管理人より:
とりあえず、おまけは先に打ち込みして、その後に許可得てる。
という、何かかなり違う、と自分でわかってる方法をとってる私です・・・
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アメリアの恋心 第13話
いい加減、仕事のストレスが溜まったとかで、ゼルがガウリイを連れて剣闘場に行ったのは、うららかな昼下がりだった。
ガウリイも、身体が鈍ってきたと意気揚揚と出かけるのを見て、あたしは胸を撫で下ろす。
これで・・・
これで、しばらくはノンビリできるぅぅぅぅぅぅ!!!
そういうわけで、あたしとアメリアは、久しぶりにノンビリと茶をシバいたりしていた。
「それにしてもリナさん、毎日大変そうですね。」
アメリアが、ニコニコと笑う。
「ふっ。それを言わないでちょーだい。」
日々繰りかえされるあたしとガウリイの鬼ごっこは、最終的にあたしが負けるはめになる。
仮に勝とうものならば、それ以上に長い長い事が待っている!!
ううっ、ゼル・・・・
ガウリイの足腰が立たなくなるまで、しばき倒してやれ!!
お願い。
「いいじゃないですか、それだけ愛されてるってことですよ。」
「そーはゆーけどね!まる3日も部屋に閉じ込められてみなさいよ!!こっちだって身がもたないわ!!」
そうなのである。
一度、決死の思いでガウリイから逃げ切り、
ほくそ笑んでいたあたしを見つけたガウリイは、あたしを三日三晩離さず、その間あたしはほとんど眠る事さえできなかった。
いやもう、最期の方とか意識なかったし。
都合の悪い事に、あたし達の借り受けている掌客殿とやらは、やたら設備が充実していて、
はっきり言って外に出る必要なんてないのだ。
ご飯だって、頼めばいつでもすぐに持ってきてもらえる。
そんなもんだから、あれ以来あたしは諦めの境地というものに至った。
「そーゆーあんたは、いつも元気よね。」
グッタリしているあたしとは反対に、アメリアはいつも通り元気である。
旅してるときも、あたしもフィリアも気がつかなかったくらいだし、別にいたって普通。
「もちろんです!!それがわたしの取柄です!!」
何だ・・・よくわかってんじゃん。
「それに、ゼルガディスさんはちゃんと加減してくれますもん♡キャッ♡」
・・・・・。
いや。
キャっとか言われても困るんですけど。
ガウリイは、やたらとあたしの肌に跡を残す。
それも見えるとこばっか///
が、アメリアといえば、いつも髪の毛に隠れて見えるか見えないかのところに1つだけ。
うーん。
なんか、ゼルの性格が出てるなぁ。
ガウリイ!ちったあゼルを見習え!!
よくよく考えれば、ゼルはアメリアの負担になる事は絶対にしないだろう。
実は、別にたいして加減なんかしなくても、よほどゼルがその気にならない限り、
朝になればアメリアはピンピンしているのだという事を、あたしは知らない。
あたしは、アメリアが超合金でできている事を、すっかり忘れていた。
どっちにしたって、夜まともに寝させてもらえるだけマシとゆーものである。
「まあ、父様も毎日お疲れだからね。ほどほどにしとかないと身体がもたないんじゃない?
何てったって母様のフォローで毎日かけずり回ってるんだし。」
お茶菓子片手にやってきたのは、ユエリアである。
アメリアのフォロー・・・。
アメリアの正義かぶれは昔かららしく、それが時々自分本位に解釈される事もまた昔かららしい。
ちょこっと覗いた会議の席で、延々正義の口上を続けるアメリアの最終的な台詞は、
「ゆえに正義は我にあり!!」
である。
どーして、
「この役立たず!言い訳はいいからとっとと仕事せんかい!」
とシンプルに言えないのだろうか。
別に、あたしが困るわけじゃないけどさ。
とりあえず、そんなアメリアを放っておいて、サクサク仕事をしているゼルの哀れなこと・・・
ゼル!
あんたの両手に、セイルーンの未来もかかっている!!
グレイシア王女とやらが、まともであることを祈ろう・・・
「何ですか、その言い方は!!」
「じゃあ、母様?ちょっとも父様の仕事を増やしてるとは思わないの?」
「うっ。」
何だ。
一応、自覚はあったんだ。
「それよりユエリア。あんたはゼルとガウリイの遊びとやらは、見に行かなくていいの?
ユーシアとパールは大はしゃぎだったけど?」
お父様の剣技が拝見できるわ♡とか言って、飛び出していった二人の少女が目に浮かぶ。
「ああ、いいんだよ。どうせ、僕なんかじゃ父様の剣線なんて見切れないし。
ガウリイさんも相当な使い手なんでしょ?もともと僕は暗器専門だしね。」
あっさりと言うユエリアに、
「何を言ってるんですか!努力を怠らなければ、いずれ何とかなるもんです!
暗器などというあこぎな武器を捨て、正々堂々と剣を持つのが正義というものです!!」
と、アメリアは拳を握り宣言する。
まあ、暗器はね。
別に、あこぎってわけでもないと思うけど。
暗器とは、いわゆる隠し武器というやつで、靴底にナイフが仕込んであったりとか、どこから何が出てくるかわからない、
基本的に、いざ尋常に勝負、とかではなくて護身を目的に発達した武器の種類なのだ。
「努力なんて、何億年もしたってば。だいたい、僕が父様とまともにやって勝てるようになると思ってるの?」
「そんな事あるわけありません!ゼルガディスさんは宇宙一です!!」
おいおーい。
言ってる事が滅茶苦茶だぞ、アメリア。
目をハートマークにしたまま、どっかの世界に行っちゃってるし。
ユエリアも、溜息をついている。
「リナさん・・・よく仲間ってだけで、あの人に付き合ってられるよね。」
「あたしも、あらためて自分の懐に広さに感心しているところよ。」
あたしは迷わず、そう答えた。
それにしても。
「前々から聞きたかったんだけど、あんた達ってさ、結構あの2人の事言いたい放題言うわよね。」
かなり的を得てるし、別にアメリアとゼルの事だからいいのだが。
「まあね、長い付き合いだし。もちろん好きだし、尊敬してるし、
父様と母様ほどの人っていないと思うけど、性格はどうかと思うよ。
父様もクセのある人だしさ。あんな人たち見てるとさ、普通の相手じゃ物足りなくてさ。
おかげで僕達みんな、まだ一人やもめなんだよねぇ。
一応パールとユーシアは恋人がいるんだけど、いろいろ問題があってさ。父様と母様には内緒にしといてね。」
あたしは、ふと思う。
「あんた達って、みんな好き勝手に姿変えられるんでしょ?いったい幾つなの?」
少し考えて、ユエリアが言う。
「年齢の事?うーん・・・考えるのも馬鹿らしいくらいかな。何百兆歳ってくらい。
ちなみに、父様たちとはほとんど変わらないよ。100歳や200歳くらいかな?
ほら、あの二人ってさ、相性いいのか知らないけど結構ぽんぽん子供作るじゃない?
一応、父様的には気をつけてるらしいんだけどさ。恋仲になってあっという間に僕たちができたらしいよ。」
・・・・・・。
あんた達・・・。
大昔から、おんなじ事してたんかい?
ってゆーか兆?
いったいどれだけ生きてるんだ?
「僕たちはさ、滅ぼされない限りは存在し続けるから、年齢ってあんまり関係ないんだよ。ほら、ゼロスさんだってそうでしょ?
僕たちを滅ぼせるほどの力を持った存在って事になると、ユニット様か父様しかいないんだけど・・・
父様と母様はユニット様のお気に入りだから、それ以上の存在なんて創らないしね。
だから、僕たちは永遠をたゆたっていなければならないんだ。終わりのない生って馬鹿らしいと思うかい?」
「どうかしら?この間まではそう思ってたけど、あんた達が幸せなら別にいいと思うし。あたしならねらい下げだけどね。」
ユーシアが意味ありげに笑った事に、あたしは気がついていたけれど、
かと言ってそれを問いただしても、何も教えてもらえない事がわかっていた。
なぜかわからないけど、わかっていた。
パタパタと、あたし達を見つけて、ユーシアとパールが駆けてくる。
何か、話したい事があるのだろう。
おそらくリナには言えない事が。
俺が何かを知っている事に、ゼルガディスは気がつかないほど鈍くはない。
それを確認する為に、ここに呼び出されていた事がわかっていたから、
特に何も言わず、リナを探す事をやめて、俺はゼルについて来た。
リナのためにならない事を、こいつがするはずはない。
どんな理由があろうとも、そんな事をすればアメリアが泣くのはわかっているから、
理性がそれを求めても、ゼルガディスは本能でそんな事をしない。
別の手段を考える。
昔からそういう奴だった。
それが、リナの為でなくアメリアの為だから、俺はゼルとリナが親しくする事を認めていられるのだ。
好きな獲物を選べと言われて、俺は先日リナと購入した剣を選んだ。
ゼルは、愛用していたブロードソードと同じものを具現させている。
それで、全てがわかったように、ゼルガディスは剣を構える。
あちらの世界で購入したもので、ゼルの精神刀とまともにやれるわけはない。
それでもまともにやれる事がわかっているから、ゼルは剣を構えたのだ。
「念のために言っておくが、手加減はしないぞ?いい加減、溜まってきてるのも事実なんでな。」
ゼルがニヤリと笑う。
「力使うのは勘弁してくれよ。まだ完全に回復してるわけじゃないんだ。」
「むろんだ。」
その言葉が合図となり、俺達は肉薄した。
言葉道り、ゼルは剣を具現する事にしか力を使っていない。
俺は自分の剣を、ゼルの精神刀と同じだけのレベルに調節する。
もともと、剣技だけなら俺が上。
だが、ゼルとてかなりの使い手であることには違いないし、俺が本気でやりあえる数少ない男であることにも違いない。
距離をとって相手の出方を伺っていれば、いつまでたってもケリはつかない。
所詮は遊びだ。
お互い容赦なく切り結ぶ。
澄んだ音が度々響いても、お互いの剣は当然ながら刃こぼれ一つしない。
だが、ベースが普通の剣である分、俺の剣の方がもろい事は確かである。
そして、ゼルがそれを狙っていることもわかる。
なぜなら、これから先、あってはならないものだからだ。
数十度と剣を交え、そのとたん、ゼルが翳した手から、物凄い衝撃が発せられる。
シールドを張らなければ、今の俺ならば簡単に消滅してしまうほどの。
「やはりな。」
「わかってたんなら、こんな手荒な事はするなよ。」
「確証はなかった。旦那はよほどのことがない限り、手の内を見せないからな。
まあ、たまにはリナに安眠する時間もやりたかったが・・・一応最後の夜って事で、アメリアに怒られといてやるさ。」
ゼルが目配せをすると、見物していたユーシアとパールがそこから出て行く。
「リナの記憶を消すのか?」
確認の為に聞くと、ゼルは溜息をついた。
「旦那がどれくらい覚えてるのかは知らん。だが、理由はわかるだろう?それとも説明が必要か?」
俺は、ほとんどの記憶を持っている。
いつの時代でも、リナに出会った時点で思い出してしまうのだ。
そして、全てとは言えなくても、力もいくばくかは使えるようになる。
だが、リナの記憶の封印は、俺のものとは比べ物になれないほど強固にされているし、
そうしなければリナ自身、きっと絶えられなかっただろう。
遠い昔。
俺達が休暇に入ってすぐの時。
俺は、そのときに限って覚醒が遅れた。
リナと出会って、愛し合っていたのに。
レティウスにリナを奪われ、探し当てたとき、リナはレティウスに犯されようとしていた。
結局は未遂で済んだのだが、気を失っていたリナはその事を知らなかった。
ただ、その事実に気がついて、傷ついて、心を深く閉ざしたまま帰ってこなかった。
どんなに呼びかけても、それから覚醒する事はなかった。
それから長い長い時間、数え切れないほどの転生を繰り返し、俺はリナと歩んでいく事になった。
魂を深く傷つけたリナを癒す為に。
ゼルとアメリアは、そんなリナの覚醒を助ける為に、現れたのかと思った。
だがあの時、忘れもしない。
アメリアに干渉していたのはレティウスだった。
魂を消滅させるまでに滅ぼしていたはずだったのに、迂闊だった。
ゼルとアメリアがその為に転生してきた事に、ようやく気がついた。
リナの封印を解くのは、まだ早い。
まだ、リナの傷はちゃんと癒えていない。
「部分的な調節ができればそうするわ。
でも、できるだけリナスを刺激したくないの。ゼルちゃんを責めるのはお門違いだからね。」
幼い少女の声は、ユニット。
ゼルがたしなめるのも聞かず、俺を指差した。
「ここ二ヶ月、ゼルちゃんとアメリアちゃんは、リナスの記憶の調整ができないか、ずっと調べていたの。
わかったのは、一定期間分丸ごと消してしまわないと、微妙な調整になんかリナスの封印に悪影響を与える事だけだったわ。
ゼルちゃんがダメって言っても、わたしがやるからね。
そのかわり、きちんと覚醒したら、ちゃんと記憶が戻るようにするわ。これは決定よ!」
ゼルに手を出すのなら、例え俺でも許さない。
ユニットが、そう宣言した。
「・・・・・どこからだ?」
予想はつく。
ここは、まだリナが思い出してはいけない世界だ。
事の始まりは。
「アメリアの妊娠を知られたところからだ。アメリアの妊娠期間は、普通の人間と違うんでな。どうしょうもなかった。」
「つまり、俺とリナがそういう関係になったことも、リナは忘れちまうって事だな?」
「そうだ。」
苦々しげに、だが淀みなくゼルガディスは言った。
「それで最後の夜ってわけか。」
「すまんな。」
俺が、ここで駄々をこねても仕方がない。
何より、リナのことを考えればそれが一番の方法である事もわかる。
リナは一時でもこの事を忘れてしまう。
俺は、それが辛い。
だが、それをするゼルとアメリアの心もまた痛いことを、俺はわかっているつもりだ。
この2人が、どんな覚悟であの世界に転生してきていたのか、俺に知るすべはないが、
少なくとも俺たちのことがなければ、あんな事はしなかったはずだ。
お互いを大切にしていた。
失いたくないと思っていた。
失ったら、生きていけないと想っているのに。
それぐらいお互いを必要としているのに、その根本の気持ちが作られたものだったばかりに、頼りなかった。
そんな2人だと、いつもリナは言っていた。
だから、余程の覚悟だったのだろう。
それくらい、俺やリナのことを思ってくれている。
俺は、今までずっとリナが追いついてくるのを待っていた。
それがまた少し延びるくらい、たいしたことではない。
「わかった。だが、あっちに戻ってどうするんだ?火竜王の残党とやらを、何とかしないといけないんだろう?」
「それは、俺が責任を持って引き受ける。旦那は、リナの事だけ考えてやれ。」
差し出されたゼルの手を握り、俺は立ち上がった。
「んじゃ、任せるぞ!」
俺達は、仲間だ。
今の昔も、そしてこれからも。
-第14話へー
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おまけv
「・・・・・・・・・・それじゃ、またまた代理で、いいかしら?」
その言葉に、ぱっと瞳を輝かせる。
「はい!姉様!」
元気よく手を上げる金色の髪に青い瞳の髪を肩よりも少し伸ばしているその人物。
「それじゃ、今回は、ユリアとアクル、そして、フィディルにお願いするわね。私たちは・・・・・世界の修復に入るわ・・・」
今回だけは、どうなるかわからない。
それほどまでに、強いまでの衝撃。
そして、それゆえに。
大半の世界が消滅した。
まあ、それはいい。
「・・・・だけども、レティウス兄さんが・・・・」
いつのころからか、彼の母を見る目が変わって来たのは知っていた。
だけども・・・まさか・・・・
記憶のない、母を無理やりに・・・・・既成事実を作り、奪おうと思っていたなどとは。
夢にも思わないこと。
「・・・・・・ねえ?母さま・・・大丈夫だよね?」
心配そうにつぶやく銀色の髪に青い瞳の少女の言葉に。
「大丈夫だよ。だって、ユニット様もエル様も協力してくださったんだもの。
だけども・・・・長い、『時間』が必要だわ・・・あなたたちも忙しくなるわよ?」
自分たちが一番しっかりしなければならない。
何しろ自分たちは、一番年上なのだから。
そして・・・・母たちの代理ができるのも・・・また。
「ルーカスさんとミリーヌさんも母様たちの補佐に入るので。休暇をとらせたから・・・・・。
とりあえず、母様の精神というか心は守らないと・・・ね。」
そういいつつ、視点の定まらない虚空を眺める栗色の髪の少女。
彼女にとっては、彼はまた。
いろいろ親身となって仕事などを手伝ってくれていた存在。
というイメージが強かった。
だけども・・・・。
「エリーたちもこっちに戻ってくるから。」
そう。
これはもう長期戦。
あの二人の子供である自分たちがしっかりしないと・・・
そんなことを思いつつ。
残された子供たちは決意を新たに。
今までよりも格段にと増えた仕事にと向かってゆく・・・・
-おまけ終了ー
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管理人よりのあとがき:
薫:設定として。リナの約束。その後。にレティウス事件。と勝手に設定(こらこら!
とりあえずは、リナたちの干渉も終わってから。その後の休暇の話・・・といったところかな?
リナスとカウリスの子供たちもその一件である程度は免疫が(こらこら!
そのほうが何かと問題ないかと(だからまて)
勝手に裏設定・・・つくりましたが、どうでしょうか?直美さん(汗)