管理人より:
連続していただいておりますv何と!?今回、アメリアがぁ!?(赤面////
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アメリアの恋心 第1話
「一緒に行ったらだめですか?」
「・・・駄目だ。」
今回ばかりはそう言われるのは分かっていた。
我侭を言うことを、ゼルガディスさんは許してくれない。
でも・・・
「大好きなんです・・・ゼルガディスさんが大好きなんです。」
頭一つ分上にある彼の瞳が、止まらない涙に滲んでよく見えない。
もっとよく見たいのに・・・大好きな空の色をした瞳が見たいのに。
「俺も・・・だ。アメリア。」
大好きな大きな手が、優しく頭をなでてくれる。
彼の瞳に映った私が泣いていたので、私は彼の胸に顔をうずめた。
遠慮がちに背中に回された手が、ゆっくりとわたしを抱いてくれた。
「大好きです、ゼルガディスさん。」
「知ってる。」
「すぐに帰ってきてくださいね。寄り道したら駄目ですよ?危ないことしたら駄目ですよ?」
「・・・気をつける。」
「絶対絶対、すぐに帰ってきて下さい。約束です。」
「わかってる。」
涙をぬぐったのがゼルガディスの唇だったので、アメリアの顔は一瞬で真っ赤になった。
「っもう!ずるいです、ゼルガディスさん!!」
「笑ってくれ、アメリア。すぐに帰ってくるから。」
アメリアの笑顔が、自分を救ってくれた。命を賭けるなんて馬鹿なことはもうするつもりはない。
だが、今回の旅は良くも悪くも自分という存在を賭けてしか出来ないことを、ゼルガディスは知っていた。
そんなとき、アメリアの笑顔を思い出すことが出来たとしたら、
きっとまた救われるのではないだろうかと、ゼルガディスは思う。
声には出さず、そう思った。
「これ、お守りにしてください。」
アメリアが差し出したのは、彼女のトレードマークであるアミュレットの片割れだった。
「きっとゼルガディスさんを守ってくれます。」
そう言って、ゼルガディスの手にアミュレットを押し付ける。
「わたしの代わりに連れて行ってください。
それに、もしゼルガディスさんが浮気とかしたら、それでわたしわかりますからね!」
泣きはらした赤い目でガッツポーズをするアメリアは、いつものように笑っていた。
「おい・・・お前はどーゆー目で俺を見てるんだ?」
「いいですか、ゼルガディスさん!ゼルガディスさんはとっても女の子にもてると思うんです!
だってわたしがこんなに大好きなんですから!もし、一人で旅してる間に素敵な人がいたらどーするんですか!?
そんなの許せません!!むっきーっっっ!!!」
「・・・・・・・・・・・」
「だから、ささっと行ってささっと帰ってきてください!わたしを連れて行ってくれないんだから、それくらい当然です。」
「・・・・・・・・・・・」
「でもって、早く帰ってきてくれないと、わたし干物になるまで泣きますからね?」
「・・・・・干物?」
「そうです!」
その日、セイルーンからカタートに向かう街道を、一人の白ずくめの男が歩いていった。
その後ろをつけている少女のことに、彼はまだ気がついていない。
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時は遡り、ダークスターの一件が終って、アメリア曰く『正義の仲良し4人組』はもとの世界を目指して旅をしていた。
リナはとにもかくにも大至急で国に戻り、事の次第を姉に報告しなくてはならなかったし、
アメリアも長い間セイルーンをあけるわけにはいかない。
ガウリイはいつものごとく何も考えていないし、ゼルガディスもとりあえずはアメリアをセイルーンに送っていくつもりだった。
「ちょおっっっとガウリイ!あんた何あたしのチキン食べてんのよ!?」
「お前だって俺の魚食っただろーっ?」
「うっさいわね!あたしはいいのよっ!!」
いつもの光景。
もう慣れた。
だがだからといって、真似する気はさらさらない。
四人がけのテーブルはリナとガウリイが注文した皿でめいっぱい。
アメリアとゼルガディスが入る余地はない。
場合によっては参戦することもしばしばのアメリアだったが、ここのところその気配はなかった。
「もう食わないのか、アメリア。」
「えっ?あ、はい。もうお腹いっぱいです。」
ゼルガディスの声に、フォークとナイフを置いたアメリアだったが、いつもの半分も食べていない。
いつも元気の塊のようなアメリアだが、ここのところ上の空になっているときが多い。
いつだったか?
確かアメリアの帰還命令が出たときからだ。
ゼルガディスはもとより、当然リナもガウリイも気がついてはいたが、本人が話す気になっていない以上は聞く気はなかった。
おかしいとは思うのだ。
ダークスターを追い返し、いわば凱旋帰国になるわけだから、アメリアとしては胸を張っていいはずだ。
フィルさんにも会いたいだろう。
そのはずが・・・ いつもうるさいくらいにゼルガディスにまとわりついてくるアメリアが、
最近は、まあいつものようにまとわりついてはいるが、
元気がないし時折ぬれたような瞳でゼルガディスをじっと見つめるばかりだった。
その辺のことは大方心当たりのあるゼルガディスだったので、しばらくは仕方ないと思っていた。
「何、アメリア?もう食べないの?」
「食わないのか?じゃあ俺がもらうぞ?」
「なぁに言ってんのよ!これはもうあたしが貰ったのよ!
あんたにやるもんなんて小指の先っちょほどもないわ!!」
(あいかわらず、食い気が先ですよね、リナさん・・・)
思っても口には出さず、アメリアは席を立った。
「ちょっと疲れっちゃったので今日は休みますね。」
どうせリナとガウリィは聞いていないのでゼルガディスに言うと、
彼は「ああ」と頷いた。
「ちょおっと、ゼル!あんた今度はアメリアに何言ったのよ!?」
ぷっはーっ、とジョッキから水を飲み干し満足したリナが、
食事を終え安い酒を傾けていたゼルガディスに向き直った。
「最近のアメリアはただ事じゃないわ!どうせあんたがまたどうしょうもないこと言ったんでしょう!?」
「心当たりがあったら、心配してない。」
「っかあぁぁ!あんたの心当たりは信用ないわよ!!」
さらっと言うゼルガディスに、リナはくってかかる。
いつものことである。
リナにしてみればアメリアは妹みたいなものだ。
アメリアが落ち込むときはどこをどう考えても思い出してもゼルガディスがらみ。
アメリアが自分から言い出さない以上じかには聞けないが、
ゼルガディスにちょっとくらいは乱暴に問い詰めてもいいのである。
「心当たりはあるが、それはお前さんに言ってもわかるまい。」
「はあ?何よそれ?どういう意味なのかしら、ゼルちゃぁん?」
リナの手にファイヤーボールがきらめく。
「うおい、リナ!それはやめろ!!」
後ろからリナを羽交い絞めにするガウリイの顔に、リナのエルボーが決まる。
「そのまんまの意味さ。」
席を立つゼルガディスの後ろから
「何よ何よ何なのよーっっ」
とリナの声が響いた。
アメリアはセイルーンからの書類に目を通していた。
もう数え切れないほどため息をついた。
「どうしましょう・・・」
何度も何度も読み返した手紙。
「ゼルガディスさんは・・・迷惑ですよね。」
ゼルガディスには目的がある。
セイルーンに来てくれるとは言ったが、それはずっとアメリアの傍にいてくれるという意味ではないはずだ。
きっとまた旅に出る。
それは別にいいのだ。
よくはないが仕方がない。
わたしにはわたしのやることがあって、ゼルガディスにはゼルガディスのやることがある。
「でも、こればっかりは勝手には出来ません。」
もう、何度も何度も呟いた台詞だった。
「やっぱり、ゼルガディスさんには知っていてもらいたいです。」
(そうしないとゼルガディスさんは勘違いして、きっともう二度とわたしの前には現れてくれません。)
「はうう・・・言わなければいけませんよね。」
「何を言わなきゃならんのだ?」
「はへ?ああっ、ぜっぜぜっぜぜっぜるがでぃすさん!?」
メリアの様子は気にかかっていた。
自分のことで考え込んでるだろうということも、予想はついていた。
このまま放っておけば、リナが首を突っ込んでくるのも時間の問題だな。
そう思ってアメリアの部屋の前にくると、中からため息と独り言が延々と聞こえてくる。
こういうアメリアを放っておいてはいけないのだ。
アメリアには今まで対等に話が出来る友達といえるような人間が回りにいなかったから、どうすればいいのか分からないのだ。
まあ、自分も似たり寄ったりだが、
食事もろくにとらないほど悩んでいるらしいアメリアを、放っておくことなど、
ゼルガディスに出来るはずがない。
「しっしししし失礼ですよ!レディの部屋にいきなり入るなんてっ!」
「ノックもしたし声もかけた。」
「ううっ。」
「で、話は何だ?」
「そ・・・そんなに突然言われても心の準備とゆーものが・・・」
「いいから話せ。」
腕を組んだゼルガディスの瞳にアメリアが映っている。
(ううっ・・・そんなこと言われても。
でもでも、ちゃんと言わなきゃ正義じゃないですし・・・ゼルガディスさんがせっかく心配してくれてるし。
ああっ、でも言ったら怒っちゃうかもしれないし・・・きっと困ってしまうし。)
「ぜ・・・ゼルガディスさん怒りませんか?」
「何か俺が怒るようなことをしたのか?」
「い、いえ。別にわたしだけが悪いわけでは・・・はっ、そもそもゼルガディスさんにだって半分は責任が・・・」
「だから何だ?」
「だから・・・その。えっと・・・えっとですね。あの・・・」
「言いにくいことなのか?」
「いえ・・・その。」
アメリアが真っ赤になって俯く。
どうやら別れ話というわけではなさそうだ。
アメリアの持っていた見合いの資料をゼルガディスはチラッと見ていた。
そういうことがありえることは、とっくに覚悟していた。
覚悟していたからといってどうにかなるわけではない。
もしアメリアが自分の傍を離れていったら、今の俺はどうなってしまうんだろう。
好きなのだ。
愛している。
そんな言葉で言い表せるほど、簡単な気持ちではない。
ただアメリアが今のゼルガディスには全てだった。
だから、アメリアの幸せのためになら、いっそこのまま姿を消すべきだと思ったが、それは出来なかった。
アメリアがいない世界で、生きていくことはもう出来ないから。
自分勝手で傲慢だとは思う。
だが、それをどうしろというのだ?
「あの・・・ごめんなさい、ゼルガディスさん!」
アメリアが真っ赤な顔のまま頭を下げた。
「・・・どうしたんだ?」
そういうゼルガディスの声がやさしく耳に響く。
言ったらもう聞けなくなってしまうだろうか?
きっとそんなことはない。
彼はとっても優しい人だから。
「こ・・・あ・・・」
「こ?あ?」
「・・・あ・・・赤ちゃんができました。」
「・・・?んなっ!!!」
「二ヶ月に・・・はいったところだそうです。」
「こ、ここここ子供?」
「あの・・・びっくりしますよね・・・困りますよね。
でも・・・でもわたし生みたいんです。迷惑なのわかってます。でも生みたいんです。」
「・・・・・・・・」
驚いた。
驚いたなんてものじゃない。
初めてアメリアを抱いたのは、ダークスターのゲートが開きかかって、よくわからないまま変なところに飛ばされたあとだった。
必要以上に摩訶不思議な頑丈さを誇るアメリアだから、無事だろうとは思っていた。
だが、それでも心配だった。
無事に再開できたその日の夜、いつものように部屋を訪ねてきたアメリアを抱いた。
最初はそんなつもりはなかった。
だが心配だった、会いたかったと泣くアメリアを気がつけば抱いていた。
腕の中で嬉しいです、大好きですと呟くアメリアをそのまま部屋に返すことが出来なかった。
「・・・産んでくれるのか?」
「ゼルガディスさん?」
「俺の身体はこんなだ。子供が何ともないとは限らない。わかって言ってるのか?」
呆然とした俺の言葉に、アメリアは拳を振り上げ俺の胸をたたいた。
「ひどいです!馬鹿にしてるんですか?そんなの関係ないです!!
わたしはゼルガディスさんが大好きだから・・・ゼルガディスさんの赤ちゃんだから・・・生みたいんです。」
「アメリア・・・」
涙を浮かべたアメリアの顔は、少女ではなかった。
「産んでくれるのか?」
「だから産ませて下さいって言ってるじゃないですか?」
「何でそんなこと聞くんだ?」
「だって、子供を生むということはゼルガディスさんの人生をセイルーンに縛ってしまいます。
誰の子供かなんて、隠したくないです。もう、ゼルガディスさんが大好きなこと隠したくないです!
大好きな人の子供を産むんだって言いたいです。隠すなんて正義じゃないです!!」
愛しいと思った。
これ以上アメリアを愛しいと思うことなど出来ないと思っていた。
それ以上があるとはな・・・
ふうっと息を吐き、ゼルガディスは未だ泣くアメリアを抱きしめた。
「ありがとう、アメリア。嬉しいよ。」
「・・・迷惑じゃないですか?」
「ああ。」
「・・・困ってないですか?」
「ああ。」
「本当ですか?」
「愛してるよ、アメリア。ちゃんとフィルさんに挨拶をしに行こう。」
「うう・・・嬉しいです、ゼルガディスさん。初めてちゃんと言ってもらいました。大好きですぅぅ。」
泣き笑いのアメリアが寝付くまで、ゼルガディスはアメリアの背中をなでていた。
ようやく寝息が聞こえてきたところで、アメリアをベッドに寝かす。
その隣に横になりゼルガディスは古びた地図を取り出した。
「もう、形振りかまってられんな・・・」
眠っているアメリアを抱き寄せ、そっとアメリアのお腹をさする。
今までにないほどの幸福をかみ締めながら、ゼルガディスは眠りについた。
扉の向こうでリナが真っ赤になっているのはわかっていたが、些細なことだった。
-第2話へー
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おまけv
「でぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!」
宮殿内部に叫び声とも悲鳴ともつかない声が響き渡る。
「…何考えてるの?」
「…というか、でも…だぁぁぁぁあ!本当に、エル様のいってたとおり、シャブラニグドゥって、使い物になんないんだね…」
「あらあら。お兄さま。いくら本当のことでも、それをいうならば。
お仕置きを受けすぎて少しばかり混乱している情けない無能魔王、とでもいってさしあげてくださいな♡」
にこやかなまでにいう、そんな妹の言葉に。
「…ユーシア、そっちのほうがかなりきつい…」
じと目でそんな妹のほうをみている一人の少年。
「それはともかく・・・確かに、このままでは困りますわよね。」
「そうだよね…」
そんな会話をしつつしばし顔を見合し。
「あ、そうですわ♡お兄さま、いいことを思いつきました♡ということで、皆様、後はよろしくおねがいいたしますわ♡」
そう言い放ち、内容を伝えたそんな少女の言葉に。
『どぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?』
今度はかなりの数の叫び声が宮殿内部にと響き渡ってゆくのであった…
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管理人よりのあとがき:
薫:二時から編集を始めてすでに六時・・・・あぅ(実話
みゅぅ・・・・・なかなかですなぁ。
いや、改行とかのあたりとかをさ・・・
そのまんまはりつけしたら、変なところで改行になってるのさ・・・・
会話の途中とかで・・・・
なぜだろ?何はともあれ、しっかし。
ゼル・・・・避妊はしっかりしないとね(笑
ちなみに、おまけは管理人が勝手にかいているやつですので
(一応許可もらってる←詳しくはいってないけど)
あしからず・・・・