管理人より:
とりあえず、実はすでに18話までもらってるので。
がんばって編集するのです・・・はい・・・・・・。
とりあえず今回のオマケは。スミレちゃんの独白です。
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アメリアの恋心 第9話
「ユーシア、母様どう?」
年の頃は12、3歳。
宇宙の色の瞳に不安を浮かべ、少年は少女と、そこに横たわる別の少女を見つめた。
声をかけられた方の少女は、空の色の瞳を薄く開き、
綺麗に纏められた長い髪が乱れるのもかまわずに、一心に呪文を唱え続ける。
年頃は少年と同じ。
顔立ちも似ているが、横たわっている少女により似ているのは少年の方だった。
とても、そんな年頃の子供がいるようには見えない。
外見だけ見れば、彼らの年齢は5つも離れていないだろう。
だが、少年は彼女を母と呼んだ。
彼らには、外見上の年齢は全く意味を為さないないのだ。
如何様にも変えることができるのだから。
横たわる少女は、青白い肌に苦痛の表情を浮かべたまま、瞳を開かない。
「身体の傷は・・・大丈夫よ。ただ、魂が傷ついてて、こんなのお父様かユニット様じゃなきゃ治せない。」
少女の額に汗が滲む。
彼らは根本的には虚無そのものも存在であるが、比較的物質的な割合の方が高い。
だが、その魂が確固たる故に、それ以上の力を持ってしなければ、存在をこの世界に留め置けないのだ。
こんな事は本来起こりうる出来事ではなく、
彼らにしてみても、手探りで判断しながら事を運ぶ他ない。
それが、自分達の両親であったから、余計に焦燥を隠す事ができなかった。
少年の名をユレイア。ユレイア=ル=ミカエル=アルムード。
少女の名をユーシア。ユーシア=ラ=ルシフェル=アルムード。
そして、そこに横たわる少女は、通称アメリア。
真名を、ティアイエル=セファー=アクラシエル=アルムード。
彼らの肉体においても魂においても唯一の母で、この幻影宮の主、『無限を統べる者』の伴侶である。
彼らの両親の神格は別格で、ユーシアの力では、現状維持が精一杯だった。
むろん、ユレイアとてそれはわかっている。
だが、ユレイアには魂を癒す為の能力がなかったし、
歯痒くとも妹に任せる事しかできなかった。
何が起こったのか・・・。
彼らの両親は、2000年前より幻影宮を留守にしていた。
ユレイアとユーシアはその代理を務め、つつがなくとは言い切れなくとも、その留守を守っていた。
両親が、諸々の事情から全ての記憶と力を封印し、別の世界で転生を果たしていた事は知っていた。
いずれ、その封印を解く事も聞いている。だが、それはまだ少し先の事であった。
母の胎内に自分達の居場所ができたとき、早すぎる事はわかっていたが、
魂の一部をその中に納め時を待つ事にしたのは、自分達ではどうする事もできなかったからだ。
だから、せめて幻影宮での仕事を全うする為に、その時が来るまでは、本体をこちらに置く事にした。
あの時、何か強烈な力が母の身体を犯し、ユーシアとユレイアを追い出そうとしていた。
抵抗する事を母に必死で止められた。
それは、してはいけないことだと。
刻一刻と、母の身体は本来の力を取り戻していて、強く強く押さえ込まれた。
しかし、このままでは母の魂が傷ついてしまう。
遠く、一瞬だけ父の存在を強く感じた瞬間、折りよく次元の歪みが現れ、
自分達の本体を道標に、母を守っていた空間ごと転移したのだ。
―ユレイア。ユレイア、ユーシア聞こえるか?
その時、遠く父の声が聞こえた。
―ユレイア、ユーシア!
「父様!」
ユレイアがユーシアを見ると、かすかに頷く。
ユーシアにも、届いているようだった。
―そっちはどうだ?
ほんの20年ほどの事であるのに、父の声が懐かしく感じる。
優しく響く、父の声。
「母様が・・・母さまが大変なんだ。ユーシアが回復してるけど、魂が傷ついちゃってて、僕達じゃどうにもできないんだ!」
そんな事はわかっているだろうが、言葉にせずにはいられなかった。
―わかった。今すぐにそっちに行く。次元回廊の扉を開け。後、一緒にいた3人だが、そっちの歪みは俺が何とかする。
回復してプロテクトをかけておけ。
ちっとも変わらない父の口調に安堵する。
「うん。わかった!早くしてよ父様!!」
ユーシアの顔にも、安堵の色が浮かぶ。
ユーシアが頷いたのを確認してから、ユレイアは次元回廊を開くべく姿を消す。
指示通り、途中で巻き込んでしまった3人の異邦人の元へ向かい指示を出す。
3人共、まだ意識を失ったままだった。
やむを得ず連れて来てしまったが、本来こちらの世界に入った時点で、異質の魂も肉体も消滅してしまう。
判断に迷い、何とか実体を保てるようにしていたのだが、すぐにこちらの世界から魂を隔離し、何重にもプロテクトをかけ、
その肉体と精神にカバーをするよう手配をし、その足で扉接続するべく調整をする。
幸い、あちらからの回廊が出来上がっていたので、ほとんど時間はかからなかったが、
ユレイアには恐ろしく長く感じていた。ユーシアにとってもそうだろう。
扉を開くと、そこには父親が、世界の主であるユニットを抱きかかえて立っていた。
ユレイアとユーシアの父。通称ゼルガディス。
真名をメタトロニオス=ロード=アドナイ=アルムードその人だった。
「父様!ユニット様!!」
見た事もない白い服を着た父に抱きつくと、懐かしい匂いがした。
「話は後だ。」
ユニットが頷くと、世界が反転し、そこではアメリアが横たわっていた。
ユニットがロッドを掲げ、ゼルガディスが小さく呪文を唱えると、
アメリアの身体が浮かび上がり、瞬く間に桜色の光に包まれる。
ユニットも、ゼルガディスも、安堵したように息を吐き、ユレイアとユーシアに笑いかけた。
「お父様!お姉さま!」
ユーシアはゼルガディスに抱きつき、母の顔が安らかになる様子をただ見ていた。
安堵から、今まで堪えていた涙が溢れ、何度ゼルガディスの服で拭っても、それを隠す事ができなかった。
ゼルガディスが指を鳴らすと、そこはゼルガディスとアメリアの私室だった。
ゼルガディスはアメリアを抱き上げ、典雅なベッドに横たえる。
アメリアはスヤスヤと気持ち良さそうに眠っていた。
穏やかな寝顔は、いつもの彼女そのままだった。
「もう、大丈夫だ。ユレイア、ユーシア、よく頑張ったな。」
「ごめんなさい。お父様の手を煩わせてしまいました。」
ユーシアが掠れる声で言う。
「いや、よくやった。お前達がいなかったら、どうなってた事か・・・。よく、ここまで連れて来てくれたな。」
こちらの世界にいなければ、
ユニットはともかくゼルガディスはまともに力を使えないばかりか、仮に使ってもその力は半減してしまう。
ここは幻影宮。
ゼルガディスの力を最も合理的に使える場所であるだけでなく、
本来の姿を取り戻したアメリアが傷を癒すのにも、最も適した場所である。
アメリアは傷付いていた。
ここでなければ、胎内に宿った新しい命の器は助からなかっただろう。
ユレイアとユーシアは、こちらに来てアメリアの治療に全力を傾ける為に、
アメリアの胎内にたゆたっていた魂の欠片を回収してしまい、
そこに居場所はなくなってしまったが、それで彼らの存在が消えるわけではない。
彼らの居場所はなくなってしまったが、それでも新しい命が、彼らの新しい兄弟として息づいていた。
それが嬉しかった。
新しい二つの命である。
ユニットが、驚いた顔でゼルガディスを見つめていたが、ユレイアもユーシアもその事には気が付かなかった。
ただ、ゼルガディスに抱きつき、その胸に顔を埋めて、再会とアメリアの無事を喜んでいた。
ユレイアもユーシアも、ゼルガディスに頭を撫でてもらう事が大好きだった。
ゼルガディスとアメリアが幻影宮を後にしてから2000年。
ようやく本来の主が帰城した。
すぐに、世界に散らばった他の兄弟達も集まってくるだろう。
それを告げる通信音がひっきりなしに鳴り響き、彼らの部下がそれを処理する様子が目で見るより明らかだった。
-第10話へー
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おまけv
ねえ?
私があなたたちを創ったのは・・・・・間違い?
私はあのとき・・・・どうしても。
どうしても、あのときのことが頭から離れず。
そして・・・・・
「・・・・姫様、自分の心に素直になることも必要ですわよ?」
いつも側で私を支えてくれているファーの声が私の心にと染み渡る。
エルの世界でみた、あの親子。
というかあの家族は。
かつての私のはるかなる記憶を彷彿させる。
自分と同じ存在がいる、というのをしって。
そして、互いに話し合う手段を儲け、そしてまた。
鏡の間より、それぞれの世界にと移動することを得た私たち。
すべてではない自分となれるのがうれしくて。
よくほかの存在が抱擁している世界にいくのは。
どうしても自分の本質が変わらないが故。
フェアリーが常に側にいてくれて。
そして、自分と同じ存在の彼女たちを知り。
そしてまた。
あまたの世界を誕生させ、いろいろと試行錯誤を繰り返していた…
そんな矢先。
あちらの世界は私とはちがい、どうやら【エル】は様々な世界を創りだしていたりするけど。
同じようで少し違う、そんな世界を。
しかも、【家族】という存在もまた作っている。
いくつかの【世界】において。
だけど・・・・私には・・・・・・・・・
そんなこと、思わなかった。
私にこの、名前をつけてくれたあの人間たちのことをもしかしたら・・・・ううん。
私がこの名前を【つけた】ときに。
すでに彼らは私の心の中にと永遠にと息づいている。
エルの世界で仲のよい【家族】の姿。
フェアリーだけでいい、と思っていた。
思っていたのに・・・・・・・・・・・。
なのに・・・・・・。
「姫様・・・・・・。私もお手伝いいたしますわ。ですから・・・・・ね?」
そんな私の心を見透かすようにといってくるフェアリー。
私の・・・・・私のたったひとりの・・・・そして・・・・・・・・大切な・・・・
彼女だって、私のせいで、永遠の時をすごすこの終わりのない道にと入り込んでいる。
というのに。
いつも私のことだけを想ってくれる。
その思いが、私にはとてもうれしくて・・・そしてここちいい。
だけどね。
だけど・・・・・
思い出してしまったの。
あのとき。
ただ一人の普通の子供としてあつかってくれたあの夫婦のことを。
そして・・・・・・・・あの国の人々のことを。
思い出せばそれはつきることはない。
「・・・・・・・・だけど・・・・・・」
もし、創ってしまったら?
確かに私には得がたい存在を得ることにはなる。
だけども、創られた存在の【心】・・・・・・は、どこにいくの?
そんな私の思いを見透かすかのように。
「大丈夫ですわ。姫様。この私がいい例ですわ。
ですから、くいのないように…姫様にはこの自らの世界の中で、休息の場も必要ですわ。私もお手伝いいたします。
姫様が姫様であっても安らげる世界をおつくりする・・・そんな世界を。創りましょう?ね?姫様?」
フェアリーの言葉と、そして、遥かななる記憶。
そして・・・・・引き金となったのは。
エルの世界でみたとある親子・・・・・
ねえ?
私のわがままであなたたちを創る・・・・こんな私をあなたたちは許して・・・くれる?
私を・・・・・普通のひとつの、ただひとつの【存在】として・・・・・愛して・・接してくれる?
この世界そのものを抱擁している、そんな存在ではなく。
ただ一人の【ユニット】として・・・・・・・・・。
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管理人よりのあとがき:
薫:この「恋心」をもらって設定もらったときに。思いついたスミレちゃんサイド。
まあ、彼女、ある意味、強いようで弱い部分もありますから。
ちょこっと過去の出来事を利用して、設定してみたりv(かなりまて)
まあ、スミレちゃん使ってても違和感ないように。
設定はこちらもまた出来上がっております、あしからず(だからまて!
スミレちゃん本編ではそんな存在でてこないけど。でもあってもいいじゃないvねv(まてまてまて!
似たような存在ならいますけどね。でも、家族ではないけどさ・・・・・。
家族は家族でもちょこっと違うしね(だからまてぃ!
さって、次回は10話です。がんばって編集するか・・・・・・・・・・・