闇の行方  第16話


クレーターとかした大地の側で。
見覚えのある栗色の髪。
だがしかし。
彼女がこんな場所にいるはずもなく・・・・・。


ごそごそごそ・・。
「うーん、あまりたいしたものは持ってないわねぇ。」
まったく。
せめてめぼしいものの一つくらい。
持っていてもバチがあたるわけでもないでしょうに。
なぜか、自分達に手配がかけられ。
めぼしい町などには降りられない。
かといって、今までのように、ちょっとした依頼などをうけて行動するのもかなり危険。
それほどまでに、リナとリナスに対する懸賞金は。
かなりの額がかけられている。
下手に依頼などをうけて。
依頼主に裏切られる。
そんなことが起こらないとは絶対にいえないというか、ありえる事実。
そんな彼女達の収入源とすれば。
やはり、もうこれは一つしか道はなく。
こうして、リナ達に向かってきたごろつきなどから。
資金を巻き上げるのに何の抵抗があろうかというもの。
・・・・まあ、元々、リナの趣味でもあるのだが・・。
こういった、悪人を倒して金銀・・いや。
彼らの再生するための資金を奪うという行為は。
「?人間のお姉ちゃん?何やってるの?」
そんなリナの行動をみて。
首をかしげているまだ若い竜が三人。
といっても、幼いながらも人形を成しているのであるが。
男の子二人に女の子一人。
それが彼らの姿。
「あ、これ?二度と悪事ができないように。彼らの行動資金を没収しているのよ。
  いい?こういうやからは、二度とこんな悪いことをする気にならないように。
  こうして、全てを没収するのが当然なのよ?」
そういいつつ。
文字通り。
本当に身包み剥ぎ取っているリナの姿を捉えつつ。
『・・・・なるほど!』
ぽんと。
手を叩き、納得し。
逆にリナのいうことも最もだと思い。
リナを手伝いはじめてゆく子供の竜達。


「リ・・・・リナさん!」
思わず叫ぶ。
人違いかとも思ったのであるが。
だがしかし。
倒れている・・・おそらく先ほど、自分に絡んできた人間と。
おぼねしき倒れているそんな人間達から。
その服装なども全て剥ぎ取って。
文字通り、身包みはがす人間など・・。
そうそういるとは思えない。
戸惑っている金色の髪の女性の前で。
彼女が捜していた、子供達三人まで。
そんなリナに続いて同じように行動を始めてゆくのを見れば。
声をかけるのも当然といえば当然のこと。

「・・・あら?リナ姉様?フィリアさんが来てるわよ?」
そういいつつ、振り向いて、リナに丘の上にいる女性を指差す、
リナに雰囲気もよく似ている栗色の髪に碧い瞳の女の子。
その言葉に顔を上げて。
本当にその手に彼らが着ていた服を掴み取りつつ。
いくらになるか物色しているリナの姿。
そんなリナの前では。
下着一枚になった盗賊達が。
未だに目を回しているのであるが。
そんなリナスの言葉に視線を上げれば。
そこにいるフィリアとふと視線が絡み合う。
「あら、フィリアじゃない!ひっさしぶりぃ!」
ぶんぶんと手を振り、挨拶するそんなリナに。

「どうしてリナさんがこんな所にいるんですかぁ!?」
そうして。
ふと。
いつも側にいるはずの金色の髪の男性がいないことに気付き。
「・・・・あら?リナさん?ガウリイさんは?」

・・・・ぴくり。
そのままの姿勢で凍りつくリナ。
フィリアの言葉を受けて。
完全に行動を停止させるリナ。

・・・・・・・表面上は何でもないように振舞っていても。
本当は、側にいたいのが本音。
しばらく。
リナは。
その場にと突っ立ったままの姿勢で凍り付いてゆく。

本人かどうか、分からなかったのは、もう一つ。
いつも、必ずといっていいほどに側にいるはずの。
金色の髪の男性が、側にいなかったがために。
気配すらも感じ取れない。
代わりに側にいるのは・・・。
どこか、彼女・・・リナと似通った雰囲気を持っている少女が一人。
歳のころならば、いくらかであろうか。
振り向いたその瞳が、澄み切るまでに碧くフィリアを捉えゆく。
とりあえず。
目的の探していた子供達の姿を見つけたことでもあるので。
未だにつったっているリナの元にと近づいてゆくフィリア。


言わないで欲しかった。
あいつの・・・ガウリイの名前は。
名前を聞くだけで・・・・自然と涙がこぼれている自分が分かる。
・・・・・会いたい・・・・・・・・・・・・
だけどそれはかなわぬこと。
そう自分で決めたのだから。
・・・・そう。
彼を守るために・・・自分で決めたこと・・・。
ふと気付くと。
ぽたり。
リナの瞳から。
大粒の涙が頬を伝い。
足元にと零れ落ちてゆく。


「リナさん、子供達に何を教えて・・・って。リナさん!?何泣いてらっしゃるんですか!?」
あのリナが。
たったまま、涙を流している姿など想像などしていなかった。
リナが子供達に教えていたことに対して抗議の声を上げようとした、フィリアの目にと映ったのは。
その紅い瞳をさらに赤く潤まして。
その大きな瞳からは、大粒の涙が零れ落ちている。
「それに、どうして、ガウリイさんが側にいないんですか?リナさん・・リナ・・さん?」

「あいつのことはいわないで!!!」
それだけいって。
一生懸命耐えていた。
だが、もう立っているのもやっと。
どうにか・・・考えないようにして。
保っていたのに・・。
そのまま。
その場に崩れるようにと泣き出してしまうリナ。

「・・・・あの?フィリアさん・・・ですよね?はじめまして。私はリナスといいます。
母の思いは痛いほどによくわかる。
会いたい。
という思いと。
そして。
自分が側にいたら、父が殺されてしまうかも・・という不安。
それゆえに。
父から離れることを決意した母。
その結果がどういうことをもたらすのかは・・。
消えてゆく二人の姿と。
具間みた未来の一つの光景で。
彼女・・リナスは分かっている。
今の積み重ねからなる未来。
そんな未来は・・・彼女が知っているものでなければならない。
そうでなければ・・・・いけない。
絶対に。
だから・・今は。
早く母であるリナにそのことを気付かせなければいけない。

―― 逃げることがそれが父を助けることにはならないのだ・・・・と。

ぺこりと。
リナが泣いている様子をみて戸惑うフィリアに語りかけるリナス。
「?リナス・・さんですか?リナさんとガウリイさんによく似てらっしゃいますね?」
ふと。
目の前に・・・・リナと一緒にいる少女が。
リナとガウリイによく似た雰囲気を纏っていることに気付き。
とまどいつつも、リナスの方を振り向くフィリア。
リナによく似た・・というか、瓜二つといっていいほどの栗色の髪。
その癖毛の様子などもよく似ている。
そしてまた。
ぱっちりとした大きな瞳のその色は。
リナと常に行動を共にしていたガウリイという人間のその瞳の色と同じ。
そんなフィリアの言葉に。
ただ微笑みで返事を返し。
「私はリナ姉様と一緒に行動しているんです。
   ルナさんから言われて、リナさんの側にいるように・・・と。何しろ、リナ姉様、大切な身ですから。」
そういって、リナを振り向くリナス。

その言葉に、はっとなりつつ、リナを見る。
リナの体から感じる気配は。
少なくとも・・・一つの体であるはずであるのに。
感じる気配は・・三つ。

「・・・・・リナ・・・さ・・・ん?」
思わず声がかすれそうになるその言葉を肯定するかのように。

「リナ姉様、今妊娠してるんです。―ガウリイさんの子供を・・・・。」
そういって、未だに声を殺して泣いているリナの方をみつつ。
フィリアに説明するリナス。
「それでは、どうしてガウリイさんがリナさんの側にいませんの!?」
納得がいかない。
あれほどまでに、リナを大切にして・・・。
互いに互いを大切にしていた二人であるというのに。
「・・・・それは・・・・。」
ちらりとリナをみつつ。
一瞬言いよどむが。
「・・・・・リナ姉様の中にいる、馬鹿を覚醒させるために。魔族も神族も、リナ姉様にチョッカイかけてくるからです・・・。」
思わず本音が漏れる。
馬鹿以外の何者でもない。
あんな場所に入り込んでいなければ・・・。
いや、あんな場所だからこそ、消滅せずにそのまま。
いついているのであろうが。
「・・・・・・馬鹿?」
思わず鸚鵡返しにと問いかけるが。
何かそれ以上、ここで聞くようなことではないような気もしなくもない。
「それは、後々説明します。あ、それはそうと、フィリアさん、ここには、仕入れでこられてるんですよね?
    私とリナ姉様、この大陸から連れ出してもらえませんか?」
側に、黄金竜である彼女がいれば。
気配を彼女に隠して移動することができる。
何ごとにおいても。
慎重を期すことは大事。
「・・・・??」
よく考えてみれば。
どうして初対面でもあるこの子が。
自分の名前を知っているのか。
かなり気になるところではある。
だがしかし。
まあ、あのルナさんに言われて側にいる。
というのだから、その辺りの関係でしょう。
それで済ましているフィリア。
リナスの言葉にどこかに含み。
だが。
それ以上の詮索はせず。
あのリナが泣いているのである。
これは何かあるのであろう。
今は・・・・ただ。
「その辺りのことは後でゆっくりとお聞きしますわ。それより、今はこの子達を村に送り届けるのが先ですし。」
そういいつつ。
リナが泣いている理由には会えて触れずに。
そのまま。
きょとんとしている三人の子供達にと向き直り。

「あなたたちの両親が心配してるから、戻りましょ?」
そう優しく語り掛けるフィリア。
その言葉に顔を見合わせて。
リナに教わったとおりに。
他に倒れている人間達から。
お金になりそうなものを物色しつつ。
文字通り、身包み接いでいた彼らは。
ぱっと顔を上げて。
一斉に。

『うん!!』

村に戻れる。
その言葉に。
三人が三人とも笑みを浮かべるのであった。

子供達を送り届け。

うつむき加減のリナに変わって。
かいつまんで状況を説明してゆくリナス。

リナの負の感情を得るために。
魔族がリナでなく、ガウリイを狙っている。
ということ。
リナの中に、欠片ではないが、魔王の残留力が残っていて。
それを活性化させようとしている魔族の思惑と。
そして。
二人も魔王を滅ぼした、火竜王がリナをよく思っていなくて。
いく度か刺客を差し向けてきている。
ということ。
ガウリイが自分のせいで怪我をすること・・・いや、怪我だけならまだしも。
死亡することを恐れたリナが、彼の前から姿を消して。
今、こうして一人で旅をしているということ。
そして。
自分・・即ちリナス自身がそんなリナと一緒に行動している。
ということ。

まあ、一部、事実ではないが、完全に嘘でもない。
そんな説明をフィリアにしているリナス。

・・・・・いえるわけがない。
完全なる、七つに分けられたという、欠片の一つ。
それが、リナの魂のとある部分にあるということなど。
それが分かれば。
確実に。
リナは他の竜王達からも目を付けられることは・・・必死。
今のリナでは・・・・太刀打ちなどできるはずも・・・ない。


そんな説明を。
竜の子供達、三人を送り届けたその日の宿で。
リナスから説明を受けるフィリアであった。


                 −続くー

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まえがき:
・・・・・あれ?フィリアの・・・・暴走シーンまで・・・いけなかった?
あはは・・・。ま、いっか(よくない!)
話し・・・まったく進んでないです・・・はい(涙)
それでもよければ・・どーぞ(こらこら!)

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    あとがきもどき:
        薫:・・・・・・・・・・・・・・・。
          ・・・・・やっぱ、この辺りは打ち込んでてブルーになる!
          だから打ち込みする気力がぁあ!(こらこらこら!)
        姫:でも打ち込まなかったら。
          ずっとこのままよ?(はあと)
        薫:・・・・あう・・・そうなんですよね・・・(涙)
          と・・・とりあえず。
          ああ・・・・ラブラブシーン・・(切実に)はやくそこにたどり着きたい・・・・。
          ・・・・でも欝になるので打ち込みしたくないこの辺り(こらまて!)
          何はともあれ。
        姫:・・・・何かまだぼやいているこの人はおいておくとして。
          それでは、まったねv


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