闇の行方  第8話


ふい・・・・。
ギャラクシーパレスから世界に戻る。
戻るという表現は・・的確でないであろうが。
こちらの方が、仮の仕事場なのだから・・。
「・・・リナ様・・・・。」
彼女は、いつも、リナの孤独をみてきた。
それは、彼女がこの世界を作り出してから・・ずっと・・・。
今まで、ずっと、二人でこの世界を支えてきたのだ。
金色の母より創り出されし、一つの世界。
その核となる、金色の母と同等の存在たるリナ―深淵なる真の王。
同等といっても過言ではないが、違うのは・・このリナの抱擁する世界が、金色の母が抱擁している世界。
という点。
つまり、完全に、抱擁する世界の一つを任されているリナ。
いつも・・リナの瞳は・・孤独だった。
自分が側にいても。
姉たる金色の王が側にいても。
絶大なる・・孤独。
その孤独に・・・リナは耐えられなかった。
それゆえに、精神を保つために、よく、まどろんで・・眠っていた。
自我を保つために。
自分と金色の王がリナを心配して、生まれでた魂たる存在。
――始めは、ただ、すんなりと、リナ様の心をつかんでしまう、彼が憎かった。
・・でも。
彼と一緒にいると、リナ様は・・完全に安らぎを感じていた。
それは・・・自分にもよくわかったから・・・・。
リナ様は、よく気づいてなかったようだけど。

ふっ。

少し、寂しく笑う、紫がかった、蒼い髪に紅の瞳の女性。
リナの側近。
この世界では、赤の竜神フレアドラゴンルナ=スィーフィードとして、名乗っている。
しかし、彼女の本名は。
ルナティック=スィーフィード。 
深淵なる真の王の側近&補佐官にして、ギラクシーオブナイトメアの親友たる存在。
金色の王がリナの世界に命をリナが作り出したときに、与えた、存在。
深淵の補佐官アビス・ラズ・ポート
これが彼女の正式な役職名。
とおり名では、『紫蒼の紅球パール・レッド・ラズリ』と呼ばれているが。
いくら、自分が、リナを心配しても、金色の母が心配しても、
リナの瞳から・・その孤独という文字が消えることはなかった。

― 唯一。
それを消し去ることができたのが・・・。
今は、別の人間として、転生しているが。
かつての、エデンの世界に存在していた―。
ガブリエル一族の次男でもあり、エデン世界の代理人でもあった・・。
『ガウリイ=ガブリエル』
彼は、リナ様のことを・・知っていた。
自分と金色の王がリナ様を心配した心より生まれ出た魂。
というのもあったけど。
それ以上に・・彼自身が・・リナ様を・・リナ様のすべてを抱擁するに、
あたいするにふさわしく、リナ様をリナ様としてみていたから・・。
深淵なる真の王としてでなく・・・一人の存在・・リナ・・として。
自分と、エル様の心が合体し、さらに、彼自身の想いが・・。
彼自身の魂に、刻み込まれ。
本来なら、そろそろ、消滅するはずの、魂である。
時間的にも。
あれから・・・かなりの年月がこの混沌の深淵なる世界では流れているのだから。
普通、人間などの魂は、一万年に一回。
すべてを初期化して、再生するように、設定してある。
極たまに、強すぎる想いは、そのまま残るが。
しかし・・彼は、違った。
そのままの、誕生したときの魂のまま、今まで、ここに来ている。 
― それも、リナ様を想う心ゆえに・・・・。
そして―リナ様も・・また・・・。
それとなく、空を見上げる。
エル様の・・あの儀式が終了すると。
― 二度と・・後戻りは・・できない。
この世界が、消滅するか、果ては、それに紡ぐ未来となるか。
これからが・・正念場。
「ガウリイ=ガブリエフ・・・リナ様を・・泣かさないでよね・・・。」
今、かつての、ガウリイ=ガブリエルは、今は、ガウリイ=ガブリエフとして、
この世界に・・自分が、竜神としてやっているこの世界に。
今は、人として生きている。
そして・・リナ様も・・・また。
自分の妹として。
リナ=インバースとして・・。

守りたった。
誰よりも、リナだけを。
リナ様だけを。
― だから・・・。
5千年前。
リナ様が、この世界の輪廻に入ってきたときに。
Sを封印する・・という方法をとったのだから。
その方法が・・まさか、たかが、魔王ごときの部下S程度が・・・。
リナ様を・・こともあろうに、その封印の対象に選ぶとは・・。
部下Sにかけた封印は、人の心をもってして、それを封じるというもの。
消滅は・・できない。
なぜならば、闇がなくなると、光もまたなくなるから。
この赤の世界・・そのものが。消えてしまうから。
いつもなら、簡単にそれは、成しえたであろう。
本来の自分なら。
――けど。
あのとき、この世界には・・リナ様が、輪廻転生の輪に・・。
入ってきたのだ。
――彼・・ガウリイ=ガブリエルを追って・・・。
彼の魂が、ここの世界の輪廻に組み込まれたから・・。
だから。
私は、この世界を守り抜く。
リナ様と、そして・・リナ様を何よりも大切に想っているあの存在のためにも。
なにより・・リナ様のためだけに・・・。

百五十億兆万年。
あれから約、それくらい過ぎている。
まだまだ、これから永遠に続く、この世界・・。
しかし。
今、この世界は・・リナ様は・・消滅すれすれまで、追い込まれている。
それも・・彼を想う気持ち・・ガウリイを想う気持ちから・・。
「・・・お願い・・気持ちを・・違えないで・・・。」
どれくらい、本質からの転換に時間を要するのか。
エル様の言い方だと・・一年やそこらでは、たどり着けそうにない。
それほどまでに・・彼を守る決意が固いリナ様。
自らの意識は・・ほんの一部。
彼と共にあるだけで。
深淵なる真の王としての、力は、すべて封じているリナ様。
彼を守るためだけに・・・。
ガウリイの想いに呼応して、少しだが、封印の球ギャラクシアオーブから、リナ様の力はあふれ出す。
一瞬の・・。
少し気を抜けば、見落とすほどの。
しかし、たどり着くであろう。
存在の転換には。
たとえ、何年かかっても。
リナ様が、覚醒している状態ならば、すんなりとできることでも。
今、ここで、エル様が自ら、その作業をすんなりとすると、
この世界に歪みが生じてしまうから・・。

歪みは、世界にそむく理たる存在を生み出す。
光と闇。
有と無。
誕生と消滅。
それは、すべて、裏表。
表裏一体。
歪みの存在でも、問題ない程度の存在ならば、問題はない。
・・・しかし。
リナ様と・・ガウリイの想いは・・・。
あまりに強大すぎているから・・。
私や・・エル様ですら・・及ばないほどに。
互いに想う気持ちが強く、しかし、それでも、存在が違うということでかたくなにそれを否定していたリナ様。
それでも、存在が違うとか関係なく、リナ様だけを愛して・・想っていたガウリイ。
その想いのすれ違いの歪みは・・この世界を覆すだけの力をもつ、
歪みなる存在、反逆者を創り出している。

今、もし・・あれが目覚めれば・・・・。
確実に。
この世界は・・・リナ様の抱擁する、リナ様が核たるこの世界は・・。
あっさりと、消滅してしまうであろう。
あれに、これ以上、力をつけさせない方法は一つある。
それは、完全にリナ様とガウリイが、通じ合うこと。
今、力を封じている状態で、通じているリナ様とガウリイ。
それだけでも・・あいつは、かなり弱体化している。
あれの、力の源は。
リナ様とガウリイの想いから生じるすれ違いの心。
そのすれ違いさえ・・なくなれば・・・。
あれだけでも、かなりの問題なのに。
こともあろうに、リナ様の精神の
ガウリイを想う部分に封印の解除の原点置こうとして、もぐりこんでいる、この赤の世界の魔王・・。
赤瞳の魔王ルビーアイレイ=シャブラニグドゥ。
彼は・・リナ様のことをよく覚えてないであろう。
何しろ、リナ様が、彼ら・・この四界の世界。
魔王と神々を作り出し、彼の対たる存在を創ろうとしたときに。
―あれが・・ガウリイを狙って・・・。
・・・・転生していた彼を狙って・・、行動を開始したのだから。
二十五年。
たかが、一瞬にも満たない、その時間で。
リナ様は・・彼を守るために・・・自らの力を・・封じた。
残されたのは、世界のみ。
リナ様が、力を閉じると同時に、一瞬。
すべてが、氷に閉ざされて、眠りの状態に入ったすべての世界。
リナ様そのものの世界。
彼がいたから。
ガウリイがいたから、世界は、元の何もない空間にせずに、残す方法をとったのだ。
彼がいなかったら・・。
まず、間違いなく。
世界が失敗したとかいって、すべてを初期化して、リナ様はやり直したであろうが。
世界が動き始めたのは・・エル様がリナ様の代わりに、ここを守ってくださったとき。
――リナ様が、普通の存在として・・輪廻の輪に・・入っていったとき・・・・。
彼と命を・・・ともにすぺく・・・彼を完全に守るべく・・。
私は、リナ様が、いつか、目覚めるのを待とう。
と思った。
いつかは、リナ様も、自分の気持ちに素直にならなくては。
―でも、リナ様を失った・・リナ様がいないバレスにとどまるのは、
いたたまれなくて。
だから・・・まだ、相対する存在ができない、Sの・・レイ=シャブラニグドゥの相対する神となった。
気をまぎらわせるために。
何より・・・リナ様の力に少しでも役立てるように・・。

それなのに・・・・。

「うううう!!全ぶ、部下Sのせいよぉぉぉぉぉぉぉ~~!!!!!」

ルナの叫びが・・・空たかく、響き渡った・・・・。


かたん。
「・・・ただ今・・・・。」
インバース家の扉をくぐる。
「ルナ!?」
ぱたばたと走ってくる、セシル。
人としての、自分の母親でもあり、そして、リナの母親。
「・・・・ルナ?大丈夫か?顔色が悪いぞ?」
心配している父親。
セシル=ドナ=インバース。
マルス=マナティス=インバース。
それが・・彼らの。
インバース家の夫婦の名前。
リナとルナの両親の名前。
「・・・ええ。」
ルナがいいかけると。
「ルナさん?あれ?ガウリイさんは?」
黒髪の少女がリビングからでてくる。
あ・・・そうだった。
すっかり・・わすれてたわね・・・。
リナのことで頭が一杯だったせいか。
彼らもまた、来ていたのをすっかりと頭から外していた。

ルナは、この二人のこともよく知っていた。
何しろ、彼らは・・・。
リナ様が始めて。
初めて、本当の友達・・友人ともいえるべき存在だったから。
今は、完全に、かつての記憶はないにしろ。
しかし。
―それでも。
記憶のないままでも、リナを・・リナとして。
受け止めているリナの仲間であり・・友達。
初めて、リナ様が、彼らにあったとき。
彼らは、ガウリイから聞いていたので・・リナ様の正体をしっていた。
それでも、正体がどうであれ、
リナを一人の存在として、王としてでも、母としてでもなく、ただ、大切な友人として、受け入れていた存在達。
― アメリア=トゥエル=ユグラシドル。
― ゼルガディス=マナ=オーディル。
それが、彼らの、リナ様と初めてであったときの、存在としての名前。
今の彼らは。
アメリア=トゥエル=テスラ=セイルーン。
ゼルガディス=グレイワーズ。
と名前は違っているけども。
その魂の輝きは・・以前と同じ。

「ガウリイなら・・心配・・ないわ。」
どれだけ時間がかかるかわからない。
―でも。
それしか方法は・・ないから。
「??どういうことです?」
アメリアが首をかしげる。
「リナの人としての・・時間率が・・変化している。・・というのは、気づいてるわね?」
それは、知っている。
ガウリイから聞いているから、アメリアとゼルガディスは。
こくりとうなづくアメリアとゼルガディス。
「今のままでは、ガウリイは、リナと出会っても・・。共にいきることは・・できない。
  必ず・・リナをおいて・・いなくなってしまう・・。」
それでは駄目なのだ。
「確かにな。人は、よく生きても、まあ、百年そこそこか、長生きしても、約千年程度だろうがな。」
以前、リナがいっていた。
人間、根性があれば、千年は生きられる!
と。
そのときのリナを思い出すゼルガディス。
「だから、ガウリイの・・人としての・・時間率を。・・・・リナと同じにする必要があるのよ・・。」
それは、かなり危険なかけ。
「?そんなことができるんですか?」
「エル様が・・金色の王が・・力を貸してくださっているから・・。」
びしっ・・・・・・・・。
そのまま、固まるアメリアとゼルガディス。

しばらく、そのまま、数時間が過ぎてゆく・・・・。

「?アメリアさん?ゼルガディスさん?」
ルナが二人の前でひらひらと手をふる。

・・・どうして、リナさんに、あれが・・?
・・・・・・やっぱり・・・・何か関りがあるのだろうか?
かなり、冷や汗流しているアメリアとゼルガディス。

ゼルガディスは。
リナ達と別れてから。
元結界の外にまで足を運んだ。
そこで、見つけた一つの文献。

――それには。
金色の王より、世界をまかされるべく創りだされた。
という、深淵なる真の王について。
すこし触れられていた。
サイラーグの一件より、金色の王について、とことん調べていたゼルガディス。
――今、彼は、金色の王の真実を・・漠然と理解するまでになっている。
そして。
なぜ、そんなに強大なまでの力を使える、リナのことが、とても心配だった。
一歩間違えば、簡単に世界を消滅するに値するその力。
それが、なぜ、一介の人間に扱えるのか・・と。
ガウリイから、リナが魔王の欠片を宿している。
と聞いたときには、すこし驚いた。
――だが。
あれに、肉体を乗っ取られたというのに。
なぜにまだ、欠片があるままなのだ?
という当然の疑問もそのまま、ある。
――何か、秘密があるんではないのか?
そう思い始めた矢先。
魔族達の動きに、変化があったのだ。

そして、・・・今に至っている。

「ふぅ・・・・。」
ずず・・・。
静かにお茶を飲んでいるセシル。
傍らでは、夫であるマルスが、せっせとお茶菓子を運んでいたりするが。
やがて、沈黙を破ったのは、ルナの方だった。
「ゼルガディス?彼方、この私に頼みたいことが・・あったんじゃないの?
  ・・・彼方の、その体・・合成獣キメラの体のことで・・。」
しずかに、ゼルガディスとアメリアをみるルナ。
それで、硬直がとけるアメリアとゼルガディス。
「はっ!!・・あ・・・ああ・・・・・。」
いきなり、図星を言い当てられて、すこし動揺している。
「・・・元にもどせるけど?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・。
『・・・・・・・・・・・は?』
一瞬、アメリアとゼルガディスは、ルナの言葉の意味が・・分からなかった。
がたっ・・。
「で・・できるって・・本当ですか!?ルナさん!?」
アメリアが立ち上がる。
ばちゃ・・。
コップが、もう少しで、傾き、中身がこぼれそうになる。
「できるわよ?まあ、難しいほどでもないし。
  つまりは、肉体的と、精神的に魔力で、合成されている、その物質たる構成質を取り除いて。
  粒子レベルに分解して。再構成すればいいだけだし。」
『?????』
ルナの言葉の意味は、はっきりいって、アメリアとゼルガディスには、分からない。
せめて、この二人だけでも・・・。
「・・・・リナと・・ガウリイが・・あの状況だからねぇ・・・。」
遠くをみつつ、視点があってないルナ。
「まあ、お礼とかは・・いらないわ。今まで、リナとガウリイを支えてきてくれたんだし・・・ね。
   アメリアさんとゼルガディスさんは。それに・・・・。それに・・・以前と同じくリナ様を扱ってくれているから・・。
ルナの最後のつぶやきは、二人には聞き取れなかった。

かつて。
リナ様が眠りについたとき。
彼らの願いをかなえよう。
とルナが申し出たとき。
彼らが願ったこと・・。
それは・・・『再び、リナ(さん)に逢うこと。』だった。
たとえ、今の自分でなくなり、次の正に赴いていても、
ずっと、友達だから・・そう、伝えたいから。
それが、彼らの願いだった。
ガウリイは・・リナを探す・・といって、そのまま、・・・・まだ、寿命が残っているのに・・
輪廻の混沌の深淵なる空間に、リナ様を探して・・はいっていって・・そのときの正を終えてしまったけど。
その言葉どおりに。
彼ら、三人は。
今もまた、リナを心からの友達として・・信頼できる仲間として想ってくれている。 
それだけで・・・ルナには、十分だった。

「・・どうする?元に戻る?・・・できれば・・リナが素直になったとき・・・・。
  ・・・彼方たちが幸せでいてくれれば・・・。それが何よりの、あの子の・・願いなのよね・・。」
ルナは静かに、彼らをみる。

リナの願い。
それは、自分を一つの普通の存在として、扱ってくれた彼らには、なんどき生まれかわろうとも、幸せになってほしい。
―それが、リナ様の願いだったから。
―だから、輪廻担当部門にも、彼らには、そのように、輪廻を組むように指示を出した。
かたくなに否定していても、分かっていたのだろう。
自分が・・ガウリイに惹かれていく気持ちが。
そして・・それは・・・あってはならない・・感情だということも。
自分と、彼とでは、本質的に違いすぎるから。
だから・・・せめて、友達たる彼らには・・幸せになってほしい・・と。
いつも、リナ様は、自分のことは、後回し。
人のことばかりを心配する。
それが・・たとえ、自分を追い詰める結果になろうとも。
その誇りと、プライドで、すべてを押し込めようとしていたリナ様。
それを・・すべて優しく、そんなことも関係なく、安心できる存在・・
・・それが・・ガウリイという名前の存在。

「私としては、彼方たちが、リナとガウリイが心配で。自分達だけが幸せになんてなれない。という気持ちもわかるけど?」
はっとなるアメリアとゼルガディス。
ここまで、自分達の心を読まれているのか!?
―と。 
元に戻れる。
そう聞いたとき、しかし、あの二人がこの状態だから。 
それでいいのか?
という思いが、二人をまず先に駆け巡った。
「――でもね?彼方たちが幸せになったら・・・。少なくとも、リナは喜ぶわ。・・それに。」
それに。
ちょっと、悪戯っぽく笑い。
「彼方たちが結婚したら、少しでも、リナが素直になるかもしれないじゃない?♡」
二人の結婚は・・今、とある土地で旅しているリナの耳にも届くであろう。
何しろ、セイルーン王家の結婚なのだから。
それで・・少しでも、あのお方が・・・意地を張らずに、素直になるのなら。
互いに顔を見合わせて、真っ赤になるアメリアとゼルガディス。 
「・・いいんですか?」
おそるおそる聞いているアメリア。
「いいも何も。―私としては、彼方たちには結婚してもらいたいわよ?
  少なくとも、それで、少しは、かたくなに・・・そう。
   ・・かたくなに、ガウリイに逢いたいくせに、拒んでいる、リナの心の変化には・・影響あるでしょぅ?」
少しでも、可能性があるのなら。
それに、自分も手助けしたい。
それに・・・・。
「それに・・・彼方たちは・・リナの・・『大切な仲間』・・ですからね(はあと)」
彼らのことは、よくリナからの手紙などで知っていた。
アメリアとゼルガディス、そして、シルフィールのことを話すリナは、とてもうれしそうだった。
噂などに惑わされず、自分として、見てくれる大切な・・友達。
この世界において、ルナもリナを度々視ていたから、知っているが。
「・・・・リナの心に?」
すこし、表情が明るくなるゼルガディス。
自分達が幸せになるのは・・。
リナにとっても・・ガウリイにとっても・・よい方向に結びつくのか?
「まあ、あんた達が、いらない。といっても、私は、やる気だったんだけどね。・・・・何しろ・・・・時間が・・。」
・・・・時間がないから・・・・・。
そういいかけて、やめる。
いらない心配は、かける必要はない。
「・・・・で?どうするの?ゼルガディス=グレイワーズ?」

淡い、レッドパールの光が・・ゼルガディスを包み込んだ・・・・・。

「じゃあ、ルナさん、もし、リナさんから、連絡があったら、すぐに教えてください!!!」
「頼んだぞ。ルナさん。」
来るときとは、人数が違う。
来るときは・・ガウリイも一緒だった。
―だが。
今は、彼ら二人だけ。
一番、心配なのは、何よりも、あの二人のこと。
自分達のことは、二の次としても。
ルナの力によって。
ゼルガディスの体は、今までとは違う。
人と同じ肌色の肌。
あの岩のような肌ではない。
透き通るような白いまでの肌はそのままだが。
銀色に輝いていた、鋼の髪も、やわらかな、黒い髪に変化している。
傍らの、アメリアと同じ、漆黒の黒い髪に。
「はいはい。―それと♪もし、あんた達のことを反対するやつがいたら、いってね♡この私が、直々に、説得するから♪」
にっこりと笑うルナ。
まあ、まがりなりにも、白魔法都市・セイルーン。
一応、セイルーンが信仰しているのは・・・赤の竜神(フレアドラゴン)スィーフィード。
赤の竜神の騎士として、名前が今のところ、有名になっているルナは、セイルーン国にとって。
すでに、神聖化されている存在。
まあ、それが実は、竜神本人だというのが分かったら・・。
かなり、衝撃を受けるであろうが。
「大丈夫です!!きっと、全員を説得してみせます!!」
アメリアはきっぱりといいきる。

数日後。
アメリアとゼルガディスは、くれぐれも、ガウリイとリナの様子が分かったら、教えてくれ。
といって、セイルーンへと戻っていった。

「・・・ああは・・いうけど・・ねぇ・・・・。・・・・そだ♡」
ルナは、とある行動を取ることにする。
何を考えているのか、忠告したにも関らず、火竜王ヴラバザードは。
自らの手を下すのではないのだから、違反にはならない。
とか、勝手なことをほざいて。
・・・・神託。
という形をとって。
― 栗色の魔女は、世界を脅威に、滅びへといざなう存在
  死を操る存在がやぶれたのが何より証拠
  汝ら 脅威なる存在に ひれ伏すのか―
といった、ふざけた内容を含んでいる、神託を。
世界に向けて放ったのだ。
当然、
それをルナは許すはずもなく。
それを受けてしまった、すべての存在に。
別の神託と、・・情景を脳裏に叩き込んでいた。
むろん、力の本質が違っているから、それには、火竜王は気づいてないのだが。

――遥かなる 理を理解せざる存在 その理解せざる者の言葉を
   信じることなかれ  信じざれれば 世界は、瞬く間に還りゆかん――

単なる、神託として、使わされた言葉。
そして・・プラス、映像とともに、使わされた・・神託。
それを受け取った、存在が、どちらを信じるのかは・・・。
疑いようがないが。
何しろ、ルナが送った神託プラス、風景は。
瞬くまに、世界が・・銀河が・・消滅するピジョン。
栗色の髪の女性を・・誰かが、手に駆けた瞬間。
それから闇が広がり、瞬く間に、消滅する・・ピジョン。
顔などは、みせてない。
そんなことすれば、リナに危険が及ぶから。
漠然と、それを受けた存在は、栗色の髪が目に付くだけ・・。

さて・・・。
一体・・どっちを・・とるか。
人の・・存在の心境は、もろいもの。
事実を突きつけられて・・それでも、あやふやなほうを信じようとは・・・。
するはずもない・・・・。

それでも・・・・。
勘違いしまくっている火竜王は。
自らの手を汚すのではなくて。
人に、リナを・・リナ=インバースを殺させようと、計画を立ち始めていた。

「・・・・・あいつはぁ・・・・・・・・・。・・・・・・・・首・・決定ね・・・・。」
気づかれてない。
と、思い込んでいるようだか。
当然。
そんな、火竜王の動きは・・・ルナには丸分かりだった。
「さて・・・・。・・・・あいつの後任は・・誰にしましょうかねぇ?」
とりあえず、しばらく、また、バイトの休暇を貰い、ルナは行動に出る。
ルナが向かうは・・・かつての。
『滅びの砂漠』と言われた場所と。
とある、村はずれにある、竜の谷・・と呼ばれる場所に・・・。

まったく・・・。
あいつが馬鹿なことをしてくれるから・・・。
・・・そろそろ・・・・アクア・・・・復活させましょう・・・・。

ルナの決意は、固い。

               -続くー

   HOME     TOP     BACK    NEXT

##################################### 

まえがき:
こんにちわ♪闇の行方も、はや8話♪
まあ、今回の初めは・・ルナ、アメリア、ゼルのオンリー(汗)
ではでは・・・(滝汗)

#################################### 

あとがき:  
    薫:どうしましょうか?
    姫:・・・・あのねぇ・・・・。
    薫:いやぁ・・・。
      ゼルとアメリアの、婚約と、結婚式を・・打ち込むか・・(汗)
      そーしたら、かなり長くなるんですよねぇ・・・(滝汗)
      ちなみに、次回は・・・ルナがアクアを復活させますけど。
      ・・・あれも多分・・一話では終わらないからなぁ・・・(滝汗)
    姫:それに、リナとリナスの旅もあるんでしょ?
    薫:・・・・う・・・・(汗)
      ・・・・はい(滝汗)
      ちなみに、リナとリナスが、とある国へとたどり着いたとき。
      リナがこともあろうに、そこのお忍びで旅してた国王・・助けます(爆!)
      あの手、この手で、リナを物にしようとする・・馬鹿な国王だったり・・(汗)
      まあ、リナスがいるから・・問題は・・・ないんですけど・・ね(汗)
  リナス:一番の問題は、母様が、そういう風に見られている・・と、
      ぜんぜっん思ってないことよぉぉぉぉぉ!!!!!
      簡単に食事会に応じないでぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!
    薫:・・・・・・・・・・・。
      ・・・・・・・・苦労・・しますね・・・(汗)
    姫:・・・・まあ、リナにとっては・・・ガウリイ以外は・・目に入らないから・・。
      ・・・とゆーか、彼以外には・・自分をそういう目でみる人は、
      いないって・・・完全に思い込んでるからねぇ・・・・・。
      とゆーか、絶対・・気づかないわね・・・・・。
      ふっ・・・・。リロードだし・・・・・。
    薫:・・・・・どうやったら、そこまで、疎く、
      性格が形状されたのでしょぅか?(汗)
    姫:さあ?♡
      まあ、やっぱり、結構エルがかわいがってたしねぇ♡
    薫:・・・・・やっぱ、原因は・・そこですか(汗)
    姫:それに、存在が、存在だから♡
      自分をそういう風にみるなんて、絶対に考えてもないわよ?
      リロードは?
      ガウリイは別だったけど♡
    薫:・・・・・・・・・・・・・・・・。
      ・・・・・・・・・。
    姫:・・・まあ、リェウスィよりは・・・気持ち、
      ・・・・気づくの・・早かったんじゃない?
    薫:・・・・・そうかなぁ・・(汗)
      完全に気づくのは・・こっちの方が・・(汗)
  リナス:母様・・気づかないうちに、結構・・父様に対して・・のろけてる、
      台詞・・かなり言っているからねぇ・・・。
      そして、触れられたら・・寂しそうになるし・・。
      あ゛あ゛!!!人前でそんな瞳しちゃ・・だめぇぇぇ!!!!!(涙)
    薫:・・・・まあ、頑張れ。リナス。(ぽんぽん・・・。)
  リナス:うう・・・・。
      父様ぁぁぁぁ!!!!
      早く母様を迎えにきてぇぇぇぇ!!!!!!!!
    薫:・・・今きたら・・何も、
      あんなに問題には・・・ならなかったんですけどねぇ・・。
      ・・・・まだ、子供・・産まれてないし・・・・(汗)
    姫:・・・まあ、ガウリイがリナが自分以外の男の子供を産んだ。
      と、とことん勘違い・・してしまうからネェ・・・・。
      エリーを見て・・・・。
    薫:カウリイ・・みたら、一発で、自分の子供だって・・分かるのにね・・・。
    姫:・・・瓜二つだからね・・・・。
      まあ、リナがガウリイ以外に、純潔・・捧げるわけもないにね♡
      というか、リナは、彼以外にそういうことされそうになったら・・・。
      絶対、死ぬわよ?
    薫:・・・・確かに(汗)
      本気で、彼だけを愛してますからねぇ・・・(滝汗)
    姫:だって、以前実際にあったし。
    薫:・・・ありましたね・・・(汗)
      リナが盗賊に襲われて、そして、その身が危うくなったとき。
      そのまま、舌を噛み切って・・・(汗)
      しかも、自分の肉体も、そのまま闇に消し去って。
    姫:死体でも、触れられたくなかったらしいからねぇ・・。
    薫:・・・・まあ、あの時は・・・・。
      ガウリイが・・目の前で、殺された・・直後・・でしたし(汗)
    姫:まあ・・だから、星ごと・・消滅したんだろうけど・・・。
      あの時は・・・。
    薫:・・・彼がいない世界には・・リナ・・興味ないですからね・・(汗)
    姫:あら?でも、そこにいた、アメリアとゼルガディスは、
      ちゃぁぁんと、無意識に、安全なる世界に飛ばしてたわよ?
    薫:・・・・力・・閉じてても・・やっぱり・・深淵なる真の王ですね・・(汗)
      まあ、それはともかくとして。
    姫:では、次回は・・♪
      復活♪水竜王♪
    薫:プラス♪リナとリナスの二人旅♪
      です♪
  姫&薫:それでは♪

   HOME     TOP     BACK    NEXT