闇の行方 第12話
辺りを覆いつくす水色の光と。
そして、暁色の光。
まず。
岩の奥からほとばしる光に気付く、一人の男性。
仲間に言われて、この場にまでやってきた。
確かに。
あのとき。
無くなったはずの入り口が。
完全に復活を遂げているのが見て分かる。
「・・・・一体?」
首をかしげる金髪の男性に。
「叔父さま。不思議がっていてもはじまりませんわ。それより・・・・私はこの光が気になります。」
そう言っているのはかなり変わった形をした鎧を身に着けている、耳の尖った女性。
「そうだな。メフィ。とりあえずいってみるか。」
「それでこそ叔父さまですわ。」
この場所は。
少し前。
といっても、約一年と少しくらいほど前くらいか。
そのときに。
魔族の介入による戦いによって、消滅していたはずの入り口。
あれから、別の入り口から、あの場所には出入りしていたものの。
まさか、自分達がどうやっても、あの空間のねじれは。
訂正できるものでもなった。
まあ、あまりの力の衝撃の歪みによって発生したであろう。
この世界、つまり、物質世界と精神世界をつなぐ、物質世界でもなく、精神世界・・つまり、アストラルサイドでもない空間。
その空間は、まるで迷路と化していて。
まずここで迷うと、軽く百年以上は出れないことが必死。
何しろ、左に手を突き出せば、後ろからその手が出てくる。
そんな感じでかなり空間そのものが歪んでいるのであるからして。
正確な道を辿らなければ。
間違いなく、道に迷う。
その命が果てても、魂だけで、ここで迷うことは必死。
二人、そんな会話をしつつ。
岩にと手を当てる。
そのどうみても岩肌にしかみえないそこは。
手を当てるとすっぽりと、その手を吸収し、岩の中に吸い込んでゆく。
そのまま。
二人の男女の姿は。
岩の中にと吸い込まれるように掻き消えて。
後には。
その場には、ただただ。
周りに、うろうろとどうしていいか分からなく、戸惑っている人の姿をした竜達や、
空をうろうろと無意味に飛び回る竜族の姿が。
見受けられているのであった。
フワァァァア・・・・。
水色の光と。
そして、暁色の光。
そして・・・・・真珠色のそれでいて淡い青いようなピンクの光が。
空間に浮かぶ、一つの球体を包み込んでゆく。
その、幾重にも張り巡らされている、魔法陣の紋様。
その中に。
まず、誰もが見たことない文様が浮かび上がる。
それは、竜をかたどったような姿であり。
だが、よく見ればまったく異なる。
『
まず知られてはいない。
彼女のシンボルとも言える、力の象徴たる文様。
この本来の、力を指し示すシンボルの文様を少し修正して。
自らの・・・赤の竜神のシンボルの文様を創り出したに他ならない。
その中に。
二つの水色の球体が。
ゆらりと揺らめき。
次の瞬間には。
―カッ!!!!
眩しいまでの光の中。
やがて。
その光が収まると同時に。
その場に佇む一人の女性。
水色の長い髪を湛えて、その緩やかにウェーブの入っている髪。
そして、薄い生地のように見えてそうでなく。
軽いレースのような青いドレスで身を包み。
そこに静かに立っているまだ若い女性。
「どうやら、完全に復活できたようね。アクア。」
目の前にいる、女性に話しかける、紫がかった青い髪の女性の言葉に。
「はい。ルナ様・・・いえ、『
でも・・いいんですか?私をいきなり復活させても?」
その声にしばし不安の色が混じっているのは。
気のせいではない。
何しろ、彼女は一応、滅んだ。
・・と。
世間一般、殆ど思われているのである。
事実は滅んでないにしろ。
そして。
そんな欠片となっている残留力から。
完全に復活を遂げられる力を持っている存在となると。
まず、間違いなく。
彼女・・ルナの正体が。
周りに分かってしまう危険性をはらんでいる。
「いいのよ。・・・それに、そんなこと言っている暇・・ないしね・・・」
ガウリイがその本質をたとえ仮でも。
変え終わり、リナと出会うそのときまでに。
それまでに。
少なくとも。
この地にある、リナとガウリイに害をなすかもしれない要因は。
取り除いておくことが望ましい。
・・・・もう、後はないのだ。
それはもう、彼女・・ルナはよくわかっている。
「まあ、ルナ様がいいのでしたら、私も何もいいませんが・・・。」
そういいつつ、ふい。
手を横にかざすと。
その手に出現する、水色の宝石のついた一つのロッドのような杖が一つ。
これが、彼女・・・アクア=ラグラディアの獲物であり、武器でもある。
ランディュール。
この武器の名前を今や覚えている存在など。
ごく一部の者達のみ。
「・・・・・・・・・・・・・・な゛!?まさ・・・・か!?」
「・・・・・叔父さま?」
まず、道を間違えないように。
進んできた。
その容姿は、金色の髪の男性のようであるが。
その本質は人でなく、この地に住まう、黄金竜。
そして、この場所、竜達の峰を束ねる長老でもある、
黄金竜(ゴールドドラゴン)のミルガズィア。
彼―ミルガズィアは。
その瞳に移る人物をみて、思わず絶句する。
彼の視線の先に移ったのは。
見覚えのあるシルエットとその容姿。
彼は、彼女が老人の形態をとっているときも、そしてまた。
若い形態をとっているときも。
大概はよく見知っている。
いや、見知っていた。
その地位の関係上。
「・・・・・・・・ラグラディア様!?」
彼・・・・・・・黄金竜ミルガズィアの。
驚愕した驚きの声が。
辺りの空間にと響き渡る。
水竜王(アクアロード)アクア=ラグラディア。
それは、かつて、カタート山脈を本拠地とし。
この地を治めていた、赤の竜神の四人の腹心である竜王の一人。
そして。
かつての降魔戦争において、滅んだといわれている、その、竜王・・・その当人。
ミルガズィアとエルフのメフィの目の前にいる水色の髪の女性は。
・・・・・紛れもなく、水竜王のアクア、その当人。
「あら、ミルガズィア。」
その声に振り向くルナ。
どこかでみたことのある容姿。
「・・・・・・・・・・え?スィーフィード・・ナイト・・・・どの?」
千年前の、あの時とまったく同じ。
その容姿。
その服装から、何から何まで。
雰囲気からしてみな同じ。
噂では知っていた。
今、この時代に。
『
まあ、このスィーフィードナイト。
基本的には、偽者も多発する。
大概、七人。
その称号を得る人間はいたりするのだが。
だが。
まさか、その七人の中に、本物である竜神そのものが。
いるなどとは。
誰も知らない事実。
「あら、ミルガズィア、元気だった?」
にっこりと。
まるで何でもないように語り掛けるアクアの言葉に。
しばらく、状況が理解できずに、しばしの沈黙。
そして。
ふと。
「ど・・・・どういうことなんですかぁぁぁぁ!??」
いつも、無表情に近い、彼・・・ミルガズィアの叫びが。
空間にと響き渡ってゆくのであった。
水竜王、復活。
その情報は、関係者の間には、瞬く間に広まり。
復活を記念して、竜族、エルフ、などといった存在達の間で。
とある記念祭りが行われることとなったのは。
それから、数日後のこと。
『・・・・・・・・ナ゛!?』
間違えのない、その力の波動。
思わずガタンと椅子から立ち上がる。
『・・・・・・・・ゼラス。』
ゆらりと目の前の空間が揺らぎ。
そこに立体映像として映し出される、二つの影。
「ダルにグラウか。」
その鋭い目を驚愕に見開いて。
『気のせいではないみたいよ?どうやら、アクアロード、復活しちゃったみたいね。』
くすくすと口に手を当てて、笑っている漆黒の黒髪の女性。
「・・・・あのな・・・・ダル・・・」
軽く溜息をつき。
そして、もう一つの影にと話しかけているのは。
淡い長い金髪を後ろで結んで束ねている、目つきの鋭い女性。
『ゼラス、我は、部下を使って一応、確認をとるが。お前もゼロスに言って確認しておいてくれ。』
今、それでなくても。
上司が弱体化している今の現状。
そんな中での、今まで、眠っていた状態であったというか。
その力を分断されて、物質化できなくなっていた。
水竜王の復活は。
彼等・・・・魔族、腹心三人、獣王、海王、覇王にとって。
かなり、重要な意味合いを持っていることに他ならない。
今・・・攻め込まれれば。
下手をすると、唯一残っている北の魔王が。
この物質世界から消えてしまいかねないのだからして。
とりあえず、緊急的に会話が成され。
「・・・・ゼロスにやはり、リナ=インバースを早く見つけるようにいうか。」
どう覗いても、最近というか。
あのリナがガウリイから放れてから後。
その後の気配がつかめない。
どういうことなのか分からないが。
軽くつぶやき。
そして。
「・・・・あと、ガウリイ=ガブリエフの行方・・・だな。」
彼をたきつけて。
目の前で傷つければ。
それでもう、事は済む。
それは確信。
それだけでおそらく、彼女の中にいる魔王は。
復活を遂げるに十分である・・と。
彼女・・・・
確信しつつも。
「だが、我の手より、魔王様に直接にゼロスに命令してもらうか。」
もし、手ひどい反撃を受けても。
それを命令したのが、自分でなければ。
その被害が及ぶのは、魔王のみ。
「側に封印対象者がいれば。話しは別だからな。」
くすりと。
そこ、群狼の島の中にある、彼女の宮殿の中で。
笑っているゼラス=メタリオムの姿が。
見受けられているのであった。
ザァァァ・・・・。
「砂が目に入るわね・・。」
そういいつつ、手にした日傘をさらに掲げる。
「でも、あれから少し経過しているにも関らずに。さすがに、冥王ですね・・・。その力の余波がこの地に残ってますし・・」
そういいつつ、周りを見渡す。
かつてほどの。
人が・・存在というか生きる者達が、入り込めないほどに。
瘴気が立ち込めているわけではないが。
それでも、進むごとに。
その瘴気は濃くなってゆく。
ここ、砂漠地帯。
別名滅びの砂漠。
かつては、この地に。
魔王の腹心の一人、
この地に拠点を構えて。
神封じの結界を張っていた、その四画の一つ。
今、彼は。
この星に具現化することができなくなっている。
というよりは、とある御方に攻撃を仕掛けてしまい。
そのために、とあるお仕置きを受けているのであるが。
似たような感じで、彼がこの地においては滅ぼした。
同じく、『根性が足りない!』という、理由で。
とあることをさせられていることを。
彼女・・ルナはよく知っている。
というか、彼女も一緒になって命令してやっている。
という彼等は知らないが、そういう事実があるのだからして。
「私はあれはどうでもいいわよ。」
リナ様を利用しようとした馬鹿のことなんて・・・。
そういいつつ、軽く吐き捨てる。
そもそも。
あの事件が事の発端・・・いや。
リナが、あのとき。
レゾの中に封印されていた魔王を倒したことがそもそのも原因かもしれないが。
そんなことはどうでもいい。
とにかく、ルナにとって、リナが何よりも一番優先されるのだからして。
そうつぶやき、軽く吐き捨てて。
「とりあえず、シーメイ、復活させにいくわよ。」
シーメイ=ウル=フレアザード。
この地。
火竜王ヴラバザードの娘にして、そして。
唯一、その父親の行動に意義を唱え。
この地に幽閉されてしまっている。
その火竜王、第一地位継承者。
シーメイ。
その彼女を父親に代わり、火竜王の地位につけるべく。
この地の奥に、かつて、火竜王が創り出した、空間の牢獄に向かうルナとアクアの姿が。
ここ、滅びの砂漠地帯で見受けられてゆく。
−続くー
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まえがき:
こんにちわ。
またまた直接打ち込みしている私です(まて!)
つまり、今回は、ワード打ち込みでなく、
ホームページクリエイターJの編集画面に直接打ち込んでいるのさv
(だからまてってば!)
・・・・ちなみに。
最近というか。某所の裏小説ばかり、ガウリナ・・読んでいるせいか(かなりまて!)
・・・・裏スレイヤーズなるものを思いついた私って・・(あわあわわ・・汗)
ガウリイが、鬼畜です。(爆!)
ま、何はともあれvいくのですv(・・・だから、フォーエバーは?←笑)
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あとがきもどき:
薫:ふふふふふふふふv
シーメイちゃん、次回で復活&ヴラバザード、首です!(爆!)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だからといって・・。
あの馬鹿王子に力を貸すなよ・・(涙)
はい。
クォーク・・・・(怒)あいつです。リナにちょっかいかけようとしてた・・。
・・・そろそろ、リナ、出産・・かな?
そのイベントに少し触れてから・・・。
うーん・・・。
まあ、多分。
20話前後で、今アップしている『!』の所にいくだろう・・(多分)
んではでは・・・・。
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