いつも覚えているのは。
幸せそうに微笑んでいる母の姿と父の姿。
・・・・それがたとえ、一億年だろうと寝室にこもりっきりになるようなことが。
しばしばあったとしても。
それはそれ。
それは単なる物質世界においての時間率でしかないのであるからして・・・。
ここは、時間はあってないようなもの。
あるにはあるが・・。
外界とは異なり・・・。
時は・・・ゆっくりと流れている・・・・。


     闇の行方  第24話


ふと疑問に思ったのは。
何でもない日常の日の出来事。
いや、前から?とは思ってはいたが。
・・・・どうして彼女から自分達と同じような【力の波動】が。
感じられるのか。
そしてまた。
どうして・・・確か、母はいってなかったか?

・・・・自分達を身ごもってからは・・父と。
自分達の父親であるガウリイ=ガブリエフとは。
・・・一度も会ってない・・と。
なのにどうして。

・・・・・・自分達は歳を重ねて言っているのに。

昔からまったくその容姿すら変えない・・リナス姉。
それを疑問に思い出したのは・・・つい最近のこと。
そして・・・また。

・・・・どうして自分達が知らない・・父を。
リナスは・・・まるで全てを知っているかのごとくに。
リナに内緒で説明することができるのか・・・。

幼いころというか自我が確定したときにはそれは何とも。
不思議でも何ともなかったが。
ふと自我が確定し。
思い返してみると摩訶不思議。

「ねえ?リナス姉?どうしてリナス姉は父様のことを?そこまで詳しく知ってるの?」
何気なく。
リナが風呂に入っているそんな中。
先に風呂から出ていたカウがリナスにと質問する。
「それは、秘密v」
にこやかにそう交されて。
だがしかし。
「・・・・・そのうちに分かるとおもうな。カウ・・も・・・エリー・・も・・・。」
どんどん成長してゆく、姉と兄。
思わず姉様と兄様と呼んでしまいそうになるその心を何とか押さえ・・・。

二人が誕生して・・・。

あれから二十年に近い年月が・・。
経過しようとしている。


ふっ。
何か体が軽い。
そうとしか言いようがない・・・この充実したような・・感覚は。
一体全体何なのか。
そして。
ふと。
自らの手の中にある・・・小さな朱金色の球をみつめる。
とても暖かく・・それでいて。
今にも壊れそうなそれ・・・・。
ただ、確証はない・・ないが。
「・・・・・リナ・・・・」
そっと、その球をふれつつ、言葉を紡ぎだす。
なぜか。それが。
リナの力だと・・・理解ができる。
「目覚めたようね。」
ふと、凛とした澄み渡った声が・・・彼の脳裏にと響き。
思わず顔を上げると。
そこには。
金色の光を纏っている・・一人の女性が。

「・・・・ロードオブ・・ナイト・・メア・・・」

以前・・・リナの体を・・・乗っ取った。
絶対無比なる存在・・・・・。
彼・・・・ガウリイのその言葉に。
少し顔をほころばせ。


「本質の転換はおしまい・・・・では戻るがいい。」
その言葉と同時に・・・・・。

ぐらり。

彼・・ガウリイの視界は。
瞬く間に・・・・転換し。
次に彼が気付いたのは・・・・。

目に入るのは・・。
澄み渡る・・・・青空・・・・。



「・・・・オレは・・・・。」
何か頭が重い・・・・というか。
何か・・今まで。
大切なことを・・・思い出していたような気がする。
そんな気が・・・しなくもない。
何か自分の体そのものが。
変わっているのには気付くが。
それが一体何なのか・・・。
ガウリイには分からない。
だが、少なくとも。
「・・・・はっ!そうだ!リナ!」
確か、自分は・・・リナを探して・・・そして・・・そして・・・。
そして・・・確か、ゼフィーリアのルナ義姉さんのところにいったんじゃなかったか?
そこからは・・・何か記憶があいまいではあるが。
・・・・なぜか金色の王の元に連れて行かれて・・・。
そこまで思い出し。
ずきりと頭が痛む。

覚えているのは。

―リナの心を・・・ゆめゆめ疑うことなかれ・・

という、誰の言葉か分からない・・その一言のみ。

ふと。
懐に手を差し入れると。

そこには。


―『さよなら、愛してるがウリイ。世界よりも何よりも彼方だけを。
    ―だから、あたしは彼方を失えない。何よりも大切だから。
    ―だから・・さよなら。探さないで。
    ―生きて。彼方が生きていてさえいてくれれば・・あたしは大丈夫だから。
    ―このままだと、あたしは、いつか彼方を殺してしまう。
    ―彼方があたしのせいで死んでしまうかもしれない。
    ―彼方に何かあったら、この世界だでなく全てを壊してしまう。
    ―だから・・愛してる・・愛してる・・だから・・さよなら・・ガウリイ。
    ―さよなら・・・・。     リナ 』―


・・あのとき。
確かに感じたはずの・・リナの忘れもの。
あの日のことは・・・昨日のことのように思い出される。
・・・初めて全てを見せてくれたリナも。
恥じらいながらも・・そして、身悶えていた・・あのかわいい姿も。
だが・・・その出来事より・・。
目が覚めたら・・・いなくなっていた・・彼女・・リナ。

この手紙は、リナにあってつき返そう。
リナの気持ちは・・痛いほどに。
おそらく・・リナは、自分を・・待っていてくれるはず。
その思いを新たに・・・。

ガウリイはなぜか記憶があいまいなのにも気にかかるが。
とりあえず。
「・・・・とりあえず、何が何だかわからんが・・。情報収集・・・だな。」
確かに。
見慣れている・・・・はずなのに。
何となく・・空気というか、その全てが違って感じられる。

強いていうなれば・・。
・・・・そう。
目が覚めたら・・まるで年月が経過しているかのごとくに。


「・・・・リナが一番立ち寄りそうな場所は・・。やっぱり食堂とかだよな。うん。」
この辺りにはいないことは。
何となくは予想している。
いるが・・・だが、可能性は・・捨てきれない。
目が覚めたら・・気付けば。
まったく見知らぬ土地であった。
それはガウリイにとっては・・関係がない。
だが・・問題なのは。
・・・そこにリナの気配が感じられない。
ということのみ。
・・・確か今までは。
自分はリナをよりよく近くに感じてなかったか?
そんなことも頭をよぎるが。
何か、もどかしい。
何となくだが・・確かに。
すぐ側に・・リナがいるような感覚ではあるのに・・。
それなのに・・・。
最も・・・求めている・・・・愛する人は・・そこには・・いない。


なぜかぼんやりしている頭をふりきり。
とりあえず近くにあった食堂にと、足を伸ばしてゆくガウリイ。

「・・・・・?一体?」
何かがおかしい。
確かに・・そう、空気が・・・違う。
何というか・・その。
空に漂っている気配そものが違うというか。
一体????
首をかしげるものの。
その違和感が・・。
何というか・・・そう。
ここにはかつて・・空を覆っていたというか空気を覆っていた・・・気配が異なっている。
ということは、見てとれた。
「・・・・・・竜王が変わってる?」
それは直感からでたつぶやきであった。
だが、口にだしてみれば。
この違和感が・・・すんなりとなぜか自分にしっくりと溶け込んでくる。
そうだ。
この違和感は・・・かつて。
この地で感じた・・あの神気とは似てはいるが異なるもの。
・・・あのとき。
かつて、リナと一緒に。
闇を撒くものとの戦いのときに。
そうおもい。
ふと。
そこにある年表に目が何となく違和感を感じて。
思わす壁にかかっている・・・この地ではポビュラーとなっているらしい。
カレンダーなるものを具間みる。

「・・・・な゛!?」
そして、そのことが。
違和感の正体を・・・・。
彼・・・ガウリイが。
その目をもって、気付くことになろうとは彼としてもそれは、驚きの事実。

そこにかかれている年代は・・・・。
彼が知っている年号よりも・・・。
二十年を軽く・・・越えた数字が・・そこには刻まれているのであった・・・・。


何となく数日前から心がざわめく。
何というのか。
そう・・・強いていうならば。
川一つ越えたところに・・幸福が待っているような。
その思いに思わず、そちらにいきかけて。
はたと思いとどまる。
「・・・・この・・・・気配・・・は・・・。」
声がかすれる。
―どうして?
あれから・・・・二十年は・・・たっているのよ?
そんなこと・・あるはずがない。
だけど・・・・この気配は・・・・。
切ないほどに痛く・・・・そして・・・・愛しいその気配は。
間違えようもなく。

バタン!!!!

「リナス!カウ!エリー!!!!急いでこの地を出発するわよ!」
買出しに出ていたリナは。
とるものもとりあえず。
宿屋でまっているはずの子供達と・・そして。
なぜか二十年が経過するというのに。
まったくであった時から姿がかわらない・・・。
今では、自分の子供達と・・・兄弟?と聞かれるくらいに。
あの当時のままの姿。
リナと初めてあった・・七歳前後の姿のまま。
そうして、今では。
六歳前後の姿になっている、リナの子供達。
カウリイとエリアンヌ。
はっきりいって。
この子達が並んで歩いていれば。
間違いなく姉妹、兄弟だ・・と。
疑われることはない。
リナスもそのほうが人々に怪しまれないから。
という理由で。
今ではそれでとおしてはいるのであるが・・・。

いきなり、顔色を悪くして、部屋にと入ってきたリナに。
思わず驚く。
母が・・・リナがこんなに狼狽しているのをみたのは。
彼らは・・・いや、特に。
エリーとカウにとっては・・はじめてのこと。

横で小さく。
「・・・・ふぅ・・・やっぱし逃げるのか・・。」
そう溜息をついているリナスの言葉も気にはなるが。
驚いた表情でそんな母であるリナを見ている
カウリイ=ユリウス=フォン=ガブリエフ。

「リナお母様?どうかしたの?」
きょとんとした声を上げるエリーをしっかりと抱きかかえ。
「・・・・・ゴメンね・・。」
それだけいって、ぎゅっと抱きしめる。
歳をとるごとに。
自分にそっくりになってくる・・・我が子。
エリアンヌ=エルメス=ド=ガブリエフ。
そして・・。
切ないほどに・・・・そこまでになくてもいいではないか。
というくらいに・・・父親である・・・ガウリイと。
まったく同じ容姿にと成長している・・・大切な息子。
カウリイ=ユリウス=フォン=ガブリエフ。
この二人を抱きしめて、ただただ。
「ごめんね。」
そういいつつ、泣き続けている・・・・リナ。

―知られるわけには・・いかない。

ましてや。
あれから・・・二十年は・・軽くすぎている。

彼に・・・・自分にほかに好きな人ができて。
その子供を産んだ・・と誤解されることも何よりも怖いが。
だが・・それ以上に。
自分が側にいれば・・・間違いなく・・・・・・・・。
そうリナは思いつつ。
だがしかし・・。
切ないほどに・・・・会いたいのも・・また・・・・事実。


「とにかく!急いで出発するわよ!急いで!」
悲鳴に近いその言葉に。
「・・・・母様?もしかしたら・・近くに・・父様が・・・。」
カウやエリーが父親に会いたがっているのは・・知っている。
だが・・・。
「駄目!!!!あいつにあったら!あたしは!」
悲鳴に近い声。

そう、もうリナは分かっている。
どんどん成長してゆく息子・・・カウを見続けていて。
・・・・会いたい気持ちは・・・どんどん。
この二十年間の間に、膨れ上がっている。
それを・・・どうにか理性で抑えている・・・だけ。
会えば・・・・絶対に。
この子達が・・・・彼との子供であることと。
そして・・・・。
・・・・・・二度と離れられないであろう。
ということは。
リナはすでに確信をもっている・・・。

そして・・・それは・・・・。

未だに自分の中の魔王を覚醒させることを諦めていない魔族の動向と。
そして・・また。
どうにか意識で抑えているものの。
ことあるごとにリナの・・意識そものを乗っ取ろうとする魔王との戦いは・・。
この二十年間・・・ずっとリナは戦い続けている。
彼と出会えば・・・・。
間違いなく。
魔族は・・・・リナのことに気付くであろう。
そして・・・・。
かつての悪夢が・・・・現実となるのだ。
・・・・・・自分を庇って・・・・いや。
ガウリイが・・・・自分の中に眠る・・・魔王を目覚めさせる。
ただそれだけの目的で・・・。
・・・・魔族側に・・・殺されてしまう・・・・・という・・・・現実が。

ただ、切なく、自分でも気付かないうちに涙を流している母をみて。

・・・・・ここまで母様を苦しめている魔王・・・。
絶対に・・・・許せない・・・・。

その思いが・・一段と高くなってゆくエリーとカウ。

そして・・・その思いはまた。
・・・ずっと、側についていたリナスもまた。
その思いは・・・同じ。


―エルお母様!!!!・・・・私・・・これ以上・・・何もしないでいるの・・・。絶対に無理ですぅぅぅぅ!!


近くに・・・父が。
ガウリイが。
目覚めて・・来ているのが分かっているのに。
それに気付きながらも・・・・あえて、逃げようとするリナをみて。
心で絶叫を上げているリナスであった・・・。


泣くリナをそのままにしておくことなど・・・彼ら・・三人には、できるはずもなく・・・。
その日のうちに・・彼らは。
その大陸から・・遠ざかってゆく・・・・・。






「・・・・・ふむ。この気配は・・・ゼロス!」
たまたま。
この近くにやってきていた。
なぜにここにいるのかは・・・聞かないほうがいいかとも思うが。
その手に持たれているのは・・。
・・なぜか大量の・・・紙袋。
その中には。
この地で購入した様々な洋服などが入っていたりする。
「・・・・はい?何でしょうか?」
これまた、こちらは大量の箱をもち。
前が見えなくなっている男性は。
その言葉に返事を戻す。
「あのものの気配がつかめた。」
淡々と言い放つ。
確かに。
このなぜか20年間。
どうやっても探し出させかなった・・・・その気配。
だが。
そのうちの・・一つ。
未だにリナ=インバースの気配はつかめないが。
だが。
ガウリイ=ガブリエフの気配さえつかめれば。
もはやこちらのもの。
その言葉だけで・・・すぐに理解する。
「分かりました。それでは、これをおいてから・・。」
そういいつつ、荷物をもったまま空間移動しようとする黒い神官服を、着込んでいるその男性に。
「うん?何をいっている?まだまだ買い物は続くぞ?全て終ってからでよい。」
あっさりと言い放ち。
すたすたと黒い神官―ゼロスの方に近づいていき。
今購入した二十個程度の紙袋を手渡している、淡い金髪をしている一人の女性。
「えええええええええ!?ゼラス様!?まだ買われるのですかぁぁぁぁあ!?」
すでに。
買い物を始めて・・・・軽く十日は経過している。
その言葉に・・主である獣王の言葉に。
思わず絶叫を上げているのは。
獣神官・・・ゼロス。
「ん?何か不服でもあるのか?」
しくしくしく・・・。
「ありません・・・・。」
上司のその言葉に逆らえるはずもなく・・。

・・・・二十年経過していても。
上司のその言葉には逆らえない・・・ゼロスであった。


                       −続くー

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まえがき:
・・・うし。
そろそろ視点を戻しますv
あはは・・・・。
よーやく欝からの脱出近し!(こらまて!)
ふふふふふvvvv

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あとがきもどき:
薫:・・・・なにげに。シリアス・・・のはずなのにぃ(笑)
  ちらっとゼロスの不幸を入れてみたりして(爆!)
  ふふふふふv次回でゼロス、ガウリイと接触!!!
  そーして!!!!よーやく!!!!
  『!』としてアップしていたあの場所に!
  くぅぅぅぅう!長かったよぉ・・。
  ・・・・そーいや、あの!の続き・・。
  確か・・・・ガウリイとリナが宿屋に戻るところまで・・・。
  レポート用紙にかいてたっけ?・・・・・どこやったっけ?(こらまて!)
  ・・・ま、いっか。表現がかわるかもしれないけど。
  内容は覚えてるしv
姫:というか、これ自体。頭の中にある光景をそのまま文章化してるものね。貴女は。
薫:・・・ぎくっ!(汗)
  そ・・それでは!
姫:・・・・さて、私もちょっと、ヴラバザードのお仕置き加わりますかv

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