探索

・・・・・・。
思わずあたしは足を止める。
「・・・・ね・・・・ねえ?ナーガ?本当にここであってるの?」
あたしがそう疑問に思うのも仕方がないと思う、いや絶対に。
「ふっ。何をいってるのかしら?リナ。一緒に依頼を受けたじゃないのよ!
  やっぱり胸が小さいと、そのことまで忘れるのかしらね!おーほっほっほっ!」
どげしっ!
腹がたつほど胸をそり上げて高笑いするナーガをとりあえず足蹴りしておく。
「あのねぇ!あれは一緒に依頼をうけた!とはいわないでしょうが!」
そう、そもそもあそこでナーガとであったのが・・・運のつき・・というか・・・あぅ・・。



ことの起こりは数日前のこと。
「あの?あなた・・魔道士ではありませんか?」
そういってあたしに声をかけてきたのはどこにでもいるような・・とはいわないが、かなりの美少女。
「そうだけど?」
あてのない一人旅。
とりあえずぶらっとよった小さな村でのこと。
まあ確かにこんな小さなはっきりいって旅人なんかもよりつかないような寂れた村に。
あたしのような美少女魔道士がいるほうがよっぽど世の中の不思議と世間一般には捉えられるであろうが。
運ばれてきたこの村の名物にゃらにゃらの踊り食いを口に運びつつ。
そんな中、話しかけてきた一人の美少女。
「あ・・・あの、話を聞いていただきたいのですが・・・」
「へるからいや。それにいま食事中。」
「そ・・・・そんな・・・・」
きっぱりといったあたしのその言葉にしばし沈黙し。
「そ・・・それではここでのあなたの食事代を私が受け持ちますから、話だけでも・・・」
なに!?おごる!?
その言葉にあたしは思わずびくりと手を止める。
と。
バタン!
「おーほっほっほっほっ!リナ!一人だけずるいわよ!
  あなた、リナに奢るというのならこの私、白蛇のナーガ様にもおごりなさい!」
ぶぶぅぅぅぅぅぅ!
おもわず扉が開き聞こえてきたその声にあたしは口に含んでいたお茶を噴出してしまう。
・・・・な・・・・なぜこいつが・・・ここに・・・
「・・・・・あの?あれ・・・・人間ですか?」
それをみておびえているその少女。
・・・・いや、気持ちはよくわかる、いや、本当に。
「・・・・・ナーガ・・・なんであんた・・・こんなところにいるのよ・・・・」
こいつときたらいつもながらに神出鬼没。
あたしのため息交じりのその言葉に。
「ふっ。愚問ね!リナ!
  資金も当てもないから勝手にこの食堂の屋根裏で、しばらく寝起きさせてもらっていたのよ!
  ここなら残飯にいいものが残ってるから食事には困らないしね!
  そんなこともわからないなんてまだまだね!おーほっほっほっ!」
・・・・・・・・・・・・おい!
無意味に高笑いをしているナーガだし。
・・・・こいつ・・・やっぱりそんなことやってたんか・・・・
「・・・・あんたかい?最近屋根裏で無意味に高笑いしてるのは?
  お客さん、あんたの知り合いかい?困るんだよねぇ?それは?」
だぁぁぁあ!
何か話しがやばい方向に!
そのナーガの言葉をききつけて食堂のおばちゃんがぎろりとにらみつつ、こっちにきてそんなことをいってくる。
「と・・・とりあえず話しは別の場所で改めて!ご馳走さまでした!」
「ちょっと!リナ、ここでまだ奢ってもらってないわよ!?」
だぁぁぁあ!そんなことを言ってる場合か!
下手したら役人呼ばれかねない!というのはこいつわからないのかぁ!
・・・・いや、ナーガだからそこまで気が回るわけはないか・・・


「・・・・・・はぁぁぁぁぁ・・・・」
ナーガと意味もなく再開した数日前のことを思い出しあたしはただただため息ひとつ。
結局逃げるようにその村を後にしたのであたしのにゃらにゃらの踊り食い制覇は無とかした。
そして話しかけてきた少女の依頼を仕方がないので受けたのだが・・・。



「・・・・・ねえ?本当にこんなところに魔族なんて・・・・いるの?」
探し始めてはや二日
それらしきものはひとつも見当たらない。
少女の話によるとこのあたりに何でも正体不明・・・おそらく。
人でないその形態から魔が住み着いたのだ・・・と。
大人たちや旅人が恐れ近づかなくなっているからそれを駆除してほしい。
という依頼内容。
依頼としては相手がどんなやつなのかまったく見えない内容ではあったが。
一応依頼料としてはあんな村のわりには金貨百枚。
・・・・ナーガのせいで五十枚になったが。
すでにもう前金というか全額すべてもらっているからには。
やるしかないというか何というか。
だめならそのままだめでしたといって戻ってもいい。
という何とも破格な条件であったこともあるし。
何はともあれその依頼をうけてその『魔と思われる異形なもの』を探してはや二日。
何のそれらしきものの影の形も見当たらない。

「そういえばこのあたり私がよく食べ物探しにうろうろしてたけど。そういうのって聞いたことがないわね。」
ぱきん。
枝をおりつつそんなことをぽつりといっているナーガ。
・・・・・・・・うん?
あたしはナーガのその言葉にとある話を思い出し。
あたしの中で何かの警鐘が鳴り響く。
「やっぱり目立つのはいやだからとりあえず。
  森の根っことかきに協力してもらってそれにのって高笑いしつつ。食材を捜し歩いていたんだけどね。」
・・・・・あたしの中でさらに鳴り響く警鐘の鐘。
「・・・・・あとよくなぜかこの森って、旅人などが荷物捨てていくから、それ拾って路銀の足しとかにして・・・・」
だぁぁぁ!こらまて!
「・・・・な・・・・ナーガ?少し聞くけど・・・?
  あんた・・・・もしかして・・・・そのとき・・・目だけだした黒い何か・・なんて・・・かぶって・・・ないわよねぇ?」
確か聞き込み調査を行ったところ、闇夜に見えたのは二つの目と。
そして・・・・頭に響くいやな・・・笑い声・・・・だったような気が・・・ひしひしと・・・・
あたしのその言葉に。
「ちっちっちっ。そんなわけないでしょう?この私のセンス疑ってもらってはこまるわ!」
そういってにっこりと微笑み。
あたしがほっと胸をなでおろす間もなく。
「正体がばれないように変装していただけよ!これで!」
そういって・・・マントの後ろから・・・・黒い・・・羽飾りのようなデザインの・・・それを取り出しているナーガ。
「これつけて高笑いしつつこの森を歩き回っていたわりに。
  あの子がいうような異形なものってみたことないのよねぇ。ガセネタじゃない?」
そういいつつそれをひらひらと手にもってあたしに言ってくるナーガ。
ごめっ!
その瞬間・・・・あたしのとび蹴りがまともにナーガの顔面を直撃する。
「だぁぁぁぁぁ!
村人がいってたのは、ナーガ!あんたのことよ!あんたの!」

確か・・・話によれば・・・・うねうねとうごめく物体の上から・・・・
大地を揺るがすような不気味な笑い声・・・頭に響くような。
・・・・とかいってたぞ・・・おい。
・・・・つまり。

1、うねうねと動く物体=ナーガのよくわからん人徳で協力していた木の根っこ。
2、笑い声=それにのって笑っていたナーガの声
3、目だけの怪物=闇夜で目だけしか入らなかった。

「えええええええ!?どうしてこの私が魔物なのよ!?」
「でぇぇぇぃ!無自覚極まりないこというなぁぁぁぁ!それならそれで無駄に二日も過ごしたじゃないのよ!」
あたしの納まりきらない怒りはとりあえずナーガをたこ殴りすることで解決することに。

結局ナーガをひときしりたこ殴りにしておいて、
・・・・・あたしとナーガがその村の近くから逃げるように立ち退いたのは・・いうまでもない。



教訓:ナーガが今まで何をしていたのか事前にきちんと調査しておきましょう。リナ=インバース。
まる。


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  説明という名前のあとがき:
     えっとナーガリナとはぐれて(道にまよった)で、
     たどり着いた村の宿屋件食堂の屋根裏で寝起きしてました。
     ちなみに無許可(笑)・・・それでいいのか!?セイルーンの皇女!?(笑)
     で毎晩のようにナーガが回りの森を俳諧するので(笑)
     その姿をみた旅人や村人が怖がって魔族だの魔物だの騒いで、
     ・・・・で村には人気がなくなりました(・・・・気持ちはわかる・・切実に・・・byリナ)
     でその解決依頼をうけたリナ。
     奢るという言葉に反応して出てきたなーが。
     ・・・・・結局事実を知ったリナは依頼料を持ち逃げです(こらまて)
     んではでは・・・・。
     ・・・・探索・・・になってないな・・・。
     ・・・・・そのうちにいつか遺跡でもとりいれるか(おい・・・)
     では・・・・。

       
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