闇の行方 第25話
「・・・・・さて、リナを捜すか。」
確かに。
あれから・・・二十年が経過しているというのには驚いたが。
だが別にそれはどうでもいい。
だが・・しかし。
「・・・・・なあ・・・リナ・・。苦しみを一人で抱えるなよ・・。」
ぐしゃりと。
懐に入っているリナからの手紙を握り締める。
瞼を閉じれば。
あの笑顔が・・・思い浮かび。
そして・・・・自分の腕の中で恥じらいながらも身悶えていた姿が・・。
ふと。
何となくではあるが。
・・・・気配を感じる。
「こっちか。」
ただの勘。
だが確認がもてる。
・・・・・リナは・・・・絶対にこっちにいる。
そう思い。
リナを捜して、旅を再び始めるガウリイの姿が。
とある町の一角で見受けられてゆく。
やがて。
二人の・・・追いかけごっこが。
ここに幕を開いてゆくのであった。
「・・・・だぁぁぁぁぁぁぁ!」
思わず絶叫を上げる。
なぜなのか!?
ぐるぐると思考は空回り。
何にしろ。
ガウリイの気配を感じては。
その町や大陸から・・・逃げ出せば。
なぜぇぇかすぐさまに追いかけられ。
すぐ近くにとその気配が感じられる。
・・・それがもう、何ヶ月続いていることやら。
「ねえ?リナ姉様?こうなったら、もう。素直にガウリイさんに会いに♡」
にこにこと笑っているリナスに。
「それだけは絶対に!駄目!!!」
涙をためて抗議する。
そんなことをしたら・・。
・・・・二度と・・・・あたしは・・・・あいつの側を・・離れられない!
それに・・。
ちらりと。
きょとんとしている二人の子供を見つめるリナ。
・・・・あれから、二十年は経過しているはずである。
・・・・ガウリイも・・・二十年は歳をとってるというわけで。
・・・・自分は・・・あの当時から殆どかわってない。
それに。
・・・・ガウリイ以外との相手の子供だと・・勘違い・・されるのがとてつもなく・・・怖い。
いや、一つだけ。
ガウリイに自分を諦めさせる方法は・・。
好きな人ができて子供もできた。
といえば。
あのガウリイのことだから・・・・諦めるはず。
・・・というのはわかってはいる・・いるが・・・。
「・・・何で・・・・こうも・・おいかけてくるのよぉ・・・。」
この二十年。
まったくその気配すら感じなかったのに。
どうしてここ最近は。
近くに・・その気配を感じてしまうのか。
余計に・・切ない。
そんなこんなで。
数ヶ月。
リナとガウリイの追いかけごっこは・・・。
惑星規模にて展開を繰り広げている・・そんな中。
「リナのやつ・・・逃げてるな・・・・。」
思わず溜息がこぼれる。
確かに。
近くにまで来ているのは分かるのに。
すぐさまに遠のくその気配。
これは間違いなく。
自分に気付いている・・何よりの証拠。
だが。
逃げているということは・・それ即ち。
「ということは、リナのやつ。ずっとオレを想っていてくれてるってことだよなvうん♡」
そうおもうと、思わず顔がにやけてしまう。
・・・・二十年も一人にさせたんだ。
早く・・・リナにあって。
そして・・・・抱きしめよう。
きっといい解決の方法はあるはずだ。
それに・・。
リナの中に何がいようと。
オレには関係ないしな。
リナはリナだ。
・・・・リナの中にいるという魔王なんて・・・・・・
「・・・・・滅ぼしてやる・・・・。」
ぞくりとするまでの冷たい声。
もっと早くに・・。
やっていれば・・こんなことにはならなかったのかもしれない。
それをやらなかったのは・・・・。
理由は一つ。
・・・・そんなことができる自分を知られて・・・。
リナに嫌われるのが・・・怖かったから。
それ以外の何者でも・・・ない。
そうおもいつつ。
流れ行く川をみつつ。
決意を新たにするガウリイ。
そして。
ふと気配を感じ。
そのまま。
ザン!!!
いきなり腰にさしている剣を抜き放ち。
虚空を切り刻む。
「ひ・・・ひどいです!ガウリイさん!いきなり!」
ゆらりと。
腕を半分切り取られた黒い神官服を着込んだ男性が・・。
ガウリイが剣を一閃させた空間から。
どてり。
おもいっきり音を立てて・・。
地面にと落ちてくる。
■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □
「・・・・何のようだ?ゼロス?」
自分でも分かるほどの低い声。
だがしかし。
警戒するの当然のこと。
こいつが出現したときにはロクなことはないからな。
などと思いつつ。
すっと、ブラストソードを突きつける。
「おや、物騒ですねぇ。ガウリイさん。いえね。ガウリイさんの側にいれば。リナさんがどこにいるか・・・。」
「うせろ!リナは貴様らにはやらん!」
ザシュ!
問答無用できりつける。
ゆらりと。
まるで幻が消えるかのごとくに。
その剣はただただ、虚空をないでゆく。
「そうそう、噂ですけど・・・・リナさんに似た人間が。
何でも子供三人と旅をしているらしいですよ♡天竜王さんの支配地で♡」
それだけいって。
後には・・ただ。
何事もなかったかのように。
さらさらと。
水面が波打っている様子が辺りに戻りゆく。
どうやら一瞬の間ではあるが。
結界を張っていたようだな。
そうガウリイは瞬時に理解するが。
「・・・・・・子供?」
思わず、ある可能性が脳裏にと浮かぶが。
・・・・そんなわけ・・あるはずがない。
リナが・・・・自分以外の男性に・・心を許すなど。
子供と聞いて、なぜか思いついたのが・・・。
ありえるはずのないこと・・・。
・・・それは。
リナが・・・・・自分の・・・リナの子供と旅をしている・・・。
という可能性・・・であった・・・・・。
「これでとりあえず僕の役目はおしまいv」
何しろ、あの地には・・。
下手に近づけませんからねぇ。
そうしみじみおもいつつ。
とりあえずそちらの方面にと視線を向ける。
僕の役目はとりあえず。
ガウリイさんにさりげなく、リナさんに絡む噂を伝えるだけでよいと。
そう獣王様からもお達しがありましたしね♡
そんなことを思いつつ。
「さって、とりあえず、僕はこの辺りの観光でもしますかね♡」
・・あくまで、命じられたこと以外はこなさないつもりの獣神官の姿が。
ガウリイがいる川のほとりから数キロ先の町並みにて見受けられていることを。
ガウリイは知らない。
なぜなのか。
どうしてこうも・・・・すぐさまに分かってしまうのか。
息が・・・切れる。
張り裂けそうなほどに。
「ねえねえ!母様!ここ、すごい綺麗な場所よ!」
空間移動とか瞬間移動。
それだと何らかの力の波動で。
ほかにも気付きかねられない。
―そう。
気付かれるわけには・・いかない。
この二十年。
今までずっと気付かれずに・・・過ごしてきたのだ。
・・・これからも・・・気付かれるわけには・・いかない。
そう思いを新たにして、思わず手に力を込めてゆくリナ。
そんな思いを秘めつつ、上空を飛行の術で飛んでいたリナの耳に。
エリーの喜んだような声が響いてくる。
「・・・え?」
その言葉に視線を落とすと。
「あ、本当。ねえ?母様?あそこでちょっと休憩しようよv」
カウが指で指し示したその海上には。
そこには。
さんご礁で形作られている。
ちょっとしたリゾート地に近い島が。
見受けられているのであった。
そういえば。
この子達にも休息は必要かもね。
考えてみれば。
ここ数ヶ月。
ずっとガウリイから逃げることばかりを考えて。
この子達に休息を取らせてないし。
そんなことをリナは思いつつ。
「そうね。じゃ、少し休憩しましょうか。」
「うん!」
「わぁぁぁぁぃ!」
二人が・・カウとエリーが喜ぶそんな中で。
―脳裏に浮かぶ一つの光景・・・。金色の母から・・・見せられた・・・・最後の・・・・・。
その島は。
紛れもなく・・・リナスが『ありえる未来』として、見せられた・・・・最後の地。
それ以外のなにもでもなく。
「・・・・・っ!」
リナスは・・・・一瞬言葉を詰まらせてゆくのであった。
・・・これより、何が起こるのか。
そして・・・。
その行動次第で・・・・未来は・・・大きく・・・変動する・・・。
「わぁぁぁぃ!」
ぱしゃぱしゃ。
母と一緒で海水浴など滅多とあるわけではない。
そんなはしゃぐ子供達をみつつ。
「あ、あたし何か買ってくるわね。」
そういいつつ、ビーチパラソルの下から出てゆくリナ。
その格好は・・・真っ白い白いビキニタイプの水着で。
その華奢で小柄なその体型をさらに引き立てていたりする。
当然のことながら。
こういった観光地・・まあ、時期とそして。
場所が場所だけに。
表の方では人は多いが。
こちら側・・・島の裏側は。
海流が早い。
ということもあって人は殆ど皆無。
人気のないその通りを子供達に飲み物でも。
そう思い立ち、立ち上がるリナ。
何となくだが。
確信にちかかった。
たまたま乗り込んだ定期連絡船。
ふと。
「あの?すいません。この辺りに・・・何か・・島みたいなのは・・・・。ありますか?」
人を捜している。
そう聞いていた人のいい船長は。
「ああ、あるよ?よってみるかい?なぁについでだ。」
「あ、降ろしてくれるだけでいいです。」
なごやかにそんな会話がとある船の一室で交わされているころ
・・・運命の時は・・今・・・回り始めて行く・・・・。
-続くー
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まえがき:
・・・・うっしゃぁぁぁぁあ!
ようやく多分これで。(そーか?)
リナとガウリイが再会したあの砂浜シーンの前ぶりに!
くぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!・・・・あと一息で・・欝脱出・・・・。ファイト!おー!!
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あとがきもどき:
薫:・・・・・うーと・・・・次回で!の前ぶり・・で。
くぅぅぅう!ながかったよぉぉお!(涙)
しくしくしく・・・。
・・・あ、でもあれが終っても・・・・まだ続きがあるのよね・・。
・・・しかぁぁし!あれさえおわれば!
とりあえずの欝は脱出できる!
それではvv
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