それでは第二話、レッツゴー!
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「わかりやすい みち」2
華麗に踊りつつ、エルはひたすら踊り続けた。
もう、他に気絶していない者(存在)はいないというのに・・・
なぜか曲がかかったままだが、それは未だ分からぬ謎である。
朝になって。やっと踊りをやめたエルが気づき、通常の空間に戻った。
「これ・・・お詫びの代金ね・・・・。」
「はひ・・・・・。」
ダルフィンと宿屋のおっちゃんが涙を流しつつ、会話をしている。
「なあ・・・こいつ、傷ひどいぞ。」
ガウリイがSを気遣っている。
「一応天敵なんだけど・・・確かに哀れだし・・・・どうしよう。」
「・・・・・・しくしくしく・・・・・・・・」
「ええいっ!泣くなうっとおしいっ!」
どがっ!
ぽてり。
『あ。うでとれた。』
「そんな時には迷わずこれっ!どんなものでもすぐくっつけるっ!瞬間接着剤っ!」
「あら、べんりそうね。」
いつのまにか現れたあおづくめの人物。
「あれ・・・・ゼフナ。どうしてこんなところに・・・・?」
ガウリイの知り合いらしい。
『ガウリイがひとのことおぼえてたっ!』
驚く一同。
「まあ・・・単純な名前だからだろうけど・・・・。」
リナの冷静な突っ込み。
「がうりいっ!?・・・・。そっか。知り合いか。なら、取り合えずこのうでくっつけちゃえ♪」
にゅるひ。
ぐちょ。
ぴたっ!
「あ。ほんとにくっついた。魔族にも有効なのかしら・・・・?」
エルの素朴な疑問。
「ま、いいや。もう帰っていいわよ。」
「はい・・・・・・(涙)」
これにて部下S退場と相成った。
「ところで・・・・おまえら、ガウリイのなんだ?」
とうとつに、ゼフナが言った。
「なに・・・って。ガウリイの被保護者、自称されてるけど。」
「私はただ楽しいからついてきてるだけ。」
「ガウリイさんとはいろんな方面でお世話になってます。」
「おもしろそうだから一緒にいるだけ。」
リナ、エル、ゼロス、ゼラス。
「光の剣は、どうした?」
ぴぴぴくうっ!
その一言に、5人はいっぺんに硬直した。
もっとも、エルが硬直する理由はないのだが。
その場ののりらしい。
「あ・・・・その・・・・なくした。」
「ちょっと魔族とごたごたあって・・・・元の持ち主が持ってったのよ。」
「元の持ち主・・・・!?それこそおかしいっ!持ち主はガウリイの父親のはずだっ!
って・・・あああああああああああああ。なにやってるんだあああああああああっ!」
気づいてみれば、いつのまにか。リナとガウリイは食事の争奪戦に入っていた。
「あっ!おれのにくっ!・・・・・ならこれでどうだっ!ていっ!」
「なにすんのよっ!?あたしのいとしいロースハムさんをっ!とりゃっ!」
「あーっ!・・・・じゃあ二段攻撃フェイントつきっ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ひとのはなしを聞けぃっ!!」
『うるさいそこっ!』
っぴすっ!
とたたたたたたっ!
その場に合った爪楊枝が、竹串が、ゼフナの横をかすめていく。
一発目は確実にゼフナに当て、
二発目以降のいきおいで、ゼフナは壁に縫い付けられた。
「えっと・・・ゼフナさん、でしたっけ?食事中手を出すなんて・・・魔族でもやりませんよそんなこと。」
「・・・・・。どうします?エル様。」
ゼラスの問いに、エルは、
「ほっときましょ。取り合えず私達も食事。」
「先ほどたっぷりいただきましたが。・・・・・お客やゼロスから・・・。」
「それもそうね。Sの負の感情もなかなかだったし。でも、食べれるもんはたべときましょ。」
「そうですね・・・・。」
ゼロスも同意し、三人もテーブルについて軽く料理を注文する。
「おひ。たすけてくれないのか?」
ゼフナがいう。
「助ける義理はありませんし。僕には直接関係ないことですからねぇ・・・・。」
「お役所仕事・・・。ま、筋はとおってるわね。」
「実はリナさんたちが恐いだけですけどね。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おいおい。
「ゼロス・・・本気で言っているの?」
「ゼラス様は御存じないかもしれませんが・・・リナさんはきれると手が付けられないんですよ。もちろん、ガウリイさんも。
リナさんはあてるといったらあてるし、滅ぼすといったら滅ぼすお人なんですよ。」
「まあ・・・・わたしににてるし・・・・そうかもね。」
しゃれにならないことをいうエル。
「ガウリイさんは、本能で、アストラルサイドに潜り込んでくるような人ですから。
はっきり言えば、S様が勝てないのもわかる気がします。」
「・・・・それは・・・まあ確かに恐いかも・・・・ま、いっか。今はかんけーないし。」
ゼラスは、その一言でかたづけた。
「そですね。」
ゼロスもあっさりかたづけた。
「あーくったくった。」
「そうねー。あ、そうだ。で、なに?ゼフナさん。」
やっとのことで壁から離れたゼフナにリナがいう。
「だから・・・・。ガウリイの父親が光の剣の所有者だったのが死んで・・・次男のガウリイが勝手に持ち出したんだ。」
「ええっ!?ガウリイさんがそんな知恵働かすようなことしたんですかっ!?」
「しかもせいこうしてるしっ!?」
ゼロスとリナの声にがうりいは
「おまえらな・・・・・」
「いや・・・それより。今戻ったら修羅場になるぞ。
おまえの兄のフェイルや弟のライリイはともかく・・・・一族のほとんどがおまえの敵だといっても過言じゃない。」
「あなたは?」
リナが、先ほどまでの、少女の顔ではなく、修羅場を潜り抜けて来た目で、いう。
「オレは、ガウリイの味方さ。」
「・・・・ゼフナは、幼なじみなんだ。親が、うちによく出入りする商人でな。」
ガウリイが、いう。
そこで、エルはぴんと来た。
「リナ。リナ。貴方の家も商人でしょ?なら、名字聞けば、有利になるとかあるかもよ。」
「なるっ!ナイスアイディアっ!」
ひそひそと言葉を交わし、
「ゼフナさんの家、なんていう商家名?」
「うーん・・・・ゼフィーリアにも支店だしてるはずなんだ。」
ガウリイの言葉に、リナは内心ガッツポーズを取った。
「・・・・・レディック商会・・・って名前だが・・・・?」
ゼフナの言葉に、リナは、すぐに記憶を探った。
「レディック商会ってぇと・・・・ゼフィーリアでも、まあまあな規模のところね。
ゼフィーリア支店長が、過去、うちのかーちゃんによって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
そこで、言葉が途切れる。
「なんか、かわいそうになってきたから止める。思い出すの。」
「なんとなく予想はついた。」
ガウリイも、青ざめていう。
「・・・・・・・・・・?まあ、とにかく、やめておいた方がいい。」
「ミプロス島。昔からある島で、数年前まで閉ざされていたのに、霧が晴れて行き来自由となった。
エルフの村があるとのもっぱらの噂。温泉が有名。
この時期になると、フェアリーソウルが出てきて、すばらしい眺めのため、お祭りが開かれる村もある。」
ゼロスが、ガイドブックをひきだしてきて、しゃべった。
「・・・ラウディさんとメリルーン・・・か・・・・」
リナが感慨深そうにぽそりという。
「ガウリイの一族って、エルフとの混血なんでしょ。」
「なん・・・っ!?部外者がなんでそんなこと知ってるんだ!?」
ゼフナは叫ぶ。
しかしリナは取り合わず、
「太古の昔、エルフの村祭りの日。一人の魔族がデーモンとともに現れ、殺戮をしようとした。
しかし、そこに現れた、光の剣を持った少年が、一人の強力な天才(天災?)美少女魔道士とともにこれを倒した。
実は、その少年とエルフの娘の一人は、恋に落ちていた。・・・・・・・・・・・ミプロスの遺跡に伝わる、光の剣の一族の記述ですね。」
ゼロスがまたもや、解説する。
「前に、行ったことがあったんですか?」
エルは、事情を知っている。ゆえに、おかしくってたまらない。
「くくくくくくくくく。」
「ちょっとエル・・・・恐いわよ。」
「ごめ・・・・でも、おかしくって・・・・・くっくっく・・・・。」
「わからなくもないけど・・・・・・」
ゼフナは、先を促した。
「つづけてくれ。行ったこと、あるのか?」
「あるわよ。もちろん。エルン・ゴーシュの遺跡でしょ?」
「・・・なるほどな。ま、すぐに推測できるよな。よく考えてみれば。」
その強力な女魔道士とは、リナのことだったりするのだが・・・。
「とにかく・・・お祭りならいかなきゃね。」
リナは心底嬉しそうである。
「・・・・・?だから、危険だって・・・・」
「だいじょーぶよ。このあたしが、そんなお家騒動なんかでやられる分けないでしょ。」
ゼフナの反論をさえぎって、リナが言う。
「・・・・オレは、リナが暴れて村がつぶれる方が心配だな。」
ガウリイがのほほーんという。
「同感ですね。ま、リナさんは過去に、アトラス魔道士協会の権力争いや、セイルーンのお家騒動を解決なさってますからね。大丈夫でしょう。」
「剣の腕も、うちの一族に負けないさ。・・・・・・・あの特訓受けたらな・・・・・・・・」
なにを思い出したか、ガウリイとリナの顔が青ざめる。
「まあ・・・・そこまでいうんなら・・・・・」
「あ、そういえば、自己紹介まだだったわね。」
「ゼフナ=レディックだ。」
「こっちは言うまでもないでしょうけど、脳みそクラゲのガウリイ=ガブリエフ。」
「あのなっ!・・・・あ、今オレ、こいつの自称保護者なんだ。」
「被保護者兼財政管理兼パートナーのリナ=インバースよ。」
「っえっ!?どらまたリナっ!?」
すぱああああああん!
「それはともかく。そっちの黒いのは自他ともに認める謎の神官。」
「ゼロスといーます。よろしく。」
「んでもって、そっちの金髪の短い方が、ゼロスの上司のゼラス。」
「お初にお目にかかります。」
「長い方がエル。あんまり失礼なこと言ったら命の保証はしないわ。」
「全員に関して言えるな。」
ガウリイの余計な一言に、エルとリナのアタックが決まる。
「ま、そういうことだから。」
「はぁ・・・。あ、そういえば、うちの村の祭りに、ゼフィーリアでお世話になってるとかで、インバース商会の一家が来られるとか。」
『んなにいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?』
ガウリイとリナが叫んだ。
「そそそそそっそれはほんとかな?!」
「全員か?全員来るのか?」
「なんでも・・・エルフと竜の一族に招待されたとかで。ほんとかどーかは知らんが・・・・」
「うああああああああ。ねーちゃんが来るぅ・・・・。」
「ってことは・・・・リナのとーちゃんは、ルナさんの変わりにバイト・・・かーちゃんはしごと・・・・?」
白い顔をさらに蒼白にしてリナは頭を抱える。
「しっかし・・・・ルナさんがバイトをおしてまで来るとはなぁ・・・・」
ゼフナは首をかしげる。なぜそんなに驚くのか・・・・と。
「リナさんの御家族なんですよ。ルナ=インバースさんは、お姉様だそうです。」
ゼロスが、ゼラスにかゼフナにかエルにか説明する。
「ついでに言えば・・・・赤の竜神の騎士です。・・・・・・・・・はっきり言って人じゃないですあれ。」
「ゼロスあんたなんてことをっ!?ねーちゃんをあれよわばりするなんて!?」
「人生投げたも同然だぞっ!?成仏しろっ!?」
どうやらあまりのことに錯乱しているらしいガウリイを見て、
「・・・・?そんなに恐い人なのか・・・?美人の気のいい優しい人だって聞いたけど・・・・。」
「そりゃ・・・・普段は優しくって、頭よくって、あたしの自慢のねーちゃんだけど。」
「美人だしなー。結構気さくだし。・・・・普段は。」
ゼフナの疑問に、リナとガウリイが返答する。
「なんだそりゃ・・・?『普段は』って・・・?」
ゼロスは、はっきり言って気さくなルナなど見たことはない。
そっちの方がゼロスにとっては衝撃的だった。
「や・・・優しくって気さくですってっ!?あのかたがっ?!」
「あ・・・そっか。ゼロスはそーゆーとこ見たことなかったっけ。」
「近所の野良猫に毎日えさやってるんだぞ。犬にも。街の人達も困ったことがあったらルナさんを頼ってくるし。」
「それって・・・気さくで優しいっていいませんよ。」
「うん。でも、普段はとってもいいおねーちゃんなの。」
「普段は・・・・・な。」
エルは、時々面白半分に覗いていたから知っているらしく、さっきから腹を抱えて笑っている。
「・・・ねーちゃんは、まず、機嫌が悪いときや怒ったときはものすごく恐い。」
「知ってます。ええ、そりゃもう。この身をもって。」
「ゼロス性格壊れてきたな。・・・あと、そのほかで普段と違って厳しいことってのが一つだけあるんだ。」
さらりとなにかひどいことを言うガウリイ。
「今ガウリイの口から何か・・・・?・・・・とにかく、デーモンたちが出たときか?」
ゼフナが聞くが、
『まっさかぁ。あの人がデーモン程度にてこずるわけないじゃない(か)。竜将軍くらい笑ってどつき倒せるんだから。』
ハモったせりふに、ゼロスがひくつく。
「そ・・・それは的確な表現で・・・・・。」
「うん。竜破斬だってあっさりふつーの剣ではじくし・・・・剣でガウリイが勝てなかったのよ!?
まあ・・・・延々5時間戦ってたのはガウリイがはじめてらしいけど。」
『ガウリイ(さん)に!?しかも5時間っ!?』
ゼロスとゼフナの声がはもる。
「いやー。あの時はつらかったなー。次の日からだが鈍くなっててくいっぱぐれそうになったときは死ぬかと思ったよ。」
−そっちか。そっちで死ぬのか。
「で・・・・どういうときなんですか?」
「・・・あたしに関すること・・・特に、命や、世間での世渡り関係で・・・よ。」
裏を返せば、ただ単にシスコン(言い過ぎ)。
しまいそろってシスコン。意味はだいぶ違うけど。
「・・・・へ?」
「たとえば。あたし、毒の味が分かるようにねーちゃんにとことん仕込まれてるけど・・・・
それが始まったのは、確か、あたしが毒盛られて死に掛けたのから一週間後だったし・・・・」
「俺といったときの剣の稽古は、『ズーマだの何だのの動きについていけなくって、ガウリイにばっかり任せてたのが悔しい。』
とかってリナが言った後だったし。」
「料理だのベッドメーキングだのとかは、どこにでも順応できるようにって教えられてるし。」
ゼロスは、理解した。赤の竜神の騎士の最大の弱点を。
しかしそれは、暴走装置のスイッチでもあるのだ。
すなわち・・・妹、リナ=インバース。
(これは・・かないませんねぇ・・・。結構本気で魔族に誘おうかと思ってたのに・・・・。)
「・・・とにかく、しゅっぱつしましょ。」
「そうね。」
エルの鶴の一声(?)で、全員が歩きはじめた。
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が・・・ガウリイのキャラがちがふ・・・
ごめんなさい・・・・。
ま、とにかく、ちょくちょく進めていきます。みてやってください。
それでは、また♪
注:このお話は、もろに「わかりやすい
神託」の続き物です。