ほーっほっほっほっほ!今回はこの私!
白蛇のナーガがまえがきを勤めさせていただくわっ!
今回は立て続けに投稿する模様!だからこの回と次の回は多分あとがきはなし!
長いと思うけど我慢してよむのよ!

L:あんたねぇ・・・・あたしが部下Sいぢめてるあいだに何やってんの?

ぎぎく!

それじゃあ!みるのよ!
ほーっほっほっほっほっほっほっほ!ほーっほっほっほっほっほ・・・・
(エルに追いかけられつつナーガは高笑いしながら消え去る)

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「わかりやすい みち」12


「・・・とりあえず、一緒にお祭りいきましょ。」
エルの言葉に従い、リナ一行は外に出た。
「しかし・・・このフェアリーソウルはいったい・・・?」
ぎくぎくぎくっ!
ゼルがいきなりもらした声に、一同ぴくつく。
「・・・ぜえぇぇらぁぁぁすぅぅぅぅっ!あんたねぇぇぇっぇぇぇぇっ!仕事ほっぽって何やってんのっ!」
その突然な声に一同目をやる。
(やった・・・・話題が変わる・・・)
とか思いつつ。
「だ・・・・・ダルフィンっ!なんでここにっ!」
・・・・言ったのは、セラウリアだった。
「・・・あら。セラウリア!ひっさしぶりーっ!元気してたー?」
なんで海王なんかと知り合いなんだろ・・・・
「あ、ルナ。こちら、ダルフィン。あたしの遊び相手なの。ダルフィン、こちらルナ。あたしの幼なじみ。」
「・・・・・セラウリア。これ、五人の腹心の一人、海王ダルフィンだけど・・・・」
「・・・そうなの?いーじゃない。害がなければ。」
「・・・ほぅ・・・・私の正体を見抜くとは・・・何者?」
と、そこに獣王が割り込む。
「赤の竜神の騎士ルナ=インバース。リナ=インバースの姉よ・・・・ダルフィン・・・・」
「・・・なんですってええええええっ!いえそれより!
  あんたいつまでそのかたといっしょにいるつもりなのっ!?こっちは仕事で大変なのよっ!」
後ろでは、ゼルとアメリアがかなり驚いているが、リナたちはへーぜんとしたものである。
「そういえば、海王将軍ディーナスは怪我完治した?」
親しげにリナがいう。
「りなちゃあああんっ!そうなのよっ!まだ一ヶ月は動けそうもないのっ!貴方もゼラスに何とかいってやってよ!」
「えー・・・でも、楽しいし・・・・」
「リナさんっ!仕事をおしてまで引き止めちゃいけませんっ!それに、その人は・・・っ!」
「・・・・・・・出でよ部下S!」
エルがまたまたSを呼び出す。
「ほんとに、仕事が大変なの?」
「は・・・はい・・・・まあ・・・ちょっときついのではないかと・・・」
「うーん・・・今、魔族も人材不足だし・・・・どーしたい?ゼラス。」
「リナと旅を続けたい。」
即答で返すゼラス。
「わかるわ・・・そのきもち・・・・っくくうっ!」
「エル様・・・・でも、わたくしも立場上仕事をしなければなりません・・・
  これでおいとまさせていただきます・・・(涙)・・・・リナ。ガウリイ。また仕事が一段落したら来るわ・・・・!」
「待ってるわ・・・ゼラス(涙)!」
「いつでも歓迎するさ。」
「部下Sの部下にしとくのはもったいないわ・・・・ゼラス・・・・なんていいこっ!(泣)」
もはやゼラスは仲間と成り果てている。
「じゃあ・・・また・・・いつか・・・・・」
「ディルスに行った後、あたしたちがたずねにいくわっ!」
「まってるわっ!」
・・・・・そういって、獣王と海王は虚空に消えた。
「まあ、確かに彼女はいいわよね。」
「うんうん。ミリーナのいう通りだ。」
ルークとミリーナまでもが納得している。
「確かに楽しい人だったわねー。彼女。」
ルナまでもがそんな事を言いはじめる。
いいのかスィーフィード。
「・・リナさん・・・まさか魔族になんてなってないですよね。」
アメリアが、リナの行動を見て尋ねる。
「まさか!」
(人間だとも限らないんだけど・・・・ね・・・・)
リナはこっそりそう思う。
「・・・それより!祭りをたのしみましょ!」

どんっ!
とーとつに、リナは誰かとぶつかった。
「あ、ごめんなさい!」
「い・・・いいいいいえっ!ここここちらこそっ!」
いやにどもりまくった、弱気そーな黒髪の男性である。
よく見れば髪は茶色がかっている。
「貴方、魔道戦士?それっぽいかっこしてるけど・・・」
エルが聞く。
「は・・・はぁ・・・一応魔道士です・・・・」
おどおどしているところが怪しい。
「・・・ふぅん・・・名前は?あたしはリナ。同じく魔道士よ。」
「ら・・ラッセルです・・・」
・・・・・・・と。
どがあああああんっ!
「ああああああああああっ!きたあああああああっ!」
ラッセルが悲鳴を上げる。
「まてぃ!この呪術士めっ!」
こわもてのにーちゃん達がラッセルを捕まえる。
「うひいいい!ごめんなさいいいいいいっ!」
「・・・俺の兄貴にかけた呪い、といてもらおうか!」
「ごめんなさいいいいっ!ついはずみでっ!だって・・ガウリイって言う人に呪いかけてって言われたけど・・・
  そんな人を呪うなんてことはいけないことですよぉぉぉぉ・・・」
・・・・・・・・・・・・・
「ちょっとそこのにーちゃん達・・・今の話ほんと?」
リナがにこにこがおで・・・しかし目は笑っていない顔で、言う。
「・・おう!あいつがいなけりゃ今ごろ俺達はこのあたりでも五指にはいるつわものだったんだっ!」
逆恨みかい。
「ほほぉぉぉぅ・・・ラッセル君・・特別無料で助けてあげるわ・・・」
「ん?・・・・やる気かこのアマッ!」
「あ、リナ。あたしとミルガズィアさんとメフィは別の用事でエルフの村に行ってるから。きたかったら来なさい。そいつらかたずけたらね。」
とうとつにルナが言って、去っていく。
「うん。わかったー。」
ガウリイは、さっきからミリーナの指示で少しはなれたところで見ている。
「おうおうおうおう!やるってんなら手加減しねぇぜ!」
「そうね・・・ここじゃあ、他の人の迷惑になるから・・・開けた場所にいきましょ。」
リナの提案に、男どもは
「いいだろう。ついてこい。」
と、ちらちらと後ろを見つつ、裏路地に入り、案内する。

「ここでどうだ?」
言われた場所は、村の入り口・・・の街道だった。
「・・ま、いっか。」
何事かと見物人がきている。
「あーあ・・・・リナさん相手に喧嘩売るなんて・・・・なんて命知らずな・・・」
ゼロスが楽しそうに言う。
「ゼロスさん・・・言ってることと口調が一致してませんよ・・・」
アメリアがつぶやく。
「てめぇもやるか?え?」
聞きとがめたか、ゼロスのむなぐら引っつかんですごんで見せるやつが一人ー
「ほほぅ・・・では、あなたがたはたった一人の女性なら、すぐに勝てると思っていらっしゃるわけですね。」
「とーぜんだろ。」
と。
かきいいいいいいいいんっ!
鋭い音を立てて、男の背後で剣と剣がぶつかり合う。
「なんだ・・・?」
振り向くと・・・・エルフの若いの数人とリナが戦っていた。
「え・・・なんでリナさんがエルフに襲われるんですか!?」
アメリアが叫ぶ。
「あーっ!こいつ・・ここら一帯の中でも凄腕って噂の剣使いのエルフだぜ!」
誰かの叫びに、ゼロスとのほほんな会話をしていた(?)男が凍りつく。
「えやああああああっ!」
ぎぞんっ!
何しろ・・・そんな相手の剣をきり折ったのだ。リナは。
「なあ、ラッセルっていったっけか?・・・おまえ、魔道士なら攻撃呪文つかえるよな。」
ガウリイが、いつのまにかラッセルに話しかける。
「え・・・ええ・・・いいい一応・・・・」
「怖がるなって。じゃあ、火炎球か、爆煙舞つかえるか?」
「・・・はい。」
「じゃ、どっちかあいつらにぶつけてくれ。その後逃げようが何しようがいいから。」
少し戸惑った後、ラッセルは爆煙舞を唱えはじめる。
「・・・爆煙舞ぃぃぃぃっ!」
呪文を放つ姿勢ももはや逃げ腰である。
ガウリイは、その煙に紛れて、リナを襲うエルフに当て身をして気を失わせていく。
いくらリナでもエルフを殺すなんてしたくない。
だからこそガウリイがサポートする。
「サンキュー。ガウリイ。助かったわ・・・・」
「が・・・ががが・・ガウリイっ!?」
男達が慌てまくる。
「おー・・・どっかで見たとおもったら・・・たしか、いつも俺に勝負挑んできてとことん負けてたやつだっけか?・・・名前忘れたけど・・」
「おうっ!勝負だっ!積年の恨みっ!」
といって、いっぺんにかかってくる。
「とう。」
がいいいいいいいんっ!
リナに借りたショートソードで一人の剣の流れを変えて、もう一人に向かわせる。
どす!げす!がす!
『ぐえ。』
あっというまに剣のつかで殴り倒してしまう。
「あのな・・・・ぜんっぜん成長してないぞ・・・おまえら・・・」
ガウリイは、男達に向かってそう言った。
「少しだけ切れが鋭くなったけど・・・その分反応が遅い。それに、せめて相手の太刀筋を見る、くらいはした方がいいぞ・・・。」
まるで剣術指導をしているようだ。
「あ、それから・・・そこのエルフのにーちゃん。
  結構いい腕してるが、相手の攻撃がきたときにためらうくせはどうにかした方がいいぜ。
  魔族が相手ならその一瞬でやられちまうぞ。」
と、むくりっ!とそのエルフが起き上がる。
「そこまでいうんなら・・お相手してもらおうか。」
と、先ほどリナに剣を折られたので、仲間の剣を借りて構える。
殺気すらにじみ出ている。
「あー・・・手合わせは良いんだが・・・ゼル。剣貸してくれ。」
「何のつもりだ!おまえの腰にあるのは飾りか!?」
エルフの若造が叫ぶ。
「ばかねぇ・・・ガウリイが持ってる剣は、魔力剣なの!とっても切れ味がいい・・ね。それじゃ不公平だからわざわざ借りてるんじゃない。」
リナが馬鹿にした声で言う。
ま、リナに勝てないようじゃ、その上をいくガウリイに勝てるはずもないが。
「・・ほれ。」
ゼルが、気楽に渡す。
「さんきゅ。さあ・・・はじめようか?」
「ガウリイ!後一分以内に終わらせなさいよー・・・覇王一派の魔族がくるからー!」
エルが軽く注文をつける。
「わかった。」
と、ガウリイが返事をしているその隙にエルフの男が走り向かう。
「はぁっ!」
ぎちっ!
ガウリイがそれを受け、続く一挙動で・・・・
ざぎゅぎゅぎゅいんっ!
かなり耳障りな音を立てて、エルフの携える剣が縦真っ二つに割れる。
『おおおおおっ!さすがはガウリイ(さん)!』
と、その場のほとんどが言うと同時に、ガウリイがゼルに剣を投げ、斬妖剣を引き抜く。
リナも呪文の詠唱に入る。
ゼロスは・・・なぜかゼルガディスとアメリアの参戦の邪魔をしている。
「なぜ邪魔をするんです!ゼロスさんっ!!」
「それはひみつです♪・・・ルークさん。ミリーナさん。あなたがたは参戦して下さい。」
ミリーナは、ゼロスの頬を伝う汗を見て、うなづく。
ルークも気づいたらしく、同じくうなづく。
「ゼルガディスさん・・・アメリアさん・・・・・今回ばかりはあなたがたの手には負えませんよ・・・むやみに手を出すと、命を落としますよ。」
ゼロスは、ちらりとリナの方を見やる。
「・・・な・・・っ!」
そして・・・リナとガウリイの異常なまでの気に気づく。
「この・・・このオーラは・・・まさか・・・・・・・・!?もしや・・そうなのですか?!」
うろたえまくった声でエルの方を向く。
「・・・あら・・・気づいちゃった?・・・ルナがいなくてよかったわ・・・・ちなみにあんたもなんだけど・・・・それはまだ自覚してないのね・・・・」
その一言で、ゼロスは固まる。
「ぼ・・・・ぼぼぼ・・・・僕も・・・・・でせうか・・・・・?」
「お・・・・。ゼロスが錯乱している?」
ゼルが珍しそうに観察する。
「そう言われれば・・・・確かにこのところ僕自信の力が変だってのはわかってましたけど・・・」
(まさか・・・・混沌化しているとは・・・・!!?)
「それしか手がなかったのよ。ほら、この間あんたらのこと修正したじゃない。
  あたしも自分で自分を戒める規則を作ってて、それを破らないようにしてるのよ。それを破らないためにはそうするしかなかったのよ。」
エルがこともなげに言う。
「ぜ・・・ゼラス様にもシャブラニグドゥ様にもいえませんね・・・・・・これ・・・・」
ゼロスはしばし呆然としていたが・・・
「ま、いっか。僕は元々魔族の概念とはちょっと異端な概念持ってましたし・・・。
  これで自分の力があがったならまあ、ラッキーだということで。」
普通なら、『母上の力がっ!?そんな恐れ多いことできねーっ!』とかって滅びるんだが・・・
(さすがはあたしの選んだ奴ねっ!)
エルはその点ゼロスのことを気に入ってるらしい。
ゼロスからは先ほどまでの緊迫した表情は消え、余裕の笑みが浮かんでいる。
「・・・・・ちなみに、そのオーラ、魔族でも見えないから。」
ガウリイがぽそっとつぶやくと同時に、虚空から、高位魔族の団体さんが現れる。
「・・・・ゼロス!?なぜおまえがここにいる?」
「・・・・お久しぶりです。覇王グラウシェラー様。」
『な・・・っ!』
ゼルとアメリアが驚く。
「・・・・借りを返しにきたぞ・・・リナ=インバース・・・!」
「久しぶりね。グラウシェラー。・・・・・あれ?あんた、いったい誰引き連れてきたの?なんかしくしくしくってさっきからうるさいんだけど・・・」
「は・・・?・・・・て・・・・何をやっている・・・ノースト。」
「覇王将軍ノースト。覇王神官グラウ。そしてそれ直属の部下が2人ずつ。合計高位魔族が五人♪」
リナが上機嫌で言う。
「・・・なぜ・・・わかった?」
「何で・・・って言われても・・・ねぇ・・・ガウリイ。」
「なぁ・・・。知ってるもんは知ってるもんな・・・」
困ったようにいう2人。
(混沌化してると、精神世界が見えるのよねー・・・・そこであんたらがしゃべってたんじゃない・・・・)
リナが内心そんな事を言っている。
「・・・・おおおおおまえらっ!事態がわかってるのか!?高位魔族が五人・・・しかもそのうち一人は腹心の一人!?本気で相手する気か!?」
さっきまで倒れていたエルフの若造が叫ぶ。
「ケリナードさんのいう通りだ!」
ほかのエルフもそう言い出す。
「・・・じゃ、あんたらは帰りなさい。ついでに、ミルガズィアさんとメフィと、ルナって言う人にこのこと伝えてほしいんだけど。」
伝えたって意味ないだろうけど。
来たころにはもう戦いは終わっている可能性が高い。
「・・・・逃がすような相手か・・・・?こいつらが・・・!」
「大体・・・この気をキャッチしてすぐ来るさ!エルフの大軍がな・・・・!」
と、いきなり戦闘態勢を作り出す。
「・・・・・・・・・・ゼロス。」
エルのその一言で、ゼロスがぱっと動く。
「申し訳ありませんが、この戦闘には参加しないで下さいませんか?」
エルフ計4人の前に立ちはだかるゼロス。
「・・・・・ゼルガディスさん。アメリアさん。村の方々に被害が及ばないように結界でもはってて下さい。僕は知りませんからね。」
そんな事を言う。
しかし2人はリナとガウリイのもとにかけていく。
「・・ち・・・・・おいおまえら!ゼロスの言った通りにしろ!俺達はそこまで気がまわんねぇ!」
「あなたたちも魔族との戦闘経験あるんでしょうけど・・・ここはひいて。」
ルークとミリーナが2人を止める。
「そーいえばルークとミリーナも復活させたときに混沌化・・・・」
そのエルのつぶやきに、ゼロスが過剰に反応した。
「ええええええっ!ルークさんとミリーナさんもなんですかあぁぁぁぁっ!」
「ゼロス。エルフの相手をしてくれるのは良いんだが・・・・言動が不信だぞ。」
藍系の色の神官服に身を包み、黒い髪をなびかせて神官グラウが言う。
「グラウさん・・こっちにだって事情ってものがあるんです!それからグラウシェラー様!僕はどうなっても知りませんからね!
  たとえリナさんたちに滅ぼされようがとばっちりで魔族が全部滅びようが!」
かなりな問題発言を飛ばすゼロス。
「ゼロス・・・・・・・・・まさか・・・・まさかっ!?降魔戦争の・・・竜を滅ぼせしものっ!?」
「ちっちっち・・・・。そう言う猛々しい二つ名はあまり好きじゃあありません。」
「呼ぶなら、『生ごみ魔族』とか、『パシリ魔族』とか、『後ろ姿がゴキブリ似』とか呼んであげて!」
リナがとーとつにエルフに向かって叫ぶ。
「りぃ・・・なぁ・・・・さぁぁぁぁぁあん!」
ゼロスが思いっきり恨めしそうな声をだす。
「パシリ魔族とかはまだしも!後ろ姿がゴキブリ似とか・・・ましてや生ごみ魔族っていうのはやめてくださいっ!!」
半泣き状態で言う。
「なあ・・・こいつ・・・ほんとにあのゼロスなんだろーか・・・?」
エルフの若者がひそひそと話しはじめる。
「・・・・リナさんのいぢわるっ!」
言って、地面にのの字を書き始める。
「あ・・・いじけはじめた・・・」
エルが言う。
「・・・ゼロス・・・悲しすぎるぞ・・・おまえそれでも高位魔族か・・・?」
「あの・・・・覇王様・・・そろそろ戦いませんか?」
覇王将軍ノーストが悲しく聞く。
「・・・ゼロス。取り合えずそのエルフの足止めちゃんとしといてね♡」
エルがなにげに語り掛け。
「はい。」
即座にゼロスが立ち直って戦闘態勢に入る。
「・・・・?何者だ?」
覇王が訝しがるが・・・
エルが・・・
「口外無用よ。ゼロス、リナ、ガウリイ、ルーク、ミリーナ。」
『おうっ!』
ちょっと冷や汗垂らしつつ了解する。
「・・・ゼロスの契約主か・・・?」
勘違いも良いところである。
「ま、そういうことにしといて。」
「そんな・・・とんでもありませんっ!」
ゼロスがわめくが・・・
「じゃ、契約。あたしとリナインバースの警護。あたしが帰るまでね。その間あんたは不死身。」
と、エルは懐から契約書を取り出す。
「はひ・・・・」
冷や汗かきつつサインするゼロス。
「はい、これであたしはあんたの契約主。」
このやり取りは、グラウシェラーには死角(?)になっていたらしい。
「・・・・とにかく・・・・・いけ!」
と、海王神官配下の魔族2人がリナとガウリイに、
海王将軍配下の魔族2人がルークとミリーナに向かう。
「混沌の矢っ!」
ばしゅううううううううんっ!
きしんだ音を立てて、虚空から闇が埋まれ、矢を形作る。
「GO!」
数十の矢が音もなく海王神官に迫る!
そのリナの術とともに何とガウリイが呪文を唱えながら突進する。
「・・・?このような矢が通じるかっ!」
2人とも、リナの術を侮り、ただ結界をはっただけで終わる。
矢が結界に触れようとするそのとたん。
「ブレイクッ!」
リナが命を発し、それとともに、覇王将軍の配下2人がのけぞる。
虚空をわたったのだ。
『崩霊裂っ!』
と、ルークとミリーナの放った術が海王神官配下のうち一人にもろに直撃する。
おおおおおおおおおおんっ!
吠えて、崩霊裂を破ろうとするが・・・
残念ながら、これは混沌の力が上乗せされて発動している。
高位魔族三名が、あっさりとエルの腕に散り行く。
・・・ま、比喩だけど。実際にはエルは混沌の一部にすぎないから。
「魔空斬!」
ガウリイが呪文を放ち、剣を横凪に振るう。
振るった先には海王神官の配下残り一名!
「くっ!?」
慌てて精神世界から移動するがー・・・
ざすっ!
「ば・・・か・・・・・・な・・・・・・・・っ!?」
ガウリイが、一緒に移動した空間ごとそれを切る。
呪文の効果である。
「・・・つ・・・・つよ・・い・・・・・」
エルフの若者がぼやく。
「いったい・・・なにがあったというの・・・・?」
と、ミルガズィアさんとメフィとルナが到着していた。
そういえば、分かれてからそんなにたっていないから、早くて当然かもしれない。
「おや。ルナさん。ミルガズィアさん。メンフィスさん。お早いおつきですね。」
ゼロスが緊張感のない声で言う。
「・・・なぜ・・・・高位魔族四人が・・・たかが人間ごときにっ!?」
ノーストが慌てまくる。
「・・・あれ・・・?きちゃったの?ねーちゃん達。」
リナがまるっきり余裕・・・とまでは言わないが、気楽な声を出す。
「どういうことだ?人間の娘よ。」
「俺達も教えてほしいんだがな。」
ミルガズィアさんとゼルガディスが言う。
「・・・話は後よ。で・・・どうするの?覇王グラウシェラー。
  このまま混沌に行くか、あたしが死ぬのを待って世界を滅ぼすのにいそしむか。」
「・・・・グラウシェラー様・・・」
グラウが、リナ達をおびえの目で見ている。
「あのもの達の力・・・・まさかとは思いますが・・・・」
「あれ?今ごろ気づいたんですか。グラウさん。」
ゼロスがのんきに会話に割り込む。
「僕の仕事はあそこにいらっしゃる方とリナさんの警護なので、リナさんが危なくなれば、僕はあなたがたとでも戦いますよ。」
「・・・獣神官。その娘に関わるなとの命令を忘れたか?」
「そっくりそのまま返して差し上げます。」
しばし、ゼロスとグラウがにらみ合う。
「ゼロス。貴様何を知っている?」
「・・・知りません。こっちが聞きたいくらいです。僕はただリナさんたちとのたびを楽しんでるだけです。」
「狂ったか?ゼロス!」
「・・・・・・・・・・・・・うーん・・・・確かに・・・・・狂ってるんでしょうか・・・?」
いきなり悩み出すゼロス。
「・・・ゼロス。悩む必要はないわよ。あんたはそういう風になるように作られてるんだから。
  ・・・暇だったから変わったの作ってみたくなってさ、いじくったのよ思考回路。」
エルがまたさらっと言う。
「・・・そうなんですか・・・・。で・・・どうなさいますか?覇王様方・・・・」
「・・・・・・・・覇王グラウシェラー!この私の顔を立てて引きなさい。引かない場合・・・あたしが直々に滅ぼす!」
エルが高らかに宣言する。
と、リナ達は戦闘態勢を解き、覇王達の動向を見守る。
「たかが小娘に指図されるいわれはなー・・・・・・・・・・・・・・・あ。」
覇王の言葉が途中で止まる。
「・・・・お気づきになったでしょうか・・・・?この方がいったい誰なのか。」
覇王は、いきなり敬礼すると、
「申し訳ありませんっ!すぐに帰って本来の仕事に専念しますっ!」
という。
「ちょーっと引っかかるけど・・・ま、いいわ。行きなさい。」
「失礼しましたっ!」
言って、いきなり虚空に溶け消える。
「あ!覇王様っ!?」
「待ってくださいっ!どういうことですかっ!?」
神官と将軍も後を追う。
「・・・・・やっぱ、ひくわよね。エルにああ言われちゃ。」
リナの言葉は風に消える。

13につづく