『わかりやすい神託』3


「検問やってますねぇ。」
ゼロスが言った。
確かに、検問をやっている。しかしリナは取り合わず、
「こっちよ。あっちの門は一般人が入るの。こっちの小さい門から入れば顔パスよ。」
「あー。あれか。城の通行証見せるやつ。」
リナとガウリイは、ねーちゃんのお願い(命令)でデーモン討伐遠征に付き合わされ、その時に気に入られて通行証をもっていた。
−よく覚えてたなー。脳みそクラゲ男。
「あなたたちのこともちゃんと通してくれるわ。普通はだめなんだけど・・・ね。」
「じゃあ、賄賂でも使うんですか?」
「まさか!ちがうわよ。あたしがインバース家の人間だからよ。」
ゼロスが言った言葉にリナは慌てて首を振る。
ゼフィールシティの中で、インバース家を知らない人はいない。
悪い意味でもいい意味でも。
「・・・?ご両親、城の官僚か何かなんですか?」
メフィが聞く。
「違うわ。商人よ。特にねーちゃんが有名なのよ。実際、ゼフィールシティにはそんなにデーモンは発生してない。
  周辺の町とかむらにはよく出没するって話だけどね。」
「なんの関係があるんですか?」
「あれ?わかんない?メフィやミルガズィアさんにはわかると思ってたんだけど・・・。ゼロスは知らないみたいだし。」
「・・・・・・・・?」

検問を難なくパスして市街地。
「そろそろお昼とりましょっか。『リアランサー』いくわよ。」
「なあ、ほんとにいくのか・・・?リナ・・・」
ガウリイが言う。
「いきたくないけど・・・仕方ないじゃない。・・・・あ、あった。あの店よ。」
そういってリナは一つの店を指差した。
「・・・?異様に客が多いな。」
「なにいってんの。ミルガズィアさん。あれでもまだ少ない方よ。」
「ま、行ってみますか。」
ゼロスがそう言ったらすぐに。
「ゼロス。あんたのことは少なくとも1週間は覚えてるわ。」
「成仏しろよ。」
リナとガウリイが口々に言った。
「・・・?」

「昼食セット7人前とキャベツの千切り一つ、水を三人分お願いしまーす。」
「はーい・・・ってリナじゃないの。自分でやんなさい。」
「わかってるって。あ、フィリアは知ってると思うけど、このひと、うちのねーちゃん。名前はルナ。」
「あら珍しい。ひとまずフィリア。話を聞くから。リナ!あんたわたしの変わりにバイトやってなさい!」
「はーい。」
なぜかガウリイもリナを手伝う。
「それじゃ、僕たちはあっちで食事してますね。神託のことはわかってますから。」
ゼロスとヴァルが席を立った。

「ああ。それ、リナの言ったまんまよ。わたしがいくわけにもいかないわ。」
「え?どういうことですか?」
メフィが問い返す。
「赤の竜神の騎士であるわたしは行ったらかえって力が大きすぎてだめってことよ。」

「ええええええっ!?」

「赤の竜神の騎士っ!?・・・どうりで、海王神官がかえってこないわけです。」
ゼロスまでもが驚いている。
メフィとミルガズィアさんは石化。
「あ、そうそう。獣神官ゼロス、そしてヴァル。
  あなたたちね・・・こっちで真剣な話してるんだから、ゆっくりお茶すすってないでしごとしなさぁいっ!!」
ねーちゃんのアッパーがまともにゼロスとヴァルを捕らえた。
「しかもっ!こんなところで大声なんて出すなぁーっ!」
今度はエルボ。
「命知らずなやつ・・・。客がいつもよか少なかったのって、ねーちゃんが不機嫌だったからなのに・・・。」
「早く言って下さいよぉ・・・。」
さらにねーちゃんにはたかれているゼロスの消え入りそうな声が聞こえたような気がした。

二人は全治二日(回復魔法を使っても)のダメージを負った。
ちなみにゼロスは二日間、報告と療養のために獣王のところへ戻っていた。




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・・・出ましたね。
くにのねーちゃん。
やっぱり・・・書きにくかったなあ・・・この回。
ねーちゃんの性格どうしよーかなーって。
ちょっとどう思われます?そこのお嬢さん。
ゼロスはなんかやられっぱなしですねぇ・・・(汗)
そのうち活躍してくれます。
それでは、できればミスなど指摘してやって下さいな。