闇の行方 第30話
「あ、やっと出て来た?」
食堂にて食事を取っていたリナスがふと。
階段から降りてくるリナとガウリイに気付き声をかける。
すっきりと爽快な笑みを浮かべているガウリイに。
対照的に真っ赤になってうつむきつつ、
ガウリイに手をひかれるままになっているリナ。
「・・・・あ、父様!母様」
ぱたぱたとうれしそうにエリーがそんなガウリイとリナに駆け寄ってゆく。
ひょい。
そんなエリーを抱き上げて。
「ん?エリー?食事してたのか?」
片腕で出来抱えつつ、そんなことをエリーに聞いているガウリイ。
「うん!ねえ!父様、これからはずっと一緒にいられるのよね?ね?」
目を潤潤させて聞いてくるそんなエリーのその言葉に。
「ああ、もうリナやお前たちから絶対に離れるものか。たとえリナが逃げても絶対に・・・な。」
そういって隣にいるリナをちらりと見るがウリイに。
「・・・う・・・///だから、悪かったってば・・・・。」
真っ赤になりつつ、謝っているリナ。
二十年の年月を感じさせないほどに。
そしてまた、自分がガウリイにこれほどまでに会いたかったのかと納得するほどに。
ガウリイが側にいるだけで満たされる自分に気付き、素直に謝っているリナ。
・・・・・まあ、素直なのはそれだけが理由ではないのだが。
「本当、いくら魔王のせいとはいえ、僕達、ずっと父様と暮らせなかったんだもんね。」
さらりと何気にリナを攻めていたりするカウことユーリ。
「・・・う・・・。」
そんなユーリのその言葉にリナは立つ瀬がない。
・・・・分かっていた。子供達が父親に会いたがっていたのは。
だけど・・・・自分の勝手な都合でそれをさせなかっただけ。
「まあ、リナ母様は一度決めたらとことんそれを実行するから。」
・・それがかなり危ないことでも・・・ね。
そういいつつ、どこか遠い目をしていっているリナス。
・・・未来で、よくリナが部下などの様子をみに。
世界に降りることがある・・・・が。
何しろ、今だにリナを手に入れたいと思うやからは多々といるわけで。
そんなところに一人でいくこともしばしば。
結婚したものの、その手のことにはとことん鈍いというか疎い母は。
まったくそのことにすら気付いてもいない。
そのたびに。
自分達・・・否、子供達、リナス、ユーリ、そして、ガウリイ。
この三人がそんなやからに制裁を加えていることも、リナは知らない事実ではある。
エリーはといえばどちらかといえばリナ譲りで。
その辺りは・・・・かなり鈍い。自分に関してのことだけは。
そんなことを思いつつ。
かちゃりと手にもっていたコップをテーブルにと置くリナス。
「でもよかった。とりあえず私の役目、終ったようだし。」
そういって、席についたリナにいっているリナスのその言葉に。
「・・・・・え?リナス?」
思わず目を見開いているリナ。
「もうリナ姉様・・ううん、リナ母様も分かったでしょうけど。
私が未来から来たのは、リナ母様とガウリイ父様が死ぬのを止めるため。
・・・驚いたんだから・・・母様たちの姿が消えかけてるのに・・・」
いつもと同じように目がさめて。
だがしかし、それはいつもとは様子が違い。
父と母の寝室で・・・・まるで陽炎のように幻のごとくに消えかけていた父と母。
だから・・・この時代に来た。
それを防ぐために。
そうリナスはここに来た経緯を思い出し、思いをはせる。
「そ・・・そういえば///り・・・リナス?
その・・・あんた・・・あたしと・・ガウリイの・・・その・・子供って・・・本当?///」
まだ産んでもいないのに、二番目の子供が目の前にいる。
それでかなり照れているリナではあるが。
「嘘いってどうするの?でも、これで父様への土産話ができたし♡」
にこにこいって、今までの映像を記録している品物を取り出し。
「これ、戻ったらガウリイ父様に渡そうっとv」
そういってうきうきしているリナスに。
「き・・・きゃぁぁぁ!それはやめてぇぇぇ!!!///」
「・・・・何だ?リナス?今オレにくれないのか?」
心底残念そうにいっているガウリイ。
「それは、後々のお楽しみってことでv父様v」
にっこりとそんなガウリイの言葉を交わすリナスに。
「・・・ま、いっか、リナに聞けば・・・な♡いろいろと♡」
実力行使ということもできるし・・・な♡
そう小さくつぶやくガウリイのその台詞を捉え。
リナが瞬く間に真っ赤に成り果てていたりするが。
問題がかなりずれていることに気付いてないリナとガウリイ。
それとは対照的に。
「ええ?リナス姉様?もう戻るの?」
リナスが実は未来から来ている妹とわかっても。
それでもやはりユーリたちにとっては、自分達を母とともに育ててくれた姉であることには変わりなく。
先ほどから荷物の整理をしていたリナスにそんなことをいっているユーリ。
「うん。私も父様と母様・・・というか未来にそろそろ戻らないと。
一応、リナ姉様達がゼフィーリアに戻ったら、私も未来に戻ろうかと。」
そういって、きゅっと。
荷物を整理した袋を縛るリナス。
―ゼフィーリア。
その言葉にすっと顔色を悪くして。
「・・・・ああ!そういや・・姉ちゃん・・・怒ってるだろうな・・あわわわ(汗)」
顔色を青くしているそんなリナに。
「うん、すっごく。」
止めをさしているリナス。
「あああああ!戻りたくなぃぃ!かといって、戻らないとお仕置きがぁぁあ!」
などといいつつ、絶叫を上げるリナに。
「ならリナ?今から子供・・リナス作るか?なぁに、おなかに子供でもいればv
ルナ義姉さんもあまり滅多なことは♡」
などといいつつ、リナの髪を一房つかみキスしつついっているガウリイ。
「・・・・な゛!?///それとこれとは話が別!」
「えー・・・・でもまだしたい・・・・。」
「このどあほー!!!子供の前でそんなことをいうなぁぁぁ!」
スパァァン!
リナの懐から取り出したスリッパが。
ガウリイの頭を直撃し。
「うーんvやっぱり父様と母様はこうでなくちゃ♡」
そんな二人の様子をみてにこにこしているリナスに。
「・・・・・リナス姉?・・・・二人、いつもこんななの?」
「そーよ?」
『・・・・・・・・・・・・。』
はじめてみる父と母のそのはっきり言って・・・じゃれあっているとしか見えない、その行為に。
思わず目を見合わせて無言になっているエリーとユーリ。
「・・・・・何かこれから楽しくなりそうな家族生活だね・・・・」
どこか少し遠い目をして言っているユーリに。
「あら?兄さま?この程度でそんなのじゃ駄目よvまだまだあるんだし♡」
にこやかにそうきっぱりと言い切るリナスのその言葉に。
「うん、どうやらそうみたいだね。」
自分達のうちに秘めている力。
それが何なのかは分からない。だけども目の前にいる父の気配は。
明らかに・・・人のそれではない。
いや、父と一緒に出てきた母もまた、人のそれの気配ではなくなっているのに、気付いているユーリ。
この辺り、さすがリナとガウリイの息子だけのことはある。
「リナ母様・・・すごく幸せそう・・・・」
リナをみつつそんなことを言っているエリー。
母はいつもどこか自分達に接している時でも、その瞳の奥に寂しさを湛えていた。
だけども今はそれがない。
どこか張り詰めたような雰囲気もない。
完全に気を許し・・・・全てを託しているようなそんな雰囲気をかもし出しているリナ。
自分達でもそんなことは不可能だったのに、かるがるとやってのけている父親がすごいとおもうエリー。
そんな二人の目の前では。
いつのまにやらじゃれあいから、キスにいつのまにか行動が移行しているリナとガウリイの姿が。
「・・・・・あ゛ー・・・・リナ母様?ガウリイ父様?僕達のこと・・・忘れてない?おーい。」
多少苦笑しつつそんな両親に声をかけるユーリのその言葉に。
「お?すまん、忘れてた。」
「・・・あ///」
完全に二人の世界に入り込んでいたりするこの二人。
「・・・・ま・・・まあ、別にいいけどね・・・・」
両親が仲がいいのに越したことはないし。
などとそうなっとくしているユーリではあるが。
「それより?リナ姉様?とりあえずルナさんに報告はいったほうがいいよ?かなり心配してるし。」
にっこりとそんな二人にまったく動じてないリナス。
それをみて、・・・リナス姉は免疫・・できてるんだな。
などと思いつつ、・・・・きっと未来でもこんな調子なんだろうな・・父様と母様は・・・。
一人悟ってしまっているユーリ。
まあそれは事実なのであるが。
「・・・・う・・・・そうね(汗)嫌だけど・・・戻らないと・・・・後が怖いわよね・・・(汗)」
だらだらと冷や汗かきつつ、震える声で言っているリナに。
「だから♡リナvそれより前に妊娠して♡」
「まだいうかぁぁ!このエロボケクラゲはぁぁ!一辺死んで来いぃぃぃい!メガブランド!」
どごがぁぁぁぁぁん!
「・・えと、再生(はあと)」
吹き飛ばされた宿の一角を。
にこやかになれた手つきで修繕しているリナス。
リナの呪文によって空高く吹き飛ばされたガウリイをみつつ。
「・・・・・父様・・大丈夫かなぁ?」
心配しているエリー。
「大丈夫よ。ガウリイだし。それより、とっとと食べて出発しましょ?」
何でもないようにさらりと言い切り。
そのまま。食事の続きを始めるリナに。
「あ・・・あのなぁ!リナぁ!」
空高く舞い上がっていたガウリイが入り口から戻ってきていたりするが。
「あ、父様、お帰り。」
そんなガウリイを片手を挙げて迎えているリナス。
「ガウリイ?早く食べないとなくなるわよ?」
「ああああ!リナ!!ずるいぞ!?」
がしゃん。
ばしゃん!
がつがつがつ。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』
二人の食事風景に思わず目を見張るユーリとエリー。
「・・・・母さまがこんなに勢いよく食べてるの・・・私始めてみた・・・・。」
「・・・いつもより食欲があるよね・・・・」
「え?これが普通よ?リナ母様は?ガウリイ父様がいなかったから。食欲が落ちていただけで?」
『・・・・・・・・・・』
さらっと言い切るリナスのその言葉に。
しばし目を点とするユーリとエリーであった。
やがて宿屋の食材を全て平らげ。
もう食材がありませんと、しばらく後に宿屋のオーナーが泣きついてきて。
リナ達が
『まあ、腹八分ともいうし。』
などといいつつ、食事を終えたのは。
それから約数時間後・・・・・・・
ガウリイがユーリを抱きかかえ、リナがエリーを抱きかかえ。
そんな二人の横からとてとてとついていっているリナス。
食事が終り、宿をチェクインして。
今度こその家族全員が今は揃っていたりする。
といっても事実はリナスはまだ産まれてないので。
リナスを除いたリナ、ガウリイ、ユーリ、エリーが。
この時代の本当のガブリエフファミリーなのであるが。
「折角だし?船で戻らないか?リナ?オレも今までの空白の時間を埋めるために、子供達とスキンシップ取りたいし♡」
ガウリイのその最もな意見によって。
瞬間移動とか何も使わずに。
徒歩でゼフィーリアに戻ることを決めたリナ達一行。
かくして。
家族全員の初めての家族旅行は。
リナの実家への里帰り、という形で今実行に移されてゆくのであった。
カンキンキン。
「うーん、さすがオレの息子v筋がいいぞv」
「・・・・うう・・・もう一度ぉぉ!」
かるくあしらわれるその剣に。
宿に泊まるたびに剣の稽古を挑み。
子供らしくムキになっているユーリに。
「うーん、二人ともあまりムキにならないうちに戻ってくるのよ?」
窓から身を乗り出して裏庭で剣の稽古をしている二人にいっているリナ。
「・・・・・本気でぶつかり合ったら、兄様と父様。どっちがかつんだろ?」
ふと素朴な疑問を浮かべて、リナスと一緒に風呂に入っているエリーに。
「・・・そりゃ、父様だけど・・・・それやったら・・・・。・・・・事後処理・・大変なんだけど・・・・・・・(汗)」
ついつい稽古をするのにムキになって。
力を使い・・・・兄が力を父に向けて。
それをかるく父があしらい。
・・・その余波で多少の世界が壊れたりするのは日常茶飯事でもある未来。
それを思い出してその事後処理をするのは・・・・。
大概リナに怒られるから、という理由で。
気付かれないように事後処理をしているのは、他ならないリナスやエリー達。
「???え?」
「あ、こっちの話♡」
当然今のエリーには意味が分かるはずもなく。
そんなエリーにぱたぱたと手をふってごまかしているリナス。
・・・・まだそれを知るには・・・・はやいもんね・・・・・。
などとリナスは心で付け加えていたりするが。
「でもリナ母様のお姉さんかぁ。会うのたのしみv」
「・・・・そのうちにもっととんでもない人にあうわよ・・・・」
そういえば母から・・・結婚式に。
『招待客にまぎれて・・・・絶世の美女が来たことがあったけど・・・・。
まさかあれがエル姉様だとはあの時はしらなかったわよあたしは。』
そんなことを聞いたことがあるリナス。
そう小さくつぶやいて。
「でも、リナス姉?本当にもどっちゃうの?」
「とゆーか、二年後くらいに一度戻ってくるかな?それからはもうこないけど。」
「・・・うー、寂しいんだけど・・・・・・。」
どうして二年後という言葉が出てくるのかはエリーには分からないが。
だがしかし、ずっとともにいたリナスがいなくなるのは当然寂しい。
その言葉に。
「でも、私が二人もいたら?歪みが生じるし?私が生まれる前までの時間帯なら問題ないから。
私が産まれてからしっかりと私をかわいがってくれればそれで♡」
そういって。ふと。
「・・・・できたら私が二歳の時に・・・リナス姉のお気に入り・・・・・。
ちょっとした理由で壊すことがあるんだけど・・・・。それを簡便してもらえたら・・・・・」
無理だろうなぁ。
などとおもいつつ、だけども少し希望をもって提案してくるリナスのその言葉に。
「それ、しっかり覚えとくvそのときにしっかりとお仕置きすればいいってことねv」
「あああああ!やっぱしいうんじゃなかったぁぁぁ!!!」
・・・・当時の姉によるお仕置きを思い出し。
絶叫を上げるリナスの姿が風呂場の中で見受けられてゆく。
かちゃかちゃかちゃ。
・・・・・ガタン!
「あのねぇぇぇ!あんた達!二人してピーマンよけて食べないのぉ!」
まったく同じ容姿の大人と子供が。
二人して、野菜炒めからピーマンだけを振り分けて食べている様子に。
思わず絶叫を上げているリナ。
「ふぅん、僕がこれ嫌いなの父様譲りなんだv何かうれしいなぁ♡」
「そうか?オレもうれしいぞ♡」
にこやかにそんな会話をしつつ、せっせとピーマンを振り分けている
ガウリイとユーリ。
「だぁぁぁぁ!ガウリイ!あんたがピーマン嫌いだから!
変なところが子供にまで遺伝してるのよぉ!今から直しなさい!」
「ええ!?だってこれにがいんだぞ!?」
「そうだよ?リナ母様?」
「でぇぇぇぃ!好き嫌いいわずに食べろぉぉお!」
リナの絶叫が。
平和な食堂にと響き渡ってゆくのはそれから日常茶飯事の出来事である。
-続くー
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まえがき:
こんにちわ。
うーん、すっきりv
今日・・・・なぜか久しぶりになぜか(爆!)
ラティオの夢を見ましたよ?ねえ?そーいや・・ガオガイガー・・。
最終巻がでるんじゃないのかなぁ?
でもやっぱりあのメンバーの中では私は衛ちゃんが一番好きだったりしてv
かわいいしv華ちゃんは健気だしv
・・・最終・・・・二人の再会&エンディングで結婚式くらいやってくれないかなぁ・・・・。
・・・・・うーん・・・あれ小説にしたい・・・・やぱいかな?サンライズ作品(まて!)
・・・そーいや、菫ちゃん乱入・・・サンライズの勇者シリーズ・・・・・。
全て作ってたっけ・・・・はっはっはっ(こらまて!)
とりあえず、仕事にいく十時半までぎりぎりまで打ち込みv
と思っている只今2003年の6月21日某日。
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あとがきもどき:
薫:・・・・うーと。とりあえずリナ達の旅の風景。
まあ、やっぱりリナが盗賊いじめしつつ、ゼフィーリアに向かう。といった感じですかね。
一応道中、依頼とかは受けません。とゆーか受けられません(笑)
何しろガウリイ、毎晩リナを手放さないので(爆!)
リナの苦労は・・今始まったばかりですねv(まてぃ!)
・・・・さて、次回で・・ゼフィーリア・・・かな?(こらこら・・・)
んではではv
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