闇の行方 第14話
栗色の魔女を捕らえよ。
とある国から出されたお触れ。
まさか、そこまで愚かだとは。
あまりのことにあきれてしまう。
栗色の髪に碧い瞳の少女。
だけど、どんなことをしても、守ってみせる。
何よりも大切な、大切な・・・母様だから。
そう、心に固く誓い。
「リナ姉様、ここから遠くにいこ?」
人里から離れた森の中。
何処にこの辺り移動しても、彼女達はおわれてゆく。
それゆえに、人気のない山や森の中で。
殆ど夜をすごしている彼女達。
とはいえ。
野宿をさすがに、身重な栗色の髪に紅の瞳の女性。
リナにさせるには、気がひけるので。
リナスは、殆ど毎日のように、寝床はきちんと確保している。
まあ、そのついでに、そこのお宝なども没収して。
それゆえに、資金や、食べ物などには困らないのであるが。
何しろ、この辺り。
さすがに、あまり魔道を使える人間がいないがためか。
はたまた、少し前に大量発生した、レッサーデーモンなどの、影響か。
この辺りには、盗賊や夜盗、そして、おいはぎ。
といった人間達のアジトがごろごろしているお国柄。
まあ、上が、上なので。
あまり、治安などに心を砕かず。
逆を言えば、そんな悪人たちから、ワイロを貰い。
見逃している。
という、何とも、かなり政治的にも腐りきった国ではある。
まあ、王子が・・・この国の王子、クォークが。
若い女性などを手当たり次第に・・という時点で。
それを容認しているという時点で。
すでにこの国の駄目さ加減が分かるものであるが。
大概。
こういった、盗賊などは、人里から離れた場所にアジトを構え。
結構、まともな寝床などを確保している場所もある。
そんな場所を選んでつぶして。
そこにいた悪人全てをどこかに飛ばして。
そんなことをしつつ、寝床を今日もまたゲットしている少女。
リナス。
そんなリナスの行動を。
自分もやりたいと駄々をこねているリナであるのだが。
さすがに、妊娠しているだけのことはあり。
自らの意思でその魔力のコントロールが上手に出来ない、今のリナの状況。
たとえば、通常のファイアー・ボールを使ったりしただけで。
その威力は、普通の魔道士が使う、威力の数億倍にまで、上り詰めている今の現状。
さすがに、そんな威力ある力を使ったりすれば。
いくら、魔族や神族側に気配を気付かれないように。
その身にプロテクト・・つまり、結界を施していたとしても。
気付かれる可能性が高い方法は極力避けたほうがいい。
そのために。
今は、あまり派手な術を使わなくなっているリナ。
「へっへっへっ。この前はよくもやってくれたな。
それに、聞いたところによると、あんたも俺達の仲間のようなものじゃないか。
なぁに、悪いようにはしないさ。ちょっと、俺達に付き合ってくれれば。」
へへへ。
がさり。
二人のその歩く方向に。
後ろ、横、前。
四方をいきなり囲まれる。
まあ、その前から、気配を感じ取っていたのであるが。
少しばかり、リナが疲れていたので。
あえて、この場で少し休んでいたリナスとリナ。
リナは決して自分の口から疲れたとかいわないので。
リナスが気を利かせて、休んでいたのである。
四方を囲んでいるのは、数十名の男達。
「・・・・・ええと、誰だっけ?」
きょとんときっぱりいいきるリナスの言葉に。
『・・・・・・・・。』
しばし男達は沈黙。
「リナ姉様?知ってる?」
そういって、木の根元に寄りかかっているリナにと問いかけるリナス。
「さあ?あたしも知らない。」
この前といわれても。
知らないものは知らないのである。
「というわけで、人違い。はい、決定。リナ姉様、そろそろいこうか。」
「そーね。別に付き合う義理もないし。知らない人達だし。」
ある程度休んだので、リナの心なしか悪かった顔色も。
いつもの赤みが差してきている。
まったく無視して、会話をし。
軽く背伸びをして、歩き出す、リナとリナス。
この二人が並んで歩いていれば、間違いなく、姉妹としてしか映らない。
まさか、この二人が。
今はまだ産んだわけではないが、実の母娘などとは。
当のリナですら知らない事実。
完全に無視されている男達。
『無視するなぁぁぁぁあ!』
完全にすたすたと無視されて、歩いてゆくリナ達にむかい。
わなわなと震えながら抗議の声を上げてゆく。
「忘れたとはいわさんぞ!?3日前に、お前らは、俺達のアジトを完全に。叩きのめしてくれたその事実を!
今回はあの時のようにはいかないぜ!」
そういいつつ、下卑た笑いをしている一人の男性。
『・・・・・・忘れた。』
その言葉にぴったりと声をはもらせて言い切っているリナとリナス。
「というか、3日前って。確か、壊滅させた、盗賊というか悪人のアジト、確か十件だったっけ?」
指をおりつつ、いっているリナに。
「違うよ。リナ姉様。3日前は、二十件。二日前が、十件だってば。」
にこやかに、和やかに会話をしているこの二人。
何しろ、二人が歩いているのは、人通りのない街道など。
そこに、追いはぎなどといった、悪人たちが出てくるのは。
まあ、雰囲気的にはお約束。
そんな全ての悪人のアジトを聞き出して。
そこを全て壊滅させて、移動しているリナとリナス。
まあ、そのために。
あまり、町などに寄らなくても。
お金や、食べ物といったものには困らない。
ちなみに。
そこそこにあった、盗賊達の戦利品・・つまりは、お宝は。
どうやっているのか皆目分からないが。
リナスが、どうやら、どこかに移動・・というか。
聞いたところによると、どうやら、ゼフィーリアの。
インバース家に送り届けているらしい。
そうリナは聞いている。
まあ、事実、そうなのであるが。
なごやかにニコニコと会話をしているそんな二人の女性に。
わなわなと。
そのこめかみに青筋をたて。
「ふふ・・・・ふははは!そんな我らを馬鹿にするのもこれまでだ!我らには強い味方ができたのだからな!」
そういいつつ。
手を高々と上げて。
宣言する。
その言葉と同時に。
パサリ。
何かが羽ばたく音が数個。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・青竜と黄金竜?」
一瞬あきれるものの。
「・・・・それで?」
まったく動じた様子を見せないリナとリナス。
みたところ大きさ的にはそんなに大きくない。
まだ若い竜だと一目でわかる。
分かるはずなのに。
「ふはは!これぞ、最高竜として名高い、ゴールドドラゴンと!
その戦闘力では高いといわれている、ブルードラゴン!
この二つの竜を相手では。いくら貴様たちでも俺達に泣いてわびるしかあるまい!」
完全に的外れのことをいいつつ。
勝利の余韻に浸っていたりするそのリナとリナスが。
3日前に壊滅させたという、とある盗賊の親分。
そんな頭の言葉に。
「へへ。泣いてたのむんだったら、命だけはたすけてやるぞ。
なぁに、しっかりと、俺達がこれから、たっぷりとかわいがってやるさ。へへへ。」
などといいつつ、じわりとリナとリナスに近づいてくる男達。
「・・・・・・・・・うざったい。」
思わずつぶやくリナス。
それと同時に手を前に突き出し。
「
聞きなれない言葉を紡ぎだす。
ドムッ!
その言葉と共に。
その近くにあった、ちょっとした小高い山が一瞬のうちに掻き消える。
びくん。
その力を目の当たりにして。
その場にうづくまり震えだすまだ若い竜が三匹。
「・・・・とゆーか、何であんた達のような悪人が。こんな子供の竜なんかを従えているのよ。」
別にリナスの力をみても何とも思ってないリナ。
その力の波動から。
何となく、その力は、どうやら、金色の王の力に、
近いものだと判断したためであるのだが。
リナは、リナスもまた。
彼女と同じく金色の王の力を使えることを知っている。
リナの最もな疑問に。
「ふはは!何を愚問を!この前、道をあるいていると、餓死寸前の子供を三人拾って、
それがたまたま、竜だったというわけだ!」
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』
ひゅぅ・・・・。
しばらくその場にむなしい風が吹き抜ける。
どうして、道に餓死寸前の竜が転がってるのよ・・。
そこに突っ込みを入れているリナであるが。
まあ、当然の疑問ではある。
「・・・・・ちょっと聞くけど・・。何でんなものが道に転がってたのよ・・・。」
あきれるリナの言葉に。
「ふん、この私がしるか!」
『威張るな!!!』
胸を張って言い切るその頭の言葉に。
リナとリナス。
同時に叫び。
どがっ!
おもいっきり、手近にあった、十キロ程度のちょっとした岩を。
二人して持ち上げて頭に投げつけ。
それがものの見事に。
その頭の体に直撃を果たしていたりする。
「・・・・まったく・・・・信じられませんわ・・。」
そういいつつ、空を見上げる。
その背に背負った風呂敷には。
今回仕入れた様々な品物が入っているのであるが。
風呂敷を肩に結び。
瓦礫の山を片付ける。
ふと、空を見上げたその先に。
何となく見覚えのあるような姿と。
そして、気配。
まさかと思いつつ、空を飛ぶのではなく地面から。
その上空を飛ぶそれを追いかけたところ。
目に入ったのは。
とある町里から離れた場所に、小さな村というか集落を作って、生活していた、彼等の住処を。
それらが急襲した後であった。
何でも、話しを聞けば。
彼に組しなければ、命はない。
と脅されたらしいのであるが。
ここの長はそんな脅しに屈せずに。
結果として、大量虐殺となってしまったらしいのであるが。
ゆったりとした巫女の服装に身を包んでいる、金色の髪の女性が。
そこにたどり着いたときには。
すでに。
そこはもう瓦礫の山。
くすぶる炎の中に重傷者が多数。
聞けば。
攻撃を受けて、もはや数日が経過しているとか何とか。
かろうじて逃がした子供達は。
どうなっているか分からないと。
逃げ出す子供なども容赦なく、それらは、追い詰めて虐殺していったらしい。
それをきき、胸を痛める。
どうにか、もてる力をもってして。
そんな彼等の傷を治し。
まだ生き残っている子供達もいるはずだから。
という、心配する親の声をうけて。
「この私が捜してまいりますから。あなた方はゆっくりと養生してください。」
そういって彼等を励ます。
他にどうすればいいというのであろう。
少なくとも。
いくら、離れた身とはいえ。
無関係ではありえない。
風の噂というか。
店にきた、かつての同僚の巫女が。
『上が変わってかなり居心地がよくなったから。フィリアも戻ってこない?』
そうお誘いがあったものの。
だがしかし。
火竜王の神殿に戻ることなく、お店を経営している彼女。
元火竜王の神殿に使えていた、そこの大神官の一人娘。
フィリア=ウル=コプト。
その胸元には、大切に包まれた、とある球(オーブ)が常に。
肌身離さず身に付けられている。
店にいるときは、バスケットに入れているものの。
彼女がいないときに何かあってはいけないというので。
今回のように彼女が店を開けるときは。
彼女がその肌身に身につけて、一緒に移動しているのである。
もう一度、空を軽く見上げて、軽く溜息をつく。
「・・・まったく、信じられませんわ・・。本当に・・・・。・・・・ヴラバザード・・。」
もはや、すでに様をつける必要もない。
というか、その必要はない。
そこまで。
何も関係のない同じ種族の竜達を。
いきなり急襲し、壊滅させる元竜王に。
どうして尊敬の念など抱けようか。
彼を完全に信じてあがめていた昔の自分が。
悲しくなる。
そうつぶやいたその刹那。
ドムッ!
視界に映る、山の一つが。
まるで朱金色に染まる虹色の光の渦に飲み込まれるように。
小さな音をたてて、消滅したのは。
彼女・・・フィリアがもう一度溜息をついた直後のこと。
「・・・・何かしら?」
山が消えるなんて通常ありえない。
そもそも、ここに、そんな力をもった人間などはいない。
そう思いつつ。
今回の仕入れ先でなぜか、手配をかけられている、あの人によく似ている手配書の人物を見かけたりもしたが。
まさか、こんな場所にいるはずもないし。
そうおもい。
「・・・・もしかして、私が捜している、竜族の子供達に関係があるのかもしれませんわ。」
そうおもいつつ。
その山が消えた方向に向かって進んでゆくフィリアの姿が。
ちょうど。
リナ達が盗賊達と対談しているそんな中。
少し離れた場所で、見受けられているのであった。
驚いた弾みなのか。
三匹が三匹とも。
そこにうづくまり。怯えているのは、子供が三人。
目の前で一瞬のうちに山が消滅したのを直視した彼等は。
そのまま、人に姿を変えて。
三人が抱き合うようにと、震えてうづくまっていたりする。
普通、ある程度の年齢と実力をもって。
このように人間の姿などに転換することは可能な種族ではあるが。
術によって姿を変えるのは。
それは、より高位であるという証拠にすらなるのである。
だがしかし。
この辺りで、生活してゆくために。
彼等の部族は。
その巨体では、人間などに恐れられ、迫害される、可能性もあるという理由から。
あえて、その殆どが、人に姿をかえて。
人間の社会の中で生活していた部族に過ぎない。
つまりは。
まだ生まれたばかりの新生竜だとしても。
しばらく後に、一番初めに、人にその姿を変化することを。
覚えこませるのである。
まあ、本人ができるようになるまでは。
周りの大人が、少しばかり空間などに干渉して。
そして幻影などの術を使い。
見た目はまったく普通の子供にしかみえないように。
今までずっとしてきたがために。
そこに、竜の村がある。
ということは、この辺りの人間達ですら知らない事実。
「さて、悪人に味方するっていうんだったら。このあたしも容赦しないけど?どうするの?」
そういって。
にっこりと、震える三人の子供達に視線を投げかけているリナ。
その視線にびくりとなり。
ふるふると首を横にふり。
「おじちゃん、話しが違う!」
「そーよ!おじちゃんの仲間が、出て行ったから説得してくれっていったのに!」
「こんな力もってる人なんていわなかった!」
口々にいっている子供達。
「とにかく。この私やリナ姉様にもし、敵対するんだったら。私、容赦しないけど?」
そういいつつ、にっこりと。
どこから取り出したのか。
その先端に虹色に輝く球を掲げている杖を取り出しているリナス。
まったく戦う様子のない竜の子供達三人にむけ。
何か言葉をかけようにも。
目の前で、それと同時に。
彼等のかしらが、岩でつぶされているのを目の当たりにしては。
ただただ、仲間たちは黙り込むしかない。
「へっへっへっ。こんな所に綺麗な、嬢さんが一人歩きとは、関心しませんなぁ。」
き・・・・。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
確か、この辺りから、魔力の波動がしたはず。
検討をつけてそのあたりを歩き回る。
そんなフィリアの横から。
数名の男達の影。
ねちりとしたいやらしい視線。
その手にシミターなどをもって。
いかにも盗賊かまたは追いはぎです。
といっているその容姿。
リナ達にチョッカイをかけている彼等の仲間のうち数名。
リナ達に向かった彼等と。
そしてまた。
獲物を見つけて捕獲するという彼等と。
数個のグループに分けて彼等は行動しているのだ。
だがしかし。
声をかけた女性が・・・相手がわるかった。
そのねちりとした笑いをしつつ。
肩に軽く手を触れる。
どごがっ!
それと同時に。
見えない力に弾き飛ばされる。
あまりのことにそちらを視れば。
「きぃぃぃぃ!乙女の体に勝手にさわらないでくださいぃぃ!」
そういいつつ。
そのスカートのしたから、なぜかかなり大きめの、モーニングスターを取り出して。
ぶんぶん振り回している金色の髪の女性の姿が。
その女性のみで、よくまあ、あんな重いものが持てるものである。
下手に感心するそんな盗賊の仲間もいたりするのであるが。
どごばごどげめぎゃ!
ものの見事に。
鈍く、しかしこぎみよい音とともに。
数秒もたたないうちに。
彼女・・フィリアにちょっかいかけようとしていた、彼等達は。
全員、面白いまでにモーニングスターでぼこぼこにされて。
その場に完全に白めを向いて気絶しているのであった。
「・・・・は!?こんな馬鹿な人間がいるとなると!?竜の子供達も危険ですわ!」
しばらく後に。
はっと我に戻り。
片手にモーニングスターをもったまま。
その場からあわてて、駆け出し。
同族の気配を追って移動を開始するフィリアの姿。
フィリアが、そこに。
いるはずのない女性の姿をみとめ。
驚くのは、もうすぐそこ。
−続くー
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まえがき:
そーいえば・・。
前にリクエスト貰っている、あかねさんの、ゼロリナ・・・。
まったく打ち込んでない・・・フィブシェラも・・・。
あと、藤原さんにプロット考えてもらったやつも・・・。
あ・・・あははは(汗)
だめじゃん・・・私・・・(汗)
それとか、漫遊記のブックの話しも確かリクエスト・・受けてるよなぁ・・。
あはははは(滝汗)
うーん・・・。
そーいや・・・漫遊記・・最近ここ一ヶ月以上・・・打ち込んでないよーな気が・・。
・・・・・・・・あ・・・・あはははは(現実逃避)
ま、何はともあれ。
只今時刻は23時。
やっぱ、仕事から戻ってご飯を食べて風呂に入ってとしていたら。
・・・この時間になりますよ・・。
今、仕事が九時までなのです。
はい・・。
そーして、二時ごろまで小説とか更新作業しておいて。
朝が遅く起きるので、朝もまた打ち込めないという。
何ともかんとも悪循環(かなりまて)!
何は、ともあれ、いくのですvv
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あとがきもどき:
薫:ふっふっふっ。
フィリアちゃんの登場でしたv(まてこら!)
ちなみに。
グラボスたちもちらっと出てきますv
リナ、知り合いに出会えて・・・うれしいのと、
困るのと・・複雑?(まて!)
とりあえず。
お触れが出ているのはこの辺りのみ。
少し放れれば、問題なしですv
・・・・・だがしかし。
そんなお触れを出した馬鹿・・。
パールレットラズリが許すはず・・・?(笑)
ふふふふふふふふv
んではではv
打ち込んでいるとやっぱり一時になってる薫でした・・・。
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