし、彼は完全に失念している。
  リナもガウリイも『そのこと』に気づいている。
  ということを。
  「ウヴラバザード・フレア!!」
  そんな覇王とルークのやりあいのなか、横から割り込むミルガズィアの放った攻撃呪文。
  ヴァ!
  だがしかし、その攻撃は覇王の左手の一振りにてその呪文の光は起動をかえ、
  そしてそれはそのまま天井を貫いてゆく。
  ぢゅごっ!
  ミルガズィアの放った術は天井の一部をあっさりと蒸発させて穴をぽっかりとあけ、
  そのまま外に向かって飛び去ってゆく。
  「無粋な!」
  一声ほえ、そのまま左腕を横にふる覇王。
  それと同時に。
  ドン!!
  「…っ!」
  覇王のその左腕をただ横に少し振っただけの衝撃派にて、そのまま、ミルガズィアを、
  声を上げさせることも許すこともなく、吹き飛ばしてゆく。
  コ゜カ゜ァ!
  そのまま、ミルガズィアの体はぶつかった大理石の柱を砕き、そのままその先の床にと転がってゆく。
  「とゆーか、さすが竜だなぁ。体が丈夫だな。」
  「そうねぇ。」
  そんな光景をみて、まったく動じることもなく、そんな会話をしているガウリイとリナ。
  「おじさま!」
  それをみて、メンフィスことメフィの悲鳴が響き渡る。
  「まったく、無茶するんだから。」
  いいつつも、いまだに床にと倒れてうめいているミルガズィアにと回復呪文をかけるリナ。
  一方で。
  「われは今、この人間と遊んでおるのだ。くだらぬ邪魔をするでない。竜よ。」
  それだけ言い放ち、そのままルークとの剣戟に集中してゆく。
  当然のことながら、ミルガズィアを吹き飛ばすためにと左腕を動かしたときもまた、
  覇王はその手を休ませることはなく、ルークとの剣戟に興じている。
  そう、右腕一本にて。
  本気を出すわけにはいかない。
  あくまでも、目標はこのものの中にあるあのかたの覚醒。
  そんなことをおもいつつ、傍目には遊んでいるようにとみせつつも。
  そのままルークと剣戟をまじえている覇王。
  「ちっ!人間さまをあまりなめるんじゃねぇょ!」
  いいつつ、ルークの剣が、ふと。
  一瞬覇王の視界から消え。
  そして、そのまま、覇王の振るう大剣をかいくぐり。
  ぎっ!
  一条のつきが覇王の左肩口を捕らえてゆく。
  「―ほう、たいしたものだな。」
  そういいつつ、浮かべる覇王のかすかな笑み。

  何か剣戟に集中していくと同時に。
  何かが、まるで自分の体ではないように、スムーズにと動いてゆく体。
  ―いける!
  そんなことをおもいつつ、覇王と対峙しているルーク。
  確かに、覇王は自分にはたったの腕ひとつで遊んでいるようではあるが。
  だがしかし、その余裕が癪にさわる。
  人間とて、『窮鼠猫をかむ』のことわざにもあるように。  
  やればできる。
  というのをこの覇王に思い知らせてやりたい。
  そんなことをルークは思いつつ。
  そして、そんな剣戟の最中。
  ルークの一撃が覇王の左肩を捕らえゆく。

  「…な?!きかないのか?」
  それをみて思わず困惑した表情をうかべているルーク。
  確かに手ごたえはあったのに。
  などとおもいつつ。
  「いや、効いておるぞ。石を水滴がうつ程度には…な。
   落胆することはない。魔剣士よ。
   お前の腕はまだまだではあるが、すばらしい。
   しかし…今のおぬしでは…届かぬな。」
  そんなルークをみつつ、笑みを浮かべてそんなことを言い放つ。
  「ちっ!あまり人間さまをなめるんじゃねぇ!」
  ルークがその言葉にかっとなり。
  再び剣を構えなおすが。
  何か、体がいつもと違うような気がするのは、気のせいか?
  などと彼はおもいつつ。
  この戦いを始めて…というか、覇王と直接合間見えてから、少しづつではあるが、
  相手の動きの先が読めるような気がするのは。
  俺の気のせいか?
  などとルークはふと不思議に思うが。
  だが、そんなことを細かく考えている暇などあるはずもなく。
  「崩霊裂(ラティルト)!!」
  そんなルークと覇王の話の間合いに。
  ミリーナの生み出した蒼い光の柱がそのまま覇王を包み込む。
  精霊魔術最高の攻撃呪文。
  といわれている、崩霊裂(ラティルト)。
  「ミリーナ!」
  そんなミリーナの攻撃に思わず声をだしているルーク。
  もし、ミリーナがさきほどのミルガズィアのようになったら。
  そう思い、一瞬顔色が悪くなる。
  光の柱が直撃するそんな中。
  ザン!
  覇王(ダイナスト)グラウシェラーの振るう大剣によるたったの一振りにて、
  自らを包み込む光の柱を切り裂いてゆく。
  「―な゛!?化け物!?」
  いつも冷静なミリーナの顔に浮かぶ焦りの色。
  そんなミリーナの言葉に。
  「違うな。汝等が脆弱すぎるだけだ。所詮、命という器に縛られている限りは…ぬ!?」
  ギィン!
  ミリーナに視線をむけ、その手を伸ばしたグラウシェラーの動きを。
  とめるかのように話の途中で再び覇王にときりつけているルーク。
  「てめぇ!俺のミリーナに指一本ふれてみろ!
   あいつには手出しはさせない!」
  そういう、ルークから発せられているのは…怒りの感情。
  ―ふむ。
  なるほどな。
  ふと、あることをおもいつき。  
  ルークとミリーナをちらりと交互にみやっている覇王ではあるが。
  「ルーク、誰があなたのものなんですか。誰が。」
  そんなルークの言葉に一瞬口元に笑みを浮かべ。
  それでも、どうにかいつもの調子を取り戻しているミリーナ。


  一方で、ミルガズィアの怪我を治しつつ、そんな光景を具間みていたリナ。
  「…って!ミリーナ!よけて!」
  「…え?」
  ふと、それに気づき。
  思わず叫ぶリナ。
  

  ザシュ!


  ごぶっ…

  大量に、ミリーナの口から、赤黒い液体があふれ出す。


  何もないはずの空間から、突き出したのは、それは。
  「…え?!」
  思わず自分の手を呆然と見つめているルーク。
  今まで確かに握っていたはずの自分の剣がない。
  そして、それは。
  「…な゛!?ミリーナぁぁぁぁぁ!」
  ルークの血を吐くような叫びがあたりにと響き渡る。
  「…ちっ!こうくるとはね!ガウリイ!とりあえずそいつを足止めしておいて!」
  いいつつ。
  ぱっと、身を翻し、あわててミリーナの元にと駆け寄るリナ。
  「わかった!」
  リナの言葉に、覇王にと向かってゆくガウリイ。
  一方で。
  そのまま、身を翻すかのように覇王に背を向けて、ミリーナの元にとかけよっているルーク。
  

  「っ!しっかり!」
  いいつつ、とりあえず、その胸元にぐっさりと刺さっている剣を引き抜くと同時に。
  それと同時に回復呪文を唱え始めてゆく。
  まさか、このような手段にでるとは。
  などと、このようなことは思ってもいなかった自分に少しばかり嫌悪すらしつつ。
  それでも、普通に知られている回復の術では一向に間に合いそうもなく。
  故に、神聖魔法のひとつである、回復の術を唱えているリナ。
  「ミリーナ!大丈夫か!?」
  顔を真っ青にしてリナが抱きかかえているミリーナの元にと駆け寄っているルーク。
  それもそのはず。
  ミリーナの胸にぐっさりと突き刺さっていたのはほかならぬ自分が先ほどまでもっていた剣。
  覇王は少し空間をゆがめ、そしてルークが自らに切り込みを入れてきたときに、
  その反動で、ミリーナにその攻撃というか刃がいくようにと仕向けたのである。
  空間を少しいじることによって。
  「…ルーク…」
  目の前にいるルークに気づきそっと手を伸ばすミリーナではあるが。
  「まだしゃべったらだめ!」
  見る間に確かに傷口はふさがっているものの。
  リナの言葉に一瞬その身を退いたがゆえに、心臓への一撃にはいたってはいないものの。
  それでもやはり大怪我なのは間違いないわけで…


  「本気で手段を選ばないんだな。あんたは。」
  半ばあきれ、それと同時に怒った口調で、覇王にと向かっていっているガウリイ。
  「…くっ!」
  キンキンカン!
  圧されている。
  覇王(ダイナスト)グラウシェラーが。
  ガウリイが繰り出す剣戟に。
  まあ、かなうわけもないのではあるが。
  それはわかってはいるものの。
  「そもそもは、貴様が原因だろうが!北の魔王様がここしばらく弱体化の一方を遂げているのは!」
  ほとんどやけ、ともいれる叫びが覇王の口から漏れてゆく。
  

  ガクガクガク。
  体の震えがとまらない。
  目の前では、大量にと流れ出ている赤い液体。
  ミリーナはメンフィスの目の前で剣に貫かれたがゆえに。
  「…無理…よ…人間…には…」
  先ほど封印を解除したことにより、その奥にある本質である、覇王の本体を具間みたメフィ。
  それゆえに、震えがとまらなくなっているのである。
  そして。
  人間には精神攻撃などはしないであろう。
  そう思っていたのに、結果は。
  精神攻撃ではないものの、だがしかし、空間を干渉しての攻撃は。
  今事実、目の前にて行われた。
  本気ともいえる魔族…しかも、魔王の腹心である、覇王。
  それと戦って勝てるか否か…答えは…否。
  リナとガウリイの実力を完全には知らないメフィ。
  ゆえにその身は今は恐怖にと完全にと支配されていたりする。
  震えつつ。
  ミリーナに回復術をかけているリナとそして、…ガウリイが圧倒的に覇王に勝っているというのに、
  今恐怖に支配されているメフィの目にはガウリイが圧されているようにしか映りこまない。
  「…無理よ。人間には…精神世界面(アストラル・サイド)にいるアレの本体が見えないから…
   攻撃なんてできるのよ…そこにいる覇王の本体は…
   広がる、果てしなくとてつもなく大きな闇なのに…!
   たとえ少しくらい傷つけたって、今ここにいるやつは、
   その全体のうちの微々たるものが具現化しただけの存在。
   それゆえに、全体から見れば微々たるもの…あちらから少し力を送れば、
   それでおしまい…無理よ…あんなものを相手に…しかも倒すなんて…」
  震えつつ、つぶやくようにといっているメフィ。
  「…けっ。その程度なのかよ。あんたがであった『人間の女魔道士』というのは。」
  そんなメフィのつぶやきにはき捨てるようにと言い放つルーク。
  その声の中には、覇王に対しての怒りが渦まいている。
  
  恐怖よりも何よりも、純粋なる怒り…
  そして、自分の攻撃が大切な、もっとも大切なミリーナを傷つけた。
  そう仕向けた覇王への怒り。
  ―とくん。
  ルークの中で何かがうごめいたように彼は感じるのもも。
  だが、まずは。
  決着をつけないといけないのは、また事実。
  リナに抱きかかえられ回復術をうけているミリーナの全身は。
  さすがに心臓を直撃ではなかったものの大量出血したことにはかわらなく。
  青白くぐったりと横たわっている。
  そんなルークのつぶやきに。
  「…え?」
  とまどいつつも、小さく眉をひそめるメンフィス。
  「あんたは以前であったその『女魔道士』に出会って確かにかわったのかもしれねぇ。
   そうあのだんな、竜のおっさんはそういったがな。
   あんたの昔は俺はしらねぇが、おそらく今のあんたは、その『女魔道士』に出会う前のあんたに戻ってる
   そうじゃねえのか?やってみずにあきらめるなんてよ。」
  言い放ち、そしてその手に出現させるのは赤い刃。
  なぜか、ルークはすんなりと。
  呪文詠唱もせずにその赤瞳の魔王(ルビーアイ)の力を借りた赫い魔力剣を。
  その手にと出現させてゆく。
  ルーク本人も気づかないうちに。
  彼も気づいてはいない。
  自分が今、【呪文詠唱をしていなかった。】という事実に。
  そして、赤い剣を構えつつ。
  「結局その『女魔道士』とかいうやつは、あんたの表面的な部分しかかえることはできなかったんだな。
   しょせんその程度の魔道士だったってことか。俺はそういいてぇんだよ。」
  言い放つルークの声には明らかに怒りと、それ以上に自分自身への…悔恨が見て取れる。
  守る。
  と誓った女性をこうして自分の攻撃にて今瀕死にさらしているのはほかでもない。
  今ガウリイがあいてをしている覇王と…その力を図り間違っていた自分の責任。
  「あとは、てめぇの問題だな。おびえてあのくそいまいましいダイナストのやつを、
    負の感情を撒き散らしつつ喜ばせてから殺されるか、可能性にかけて戦うか。
    俺は可能性に…というか、俺のミリーナを傷つけた代償はきっちりと!
    はらってもらうぜ!」
  どくん。
  ルークの中で、何かが脈打つ。
  何か力が湧き出てくるようなそんな感覚にルークは捕らえられるが。
  だが、今はそれよりも。
  目の前にいる覇王に対する憎しみのほうが勝り、そこまでルークは気が回らない。
  言外に選ぶのは自分。
  そういわれたことに気づき。
  はっとなるメフィ。
  そうだ。
  私が今ここでこうしていたら、あのかたまでが弱虫。
  ということになってしまう。
  そんなことはない。
  そんなことは…
  そう、自分に言い聞かせ。
  「…いってくれますね。てめぇ。ではなくて私はメンフィス。ですわ。」
  そういいつつ、すくっと立ち上がり。
  そして。
  「リナさん、私も手伝いますわ。」
  いいつつ、リナが傷の手当てをすると同時に。
  メフィはミリーナの中に自然界の気を注ぎ込んでゆく。

  「…?何だ?この瘴気は?いったい??」
  まずそれに気づいたのは。
  リナに怪我の手当てをしてもらい。
  同じく倒れたミリーナの元にとかけよっていたミルガズィア。
  何か、違和感を感じる。
  だが、その違和感が何かは。
  彼-ミルガズィアはその原因を追究することは。
  ふと目にはいったガウリイと覇王と剣戟に思わず目をうばわれ。
  しばし目を点にすることによってその概念はまったもくって失われてゆく。


  はっきりと。
  というか、ガウリイは、その剣の一撃、一撃によって。
  あるときは、覇王の右手をばさりともぎとり。
  あるときは、その体をなぎはらい。
  …すでに、覇王の本体そのものも、かなりのダメージを負っているのであった…
  
                             -続くー

#####################################

    あとがきもどき:
     薫:ガウリイ、さすがですv
       というか、覇王。
       どうしてミリーナを攻撃したのかは。
       ・・・・・ええ、理由はそのとおりです。
       ルークを覚醒させる手段ですね(汗
       つーか、リナがすぐさまに回復術をかけて、その肉体から離れそうになる、
       魂を肉体に閉じ込めておかなかったら・・・・即死です・・・・ミリーナは・・(汗
       人間、大切な人が目の前で怪我をしたりしたら自我を見失うものです。
       ・・・・・はい。
       次回で、決着までにいっけるかな?
       んではでは・・・・また・・・・

      2004年1月9日某日