闇の行方  第21話


「・・・・・・何やってるの?リナス?」
んぐんぐんぐ。
その小さな手で、リナの胸に吸い付くように、お乳を飲んでいるエリーを優しくみつめつつ。
ふと。
何か小さな箱のようなものを手にもって。
そんなリナと赤ん坊に箱を向けているリナスに。
素朴な疑問を投げかけているリナ。
「何って、撮影v」
「・・・・いや、撮影って・・・。」
「これの中に、記憶球に近い物が入ってるのv」
そういって。
小さな箱の横にある、まるで鏡のようなものをリナにと見せているリナス。
そして。
「これに近いもので、異世界にビデオとかいうものあるのよvリナ姉様♡」
にっこりとそう笑いかけるそんなリナスのその言葉に。
「ふぅん。世の中、便利なものもあるのねぇ。」
別に異世界と聞いても驚いていないのは。
よく、姉であるルナが、異世界のものとかいって。
昔から取り寄せというか、通信販売などをしていたからに他ならない。
やっぱり成長記録はきちんとあったほうがv
大きくなっても喜ぶし♡
とゆーか。
自分が撮っていて、ふと気付く。
確かに。
姉と兄の映像は。
生まれた直後からあったが。
それを撮ったのは・・・一体誰だったのかと。
かなり疑問ではあったのである。
何しろ、当時は、父はいなかったはず。
だがしかし。
母が撮っているにしては・・どうして母と姉たちが同時に映っているのか。
聞いても、ただ。
―そのうちに分かるわよ♡
といって微笑んでいた母。
ようやく、今。
その理由がわかったような気がする。
「・・・・でも?リナス?一体、どれくらい記録・・とるにしても?映像を納めるものがどれだけいるかどうか不明よ?」
生まれたときに感じたのは。
あきからかに。
この子達も人と異なる時間率で成長するであろう。
ということのみ。
おそらく・・・・・・。
この子達は・・・。
自分と同じく人とは違う時間率で成長するであろう。
それがわかっているから・・。
感じたのは・・・・十年かけて、三歳程度か。
それくらいなまでの遅い成長の時間率。
人とは・・完全に異なる生きる時間帯。
「でも撮るのv」
こんなチャンスははっきりいってない。
あの、姉と兄の・・しかも。
赤ん坊の姿。
・・・・絶対に勝てない二人である。
・・・もしかしたら、何か弱みの一つくらい・・。
などと思っていたりするリナス。
そんなリナスの心情は分かるはずもなく。
というか、リナ自身。
まさか、このリナスが未来からやってきている自分の娘とは知らないのである。
「ま・・いいけど・・・・ね・・・。」
本当なら、このことを一番喜んで欲しい人。
もっとも側にいて欲しい人は・・・・今は側にはいない。
だけど。
「・・・・・ねえ?・・・どうしてあんたは・・あいつに、ここまでそっくりなわけ?」
そっと。
先に授乳を済ませて。
すやすやと寝ているカウにむかって話しかけているリナ。
女の子は、リナにそっくりの栗色の髪に紅の瞳。
そして・・。
男の子は、リナの最も大切な人。
金色の髪に碧い瞳。
まったくその容姿から全て。
リナとガウリイのミニチュア版といっても過言でない。
この、二卵性双生児。

思い出してはいけないのに。
いやでも思い出してしまう。
「・・・・・がう・・・・・あいたいよ・・・・。」
ぽたりと。
エリーに授乳を済ませ。
寝かしつけているリナの目から、涙が零れ落ちる。
だけど。
そんなことをしたら・・・。
自分が、ガウリイを・・・・傷つける。
下手をしたら・・・殺してしまう可能性すら・・。
そんなことはさせたくない。
認めたくないから。
「・・・リナス、しばらく滞在したら。ここ、出るから・・・・まだ一緒にいてくれる?」
ごしごしと。
その紅い瞳に湛えた涙をこすりつつ。
潤んだ瞳でリナスを見つめるリナ。
「当然でしょ?私はリナ姉様とずっと一緒よ?」
そういって。
そんなリナを包み込むように抱きしめるリナスに。
ぎゅっと。
背中に手をまわし。
「・・・ありがと・・・・。」
この子がいて、よかった。
一人なら・・・・耐えられない。
このさみしさに・・・。
そんなことを思いつつ。
リナは・・・・ただただ、静かに涙を流してゆく・・・・。


「こらぁぁぁぁぁぁあ!!エリー!!!!!」
きゃきゃきゃ。
叫びつつも、目が笑っている。
ゆっくりと成長しているものの。
それでも。
子供の成長には驚かされる。
ふと。
家を出ているときに、戻ってみると。
なぜか。
・・・・・・・・家の中が燃えていたり・・。
見れば。
・・・まだ言葉もしゃべれないというのに。
呪文・・・しかも、ファイアーボールを創りだし。
それだけならまだしも。
・・・・その炎の球を玩具にして。
カウと一緒にお手玉のようにして遊んでいるとなれば・・話は・・・・別。

「あんた達ぃぃぃ!家を燃やしてどうするのよぉぉぉぉお!!!」
リナの絶叫が。
しばらく、平和な村にと響き渡ってゆくのであった・・・・。


「ずっとここにいればいいのに?」
数ヶ月滞在した。
だけど、これ以上。
ここにいたら。
間違いなく不審がられる。
だからこそ。
「そういうわけにもいきませんから。」
そういって軽く微笑み。
「うーん、何かこまったことがあったら。すぐに戻って来るんだよ?あんた達はこの村の一員なんだから。」
そういって。
リナをそっと抱きしめてくる村の女性に。
「・・・ありがとうございます。」
そういって、頭を下げる。

あまり、長いこと、長いするわけには・・。
先日、この村の近くで。
滅多に人前にでないという、黄金竜が発見されたとか、目撃されたとか。
・・・・自分を捜しているのだと。
いやでも理解ができる。
・・これ以上、ここにいて。
迷惑をかけるわけにはいかないのだ。
それでなくても。
彼ら・・とくに、あのヴラバザードのやり口は・・。
一つを排除するためならば。
他の犠牲などどうでもいい。
というような性質だと。
もう、身にしみて、リナはよくわかっている。
だからこそ・・・。

ようやく、首も据わり、自力ではいはいができるようになってきた、エリーとカウをつれ。
村を出ることにした、リナとリナス。

そんな二人を。
心配そうに見送る村人達の姿が。
二人の姿が消えても。
しばらく、村の出入り口で見受けられてゆくのであった・・・。



「・・・・・ちっ!また逃げられたか!?」
先日。
捜していた、例の女性らしき人物を見かけた・・と。
報告があり。
そして。
人の姿に変えて。
村に調査に入ったところ。
「・・・・・子供?」
その言葉にすっと表情を険しくする。
あのものの子供である。
危険きわまりないのは間違いない。
「・・・・これは、報告しておいたほうが・・・。」
そういいつつ。
ぱさりと身を翻し。
村から少し離れた場所から。
姿を竜にと変えて、報告しようと飛び立つ一人の竜。

どすっ!
とびたってまもなく。
その体が。
何かに貫かれ・・・・。

「・・・・悪いけど、リナ様の邪魔はさせないからね・・・・。」
そこには。
片手に剣を構えた。
ルナの姿が。
しずかに空中にと浮いていた。

そう。
報告などされるわけにもいかない。
・・・・いかない・・・が。
「・・・・・・・・本気で消滅させるしか・・ないようね・・。あいつはぁ・・・・・・・・」
その目に、怒をたたえつつ。
すっと目を細めて。
すでに、首にしたというのに
それでもまだ。
部下達をつかい、リナを付けねらっている元火竜王のことを思いつつ。
ルナは・・・・決意を新たに。

すっと。
その場から掻き消えてゆく。


すくなくとも。
・・・・・ガウリイが目覚めるまでは・・・。
悲しい未来は・・・見たくはない。
すくなくとも。
リナスがいる限り。
まだ、希望は立たれたわけではない。
・・・・・未来が狂えば・・間違いなく。
リナスの存在そのものが。
まず始めに掻き消えるのだからして・・・。


「・・・・・・うーん。なかなか見つかりませんねぇ。ま、今の僕のお仕事は・・・っとv」
ぽむっ!
軽い音とともに。
彼に向かってこようとしていた人間の頭が。
かろやかな音をたててはじけ散り。
そのまま。
残ったからだは、空間より出現した、太い数本の錐にと貫かれ・・・
「なぜか、あの地・・・ゼフィーリアには僕達・・・入れませんからねぇ。」
入ることはできても。
あまり力が振るえない、未知なる地域。
そこに転生しているという、スィーフィードの影響か。
その真意は定かではないが。
とりあえず。
その真意を確かめるべく。
あの地の理由を探るべく。
上司より命令を受けているこの神官。
「・・・・ふむ。これにもあまり詳しくはかかれてません・・・か。」
国などの状態を治めている書物は。
各、国などに治められている。
そして。
「・・・・・あと、残る・・・は・・・・セイルーン・・・なんですけどぉ・・・・。(汗)」
そして、本気で溜息を盛大に吐くこの神官・・・・獣神官ゼロス。
「・・・・あの王家の家族・・・会いたくないんですよねぇ・・・。暇つぶしならともかく・・・・・・。」
そんなことをおもいつつ。
セイルーンのある場所にむけて視線を移す。
「・・・何しろ、あのフィルさんが即位・・しましたし・・ねぇ・・・・はぁ・・・。」
そういいつつ。
「ま、お仕事はお仕事ですしv」
そうわりきって。
ゆらりと。
そこから掻き消える。

後には。
ただそこには。
大量の、血の血痕と。
そして。
無残に飛び散っている、元人であったはずの、何かの肉の破片などが。
とある城の中に位置している、国などの記録を治めている、図書室で。
警備もかなり厳重のはずだというのに。
部屋の中で。
見受けられているのであった・・・・。



「おーほっほっほっほっほつ!お父さま?外交はこのグレイシアにお任せを!」
「うむ。頼んだぞ?グレイシア?
  あれから、もはや、元結界の外との交流はかなり盛んになっている。これからが本番じゃ。」
今までは。
ただ。
元、結界の中に位置していた、国々と。
そして。
結界の外にあった国々の、たったの千年にわたる封印。
だが、その千年は・・・。
その発展の道を違う方向に導いていた。
魔族の結界の中にあった、この地は。
魔道・・つまり、魔法が発展していき。
そして・・・結界の外では。
今や、そんな魔法はかなり廃れ。
使える人など殆ど皆無。
逆に。
科学とかいう人の手による、何らかの力などが発展している様子。
だが、その未知なる力にあこがれるのは。
どこの世界の人間もいるもので・・。
そしてまた。
その力を使って。
まあ、何を考えているのか。
世界制服。
などいった、無謀な輩を生み出す結果となりはてている。

まあ。
確かに。
元結界の外の地域で。
黒魔法の一つでもぶっぱなせば。
それだけで、もう、畏怖される対象とナリハテるのだから。
ここ、セイルーンは。
そんな人の道に反する者達を率先して。
裁く法を。
各、王国などと競技して。
今は設立していっているその矢先。


「・・・・・・リナさん、無事なんでしょうか・・・。」
姿を消してしまった、大切な仲間をおもいつつ。
今日もまた、バスローブに身をつつみ城のテラスから外にでるアメリア。
「・・・・・あいつも変に不器用だからな・・・。」
旦那・・・ガウリイといい・・・・な。
そんなアメリアを背後から、上着だけを羽織り、
抱きしめているゼルガディス。
「・・・・できたら、お祝いの言葉・・・二人そろって。いってほしいです・・。」
そういいつつ。
そっと。
おなかに手をあてる。
そこには。
小柄なその体からは不釣合いなまでに。
ぽっこりと。
おなかがはみ出て・・・・。

アメリアとゼルガディス。
結局のところ・・・・リナ達が戻ってくるまでは結婚はしない。
と始めはいっていたものの・・。
・・・・順番がくるってしまったのだから。
結局。
二人を待つまでもなく、式を上げ。
こうして、今は二人でセイルーンにと住んでいる。

ゼルガディスは、王宮の騎士の仕事も兼任しつつ。

確かに。
リナ達以外の回りでは。
時間は進んで言っているものの・・・・。



・・・・まだ、リナとガウリイの時間は・・・止まっているままである・・・・。
まだ・・・・消滅してしまう、未来の危険性は・・・・。
なくなったわけでは・・・ない・・・・・。

                      -続くー

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まえがき:
・・・・もう少し・・もう少しで・・・欝・・脱出できるはず!(まて!)
・・うう、私、ファイト・・・・・・。

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  あとがきもどき:
        薫:・・・・・うし。
           次にちょこっと、赤ちゃん達の面倒をみるリナスとリナやって・・。
           ・・・・・ルナが完全に怒って(おひ)
           あいつを消滅させて(ちなみにエル様参加)
           ・・・で、ガウの覚醒・・・・といきますか(こらこらこら!)
         (・・・おーい?赤ん坊つれの旅の様子はぁ?←省きます!・・・お゛い゛!)
           んではではvv

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