まえがき&ぼやき:→前書きを読まない、というひとはこちらへ。

ハイ5話目です。

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If  ~もしも…~ルルティスとレゾの関係……~

「でも何で私達を助けるのですの?」
とりあえず、相手に敵意がないのコトはわかる。
だけど、出方がわかるまでは猫をかぶっておいたほうが何かと都合がいい。
そう判断し猫をかぶっているララちゃん。
「…理由は……」
そう答えかけたルルさんの足が止まる。
シャラァン…
暗い森の中…今日は新月であるがゆえに、明かりは、はっきりいってないに等しい。
にもかかわらず、足をもつれさせることもなく進む私達三人。
あからさまな敵意が…こちらにと向けられている。
「この気配は…まさか」
すぐさまに剣の柄にと手をかける私とララちゃん。
と。
「ルルティス…困りましたねぇ。何を勝手なことをしているのですか?
  例の品物は手にいれたのですか?」
いいつつ、暗闇の中より紅き影が浮かび上がる。
そんな紅き影にと向かい。
「私はもうレゾ。あなたの言いなりにはなりません。
  アレは私が元の体に戻るためにと使わさせていただきます」
きっとそんな影にと向かい言い放つルルさん。
「そんな…力を与えたこの私の恩を忘れて裏切る、というのですか!?ルルティー?」
ゆっくりとその手にしている錫杖の
切っ先についた輪の部分にとはめられているいくつものリングを鳴らしつつ。
闇より手でくる紅き影。
そん全身を紅きローブと服とで統一し、その身にとまとっている一人の男性。
「恩などは感じてません。レゾ。
  私は確かに力を求めましたが誰もこのような姿にしてほしい。とはいってません。
  こんな体になってしまえば人並みの生活すらもできません。
  ですから、私は元の体に戻るためにも、あなたの元ではもう働きません」
いいつつも、何やらごそごそと音を立てないようにと袋から出しているルルさん。
「そんな……。ルルティー。たった一人の肉親である私から離れる、というのですか!?
  認められませんよ?それは!?今のあなたの姿になってからというもの、
  悪い虫もせっかく寄り付かなくなっていた…というのに…
  力とそして生命力。それらを伴うにはまさにうってつけでしょう?その体は?何の不満が?
  …あなたには長生きしてもらいたいがゆえに…こんなお爺ちゃんの気持ちがわからないのですか?」
「母が早くに死んだのは認めます。
 だからって、合成獣キメラはないでしょぅ!?合成獣キメラは!!
  こんな姿だと結婚もできないではないですか!」
「そんな!?ルルティー!?
  ずっと幼いころにはこの私と一緒にいてくれるっていってたじゃないですか!?」
「いつの話ですか!いつの!!」
「……何か痴話喧嘩になってるぞぉ……お~い……」
「痴話喧嘩じゃん思いっきり」
何やらら思いっきり、私情の入った言い合いをはじめているルルさんと、
出てきた男性…レゾ、と呼ばれる男性に、思わず小声で突っ込みをいれているララちゃんと私。
「ルルティー。あなたがまだ二歳のころは。
  『お爺ちゃんのお嫁さんになってずっと一緒にいてあげる!』とかいってましたのに……」
「そんな昔のことは覚えてません!ともかく!私には私の人生があります。
  その為には元の体に戻ることと、アレが私にはどうしても必要なんです!
  ……ですから、これ以上、レゾお爺様。あなたの元にはいられません」
「ルルティー…これほど私がいっても…お爺ちゃんを見捨てるなんてひどいっ!!」
「こういうときだけ、曽祖父にならないでください!!
  ― それに、レゾ。あなたは変わりました…。私の好きだった曽祖父とは比べようもなく……」
多分内側にある魔王の影響だろうけどね。当の本人は気付いてないみたいだけど。
にしても赤法師てこんなにお茶目なの。
「いたし方がありません。不本意ですが実力で…」
言いかけるレゾよりも早く。
ビュッ!
パパパ!
何やら袋の中より取り出したいくつもの小さな球状のボールを数個、
レゾに向かって投げつけるルルさん。
と。
ドン!
もくもくもく……
レゾを包み込むかのようにと紫色の煙が音と共に立ち込める。
「…こ…これは!?」
思わず叫ぶレゾ。
「逃げますわよ!」
「「…え…ええ……」」
煙に巻かれたレゾの横をすり抜けて、駆け出すルルの後を追ってゆく私とララちゃん。
ちらりと走りつつもレゾのほうをみて。
「…精神的な方向感覚を狂わすヒノダケ…か。アレをブレンドしてあるみたいね…」
「だな。」
感心した様に言う私とララちゃん
一般には治療方法などにと使われているとあるキノコ。
だが、それをとある物質と調合することにより、方向感覚を狂わす物質が出来上がる。
もっとも、その調合はかなり危険で、下手をすれば運がよくて自らが廃人同様になるか。
運が悪くて大爆発を巻き起こす。
ほんの数mgの誤差さえも許されないその調合法であるがゆえに、
はっきりいって一般にはその方法は普及していない。
…まあ、手っ取り早くいえば、きちんと重さを量れる道具があれば問題はないのだが……

一方
「う~ん、食べた、食べた。…次は…っと…」
なぜかもう材料がないから勘弁してくれ。
と店のものにとなきつかれ。
食べすぎは健康によくない…ということで、腹八分で食事を終えたリナンとレナン。
…彼らがそう、腹八分、という言葉をいったとき、
なぜかウィルや他に店にいた人々が一斉にこけていたりしたものの……
ようやく食事を終えたリナンとレナンに。
「さあ!リナンさん!レナンさん!急いでララさんとエリーさんを助けにいきましょう!」
一人、俄然張り切るウィルに対し。
「次はゆっくりと休みをとるぞっ!」
ごけっ!
そんなリナンの言葉にそのまま前のめりにと床にと倒れ……
「リナンさん!?何をいっるてんですか!?急いでララさんとエリーさんを探して助けにいかないと!!」
どうにか起き上がりいってくるウィル。
そんなウィルに対して、かるく指を左右に振りつつ。
「わかってないな。ウィル。今日は新月。ついでにこちらが明かりをともしたら、相手には丸わかり。
  んでもって敵側には少なくとも、魔族を従える実力をもったあのレゾがいるんだぞ?
  こんな前すらも見えない中で動いても逆に私たちが捕まるだけ。
  …それよりも今日のところはゆっくりと力を蓄えるためにも休んで、
  昼間っからララとエリーを救出に向かったほうが相手も昼間だと油断しているだろうしな」
そう言い放ち。
そして。
「それとも?昼間っから正々堂々のリ込むのはやめて、
  卑怯にも闇討ちとばかりに、こっちの体力が万全でもないのに。敵側のアジトに乗り込むか?」
「それは……わかりました。確かに体力は万全で挑んだほうがいいですね。
 でもララさん。大丈夫でしょうか……」
リナンの、『闇討ち』という言葉にそれは正義ではない。と思い納得するウィルに対し。
「大丈夫だって。アレでもララ達はかなり腕は立つから。
  とりあえず今はゆっくり休んで体力を万全にして決戦に備える。了解?」
「ですね。」
納得するウィルをみて、ひとまずほっとする。
まあ、何か危険な目とかにあいかけたら、
間違いなくララの持っている【アレ】とエリーの持っている【アレ】が行動を起こすのがわかっているがゆえに、
あまりあせっていないこのリナンとレナン。
だからといって見捨てようものなら、間違いなくリナンとレナンの姉ルナとエリーの兄ユリウスによる制裁が待っているのは明白。
リナンとレナンとエリーの郷里にいるルナとユリウスは、いったい全体どこでどう調べるのか、
リナン達三人のことならば何でもお見通し。
ルナとユリウスに喧嘩を売る種をまくくらいならば、素手で魔王に向かっていったほうがはるかにマシ…と。
リナン達三人は本気でそう思っていたりする。
…だからこそ。
レゾの中に気配を感じるといったゴルンノヴァとアルテマの言葉にもあまり動揺しなかったのだから。
そんな会話をしつつ、とりあえず、今日のところはゆっくり休み。
明日より行動ことにすることにしたリナンとレナンとウィル。

その判断は正しいのかどうか…それは誰にも一概には言えないであろう……


                              -続く?-

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あとがきもどき:
龍:次回犬もどきのディルギア登場
エリー:そんなの事よりさ私の活躍はどうなってるのよ
龍:次回では、ララと一緒にかなり活躍するぞ。
エリー:あっそうなら、いいや