管理人より:
今回は直美さんの小説はアメリアの一人称v
でもって、管理人のおまけはまたまたスミレちゃん独白。
ちらっと、今後のネタバレをば。
あ、直美さん、もし、【レティウス】の設定・・・・違ってるように設定していたら、直しますので。
あしからず・・・・・(かなりまて!
(今のところもらった感想で、何となくリナたちしらないけど彼の軸となってるそのもの。
それがそんなような気がしてたりして・・・・)
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アメリアの恋心 第10話
世界が急に暗くなった。
身体の奥から、途方もない何かがせり上がってきた。
とっさにお腹を庇い、ただそれを受け入れるように、記憶の波を受け止めるように身体を小さく丸めた。
大丈夫。
大丈夫。
ゼルガディスさんがすぐに来てくれる。
そう自分に言い聞かせて、唇を噛み締めた。
―ねえ、また僕の邪魔をするの?そんなにカウリスが大事?
頭の中に響く声。
懐かしい声。
昔、一緒に笑いあった声。
それが、とてつもなく無気味に聞こえた。
―貴女ともあろうお方が、そんな下賎に身をやつしてまで、カウリスの見方をするの?
違う。
そんなのじゃない。
―じゃあ、どうしてさ。
あなたにはわからない。
わたしが好きなのは、カウリスさんが大好きなリナスさんと、リナスさんが大好きなカウリスさんなのだから。
いっぱい助けてもらった。
救ってくれた。
だから、わたしは幸せになれた。
だから、わたしもできる事をしたかった。
―僕はね、貴女達まで巻き込むつもりはなかったんだ。これでも、貴女達には感謝してるからね。
まさか、貴女達ともあろう方々まで出てくるとは思わなかったしね。
そんなの関係ない。
ただ、大切な人たちが泣く事を、黙って見てるだけなんてできない。
―まあ、いいや。僕はもう、邪魔される事には飽きたんだよ。
物凄い痛みが身体を襲う。
生温いのもが、身体を濡らすのがわかる。
でも、そんな事にはかまっていられない。
力で手に入れたって、リナスさんの心は変わらない。
全ての記憶を失って、全ての力を失って、どんなに泣いても傷ついても、
いつもカウリスさんを見つけて、またカウリスさんを大好きになるんだから。
―そうだね。貴女達みたいに、最初からそういうふうになんて創られていないのにね。
そう。
だから、あなたももうやめて。
―嫌だよ。僕はやめない。いなくなってよ。貴女は邪魔なんだ。
ダメ。
ヤメテ。
―もうすぐ、貴女の大切な人が来てしまうね。大丈夫さ。
貴女は滅びたりなんてしないから。ちょっと、眠っててよ。
ダメ!
どんどん強くなるゼルガディスさんの力。
どんどんわたしの中に入り込む黒い影。
その時、ゼルガディスさんがもとに戻ったのがわかった。
とってもとっても強い力。
すぐに消えてしまったけど。
―母様!!
耳元で、懐かしい声がする。
―お兄様!早くして!!
とても懐かしくて愛しい声。
もう、大丈夫。
わたしは意識を手放した。
「あんたは、ゼルの事が好きなんでしょ?ならいいじゃない。そういうふうに創られたとか、そんなの関係ないわ。
きっと、ゼルだってそうよ。
大丈夫!きっと何もかも忘れて転生しても、姿さえ違っても、あんたたちはまた愛し合うわよ。このあたしが保障するわ!」
リナスさん。
本当でしたよ?
最初に会った時は、冷たい人だって思いました。
でもすぐに、本当は優しい人だってわかったんです。
気がついたら、いつもゼルガディスさんを見てました。
ゼルガディスさんがレゾさんの最期に声をかけたとき、思ったんです。
ゼルガディスさんは、口で言うほどレゾさんを憎んでも恨んでもいないって。
きっと、全てを受け止めて許してたんだって。
でも、レゾさんが他の人にした事は許せなかったんですね。
とっても優しくて、強い人だと思いました。
それなのに、とっても悲しい顔で笑うから。
辛い思いをすることよりも、誰かに辛い思いをさせることを怖がっているみたいでした。
裏切られるくらいなら、最初から信じない方がいいって言ってたんです。
本当は、それで誰も信じられなくなる事が怖かっただけなのに。
だから、何度も突き放されました。
でも、傍にいたいと思いました。
いつも、助けてくれましたよ?
いつも守ってくれました。
わたしが欲しかった言葉を、たくさんくれました。
わたしは、またゼルガディスさんが大好きになりました。
面倒くさそうだったけど、たまには我侭も聞いてくれました。
だからわたしは嬉しくて、いつもゼルガディスさんの傍にいたんです。
失いたくないって思ったんです。
こんなに素敵な人を好きになれて、本当に幸せだと思いました。
ゼルガディスさんも、わたしの事、愛してるって言ってくれました。
何にも覚えてなかったのに。
本当に、リナスさんの言うとおりでした。
わたしとゼルガディスさんには、最初からお互いしかいなかった。
本当は、とっても怖かったんです。
転生して、必ず会えるとわかっていても、またゼルガディスさんがわたしを好きになってくれるのか怖かったんです。
ゼルガディスさんが、リナスさんを好きになったらどうしようって思いました。
でも、他の誰でもなくて、わたしを見つけてくれました。
わたしを好きになってくれました。
わたしも、他の人がいたって、結局はゼルガディスさんを選んでしまうんです。
リナスさんが教えてくれた通りでした。
ずっと昔、リナスさんが教えてくれた通りでした。
「・・リア・・・アメリア!」
ほら、声がする。
大好きなあの声で、わたしを呼んでくれる。
わたし達が愛し合うように創られたのなら、わたしはそれに感謝します。
だって、ゼルガディスさんくらい、わたしを幸せな気持ちでいっぱいにしてくれる人は、世界中探してもどこにもいません。
「アメリア!」
重い瞼を開けると、そこにいたのは合成獣ではない、昔のままのゼルガディスさんだった。
心配そうな顔をしている。大好きな空の色の瞳に、わたしの姿が映っていた。
「ぜるがでぃすさん・・・。」
「大丈夫か?」
ゼルガディスさんに支えられて起き上がると、女の子が抱きついてきた。
スミレちゃんだった。
「ごめんね!アメリアちゃん、ごめんね!大丈夫?」
「ゼルガディスさん、スミレちゃん・・・大丈夫です。もう平気です。」
わたしが言うと、ゼルガディスさんは涙を浮かべたスミレちゃんごと、わたしを抱きしめてくれた。
「心配させるな・・・ったく。」
辺りを見回すと、そこはとてもよく知っている部屋だった。
安心すると、あの時の恐怖が思い浮かぶ。
「レティウスでした・・・見つかって・・・それで・・・赤ちゃん!!赤ちゃんは大丈夫ですか!?」
「大丈夫だ。ユエリアとユーシアは、お前を助ける為にそこから出ないわけにはいかなかったらしいが・・・
でも大丈夫だ。ユエリアもユーシアもピンピンしてるぞ。」
「じゃあ・・・この子達は?」
「俺達の新しい子供だ。」
お腹に手をやると、どこか怯えたふうなスミレちゃんと目が合う。
「なあ、アメリア。覚えているか?」
ゼルガディスさんが、わたしの肩に手を置いて、スミレちゃんの頭を撫でている。
「俺達が転生する前に、決めていただろう?」
わたしは頷く。
もし、またわたし達が愛し合ったら、その時はスミレちゃんを本当の子供にしよう。
20年前、どちらからともなく、わたし達はそれを決めた。
「時期が早くてな、この子供の器はもともとユエリアとユーシアの物だったんだが、2人ともそれを放棄してな。
それでお前を助けたんだ。2つの器のうちの1つに、スミレの魂を入れた。
今はまだ、スミレも具現できるが、いずれ記憶を封じて俺達の新しい子供として産まれてくる。
俺の力じゃ、スミレの記憶をどれくらい封じていられるかはわからんが、
セイルーンで本当の家族として過ごす時間は作れるんじゃないかと思ってな。」
ゼルガディスさんが、スミレちゃんを抱き上げる。
「俺は、お前に感謝してるんだぞ?アメリアと会わせてくれたんだからな。俺達の気持ちは作り物じゃない。
その証拠に、俺達はまた俺達を選んだんだ。」
スミレちゃんの瞳に、また大粒の涙が浮かぶ。
それは、拭うことなく後から後から溢れて、白い頬に涙の後を作った。
わたしは、スミレちゃんを抱きしめた。
スミレちゃんは、昔からそれを悔いていた。
お父さんとお母さんが欲しくてわたし達を創った時に、わたし達の心を決めてしまった事を。
わたしとゼルガディスさんが、どんなに違うと言っても、スミレちゃんの後悔は消えなかった。
でも、全てを失って転生する勇気も、その時のわたし達にはまだなかった。
だから、あの時決めたのだ。
もし、全てを失ったわたしとゼルガディスさんが、また愛し合って子供ができたら、
その時はスミレちゃんと本当の家族になろうって。
「ゼルガディスさんの言うとおりです。わたしは、ゼルガディスさんと会えて、とっても幸せなんですよ?
何にも覚えていなかったけど、やっぱりわたしが大好きになったのはゼルガディスさんでした。」
「・・・・・いいの?わたしが子供でもいいの?」
わたしの胸に顔を埋めたスミレちゃんの肩が震えている。
「もちろんです。
もうすぐ、産まれてきた時には、スミレちゃんはわたし達のことを忘れてしまっているでしょうけど、
またわたし達を大好きになってくださいね?」
本当に嬉しいときと悲しいとき、スミレちゃんは声もなく、流した涙もそのままに泣く。
今、スミレちゃんの泣き声は聞こえなかった。
スミレちゃんが泣き止むまで、わたしもゼルガディスさんもそのままでいた。
「さて、じゃあレティウスが干渉してきたのは間違いないんだな?」
「はい。」
大方の説明を聞いたあと、わたしとゼルガディスさんは、状況の確認をした。
わたしの人間としての身体は滅びてしまったけど、それは別に困るわけではないし、
もともと物質的な割合の方が高いから、今までと違う所もさほどない。
ただ、やろおうと思えば好きな姿になれるし、精神体にもなれるという程度だ。
おかげで、妊娠期間が10ヶ月ではなくて3年ほどに延びるけど、それはどうしょうもないことなので仕方がない。
予定通りセイルーンに戻っても、父さんに報告ができないのが残念だけど、
結婚のお願いをすることは、ゼルガディスさんも了承してくれた。
リナさん達は、まだみんな眠っている。
プロテクトをかけたから、あと2日は起きてこない。
プロテクトとは、精神と肉体をこちらの世界から隔離して、こちらの世界でも存在できるようにする事である。
精神だけとかだったらそうでもないけど、丸ごととなると少し荒療治で、ちょっと精神的に憔悴してしまう。
だから、ゼロスさんとかは、わりと早く復活するはず。
わたしがこちらに来てから、まだ半日くらいしかたっていないけど、
ゼルガディスさんとスミレちゃんが回復を行ってくれたおかげで、もうすっかり元に戻っている。
ここの幻影宮は、もともとわたし達の力を一番安定させてくれる場所だし。
あんなに苦しかったのが嘘のように、元気になった。
ゼルガディスさんは、やっぱり綺麗。
合成獣だったときも綺麗だったけど、今の方がもっと綺麗。
最近、ずーっと合成獣の姿しか見ていなかったので、ついつい今のゼルガディスさんの顔に目が行ってしまう。
銀色の髪。
前は針金だったから跳ねていたけれど、今はすとんっと真っ直ぐに流れている。
青くて岩だった肌は、そんな面影はどこにもなくて白い。
瞳の色だけが、ずっと同じ空の色。
「お前は、人の話を聞いてるのか?」
ごんっ。
「あうっ!!」
いつものように、ゼルガディスさんの拳骨が振ってきた。
い・・・痛い。
「酷いです!いいじゃないですか!最近キメラのゼルガディスさんしか見てなかったんだから!!」
「ほーう。ならば、後でいくらでも見せてやろう。」
ううっ。
これは・・・。
ちょっとまずかったかもしれません。
「ゼルガディスさん!わたしは子供がいるんですからね!!無理はいけません、無理は!!」
ゼルガディスさんが意地悪に笑う。
「俺は、まだ何も言ってないが?」
「・・・あうぅ(汗)」
「まあ、どちらにしても、今の俺達ならば問題ないな。心配するな。」
うううっ。
そうでした。
人間の身体ならともかく・・・
臨月に入ってお腹が大きくなってきてからならともかく・・・それまでは、平気でした。
今までだってそうでした///
リナスさん達ほどではないけど。
「それより、俺達がいるからな。みんな幻影宮に集まってくるぞ。さっさと話し終わって会いにいかないか?」
みんな?
「みんなって?」
「ユエリアとユーシアが、12宮全部に連絡をいれてたらしくてな。俺が戻ったとたん、通信が鳴りまくってたぞ。」
12宮。
それは、わたし達の子供達の宮殿の事。
わたし達の子供は、全部で13人。
一番上からユエリア、ユーシア、セイ、パール、サファイア、
ユレイア、イク、フレイア、サラ、ニース、ライアス、プリメーラという。
男の子が6人。
女の子が7人。
外見は、みんなもう好きなようにできるのに、わたしやゼルガディスさんに合わせて子供のまま。
一番お姉さんに見えるパールも、人間の姿にすれば、15、6歳くらいなのだけど。
「みんな集まってくれるんですか?」
「お前が怪我をしたと聞いてな。もう、大方揃ってるんじゃないか?」
みんなが同時に集まるなんて。
こんなに急なのに。
「さあ、ゼルガディスさん!こんな事をしている場合じゃないです!すぐに行きましょう!!」
「そうしたいのは山々だが、報告書を出さないと会ってくれないらしいぞ?
俺達がいない間に、仕事を貯める事の恐ろしさに気がついたらしい。」
「ううっ・・・みんな酷いです。」
「酷いのはお前だ。さっさとやれ。」
ゼルガディスさんの言葉に頷いて、リナさん達に言ってもいい事、ダメな事。
あの時襲ってきた、レティウスの力を遣う何かの正体の身元の確認。
これからわたし達がどうするのか。
簡単に取り決め、わたし達は久しぶりの子供達に会いに行った。
-第11話へー
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おまけv
あれはいつのことだっただろう。
彼の思いがあこがれから違うものにと変わったのは。
それとなくリナスさんに忠告していたものの。
まったく気づかなかった彼女。
そしてまた。
彼女を一人にさせることを極端にと警戒していたカウリスさん。
なのに。
人の器に身をやつし、彼らが休暇をとっていたときに。
彼は行動を起こした。
人である、リナスさんは当然あしらえるすべもなく。
そしてまた、そのときに限り覚醒が遅れていたカウリスさんもまた。
意識を失っていたとはいえ、人の器であるとしても。
だけども精神そのものは、リナスそのもの。
だからこそ、彼が行動を起こしそうになったときに。
防衛機能が働き、事なきをえ。
それゆえに、カウリスさんもまた、覚醒を果たしたのは・・・・
だけども、そのことに気づき。
彼女は深く傷つき、私が呼びかけても、そして、夫となったカウリスさんが呼びかけても。
答えることはなく。
深い、深い眠りについた。
彼女にとって、彼は手のかかる子供みたいなもの。
ゆえに、子供のように、慈しんでいた。
それなのに。
まあ、問題は、その手のことにとことん疎い彼女が原因、といえば原因なんだけど…
だけど、それは、そのときに、あちらにいってなかった私には。
ちょっと驚いた事件ではあった。
何しろ、確かにエルが面白そうだから、とほうっておいたらああなった。
というのは。
リナスたちに関しては、エルは先視をする、ということはしない。
彼女はエルにとって、娘であり、そして代理者であるがゆえに。
その結果、引き起こされている今のこの状況。
・・・・・・何しろ、あの彼の核・・・・・彼本人は気づいてないけど。
何しろ、リナとカウリスの感情から生まれでた膨大すぎるほどのそれを。
軸として、彼そのものは生まれでた、といってもほかではない。
・・・・・・・・・・・・・もったいないからって、それでエルが創ったのよね・・・・・
何しろ、カウリスは、自分の子供にまで焼きもちやくからねぇ・・・・
まあ、それも気にはなるけど。
私にとって、一番問題なのは・・・・・・
「私もリナスさんたちの手助けにいきたいです!」
「スミレ、頼む。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
こう言い出すと思っていた。
この二人ならば。
二人にとって、彼らは恩人であり、大切な親友であり・・・そして・・・・・
だけど・・・・・
「・・・・・・だけど、そんなことしたら、あちらにあなたたちの精神を移動させる。
つまり・・・・・一時とはいえ、記憶も力も失うことになる・・・・」
そんなことをしたら、あなたたちの気持ちがこの私が創った。
だけのもの。
と今さらながらに私自身を追いつめ・・・・いや、私だけならいい。
だけども、この二人にそんな思いをさせるのは・・・・・
わがままだ、とは思っている。
だけども・・・・
「大丈夫です!私たちは何があっても、この気持ちはかわりませんから!」
「俺たちの気持ちは創られた、というだけのものじゃない。だから・・・・頼む。」
・・・・・・・・・・・
二人の熱意にまけ・・・そして。
エルの同意をえて。
私は・・・・・・・・私の世界でもっとも安心できる存在である彼らを・・・・
エルの世界に送り出したのは・・・・
それは・・・・・・・・・ほんの少し前のこと・・・・・
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管理人よりのあとがき:
薫:さってと。メールでやりとりしてる(こらまて)
アメリアの子供の恋人さんたち。どこでだそうかな?(こらこらこら!
何はともあれ、次回にいくのです。
さって、編集、編集・・っと。