闇の行方  第7話

―ガウリイ!!!!!
いやぁぁぁぁ!!  あたしを庇い、そのままうごかなくなってゆく・・・
血にまみれ・・それでも・・あたしを庇って・・・・。
がばっ!!
・・・はぁ・・・はぁ・・・・。
「・・・・夢・・・。」
いや・・いやいやいやぁぁぁ!!
「リナ姉様!?」
あたしが飛び起きると、隣のベットからリナスが心配そうに覗きこんでいた。
「・・う・・・・。」
ぽろぽろ・・・。
どうして、いつもこの夢をみるの?
ガウリイが・・・あたしを庇って・・・死ぬ・・・・夢・・・。
とめどもなくあふれ出る涙をあたしはどうしようもない。
毎回、それは、なぜか回りの風景が違うけど。
・・・いつも、ガウリイが・・・・。
いや・・・。
寝たく・・ない・・・・。
ぎゅ。
「―?リナス?」
あたしの手を無言でつかみ、あたしの横に入ってくるリナス。
「あのね?リナ姉様、一人だと、怖い夢をみるんだよ?私が側にいるから・・ね?」
小さな手。
・・・だけど、暖かい手・・・・。
「ほら、寝ないと・・・赤ちゃんにも悪いよ?リナ姉様?」
温もりを感じる。
この子の・・。
「うん・・・。」
すぅ・・・・・
あたしは、小さな温もりに包まれて、そのまま、眠りにつく。
―あんな夢は・・みたくない・・。

―リナ母様・・・。
リナスは精神を集中する。
ふわ。
隣で眠りにつこうとする栗色の髪の女性を淡い光が包み込む。

―あははは・・・・。
―何?
―・・・・ああ・・・・夢?
まどろみの中で、リナにとある風景が浮かんでくる。

〃母様!!父様!!はやくぅぅ!!〃
あたしそっくりの女の子があたしを呼んでいる。
〃ほら、リナ、エリーが呼んでるぞ?〃
ふとみれば、あたしの横には・・・あの人・・ガウリイの姿。
いつもの傭兵の姿ではなく。
まるで、タキシードのような、その格好。
薄い碧い色の。
ガウリイの瞳と同じ色の・・。
〃ほら、いくぞ?リナ♡〃
ちゅ。
あたしに軽くキスをしてくるガウリイ。
〃ええ。〃
あたしはそんなガウリイの手を取っている。
〃父様♡母様♡いつも仲良し♡〃
そんなあたし達をはやし立てているあたしそっくりの女の子に、ガウリイそっくりの男の子・・・。
〃こら!!エリー!!カウリイ!親をからかうんじゃありません!!〃
〃きゃぁぁ~!!!!!♡〃
あたしは、そんな二人の子供を追いかけている。
笑いながら・・。
その横で、ガウリイがやさしくあたしを見つめている。

まるで、その様子を別の視点から見ているようなあたし。
・・・・そう、これは・・夢。
・・でも、なんであたし、あんな格好・・してるの?
まるで、白いドレスのような服装。
どこかのお姫様か、王女か女王のような?
とゆーか、あたし・・あんな格好・・動きにくいからしたことないけど?
・・・・ああ・・・そうか・・。
これは・・・・あたしの希望?
・・できれば・・・・あの人と・・ガウリイと・・子供達で・・幸せにくらしたい・・・あたしの・・本音・・。
どこかの宮殿らしいけど。
どこかなつかしい・・。
・・・・訪れることのない・・・幸せな・・・夢・・・・。
夢の中だけでも・・あいつと・・・一緒に・・。

すぅ・・・・。
リナは、光に包まれて、しずかに、やすらかに眠る。
「母様・・・私には・・これくらいしか・・できないから・・」
リナの隣で、手を握っている栗色の髪に碧瞳の少女。
今、私が母様にみせているのは・・・私の記憶。
―母様と・・父様の・・記憶。
―ねぇ?母様?母様は・・いつも、わらってて・・ね?
夢に安らぎを感じて眠りについている過去の母親の姿をみながら、
リナスは、リナにくっつく。
「・・・母様・・・私は・・ずっと・・母様のそばにいるから・・」
ぎゅ。
リナを抱きかかえるように、しがみつくリナス。
「・・・だから・・・そんなに悲しそうな・・孤独の瞳を・・しないで・・」
リナには知られてはならない。
自分がリナの娘だとは。
だけど・・・。
私は、それより、何より、母様と父様にはいつも幸せでいてほしいから・・。
だから・・・夢の中では・・。
幸せな母様の様子をみせてあげる。
これが、私のいた時代の母様。
エリー姉様とカウリイ兄様と、そして、私と、ルナと。
幸せに暮らしている時代の・・記憶。
「・・お休み・・・リナ姉様・・」
宿屋の一室で。
一つのベットでよりそうように眠る栗色の髪の少女と女性。
―髪の色がそっくりなので、傍目には、姉妹に移るであろう。
今のリナの年齢では・・親子に見られることは・・まずないのだから・・・

リナとリナス。
二人が一緒に旅を始めてしばらくして。
リナは、すぐ次の日に、リナスの性格が・・。
まるで自分そっくりというのに気がついた。

どっがぁぁぁぁんんん!!!

「ん~♪大量♪大量♪」
リナスと一緒に旅をし始めて、はや数日。
なんと、面白いことに、この子の性格って・・。
はははは・・・。
不思議なこともあるもので、なぁぜか、あたしによく似ているというのを発見!
何せ、あたしが盗賊いじめをしていると、自分も進んでついてきて、あたしよりも手際のいい速さで、お宝物色してたりして・・・。
なんか、この子、栗色の髪に碧色の瞳の七歳前後のこの子、リナスとは、気があうあたし。
ゆく、先々で、その髪の色から、姉妹?と聞かれるので、あたし達は、姉妹ということにした。
その方が、何かと都合がよかったし。
何より、あたしが一人旅をしているより、妹と旅をしている。
といったほうが、何かと説得力があったから。
あたしの左手には・・あいつからもらった婚約指輪が今でも、しっかりと輝いている。
ときどき、あたしに声をかけてくる男性もちらちらといたけど。
それは、なぜか、リナスが丁寧に、あたしには相手がいる!
といって、追い返してるけど?
・・なんでだろ?
リナスと出会う前も、よくいたけど。
あたしを食事に誘ってくる男性たちは。
まあ、おごるといわれて、ついていかないあたしでもないから。
大概、その店のメニューをすべて制覇してたら。
なぜか、相手が、そのまま、『ついていけない。』
とかいって、涙ながらに去っていってたけど。
何がついていけないんだか??
とゆーか、なんで、あたしに食事をおごる気になったんだろ?
そいつらって??
まあ、あたしとしては、資金が浮くからいーけどね♡
何かあるわけもないし。
あと、あたしの指輪をしつこく聞いてくるやつもいたけど。
そんなやつには、あたしは。
『世界より何より大切な人から、貰った指輪だから♡』
と、正直にいえば、そのまま、何も聞いてこなかったし。
「あ!!!リナ姉様!!隠し倉庫発見!!!」
リナスが目ざといにも、地面に隠してある盗賊の隠し倉庫を発見している。
あたしのことをリナ姉様といって、慕ってくるリナス。
なぜか、他人のような気がしなくて。
それでいて、なぜか、この子からは、あいつと似た雰囲気を感じて・・。
この子が現れてから、あたしは・・あのいやな夢をあまり見なくなった。
それは、いつもこの子があたしの手を握って眠ってくれるからなのかもしれないけど。
あいつと離れてから・・こんなに安らいだ気分になったのは・・。
あたしは・・なかったから・・・。
ようやく、本来の自分に戻れたような気がする。
まだ、寂しい。
というのが亡くなったわけじゃない。
あいつに会いたい!
という想いがないわけじゃ・・ない。
けど・・・・会えないから・・・・・。
会えば・・・・後戻りは・・できないから・・・・・。
「よっしゃぁぁ!!!よくやった!!リナス!!」
『ダム・ブラス!!!』
どがっ!!!!
あたしとリナスの呪文で、隠し倉庫が粉砕される。
この子って、さすがに、姉ちゃんに言われてきた(本人がそーいってたし)
だけあって、この魔法が発達してない土地でも、あたしと同じくらい、魔法が使えるから、まあ、楽しい♡
ふふふふ♪
あたしだけでも盗賊は怖れるにたりず!
だけど、あたしとリナスだったら、さらに得?
「あ!!結構いいのがありますよ!!リナ姉様!!」
「よっしゃぁぁ!!当たりぃぃ!!!」
隠し倉庫の中には、多々と、いろいろな金貨や宝石、そして品物が(はあと)
「しっかし・・・この大きいのは・・どうやってはこぶ?」
小さなものなら、問題ないけど。
かなり大きな王冠のようなものもあったりするし。
・・この子に荷物持ち・・させるわけにもねぇ・・・。
かといって、風呂敷程度じゃ・・間に合いそうにないし・・。
「あ♪それなら、心配なく♡リナ姉様♡」
リナスが言って、何やらつぶやく。
指を人差し指を上に向けて。
ぽう・・。
・・・え!?
「すご!何々!!?それ!!!やり方教えて!!」
「いいですよ♪」
リナスが精神を集中したらしく、リナスの指の上に、精神の塊からできたらしい球が出現する。
あたし・・こんな術・・しらないし!!
・・・へぇ・・。 
この子・・結構・・やるわね♡
「これ、この中に、どんな品物でも収容できるんですよ♪―ラビス♪」
聞いたことのない、力ある言葉。
リナスの言葉と同時に、そこにあった、山のような、お宝がそれに吸い込まれてゆく。
「すっごぉぉぉぃ!」
これは、あたしも知らない呪文よね♡
リナスって、いろいろなんか知ってそうだし♡
「ね♪リナス♡あたしにもそれ・・教えて♡」
「リナ姉様なら、簡単にできるわよ♡」
んっふふふふ♪
リナスから、そのやり方をならうあたし。
本当に簡単なのね♡
よっしゃぁぁ!!!
これで、荷物の持ち運びの心配は無用となったし!!
「さっ!!!リナス!!次いってみましょう!!」
「了解!!!リナ姉様!!!」
『レイ・ウィング!!!』
あたしとリナスは空に飛び上がる。
なぜかというと。
今は夜。
だから、空から探したほうが、簡単に次の獲物はみつかるから♡
「あ!!リナ姉様!!東の方向に篝火発見!!」
「よっし!いくわよ!!リナス!!」
「了解!!」
あたしと、リナスは、ここ、毎晩。
盗賊いじめ・・もとい、資金集めにいそしんでいる。

「ええと・・・店は・・と。」
あたしが店を探しに、街へと入ると。
なぜか、あたしとリナスの周りに、人だかり。
何処から来たとか、姉妹?とか・・。
そんなに、旅人が珍しいんだろうか?
なんか、熱心に何かいってるやつもいるけど。
「それより、どこか・・道具や・・ありませんか?」
あたしがにっこりというと、なぜか、男共の乱闘が巻き起こり、まあ、関係ないからほっといて。
「ああ、案内してやるよ。」
そんな状況を無視して、あたしに言ってくる一人の男性。
なんか、目つきのあやしい兄ちゃんである。
「あっそ。場所だけで、いーわよ。」
あたしがいうと。
なぜか、そいつは自分が案内すると言い張る始末。
・・よっぽど暇なんだろーか?
こいつ?
「リナ姉様!!場所なら、私が知ってるから!!」
リナスが、あたしの服を引っ張ってくる。
きっ。
なぜか、リナスがそいつをにらみ。
「リナ姉様には、ちゃんと婚約者がいるんだからね!!」 
・・・ぼん!///
「り・・・リナスぅ!?あんた、いきなり何いってるのよぉ!?」
いきなり、何いうのよ!?
この子は!!!!
真っ赤になって、あたしが抗議するけど。
「ほらほら、リナ姉様!!早くいこ!!」
「あ・・まってよ!!リナス!!」
なぜか、あたしをぐいぐいとひっぱってゆくリナス。
・・・・何そんなに機嫌悪くしてるのかしら?
なぜか、目つきの怪しい兄ちゃんが、舌打ちしている音が聞こえてるけど。
・・・なんでだろ??
ずんずんずん。
「ちょっと!!リナス!?何よ!?さっきのいきなりは!?」
あたしがある程度進んでからリナスにいうと。
「・・・・・リナ姉様・・・本気でわかってないの?」
??
「何が?」
「・・・・・・・・・・・・・・・はぁ・・。 ・・・いい・・・・。」
??何、ため息ついてるのかしら?
なぜか、ため息ついてるリナス。
「そんなことより、ほら、道具や。品物、換金するんでしょ?リナ姉様?」
あ・・・そうだった。
ついつい、忘れそうになってた。
しかし・・・。
なんで、あそこで、リナス・・あたしに婚約者がいるって・・。
あんなに大きな声でいったのかしらねぇ??
・・・・・・まっ。
いっか。
逢えなくても・・・あたしは、あいつをずっと愛しているから・・。

かららん・・。
あたしは、とりあえず、昨晩、盗賊から没収した、お宝をお金に変えるために、道具やへと入っていった。


母様・・・。
お願いだから、『おごるから』、という言葉で、ついていくのはやめてぇ!!
気づいてないの!?本気で!?
そんなやつらは、母様を欲望の対象として見ているのに!!
隙あらば、そのまま、母様を物にしようとしているのに!?
それでなくても・・母様・・妊娠してるせいか、
むちゃくちゃに色っぽくなってて、男性に限らず、
女性からも、そういう風に、行く先々で見られてるのに・・・(汗)
母様いわく。
食事代がういた! 
と喜んでるけど・・・。
・・・・・・・なぁぁぁぁぁぁぁぁんか、すっごぉぉぉぉぉぉく、父様の苦労が・・分かる・・私・・・しくしくしく・・・。
本当に・・鈍感なのね・・。
母様・・・・・・。
しかたない!
私が母様を守ってみせるわよ!!!
今は、父様がいないんだから!!
って・・言ってる側からぁぁあ!!
ああぁ!?・・また、母様に言い寄っている存在がぁぁぁぁ!!!!!!
・・・・父様も・・きっと・・こんな気持ちだったんだろうなぁ・・・・。
はぁ・・・・・・。
ファイト!!リナス!!!
自分に言い聞かせて、今日も頑張るぞ!!

リナスの長い戦いは・・まだ、始まったばかり・・・・。

「・・・リナ?」 
ふわり。
まるで、自分に吸い寄せられるように、手の中に入ってきた球(オーブ)。
そのまま、ガウリイの手の中で、静かに、佇んでいる。
「・・これをもっていけば・・いいのかな?」
ガウリイは、その球をもったまま、元来たであろう、
道なき深淵の闇を戻り始める。
『・・・・・やっぱり・・・彼は・・すんなり見つけたわね・・。』
金色に輝く女性が声を発する。
「・・ですわね。」
隣で、紫がかった蒼い髪の女性がそれにこたえる。
『まったく・・。姉であるこのあたしの言葉にも耳をかたむけなかったのに・・。・・・あの子は・・・。』
すこし、焼いているような口調でいう女性。
「・・それで?エル様?リナ様の・・いえ、深淵なる闇の王としての、リナ様の力を・・・どうする気ですか?」
金色の女性に聞いている女性。
『ルナ。・・・決めたわよ。ガウリイ=ガブリエル。・・彼を本質から変えることを。
    あの子の力を使わないと・・歪みが生じるからねぇ・・。』
この世界は、自分の抱擁する世界ではあるが。
基本的には、リナそものものとして創り出している世界。
自分が力を直に使えば、リナに少なからず、影響を与えてしまう。
それか、それで歪みが生じ、別の理にそむくもの・・反逆者をつくりださねかねない。
「しかし・・今のままでは・・彼は・・・。完全には・・無理なのでは?」
ルナが金色の王―エルにいう。
『そうね。完全は無理よ。でも・・仮になら・・。』
「エル様!?仮だと・・もし、ガウリイがリナ様の気持ちを履き違えたり!自分は必要ないと思ってしまったら!!」
『・・そうよ。仮に存在からの本質を変えるということ。それは、彼を完全に輪廻から外すということ。
   ・・・・それがあると・・彼は・・消滅するわ・・。二度と・・再生されない・・。』
分かっている。
それは。
『・・でもね?ルナ?このまま・・何もしないで、あの子が消滅するのを待つより・・・。
  ・・・できることをしたほうが・・よくない?
  今のままだと・・・ガウリイは・・リナを置いて・・死んでしまうのは・・・。・・・間違いないのだから・・。』
人であるガウリイと、今のリナの肉体の流れの時間と。
それにともなう寿命は・・違う。
ガウリイがリナを見つけ出したとしても・・。
それは、数百年あまりで、ガウリイはリナを置いて・・死んでしまう。
再び、輪廻にのってゆく。
一応、エルフの血と、竜族の血が入っている今の彼は。
普通の人間より寿命は・・長い。

けど。
リナは、まちがいなく。
それに耐えられない。
再び、彼を追って・・自害するのは目に見えている。
これ以上・・精神を傷つけると・・・・。
リナの精神に歪みが発生するのは、目に見えているから・・・。

リナが子供を産んだとしても。
それをガウリイが自分の子供だと・・気づかずに。
自分は必要ない・・と、思って自害でもしたら・・・・。
それこそ。
今、このままでは、たどり着いてしまう、最悪の未来へとなってしまう。
「・・・・・・・・・。確かに・・。」
無言になるルナ。
ルナとて、リナが消滅するのは好まない。
今まで、ずっと、側にいたのだから。
何よりも、リナの幸せを願っていたのだから・・。

『あ、ほら、戻ってきたわよ。』
ふい。
エルの言葉と同時に、深淵なる空間から、ガウリイが戻ってくる。
『・・・・みつけたようね?』
エルがいうと。
「ええ。・・確かに、リナの波動がします。・・でも・・・どうしてです?」
ガウリイが自分の手の中にある球をみつめる。
―どこかで、すごくなつかしいそれを。
『ガウリイ=ガブリエル・・いいえ、ガブリエフ。・・・彼方、リナと共にいたい・・といったわね?』
「ええ。」
『・・・たとえ、あの子が人でないとしても?』
「リナはリナです。それ以上の何ものでもありません。」
きっぱりはっきりと答えるガウリイ。
『ふっ・・・。変わらないわねぇ・・・。あんたも・・・。』
・・・・?
そんなエルの言葉に、ガウリイは首をかしげる。
『・・・今、リナは・・人とは・・違う時間率で流れてるわ・・。今のままだと、あんたは、完全にリナをおいて死んでしまう。
  ・・・どうする?方法はあるには・・あるけど。・・・でも・・・・。・・それをやったら、あんたは、二度と後戻りできなくなる。
  それより、下手すると永久消滅しかねない?・・・それでも・・リナと共に・・生きる道を・・選んでみる?』
―!?
そんな道があるのか!?
リナと共に・・ずっと、一緒にいられる道が・・。
自分の消滅なんてのは、どうでもいい。
オレは・・リナと共にいられるのだったら・・・。 
そして・・あいつが・・いつも笑っていられるのだったら・・・。
「方法があるのなら、お願いします!―オレは・・リナにはいつも俺の側で笑っていてほしいんです!」
きっぱりと迷うことなく答えるガウリイ。
『―契約・・しても・・いい・・と?』
確認をこめて聞く。
「ええ。リナに拒まれたら・・オレは存在している意味もないですし。
  それより、リナと共に生きる道があるのなら。それに、オレはかけます。」
自分がいなくても、リナが笑っていられるのなら。
・・・自分はそれに耐えられないから・・。
そのまま、消滅しても・・・かまわない。
何よりも、リナの側にいたいから。
リナの笑顔を守りたいから。
そして・・リナのすべてを自分の物にしたいから・・・。
『ふぅ・・・・。あんたの決意は分かったわよ・・・。・・・・ルナ、ガウリイ・・このまま、しばらくここに借りるわ・・ね。』
エルが傍らのルナにいう。
「エル様!?」
ルナが驚愕の表情をする。
『何しろ、ガウリイが誕生して、約百五十億兆万年でしょ?
  リナの力は・・今は、眠りについている状態だから・・・。・・一気にはできないのよ。
  ガウリイにリナを想って貰って、それに同調して、リナの・・あの子の力を・・引き出すしか・・手がないし・・。』
・・・・?
ガウリイには意味がわからない。
『それに・・・。』
ちらり、
とガウリイの持っている力が封じられている球をみる金色の王。
『ふぅ・・。ここまで、完全に力と意識を・・閉じてると・・・・。・・時間がかかりそうよなのよねぇ・・・。』

一気に取り出すことは、できない。
それをやると、完全にリナの精神が崩壊するか傷ついてしまうから。
方法はただ一つ。
ガウリイをリナが思う気持ち。
それを利用して、閉じている力を使うことだけ。
その力を束ねて・・ガウリイの本質を変える・・ということだけ。
すなわち。
リナを包み込む、やすらぎの存在への変換の作業を・・。
ガウリイのもつ力も並大抵ではない。
リナを思うがゆえに、普通なら、消滅するはずの魂なのに、年々、その力を増している魂。
今の彼なら・・・・仮の存在へ転換しても。
リナを十分に・・支えられるから・・。
それに・・もう。
時間は・・のこされていないのだから・・・・。

「・・・・・分かりました・・・。では・・エル様・・・・私は・・戻ってます・・・・。何かあったときのために・・。」
ルナが顔をふせていう。
一つ、道をたちがえれば、すべては消えてしまう・・危険なかけ。
しかし・・・やるしか方法がない、今の現状。
「ルナ義姉さん?」
ガウリイが呼び止める。
「いい?ガウリイ?何があっても、リナの心を・・疑わないでね?・・・あの子は・・・弱いのよ・・誰よりも・・・・。」
ふい。
それだけいって、その場からかき消える。
弱いから、愛しているから、ガウリイから離れたリナ。
それで、自分の精神がたとえ、発狂しそうになっても。
彼を失うよりは・・いい・・と。
今まで、さんざん、リナは、自分の目の前で、ガウリイが死ぬところを、見ているのだ。
この百五十億兆万年間・・ずっと・・・。
これ以上続くと・・完全に精神に異常をきたしてしまうから・・・・。
「?ルナ義姉さん?」
かき消えたルナの瞳に、何かを感じとるガウリイ。
以前にも・・そう。

たしか・・。
以前にも、同じようなことをいわれたような気がする・・・。
いつだったか・・・・・。
〃ガウリイ=ガブリエル。リナ様の・・本名を・・。〃
ぱしっ。 
何かが、頭の中に浮かびかけて・・瞬く間にかき消えた。
ガウリイの脳裏に。
・・・この記憶は?
記憶。
ばくぜんと、それが記憶のような気がする。
・・いつだったのか?
そして・・今の続きは?
・・・分からない。
何も・・・。
『ふぅ。ガウリイ。彼方をこれから、本質から変換する作業に入ります。
  ・・・あんたは、その球をもって・・リナのことだけを考えていなさい。
   ・・そうすれば、それに呼応して、少しづつだけど・・。リナの力が使えるから・・・。』

そう。
微々たる力が。
リナの想いによって、誕生してしまった、反逆者。
―アザチェスにこれ以上力をつけさせないために。
リナは力を封じているのだから・・。
すれ違いの想いは・・・歪みを生じた。
強大なまでの。
始め・・リナは、自分の想いに気づいてなかった。
それゆえに・・さらに、あいつは力をつけていった。
ガウリイが、魂の真髄から、リナを想う気持ち。
リナが、無意識のうちに、ガウリイを想っていた気持ち。
その強すぎる想いか・・生まれでてしまった・・・理にそむくもの・・反逆者・・・。
歪みからの発生は、たいがい逆の性質をもつ。
ガウリイを想うリナ。それは、アザチェスにとって、ガウリイは排除すべき存在。
リナを想うガウリイ。また、リナもアザチェスにとって。
そして、自らの存在意義を呪ったリナ。
それにもまして、自分に誇りをもっていたリナ。
・・・アザチェスは・・呪う方・・つまり、世界の理を、破壊する反逆者として・・誕生したのだ。
リナそのものを破壊する存在として・・・。
だから。
リナは、ガウリイを守るために、自分の力と意識の大本を封印した。
アザチェスが・・ガウリイを殺そうとするから・・。
なんどかれが生まれ変わっても・・。
だから、側で、彼を守ろうと、リナもまた、彼と同じ輪廻の道にはいっていったのだから・・。
「・・・リナを?」
『そう・・リナを想うだけでいいわ・・・。それで・・・リナの心は・・開放される・・・。』
・・・・・リナ。
ガウリイが球を握り締め、リナをつよく想う。
ぽう・・。
球が静かに光る。
これは・・・。
『ふう・・・やっぱり・・長期戦になりそうね・・・。』
微々たる力の波動を少しづつ、纏め上げ、同調させる作業にはいる。
まとめていかないと・・・。
本質の変換は・・無理だから・・・・。
リナの精神を傷つけないための・・・・最新の注意をはらいつつ・・。
ガウリイは、球を握り締めて、そのまま、リナを思い続ける。
自分の全てを投げ出しての・・リナへの・・純粋なる想いを・・・。


「――ガウリイ?」
ふいに、リナは、ガウリイに呼ばれた気がした。
いないはずなのに・・。
なぜか、自分の側にいるような・・不思議な・・感覚。
「リナ姉様?」
道すがら、リナスがリナを不思議そうにみる。
「なんでもない。」
一つの街に長くいるのは、危険。
何より、リナがあまりにうっとうしくて、ディムブランドを放ってしまったから・・。
目立つ行動は・・避けるべき。
魔族に、気づかれてしまうから。
結果。
逃げるように、そのまま街を後にしているリナとリナス。
・・・駄目ね。
・・会っちゃ駄目っ・・・て・・・。
・・・自分で・・決めた・・・の・・・に。
ぽろぽろ・・。
リナの瞳から涙がこぼれ出る。
「・・・・会いたいよ・・ガウリイ・・・・。」
ぎゅ・・。
「リナ姉様・・・。」
そんなリナの手をつよく握るリナス。
― 素直になろうよ?ね?リナお母様? ―

リナとリナス。
二人の旅は・・始まったばかり・・・・。


                       ー続くー

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まえがき:
こんにちわ♪
どんどんくらぁぁくなってゆく・・・(汗)
・・・ま、まあ・・頑張ろう・・(滝汗)
ではでは・・・・。闇の行方。第7話です♪

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あとがき:
   薫:リナぁぁぁ(汗)
     ああ・・・まあ、時間がないから・・(だからまて!)
     ルナが星・・ゼフィーリアに戻ってからの話しは、
     次回にくりこし!!
     (だからまて!)
      ちなみに。
      今。
      ガウリイ君、本質から、転換の作業に入ってます・・・・(汗)
      ううう・・・・・・。
      リナ!
      素直になりましょう!!!!
      でないと・・・・世界ごと消滅するぞ!!(涙)
  リナス:・・・私もそう想う・・・・・。
      ・・・・リナお母様・・不器用よね・・・・。
      それに・・・・かなり鈍感だし・・・・・・。
       はぁ・・・・・・・。
       私・・頑張るもん!!
       リナ母様に魔の手がこないように!!!
       父様みたいに、そういうやつには闇討ちしてでも!!
    薫:・・・・変なところは、父親譲りですな・・(汗)
  リナス:そう?
      だって、ルナもエルお母様も、やっていい♡
      っていってたし♡
    薫:(そういや・・リナスって・・すみれちゃんと・・かなり気が・・滝汗)
      ・・考えないようにしよう(汗)
      ではでは・・また・・・次回で・・・・。
      エル様は、ただ今、リナの力を束ねるのに、神経を集中してますので♡
      波動を少しも逃さないように♡
      少しでも・・逃したら・・
      ・・・眠りの状態のアザチェスが・・起きちゃいますからねぇ・・(汗)
      ではでは・・・・。

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