薫:んふふふふ!わぁぁぁぁぃ!
    OPハンターハードカバー本ゲット!!!
  姫:・・・・それって確か薫さんはもってたわよね?文庫本・・・・。
  薫:はい。もってます。でもあれにはあとがきなかったし。
  姫:・・・で?後がき目当てでわざわざ同じ内容のものを?
  薫:あ・・・あはははは・・・・。
  姫:ま、いいけどね。あなたは今日ほかにも四こま目当てに三つもCD買ってるし・・・。
  薫:う、うぐっ!でもあれは!新守護聖の名前がわかるし!
  姫:それっていいわけねv
  薫:しくしくしく。
    まあ何はともあれ、いやぁ、やっぱり神坂先生のあとがきは最高ですv
    しっかし。まさか締め切りが延びるからという理由でハードカバーになってたとは。
    世の中奥が深い(笑)←まてこら。

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        狭間の選択     ~ソラリアの謀略~
   

   
    だむっ。
    とりあえず地下にと向かったラーヴァスを追いかけるために。
    そのまま奥に奥にと進むリナたち。
    「な…なあ、さっきの術って…」
    などとつぶやくルークに。
    「え?ああ、金色の王の力を借りた術。」
    いともあっさりと答えているリナ。
    「「…いや、それって…(汗)」」
    思わず異口同音に口を突っ込んでいるルークとミリーナではあるが。
    そんな会話をしつつドアをけり破る。
    けり破った扉のその向こうにいるのは武装兵士が五・六人。
    窓ぎわにもたれているもの、座っているモノ、カードゲームに興じているものなど様々ではあるが。
    「―ちっ。ここも違うか。」
    などと言い捨てているルークに。
    「だから、瞬間移動したほうがはやいって。」
    そういうリナに。
    「だぁあ!あれは人の身にはきついんだよ!」
    などと叫んでいたりするルーク。
    「まあ今オレたちがつかってるのは精神世界を応用した移動だからなぁ。
     あ、ほかにもあるぞ。物質世界から次元別の世界と…」
    などとのんびりというガウリイに。
    「ともかく、一刻も早くラーヴァスに追いつかないと。」
    そういいつつその部屋を後にしようとしているミリーナに。
    ふと二人の顔をみて。
    「-おい。ちょっとまってくれ。いったい何がどうなっているんだ!?
      いったいいつになったら部屋から出ていいんだよ!?」
    などといいつつカードをもつ手を止め。
    ミリーナたちにと問いかけている兵士その一。
    その言葉に。
    「うん?しらねーのか?事情を?」
    そういって首をかしげるルークに。
    そんなルークの言葉に。
    「知るわけがないぞ。いきなり。
     『別名あるまで控えの間にて待機。部屋から絶対でるな。』
     でそれっきり。さっきからどこかで変な音がしてるし…」
    別の兵士がルークのその言葉に答えていたりする。
    「あら、簡単なことよ。ただラーヴァスに薬もられていたクラインを回復させたから。
     後はそれをやってたクラインの息子、と嘘ついてこの城をのっとりかけていた、
      ラーヴィス、本名ベルギスを追いかけているだけよ。」
    いともあっさりとさらりと言い放つリナ。
    その言葉に。
    思わずその場にいた兵士たちは硬直していたりするが。
    「「…な。何を馬鹿な…」」
    多少彼らの声が震えているのはおそらくは気のせいではないであろう。
    「それよりとろとろしてたら面倒だから、やっぱり移動しましょうよ。」
    「だな。とゆーかあれを暴走させられても困るしな。」
    などといいつつしみじみと話し合っていたりするリナとガウリイ。
    「あ、あの?そのあれっていったい…」
    何か聞くのは怖いけど聞かずにはいられない。
    珍しく戸惑いの表情を浮かべ聞いてくるミリーナに。
    「え?ベルギスの実験体、第一号。」
    「まあもうその魂、エルさんの混沌に沈んですでに次なる転生してるらしいけぞな。」
    などと同時にいっているリナとガウリイ。
    何か果てしなくいやな予感が突き抜けるが。
    「ま、とりあえず見たほうがはやいだろ。」
    それだけいって、そのままふいと手を横にとかざしているガウリイ。
    その手に何かが握られており、それが近くの壁にとぶつかり行く。
    それと同時に。
    ユラ。
    いきなりその壁自体がまるで水をうったようにと揺らぎ行く。
    そして、それと同時に。

    ドガゴァァ!!


    その一瞬揺らいでいたその壁そのものが。
    勢いよく音をたてて爆裂する。
    『何だぁぁぁぁ!!!?』
    同時に叫んでいるルークとその部屋にいた兵士たち。
    ガラガラガラ。
    そしてその壊れた壁の向こうから聞きなれた声がリナたちの耳にと届き行く。
    「…よぉ。おそろいだな。」
    よろよろと土煙にまぎれて姿を現しているのは先ほどラーヴァスを一人追っていった、
    ワイザー当人。
    全身ぼろぼろの傷だらけ。
    致命傷にはほどと遠いものの一応は深手、と思える傷が痛々しい。
    だがしかし、リナたちに話しかける間もなく。
    「…くるぞ。」
    それだけいって煙の向こう側を見据えているワイザー。
    「ちょっとまて!いったい全体何でワイザーのおっさんが。
     すぐ近くにいる、というか壁からでてくるんだよ!」
    などと叫ぶルークに。
    「いや、とりあえず部屋そのものを部屋の横に移動させたんだが。」
    あっさりきっぱり言っていたりするガウリイ。
    「「いや、移動…って。」」
    思わず異口同音に同じ言葉にて突っ込みをいれているその場にいる、
    リナとガウリイ以外の人々。
    ワイザーはといえばそんな会話すら耳には入っておらずに、
    いまだに土埃の立ち上る向こう側を見据えていたりする。
    兵士やルークたちがそれを理解するより早く。
    ゆらり。
    煙のその先より出現してくるひとつの陰。
    『デーモン!?』
    その姿をみて悲鳴に近い声を上げている兵士に、
    思わず口を押さえているミリーナに。
    剣を構えなおしているルーク。
    見た目の印象的には一般的に知られているデーモンのそれなのではあるが。
    だがしかし、見た目の感じが俗に知られているレッサーデーモンとも、
    ブラスデーモンとは異なる容姿。
    まあそれら下級魔族が憑依してできるデーモンたちは。
    その器とした存在によってその姿を変化させるのではあるが。
    それにしても今出現したそれはどう考えてもおかしい、としか言い表せないであろう。
    水死人のように異様に青白い肌に左右非対称にと頭に生えた三本のねじくれた角。
    そしていびつにゆがんでいるその全身。
    「高位魔族…ではありませんわね。」
    普通高位魔族であればそれは人の形を好んで取る。
    それは別に知りたくもなかったがリナたちと行動していて学んだ事実。
    どちらかといえば見た目のインパクトが強いですけど。
    などとそんなことを思っているミリーナに。
    「おやおや。どうしてこんなところにあなた方が?
     しかもどうやらなぜか使い捨ての兵士が数名、見えてますし。」
    などといいつついまだに絶句状態となっている兵士たちにと目をやり、
    煙のその向こうより現れたラーヴァスの姿をみてさらに絶句している兵士たちと、
    そんな兵士たちを使い捨て、と言い切っているラーヴァスの姿がそこにあったりする。
   「て、てめぇ!この後に及んで悪あがきしやがって!」
   そんなラーヴァスの姿をきっとにらみ叫んでいるルーク。
   とりあえずどうしていきなりラーヴァスのところに移動したのかは。
   細かいことには追求をしないほうが懸命、と判断し。
   当面の目先の出来事にと集中していたりする。
   まあ、それが当然といえば当然の反応なのであろうが。
   そんなルークの言葉に少し唇を笑みの形に吊り上げつつ。
   「なぁに、今の今までこいつは培養液の中で眠らせていたんですけどね。
    先ほどあなた方がみたとある施設と同じ実験の失敗作。ですけどね。」
   そういいつつキザな動作でふぁさりと髪をかきあげつつ。
   「…もしかしましたら、あの場にいた施設の元人間たちは。
    あなたがさらってきた人たちですか?」
   確信をもって問いかけているミリーナの言葉に。
   「そうですよ。行方不明となっている人たちはすべて、
     この崇高なる実験の名誉ある材料となっていただきました。」
   そういって悪びれもなくにっこりと微笑んでいるラーヴァス。
   その言葉に完全に言葉を失い立ち尽くすしかない兵士たちに。
   「ま、それはそうと。何でわざわざそれを差し向けてくるわけ?」
   あまりにあきれたリナの口調がその場に満ちる空気を破壊する。
   気配でわかる。
   このデーモンがいったい元は誰だったのか、くらいのことは。
   まあ普通にはわかるはずもないであろうが。
   そのあたりのことは家族より気配をつかむ訓練は徹底して、
   まだ物心つく前から施されているリナである。
   「あなた方には一番無難でしょう?
    このデーモンは特殊ケースの実験体ですしね。
     いろいろな能力を見境なしに付加してみたらなぜか肉体に負担がかかりすぎてね。
     で見たとおりのごらんの姿になったわけですけど。
      その分これひとつでいろんな能力をもっているんですよ。」
    完全に勝利を確信した笑みをこぼすラーヴァス。
    そしてにっこりと微笑み。
    うやうやしくお辞儀をし。
    「紹介いたしましょう。名誉あるハーフ・デーモン実験体、第一号。
     ベイサム=フリッツ=ラングマイヤー。
      本来なら次のロードとなるべき人物ですよ。」
    そういってにっこりと微笑むラーヴァス。
    その言葉に。
    『――!!!!?』
    完全に言葉を失っているルーク、ミリーナ、そしてその場に一緒くたに、
    おまけとして移動されてしまった兵士たち。
    あきれた視線でラーヴァスを見つめているリナの視線を、
    おびえている、と至極勝手に判断し。
    にっこりと微笑みつつ。
    「ここは本来、ロード・ラングマイヤーの城と領地。
     私が活動するためには障害となる人も多いですしね。
      ―邪魔者は消せ―
      という言葉がありますよね。確かに邪魔な相手を抹殺することはたやすい。
      しかし抹殺の証拠を隠し通すことは難しいですし。
      ならば邪魔な相手を実験台に使っては?
      邪魔ものも消え研究も進む。人でなくなったものたちが私を糾弾することもない。
      なかなかに合理的でしょう?」
    まるでどこぞの三流悪役のように勝手に自分からぺらぺらと離していたりするラーヴァスに。
    「…そういうのは合理的ではなくて非道っていうんですわよ。」
    かすれた声でつぶやいているミリーナの姿。
    「―で、ガウリイ、今の送った?」
    視線をガウリイに向けて問いかける。
    「おう。今のはばっちり送っておいたぞ。」
    第三者には意味不明な会話をしているリナとガウリイ。
    そして、それが届いたのを確認し。
    にこりと微笑み。
    「悪いけど。あんたのたくらみはこれまでよ。
     さっきここのロードを助け出したし。それに私の金貨がかかってることだしね!」
    そういうリナの台詞に。
    おもわず。
    「そこですか!?」「そこか!?」
    思わずつっこみをいれているミリーナとルーク。
    まあリナらしい、といえばそれまでなのであろうが。
    そんなリナの言葉にくすりと笑い。
    「まあ、あなたがその金貨をもらうことはないでしょうよ。
     ―永遠にね。あ、安心してください。殺さずに生かしておいて、
     新たな実験の材料にして差し上げます。
      あなた方ならきっといい成果ができますよ。」
    にっこりと何の悪びれもなく言い放つラーヴァス。
    その言葉に。
    「てめぇ!とにかく、あんたをほうっておくわけにはいかねえんだよ!」
    などといいつつ剣を抜き放っているルーク。
    「あ、ルーク、そいつも人間やめてる口だから気をつけないと。
     それはそうと、ガウリイ。ここから移動できないようにこのあたりに結界、張っといて。」
    あっさりと言い放つリナのその言葉に。
    「というか、リナ、これどうするんだ?」
    ひょいひょいと攻撃をあっさりとかわししつつ、元ベルギスをあいてにしているガウリイ。
    それをみつつ。
    「とりあえず死体だけでも戻さない?」
    「わかった。」
    二人にはそれだけの会話で十分。
    だがしかし、そんな二人の実力を知らないラーヴァスはといえば
    完全にと勝利を確信していたりするのもまた事実。
    「何を意味不明なことを。行け。ベイサム。」
    ベイサムが遊んでいる、と判断して命令を下しているラーヴァス。
    グルヴァ!
    正体不明の雄たけびをあげつつ。
    その言葉にさらに動きを活発化させてゆく元ベイサムであったデーモンベイサム。
    だがそんな様子の只中に。
    「やれやれ、困るんですよねぇ。人間なんかに勝手にいいように。
     いくら下級といえどもたやすくコントロールされては。」
    などといいつつ、ふい。
    とその場にと突如として出現する黒い神官服を身にまとっている、
    この場に不釣合いににこにこと微笑んでいる一人の男性。
    そしてそのままその手にもっているどこにでもあるような錫杖をすっと伸ばすと。
    ぴたりとベイサムの動きが一瞬にして止まりゆく。
    相手もわかったのである、その本能的な恐怖から。
    突如として出現したこのにこ目の神官が自分のかなう相手ではない。
    ということを。
    そしてちらりとラーヴァスにと視線を向けて。
    「おやおや、あなたでしたか。前からどこにいったのかと探してたんですよねぇ。
     フィリーさん。いい加減にその人の中で遊んでないで。
      戻ってこられないと、海王様がさがされてましたよー。」
    にこやかに笑みを浮かべてラーヴァスにと話しかけているのは。
    「何を。というか、貴様は?」
    なぜか威圧を感じる、というか自分に同化させた魔が感じているのか、その威圧感は。
    確かに自分が無理やりにほとんど口先でだましこんで、
    契約を交わし、まあその契約書も彼のいいようにと作っていたのだが。
    そしてその魔と契約していた彼、ベルギス。
    「おや、もうし遅れました。僕は謎の神官ゼロスといいます。」
    にこやかにそういって挨拶するゼロスに。
    「もしくはゴキブリ魔族。」
    「リナぁぁぁんんんん・・・・」
    その言葉にだくだくと涙を流して抗議の声を上げていたりするが。
    「で?あんたが出てきたってことは。このラーヴァスに何があるって?」
    何となく聞きたくはないが気にはなる。
    問いかけるルークに。
    「ああ。簡単なことですよ。いえね。
     冥王様のところから実験体…もとい、見習いとして海王様のところに貸し出されていた、
     名前をフィリーさん。というんですけどね。
      一応はそうですねぇ。中級程度、といったところですか?
      あなた方の意見からすると。
      ですがこのお人、魔族なのにまあよくだまされて、それがまた冥王様いわく。
      面白いからそーした。といわれてましたけど。
      その人物が少し前から行方不明となってまして。
      でつい先ほど僕にその捜索依頼がはいりましてねぇ。
      何でも新薬が完成した、とか何とかという理由で。」
    ―びくり。
    明らかに彼ですらわかるほどに彼の中にいる魔がその言葉にと反応する。
    「で、僕としてはすみやかぁぁに面倒…ではなかった。
     命令されたお仕事はこなしたいわけでして。
      それで、いったい全体人の中で何遊んでいらっしゃるんですか?
      フィリーさん。」
    にっこりと微笑みラーヴァスにと問いかけているゼロス。
    「ふぅん。ということは魔の意思はある。っていうことよね。
     こんなやつ相手に戦うのも馬鹿らしいし。
      あんた完全に人の体捨ててるようだしね。」
    気配でわかる、この人物がすでに完全に人の体を捨てている。ということは。
    普通の魔道士や剣士ではおそらくは彼を倒すことは不可能であろう。
    ―そう、普通ならば。
    「それはそうですよ。フィリーさんは冥王様が。
     降魔戦争で滅んでしまった部下たち、まあ彼らが生きているときに。
      暇つぶしとして作り出した歴然とした中級魔族ですから。」
    にこにこにこ。
    どうでもいいがにこやかに説明する内容でもないように傍目からは思えるが。
    とりあえずその場にいた兵士たちは自体についていけずにもはや放心状態。
    まあこれが当然の反応なのではあろうが。
    「…いや、あの暇つぶしに…って。」
    などとつぶやくルークに。
    「いえね。それまでは冥王様、海王様の実験に部下をあてがっていたんですけど。
     最近というかここ千年と少しばかりはフィリーさんを使ってましたからねぇ。」
    などとまったくこの場にそぐわない会話をにこにこと話していたりするゼロス。
    魔。
    という言葉をきき、思わずにやりと笑みを浮かべ。
    「ほぉぅ。するとどうやらあなたは魔族。しかもかなりの高位の魔族とみました。
     では、この私の力を試すいいチャンスですね!」
    そういいつつ笑みを浮かべるラーヴァス。
    人間、思い上がりもここまでくればりっばなものではあるが。
    そういいつつ、その力を解放するラーヴァスに。
    「あのぉ?この人、やっちゃってもいいですか?リナさん、ガウリイさん?」
    おどおどとおびえつつも二人にと聞いているゼロスではあるが。
    「好きにしていいわよ。」
    「好きにしていいぞ。」
    同時にリナとガウリイの声が重なる。
    もう報告はさっきガウリイに先ほどのラーヴァスと名乗っていたベイサムの言葉を、
    直接に国王の直轄である通信の間に送ったし。
    義理は果たしたし。
    などとあっさり許可をだしているリナに。
    別にこんな雑魚をあいてにする必要もないか。
    などとおもいつついっているガウリイ。
    彼らにとっては雑魚でも普通ならば十分すぎるまでに脅威以外の何者でもないのだが。
    その言葉ににっこりと微笑み。
    「そうですか。それでは♡」
    一番の問題なのはこの二人。
    その言葉ににっこりと微笑み。
    そしてそのまま。
    「さて、フィリーさん、戻りましょうね。」
    そういいつつすっと腕を突き出して、何かをつかむ動作をするゼロス。
    それと同時に。
    「ぐ、ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
    いきなり。
    彼にとってはそれはいきなりのこと。
    いきなり体全体に激しい苦痛と激痛が襲い掛かる。
    無理やりに何かを剥ぎ取られてゆくそんな感覚。
    「…リナ殿。これはいったい?」
    すでにミリーナによって回復をうけていたワイザーが問いかけてくるが。
    「あ、気にしないで。ただゼロスのやつがベイサムに取り付いていた。
      魔を引き剥がしているだけだから。」
    いともあっさりとぱたぱたと手をふりつつ答えるリナに。
    「とりあえずどうやらロード・クラインがすでに保護されてるしな。
     別にオレたちがどうこうしなくてもいいんだけど。
      さっき依頼をうけていた内情というか事情の説明。
       それは映像と音声で送ったからもう依頼は果たしても同然だし。」
    こちらもまたのほほんといいつつ。
    そしていきなり叫び始めたラーヴァスを見つつ硬直しているベイサムに。
    ぽんと手をついているガウリイ。

    見れば。
    ぐいっ。
    ゼロスに確かに何かがひっばられるような様子が見て取れ。
    そして次の瞬間には。
    ラーヴァスの姿が二つにと分かれてゆく。
    
    ドサリ。

    「ぐ、ぐ。グワァァァァ!!!!!!!?」
    すでに普通の人間の体をすべて捨てていたラーヴァスである。
    いきなりその肉体を構成していた、といっても過言でない。
    取り込んでいた魔を無理やりに引き裂かれたのである。
    そのままその肉体は一瞬のうちにと崩れゆく。
    そして、そのままその肉体はぐしゃりとその場にとつぶれていき。
    すでに原型をとどめていない肉とも何ともいえない不可解な物体。
    それが声を上げて叫んでいたりする。
    そしてラーヴァスの肉体からもうひとつ離れた姿は。
    年のころは五歳か六歳程度であろうか。
    つややかなまでの黒い髪。
    それが肩よりもすこし伸びた感じの多分男の子にみえる。
    といってもまずスカートとかはいていたら女の子、で十分に通用する容姿ではあるが。
    「あ、あの?ゼロスさん?それはいったい?」
    まず普通に見たのならばそれはかわいい子供。
    ですむであろうが、ミリーナたちは目の前でゼロスがラーヴァスの体の中から、
    引っ張り出した様子をその目でみている。
    それゆえに恐る恐る問いかける。
    「あ、この人がフィリーさんです。
     いゃぁ、前に今はもう滅んでしまった冥神官、将軍たちにせがまれて。
      冥王様が自らのよく取る容姿に合わせて作り出した魔族です♡」
    いともたやすくにっこりと答えていたりするゼロス。
    見た目はっきりいってかなりのかわいい子供の手を引いているゼロス。
    「ま、まあそれはどうでもいいけど。
     どうするの?ワイザーのおっちゃん?これ?」
    そういいつつ、ずるずると肉片を移動させつつ。
    いまだに意味不明のことを言っているラーヴァスを指差し問いかけるリナ。
    まあ、確かに。
    これ。
    という表現が適切であろう。
    何しろもはやかつて先ほどまでラーヴァスの姿であったそれは。
    もはや完全に原型をとどめてはおらず。
    まるでどこぞの時間のたった夏の暑い日の動物の死体。
    そんな物体がそこには転がっているのであるからして。
    「そうだな。とりあえず。もうこうなってはどうにもならないだろうし。
     ま、上の判断に任せるか。」
    いともあっさりとした結末に半分呆然としつつ答えているワイザー。
    まあ気持ちはわからなくもない。
    何しろてこずっていた元国王がいきなり目の前で、
    意味不明な肉の塊に成り果てたのだからして。
    いまだにゼロスの力を恐れ動きを見せないベルギス。
    そして肉の塊と化してしまったベイサム。
    どっともどっちのような気もしなくもないが。
    ま、リナ殿だし。
    何があってもおかしくはないか。
    どこかそう悟りきりそんなことをいっているワイザー。
    そんなワイザーの言葉に。
    「それもそーね。そろそろ国王から派遣されてきた兵士たちもくるころだし。」
    そんなことをいっているリナ。
    ちなみにそんな光景を目の当たりにして何もしらなかった兵士たちはその場にて、
    気絶していたりするのだが。
    そんな会話をしつつ。
    その場よりそこに肉の塊を残したまま。
    その部屋を後にしてゆくリナ達五人。
    



    「―とりあえず礼はいっておくぞ。」
    リナ達が部屋よりでて、城から出るのと入れ違いに。
    ロード・ラングマイヤーの報告をうけた国王が。
    近くの駐屯兵を差し向けてきたのである。
    そしてそのままラーヴァス、否、ベイサムの悪事は明るみにでて。
    今町は騒然となっていたりする。
    ひとつのテーブルを囲みながらルークがやや重そうに口を開いたのは。
    とりあえずいつの間にかその場よりいなくなったゼロスと。
    そしてリナ達が国王の依頼を受けて調査していた。
    という事実もあり、ある程度の事情聴取が終わり遅めの夕飯を食べていたときのこと。
    あのまま普通に戦っていたら間違いなく勝てる相手ではなかったであろう。
    そして。
    まあリナとガウリイが絡んできたからこのたびの一件は。
    解決した、といっても過言ではない。
    もしあのまま、ミリーナと自分だけでミリーナから事情をきき、どうにかしようとしても。
    まずはやられるか、もしくは自分は過去に逆戻りをしかねない。
    そんなことを思ったからこそリナに一応お礼をいっているルーク。
    「あら、そんなお礼なんて。―金貨一千枚。」
    ぷぴ。
    リナのににっこりと微笑まれ思わず口に含んでいたスーブを無表情のままに噴出しているミリーナ。
    それはリナが本気でいっている、と察したからなのだが。
    「―ま、冗談はおいといて…だ。」
    冷や汗ながしつつ話題を変えようとするルークに。
    「あら、だから一千枚。」
    つつぅ。
    ルークの額より流れ出る汗。
    「それはそうとここの領主っていったいどうなっちまうんだろうなぁ。」
    息子が実験体にされていた、ということを知り。
    そのまま寝込みかけたもののそれでもラーヴァスを招き入れてしまったのは自分の罪とばかりに。
    町の復興が終わると同時に辞退の旨を伝えているロード。
    「それは別の領主が変わりに行うんじゃないですか?」
    そんなルークの言葉に答えているミリーナ。
    「それじゃ、まけて九百九十九。」
    ・・・・・・・・。
    その言葉にさらに汗を流しているルークではあるが。
    どうにかそれに答えず無視しつづけ。
    「そ、それよりあの黒づくめの連中、あちこちの町に散らばってた。
     そう聞いたが。そいつら今だにボスがああなったのも知らずに。
      はたらいているんだろうなぁ。」
    そういいつつ窓の外をみているルーク。
    事情聴取の際にそのようなことを彼らは聞いたのであるが。
    「まけて九百…」
    さらに突っ込んでくるリナのその言葉に。
    「だぁぁぁ!しつこい!」
    「ふっ。未熟だな。」
    リナのその攻撃に先に根をあげているルークにそんなルークをみて軽く笑っていたりするワイザー。
    「そもそも、あんたらは先にもう依頼料はもらってるんだろうが!」
    ダン!
    机をそのままたたいているルークに。
    「それはそれv」
    あっさりとその言葉を横にと置いているリナ。
    「それにだなぁ!あんたらあの部屋からかなり品物を持ち出してるじゃないか!」
    叫ぶルークに。
    「あら、手数料とそしてほかの国とかに話してほしくなかったら、
     これくらいくれますよね?と平和的に交渉したらくれたわよv」
    「…それは交渉、というより脅しでは…」
    そんなリナの言葉に突っ込みをいれているミリーナ。
    「ま、まあしかし、あれはどうにかならんのか?」
    問いかけるワイザーの【あれ】とは何を指しているか。
    この場にいるルークたち全員はそれが何であるかは理解している。
    「いいんじゃないの?それにあいつを助ける義理なんてないし。」
    あっさりと言い切るリナに。
    「同感ですわ。」
    そんなリナの言葉に同意を示しているミリーナ。
    「ま、確かに。あんな非道なことをしていたやつを助ける義理はないな。」
    そういいつつせっせとビーマンをより分けているガウリイ。
    
    あの後。
    肉の塊と貸したベイサムをどうにかしようと様々な方法が国王よりの討伐隊によりなされたものの。
    ベイサムはすでに契約を交わしており、普通の方法では死ぬことはない。
    リナとガウリイの力をもってすれば消滅させることは可能であったのだが。
    二人ともそんな義理はない、というのでそのことには彼ら兵士には触れなかった。
   ―結果。
    領主の城の奥にすでに人でなくなっているそれを幽閉する。
    という手段が用いられていたりするのだが。
    「それより、リナどのたちはどうするんだ?」
    リナが依頼を受けていたこともあり、事情聴取などはあっさりと解決し。
    とりあえず手数料として依頼されていたよりも大目の金額をもらいうけ。
    ほくほくのリナ。
    リナに聞いてくるワイザーのその言葉に。
    「私たちはこれまでと同じですわ。」
    そういいつつワイザーにと答えているミリーナ。
    「そういうこと。お宝を探して西東。
     俺とミリーナ二人っきりのラブラブな旅はつづくのさ!」
    「ラブラブかどうかは別として-そういうこと。」
    あっさりとみもふたもなくルークの言葉をうけながしているミリーナ。
    「ま、まあとりあえずあと事後調査でだがしばらくはお前たちにも、
     この町にと滞在してもらうことになるが?」
    そういってとりあえずそんな彼らにといっているワイザー。
    
    結局のところ。
    騒ぎがある程度落ち着くまでリナ達はここソラリアの町にと足止めをくらい。
    この町を出発したのはそれより半月後のことであった。
    
   
                             -続くー

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    あとがきもどき:
     薫:お休みの日でも。
       朝起きて、で掃除して洗濯して、布団を干して。
       銀行いって・・・・とやってたら。
       いつもと時間はかわりません・・・・。
       しくしくしく・・・・。
       多分この調子ではリンクの訂正とか頂き物の編集とか。
       今日もできそーにないなぁ・・・。
       来週に回るかな?
       何はともあれ。
       午後から出かけた古本屋で!
       前々から探していたOPハンター。ハードカバー本!
       ついにゲットです!やっぱり神坂先生のあとがきは面白いv
       いや、すでに文庫とかしたやつをもってるんじゃ?という、突っ込みは・・・。
       はい。もってます。あとがき目当てに購入しまてた(実話)
       あとはようやく十二国記のゲームを手に入れましたv
       今だに悩んでます・・・ネットの十二国記のゲーム・・・。
       ま、関係ないことをいってしまいましたが。
       ようやくソラリア編は完結ですvいやぁ、本気で何話になるんでしょう(笑)
       何はともあれ、また、次回でv