管理人より:
さって。長らく時間あきましたけど、編集・・・・始めますかねぇ・・・・
何か最近、またまた気力がなくなってきている薫です・・・・
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アメリアの恋心 第11話
目が覚めたら、あたしはやたらと豪華なベッドの上にいた。
辺りを見回すと、これまたやたらと広い部屋で、見た事のない家具の類も、豪華である事に違いはない。
あの時。
頭の中で声が響いて、そのまま気を失ったのだ。
「アメリア!!みんなは!?」
あたしの声が、広い室内に溶ける。
立ち上がると最初こそふらついたが、何て事はない。
怪我をしているわけでもなく、痛い所もないし、これと言って不調も感じない。
ただ、得も言えぬ違和感を感じた。
それは見た事もない場所で、見た事もない物に囲まれているからかもしれないし、そうではないのかもしれなかった。
わからない。
トントンっ。
距離があるのにもかかわらず、扉を叩く音ははっきりと聞こえた。
とっさに剣を探すと、サイドテーブルの上にきちんと置かれていた。
「・・・・・はい。」
扉を開けたのは、明るい銀色の長い髪を揺らす、15、6歳の少女だった。
別段、怪しい所はない。
何種類かの明度に染め上げた、薄い菫色の絹のような素材の服を身に付け、幼さの残る顔に笑みを浮かべている。
大きな藍色の瞳に白皙の美少女だった。
一瞬アメリアに似ているとも思ったが、
それは瞳の色だけで、顔立ちはどちらかというと可愛いというよりは美人という感じである。
流れるように優雅に歩き、軽い足音を響かせ、立ち止まり一礼する姿は一部の隙もなく洗練されていた。
帯刀しているふうでもない。
「お初にお目もじ仕ります、リナ=インバース様。わたくしは、ここ幻影宮の主が次女のパールと申します。
お会いできて、光栄に存じます。」
鈴の鳴るような声とはよく言ったもので、まさにそんな表現がぴったりとくる。
だが。
「光栄に思ってもらうのは結構だけど、幻影宮なんて聞いたこともないのよね。ここは一体何処なのかしら?」
「ご説明させていただきます。ですが、お連れ様もお目覚めになっていらっしゃいますし、
一度そちらまでご足労頂きたいのですが、よろしいでしょうか?」
微笑む顔は、大概の男ならイチコロでオトセル。
どこか、見た事のある容姿なのだが、わからない。
ただ、彼女の様子に敵意とか害意とかはないし、むしろ好意を持たれているような印象を受ける。
だが、その理由がない。
ここはいったいドコなのか。
あたしはわりと物を知っているほうだと思うし、かなり沢山の国を訪れているが、
少なくともここにあるような調度品は見た事がないし、彼女の着ているような衣装も初めて見た。
うーむ。
かと言ってここで押し問答してても意味がないし。
あっちが好意を持っているからといって、あたしにとっては都合が悪い事もありえるし。
どちらにしても、ただ待っているだけっていうのは性に合わない。
少なくともアメリアは、あの時、急を要する状態だった。
「あたしの連れって事は、ガウリイとアメリアって事よね?アメリアは無事なの?」
「もちろんでございます。もうお一人、ゼロス様もおいでになっていらっしゃいます。」
彼女の返答は淀みない。
そこが怪しいっちゃあ怪しいが。
「わかったわ。案内してくれる?」
少なくとも、ガウリイ達には早く会いたい。
ここにいても何の解決にもならないことは確かである。
念のため、剣をいつもの場所にぶら下げて、あたしは彼女の後についていった。
扉を出ると、それは豪奢な廊下が通じていたが、
やはり精巧に彫られた柱の模様は見たことがなかったし、その素材さえ判別できない。
彼女の服も絹かと思ったが、よくよく見るとその光沢が微妙に違う気がする。
そう長くもない距離を歩き、立ち止まった所は一段と立派な扉が設えてあった。
「こちらでございます。」
あんな細い腕でどうしてかと思うほど、その大きな扉は簡単に開いた。
「リナ(さん)!!」
ガウリイとゼロスがあたしを認め、名前を呼ぶ。
「ガウリイ!ゼロス!!」
あたしも思わず駆け寄った。
こんな時は、例えゼロスでも見知った顔があるのが嬉しい。
「お父様はまだいらしてないの?」
パールが問うと、長い黒髪の少女が、
「お母様がまだお目覚めになっていないのよ。お父様が離れるわけございませんわ。」
と答える。
パールと違うのは髪と瞳の色のみ。
年齢こそ違えど、その顔立ちはそっくりで、一目で姉妹だとわかる。
他にも、彼女達を含めると全部で12人の少年と少女が椅子を埋めている。
青年の域に達しているものはいない。
子供ばかりである。
が、どんなときも平静を崩さないゼロスがちょっぴし固まっているように見えるのは、気のせいではないだろう。
反対にガウリイはいたって普通だが。
ガウリイが気にしていないのなら、平気なのだろうか?
かちゃっと音がして、13人目が現れる。
少年だった。
よくよく見なくても、全員兄弟だろう事がわかる。
「あ、そろったみたいだね。」
弦楽器を奏でるような、声変わり途中のその声は、耳に心地いい。
少年がテーブルの一番上座に着くと、メイドのような女性が数人現れ、湯気の立つティーカップを並べて出て行った。
ついでに、スコーンやマフィンのようなお茶菓子も大量に並べられる。
つられる様に、あたし達も席に着いた。
先ほどパールに答えた黒髪の少女が立ち上がり、あたし達に一礼すると
「お初にお目もじ仕ります。私はユーシア=ラ=ルシフェル=アルムードと申します。
こちらに控えますのは、みな私の兄弟でございます。
おいおい自己紹介をさせていただきますが、今は他にもっとお知りになりたい事がございましょう。
なにとぞご容赦下さいましね。」
幼い顔に極上の笑顔を浮かべ、ユーシアはもう一度一礼する。
「まず、ここは幻影宮と申します。
私共はこの幻影宮の主、メタトロニオス=ロード=アドナイ=アルムードの子にございます。
父より、ゼロス様の口からできる限りご説明を頂きまして、
足りない部分を補足させていただくように申し遣ってきているのですが、
ご説明をお願いしてもよろしいでしょうか?」
にっこりとゼロスに笑いかけると、ゼロスはカチコチに固まって、張り付いたような笑顔を浮かべる。
これは珍しい。
ガウリイが遠慮もなくお茶菓子を口にしているので、あたしもスコーンを一つ口に放り入れた。
あ、美味しい。
「あの・・・では、僕の知る限りの事でよろしければお話しいたします。」
ゼロスは切々と語りだす。
まず、ゼロスはメタトロ何とかという名前は知らないとの事。
ただ、幻影宮の事は知っていた。
そこから続くのは正に驚愕の事実で、ここはロード・オブ・ナイトメアと同じ、
混沌そのものの存在である、【ユニット=ユニバース=エターナル=コスモス・・以下略。】、
通称『宇宙の姫 ユニバーサル・オブ・プリンセス』の世界であり、その世界の最高幹部の宮殿であるというのだ。
えーと。
話しが突飛過ぎて理解不能なんですけど・・・。
いや、理解不能というか、理解はできるが信じられんという感じなのだが。
あたしは、思わずスコーンを取り落とす所だった。
ちなみにガウリイは、話はわかっていないだろうが、パクパクムシャムシャと食べているおかげか、一応居眠りはしていない。
「あの・・・お父上様とお母上様の通称のお名前でしたら知ってるんですけど、僕が喋ってよろしいものでしょうか?」
「ああ、いえ、もういらっしゃるみたいですわ。」
ユーシアが言うと、扉がノックされ、パールのような銀髪に白皙の、明るい青の瞳の青年が現れた。
なかなか・・・というか、かなり顔は整っているって・・・。
・・・・・。
あれ?
「あんた!!」
思わず立ち上がったあたしの隣で、ガウリイが陽気な声を上げる。
「よう、ゼル!お前も来てたのか!!」
がくっ。
「お前も来てたんだじゃないわよ!!何言ってんのよあんた!?あの岩と針金だったゼルが元に戻ってるし!
だいたいこの子達ゼルの事父親とか言ってんのよ!?ねぇ!わかる!?わーかるー!?」
思わず椅子に足をつき、ガウリイの胸倉を掴む。
「岩と針金・・・?」
少年少女のほとんどが、首をかしげる?
ユーシアと上座の少年は、顔を見合わせて笑っていた。
笑いながら席を移動し、上座に2つ椅子を空けた。
ゼルガディスはそんな2人を一瞥すると、当然のように椅子に座る。
「お母様はお目覚めになったのですか?」
名前を知らない少女の一人が、身を乗り出した。
「ああ、すぐに来る。」
その声は、あたしの知ってるゼルと同じだった。
全員の顔に笑顔が浮かぶ。
「ちょっと、ゼル!?どういうことよ?全然話しが見えないんだけど?」
「ああ、すまんな。アメリアもすぐに来るから、ちょっと待ってくれないか?」
「アメリアも無事なのね?」
「ああ。」
あたしは胸を撫で下ろし、とりあえず椅子に座った。
ゼロスの顔が、明らかに引き攣っている。
改めてゼルの顔を見ると・・・。
もともとなかなかイイ男だとは思っていたが、顔色が変わって岩が取れると、ガラッと印象が変わる。
声や顔立ちはそのままだけど。
でもなんか・・・?
雰囲気が、何ていうか。
「なあ、ゼル?何でお前、ほら・・・あれだ。トコトンみたいになってんだ?こいつらもみんなそうだろ?」
おいっ。
「それをいうなら混沌でしょ!?こーんーとーん!!・・・混沌?」
「さすがに旦那はわかったか。気になるなら隠すが?」
「いやぁ、それほどでも。」
ガウリイが照れた様に頭を掻く。
何に照れてんだ?
おまけに、ゼルも何かさらっと肯定してるんだけど。
っていうか、この子達がみんなゼルの子供?
話の流れから行くと、母親はアメリアっぽいが。
何じゃそりゃ?
「ユエリア、向こうからの報告はどうなってる?」
「ああ、来てるよ。にしても父様も母様も、変な事に首突っ込んでるよね。」
ゼルの言葉に、黒髪の男の子が書類の束を渡す。
「ほっとけ。」
書類に目を通すゼルの目がスッと細くなる。
パタパタパタパタバタバタバタバタ・・・・・
ドカーン!!
足音とともに物凄い音がしたかと思うと、巨大な扉が全開になる。
「リナさぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああん!!!」
ゴンッ。
「あうっ!」
・・・・・・・・。
一同沈黙。
突っ込んできたアメリアは、あたしに抱きつこうとしたのだろうがサラリとかわされて、
そのままの勢いで椅子に足をとられ、盛大な音を立ててテーブルに頭をぶつける。
い・・・痛そう。
しかし、そこはアメリア。
たんこぶを作ることもなく、慌てて駆け寄った子供達の手を借りる事もなく起き上がり、
「酷い、リナさん!!感動の再会なのにぃ!!」
「なぁにが感動の再会よ!あんだけ心配させといて!!もう平気なんでしょうねえ?」
あたしが言うと元気よく胸を張った。
「はい!!もうバッチリです!ちょっとおでこは痛いですが!!」
あっそう。
「お母様、何かちょっと会わないうちにレベルアップしていませんか?」
「そのようですわね。」
「父様・・・苦労しますわね。」
「そうだね。」
「・・・・・。」
アメリアは、腰に手をやり胸を張り、そんな会話が交わされていることに気がついていない。
子供達一同、ゼルガディスを気の毒そうに見つめていた。
あんまり、アメリアの事は心配していないらしい。
うーん。
まあ、アメリアだし。
完全復活してるみたいだし。
「アメリア、いいから座れ。」
「ああっ!ゼルガディスさん!!苦労とは何ですか!!ちゃんと否定してください!」
何だ、聞こえていたらしい。
「・・・それで、どうして欲しいんだ?」
「そんな事はない、とかゆーことはないんですか!?」
「・・・お前は、俺が苦労してないとでも思ってるのか?」
「苦労も愛のうちです!愛が足りません!!」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「母様に付き合ってるだけで、愛は充分たりてるよね。」
ユエリアの言葉に、全員が頷いた。
ゼルが溜息ついている。
「ねえ、アメリアちゃん。とりあえず、お話してしまわない?」
アメリアの後に部屋に入ってきた女の子が、くすくす笑いながら言う。
こりは可愛い。
他の子達も可愛いのだが、この子は格別に可愛い。
トテトテと歩いて、ゼルの隣に自分で椅子を持ってきて座る。
「はっ、いけません!そうでしたね!!」
女の子をはさむように、アメリアもようやく座った。
ちらっとゼロスを見ると、もう完璧に固まっている。
あらら。
ゼルは、ゼロスを一瞥してから、口を開いた。
「ゼロスからはどこまで聞いてるんだ?」
「ここが、ユニットっていうあたし達のいう金色の魔王とおんなじ存在が作った世界の幻影宮ってところで、
この世界の最高幹部がメタトロ何とかってやつで、ここはそいつの城らしい。
んでもって、状況から見ると、どうもそれはあんたの事らしくて、ここにいる子達はみんなあんたの子供らしいってとこかしら?」
「そうだったのかぁ。」
ガウリイが感心したように頷く。
「あんたホントにわかってんの?」
「お前なあ・・・ゼルガディスはめちゃめちゃ偉い奴で、ここはゼルガディスの家って事だろ?」
まあ、それだけわかってれば、ガウリイにしては上出来という物である。
ゼルもアメリアも感心している。
「ガウリイさん、一応ちゃんと話し聞いてたんですね。」
「まったくだ。もうしばらくはその状態でいてくれよ。」
「・・・・・。」
ガウリイは沈黙しているが、至極まっとうな意見である。
「何か、話が大きすぎて理解はできるけど漠然としてるし。
ゼロスがあんなんなってるってことは、凄い話なんでしょうけど・・・そんなもんだって思って聞いとけばいいのかしら?」
あたしの言葉に、ゼルは頷く。
「で?何で今まで黙ってたのよ。今朝だか昨日だかあんたが言ってた、全てが終ったらって、今の事でいいのかしら?」
「正確には違うが、まあそうとも言えるな。まあ、順を追って話すから聞いてくれ。」
まず、あたし達が気を失ってから、もうすでに3日ほど経過していた。
ゼルとアメリアは、この世界の最高幹部で、ゼルとアメリアの間に座っているのがユニットらしい。
ゼロスが怯えるわけである。
2人は、ここ十数年、全ての記憶と力を封印されて、あたし達のいた赤の世界に転生していた。
ところがどっこい、2人が予想以上に早くそーゆー関係になってしまい、あまつさえ子供ができてしまった。
だが、ゼルとアメリアは、人間の身体に封じられていただけで、魂はこちらの存在。
当然、お腹の子供の魂もこちらの存在。
おまけにその力は、魔王やその辺など軽く超越しているらしい。
そんなものをお腹に入れてアメリアの身体が平気なはずもなく、
しかたなく彼らの封印を手掛けていた赤の竜神スィーフィード、魔王シャブラニグドゥは、
ゼルの封印の一部を解いて、アメリアの身体を支える事ができる程度の力を復活させようとした。
その過程で、ゼルの身体は元に戻るはずだった。
ところが、ゼルの身体がかつてレゾにキメラにされた事で、
金色の魔王が力を貸していた封印が1/3に薄まってしまっていた為、
魔王と竜神が封印を解いてみたら、予想以上に力が復活して、
金色の魔王の封印もはじき返してしまい、人間の肉体が滅び、本来の姿に戻ってしまったらしい。
要約すると、こんな感じだった。
「折りしも、ダークスターの一件で、現在の火竜王が解任されたんだが、それで俺達を逆恨みする一派がいてな。
そいつらが、アメリアというか、俺達の子供の力を手に入れようと考えた。」
竜王も魔王も、アメリアが子供を降ろすことになれば話はなくなる。
様子を見ていたら、アメリアは子供を産む事に決めた。
慌てて、ゼル達の封印を解こうと、それまで傍観していた魔族と神族が動き出しだした。
とりあえず、火竜王の一派にアメリアを渡すわけにはいかない。
そんなことになれば、怒ったゼルガディスが怒鳴り込んでくる。
ゼルガディスの力がどれほどのものかはわからないが、
本来ならば、一世界の神族や魔族など小指の先で滅ぼされるし、それは避けたかったから、ゼロスが護衛についていた。
とゼロスは言う。
神族と魔族の動きに、火竜王の一派は、とりあえずは逆恨みの対象であるあたし達を滅ぼしついでに、
アメリア達の子供を手に入れることを急ぐ事にした。
ところがである。
数も多かった為、ゼロスは結界を張ってあたし達を守ろうと試みたが、
ダークスターに喰らったダメージの回復ができていなかったからか苦戦を強いられ、何時の間にやら獣王まで出てきた。
後は混乱する一方。
そんな時、予想外にゼルが完全復活をとげて、その力の余波でアメリアの封印も解けかかったが、
お腹に子供のいたアメリアは、抗がう必要もないのに必死で抗って、中途半端に人間の身体が滅びかけ、
このままで魂をも傷ついてしまう事を恐れたユエリアとユーシアが、こちらの世界にあたし達ごと引きずり込んだ。
と、いうのが事の顛末らしい。
ちなみに、ここにいる子供達は、間違いなくゼルとアメリアの子供らしい。
うーむ。
一応筋は通っているが。
確かに、そんなもんだって思うしかない。
「じゃあ、今のゼルは、ゼロスよりも全然強いってことか?」
のんびりとガウリイが言うと、ゼロスが絶叫する。
「強い弱いのレベルの話じゃありません!!ゼルガディスさんは本来ならば
『無限の宰相』とか、『星々を統べる者』とか呼ばれてる方なんです!
僕ごときじゃ、御名を口にすることもはばかられます!」
「他にもいろいろあるよね?『蒼き炎の柱』とか『いと高き者』とか
『高貴なる守護者』とか『久遠の父』とか『秩序の恩寵』とかさ。」
ユエリアが指折り数える。
「・・・・なんだ?その恥ずかしい呼び名は?」
「え?まだまだあるよ?ちなみに母様は
『夢幻を統べる者』とか『楽園の守護者』とか『輝ける者』とか『愛と正義が好きな人』とか
・・・あとおもしろいのがね、『久遠の熱病』とか『正義で混乱の申し子』とかさ。」
「・・・・・・。」
ゼルガディス絶句。
確かに恥ずかしいわ。
それにしても『久遠の熱病』・・・。
当たってるけど。
「それよりも!ってゆーことは、今のゼルって無敵って事よね!?さすがあたしの便利なアイテム1号ね!!」
うーん。
我ながら的確な分析である。
「おいっ。」
ゼルが何か否定しているが、それはこの際無視である。
アメリアは瞳をウルウルさせてゼルガディスを見つめている。
「素晴らしいです、ゼルガディスさん!!」
ってゆーかアメリア?
あんた自分が何て呼ばれてるかわかってる?
当たってるけど。
「それよりもさぁ、俺、中途半端に食ったら余計に腹が減ってきたんだけど。」
なぬ?
そういえば!!
「ああ、もう準備できますよ。ご飯にしましょうか?」
「そうよ!こんな話よりも、ご飯の方が重要ね。行くわよガウリイ!!」
アメリアの言葉にあたしはすっくと立ち上がり、
「おう!!」
同じく立ち上がったガウリイと共に、お腹の準備を整えた。
-第12話へー
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おまけv
「実は、お二人にお願いがあるのですが・・・・・」
「・・・・・・・・は?」
思わずその言葉に目を点する。
無理もないでしょうけど・・・・・
だけども。
私は・・・・
「いやあの、お願いって・・・・・フェアリーさん?珍しいわね?
あなたから『お願い』なんて?それに、見たところ、今日は一人のようだし?」
私の言葉に首をかしげ、きょろきょろとあたりの気配を探っている、リナス様。
「気配から今日はすみれちゃんはきてないんだろ?」
のほほんといいきっているのは、カウリス様。
さすが、というか、何というか。
まあ、確かに気配は完全に隠されていても、ここはいわゆる彼らの世界。
自分の中に異物というか、異なる存在がいれば、わかる、といえばわかること。
エル様はゆっくりとしではあるけど、このお二人にすべてをゆだねる用意をしているから・・・・
「ええ…実は、そのことなのですわ?・・・・・これは私の独断なのです。」
何もいわれていない。
だけども、姫様の心の奥はわかるから。
わかるからこそ、だからこそ。
「・・・・・実は・・・・・・・」
そうして私は語りはじめる。
ここ最近、姫様がこちらの世界にこられていない理由を。
まあ、最近、といっても、数百億年程度なんだけど。
かるく、数億の世界を【創り出せる】ちからをもってして。
とある【世界】を創り出したこと。
そして、それは。
姫様にとっては、いわゆる。
【家族】のような存在になるべき存在達が管理する世界であること。
そして・・・・
「姫様は、世界の核となるモノをお二人に設定されました。」
そう、それは、ちょうど男女、という種別をもった種族が、父母を持つがごとくに。
「そして・・・・それらは、互いに互いをはじめから求めるように。
そして・・・・・それぞれを愛するように姫様は設定されたのです・・・・」
自分の世界で心安らげる存在がほしかったから。
いくらほかの自分の世界ではない場所で銃に振舞っていても。
自分の世界にもどれば、姫様は絶対主。
その孤独感はずっとそばにいた私だからより深く知っている。
「あ・・・・・あっ!?」
ぽしゅ。
私の言葉に顔を真っ赤になさるリナス様に。
「オレがリナを好きなのと同じだなv」
そんなリナス様をしっかりと抱きしめているカウリス様。
「い・・・いきなりだきつくなぁぁぁぁ!」
すぱこぉぉぉん!
なぜかそんなカウリス様をスリッパではたいているけど。
このお二人は、どの【世界】においても、似たりよったり・・・・というか。
まあ、エル様が基本たる核たる部分の魂をそうしている、と姫様はおっしゃってたけど。
「ええ・・・・それで、できましたら。あなた方にその【人】たちにあってもらいたいんです。」
私の言葉に。
「・・・・・・何で?」
「・・・・・・・・・・それは・・・・・・・・」
私は、今の現状をお二人に話してゆく。
そう。
今日はそのためにこちらの世界にやってきたのだから・・・・
姫様は今は意識をまどろませている最中。
あの世界においてはどんなことをしても、まずはめったなことでは【消滅】しないように、
設定したがゆえの・・・・初めての試みゆえに・・・・
まだ、姫様は目覚めていない。
だけども。
目覚め、そして、彼らと出会い、望んでいた【場所】を手にいれたとしても。
自らが【心】を決めてしまったことを必ずといっていいほどに後悔するのはわかっているから。
生まれて間もない世界の彼らは、いまだにそれらを不思議とは捉えていないけど。
だけども、様々な銀河などが誕生し、生命が発展していっている今現在。
彼らの中に不安が出てきているのも・・・・・また、事実。
彼らは互いに彼らしかいない。
そして・・・・・周りには、自分たちの部下として創り出した存在しか。
だからこそ。
第三者の目で、彼らに話をしてくれる存在が必要。
そして・・・・
「あなた方だからこそ、お願いしているのです。互いが互いを愛する気持ちには・・・・・何も理由はないのだ。・・・と。」
ねえ?
姫様?
あの【世界】が姫様にとって。
姫様の世界において安らぎの地となりますように・・・・・・・・・
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管理人よりのあとがき:
薫:はい。今回のオマケはまたまたフェアリーの一人称。
設定としては、スミレちゃんに内緒で二人にとあるお願いをしにいっている。という内容です。
何ごとにおいても、フェアリーの最優先はスミレちゃんの心と安らぎ。それ以外の何ものでもなし!ですので。
それでは、がんばって次も編集しますね。
さって・・・・・ユリアとアクル、つまりはアメリアの子供たちの恋人さん。
打ち込み・・・・そろそろしますかね(まて)(直美さんから許可はうけてる)
2004年6月14日某日