闇;と言うわけで、前回の続きです
ファ:はあ、まったく無計画な・・・・・・
L:まっ、闇竜だしね
闇:ひどい言いぐさ・・・・・・それでは、本文へ



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    黄昏の果てに望むもの      U、偶然と宿命の出会い



名だたる貴族デリューク家の家主が暗殺された翌日。
町の中のある裏通り。
五年前に行われた戦争のせいで親を無くした者や家を無くした者がたむろする一角。
まわりに似合わないかなり美しい乙女が居る。
銀の髪を長くたらし、まるでどこかの貴族の娘のようだ。
彼女は何かを待っているのか、ずっと動かない。
そして、10時を知らせる鐘がなった時、道の端から現れる一人の女。
黒の髪をかなり短く切り、ぱっと見では男と間違ってしまうぐらいだ。
言うまでもない。昨日の暗殺を行ったラーとシルである。
「どうだった」
黒髪・・・・・・つまりラーが聞く。
「尾行されたわ」
シルがラーを見ずに言う。
「ふむ、私を追いかけずにシルを追いかけたという事は、相当な実力者だな」
「ええ、どっちが追いかけやすいか分かっているようね」
そう言ってため息をつくシル。
「それで?いつ気がついた?」
「今朝よ」
「何?」 流石にこのセリフには眉を上げるラー。
「そうよ。今朝偶然に気がついたのよ。まったくたいした者ね。気配を消すのはあなたと同じくらいうまいわ」 
「それにしても、一体何者だと思う?
  暗殺者(アサシン)か?それともお前と同じ邪術士(ソーサラー)か?それとも盗賊(シーフ)か?」
「多分魔導士じゃないかと思うわ」
このセリフに、あっけに取られるラー。
「魔導士だと?」
「ええ、何度も魔術で撹乱させている筈なのにまったく聞いたようも無いのよ」
「それなら邪術士でも・・・・・・」
ラーがそう言うが、シルはため息をつき、;
「邪術士じゃあ術の後始末はできないのよ。それが出来るのは魔導士と精霊だけ。
  昨日の様子からすれば魔導士のほうが確率が高いのよ」
そこまで言って言葉を区切り、
「どうする?」
そうラーに聞くシル。
「どうするって言われてもな・・・・・・殺すしかないだろう」
そう言ってこっそりタガーを取り出すラー。
「そうね・・・・・・」
その意見に同意して自分も短剣を取り出すシル。
「今いる位置はどこだ?」
「多分あの角の向こうね」
そうあごで指しながら言うシル。
「じゃあ、行くぞ」
そう言ってタガーを構えるラー。
シルも後ろ手に短剣を構える。



「こりゃやばいかもしんねえな」
そう言って杖を構える男が一人。
そう、彼の1ブロック先には女が二人。
ただし、普通の女のわけが無い。
「一人は絶対暗殺者だろう。
  もう一人もあの高レベルの錯乱魔法を使うぐらいだから邪術士かな。って事は俺の事も分かってるな」
そう小さく呟きながら目を離さない。
そう、この男は、昨日の晩失踪した魔導士なのだ。
彼の名前はメビウス=タウ。
彼は窓から飛び出てくる二つの人影を見てもしやと思い、気配を消して一人を尾行したのだ。
「くるか?」
そう呟いた時、黒髪の女のほうが一気に飛び込んできた。




「行くぞ」
そう静かにいい、ラーは飛び出した。
すかさずシルも後を追おう。
すると、逃げれないと見てか、男が飛び出してきた。
手には宝珠がついた杖。
まず間違いなく魔導士だ。
「はっ」
ラーはそう言い、タガーを突き出す。
しかし、魔導士はそれを軽々避ける。
しかし、それが避けられるのはラーに分かっている。
本命は右足の先に仕込んだナイフによる左胸を狙ったキック。
「ほっ」
しかし、魔導士はぎりぎり後ろに下がってその攻撃を避ける。
だが、
「風よ!」
シルが魔力によって作り出した強風がラーを押す。
つまり、ラーの足は後ろに避けたと思った魔導士に肉薄する。
「くっ」
そう言って体を捻ってかわそうとするメビウス。
しかし、少しばかりナイフが掠る。
ラーはそのまま後ろに飛んでいき体勢を整えて立ち上がる。
そして、メビウスは挟まれて完全に退路を塞がれた。
「不利だな・・・・・・女に手を上げてはいけないといわれてるんだが・・・・・・」
つい本音を漏らすメビウス。
しかし、ラーとシルはそんな事をおかまえ無しに突っ込んでくる。
(どっちが早い!?)
心の中でメビウスは言いながら両方を見て、
「こっちか!?」
そう言いながら、先に突っ込んできたラーのタガーを杖で受ける。
そしてそのまま体を倒し、シルの足を払う。
「きゃっ」
そう言って地面に倒れるシル。
しかし、その様子を見ずに、
体勢では自分の上に来ているラーを真上に蹴り飛ばす。
「ぐはっ」
そう言いながらも、投げナイフをメビルスに向かって放つラー。
しかし、メビウスもそれを食らうわけが無く、マントで叩き落とし、シルの真上を飛び二人を正面にしてまた睨む。
シルは立ち上がり、ラーも落ちる前に体制を整えて着地する。
「流石だな」
つい口に出してしまうメビウス。
「強いわね」
「確かに」
ラーとシルも会話をする。
そんな間にメビウスは考える。
(どうする・・・・・・相手は本気だ。だとしたらきっと命を狙ってくるんだろう。
  そんなの受けてばっかりでは何時かホントに死ぬ。だとしたら、一か八か、こっちから攻める!)
そこまで考える時間は約一秒。
メビウスは呪文を唱えながら一気に彼女達との間合いを詰める。
「なっ」
これは予想してなかったのか、シルが声を上げる。しかし、
ガキッイィィィィイン
後ろから出てきたラーがメビウスが振りかぶった杖を自分のタガーで止める。
そして、もう一方のタガーを下からメビウスの左胸めがけて一気に突き出す。
しかし、メビウスは下がらず逆に彼女の方に一気に体を寄せる。
ざしゅっ
ラーの突き出したタガーはメビルスの腹に突き刺さる。
しかし、メビウスは彼女の腹に手を当て、
「衝撃弾!」
今まで唱えていた呪文を解き放つ。
「!!!!」
声も出せずに飛んでいくラー。
そして、強かに体を壁に打ちつける。しかし、
「衝撃弾!」
メビウスも硬直が溶けたシルの魔術によって吹き飛ばされ、体を壁に打ち付ける。
シルは飛ばされたメビルスに一気に迫り・・・・・・
「雷よ!」
シルの手から放たれる電撃。
「ぐわああああ」
そう目を見開き、地面に倒れるメビルス。
「ラー!?大丈夫!?」
メビウスには見向きもせずにラーの方に行こうとするが、
「大丈夫だ」
頼りなさげに言いながらも立ち上がってシルの側にくるラー。
「ホントに大丈夫?」
そう心配そうにシルは聞くが、ラーは頷き、
「そいつを持って帰ろう」
そうメビウスを顎で指して言う。
「何で?」
シルが不思議そうな顔をして言うが、
「何かの役に立つだろう」
ラーはそう言って自分の意識を手放し、メビウスに倒れるようにして気絶する。
「どうすればいいのよ〜」
後には、途方にくれたシルが残された・・・・・・



「はっ」
目が覚めると、見た事も無い場所に寝かされていた。
「ここは?」
そう言って髪をかきあげようとしたが、手が動かない。
メビウスは嫌な予感がして足も動かしてみたが、やっぱり動かない。
「縛られてるか・・・・・・」
どうやら動かせるのは上半身だけのようだ。
そんな事を考えていたら、ドアが開いた。
「起きたか」
黒髪の女。つまりラーが顔を出す。
「俺はどうなってんだ?」
メビウスは恐れも無く聞く。
はっきり言うと開き直っている。
どうせここは敵の手の上。
じたばたしてても始まらないのだ。
「あんたは、私達が一応生かしておいた。ここはホテルの一室だ。それでいいだろう」
そう言うと、俺の横のベットに腰掛け、
「私はあんたの問いに答えた。今度は私の問いに答えろ」
そう言うラー。
メビウスはこくりと頷く。
そして、 
「まず、名前と職業を教えろ」
「名前はメビウスだ。メビウス=タウ。職業はわかっていると思うが魔導士で成合は傭兵だ」
「素直だな。じゃあ年齢と自分がどう言う風な立場か言え」 
「年齢は22歳だ。立場は、二人の女。
 つまり、あんたともう一人と戦った後気絶させられ、今はこうやって拘束されている。
 命の判断はあんた等二人が持っているというわけだ」
「その通りよ」
;そう言って入ってくる銀の髪の女つまりシル。
「ちゃんと分かってるな」
そう言ってナイフで遊びだすラー。
「それで?俺をどうするんだ?」
メビウスがため息をつきながら言う。
「私達のメンバーに入らないかって言いたい」
ラーが言う。
「どういう事だ?」
メビウスが首を傾げて聞くと、
「つまり、あんたは私達二人と対等に戦ったから、かなりの戦闘能力を持ってるってこと。
  だから、私達の仲間に入らないかって言ってる」
「それで?あんた等の得にはなるかもしれないけど、俺の得は?」
「死ぬのと私達の仲間になるのとどっちがいい」
ラーが脅す。いや、メビウスがノーと答えたら殺すだろう。
メビウスは諦めてため息をつき、
「いいだろう。条件を飲もう。だけど、俺がもし他人に話したらどうするんだ?」
この疑問は、あっさりと回答が出てきた。
「私がある邪術をかけるわ。
それはもしあなたが私達に害すると思われた時に発動して命を取るというものよ。それがあったらいいでしょ」
そう言って首をかしげるシル。
メビウスはもう一度大きなため息をついた。



「じゃあ始めるわよ」シルが言う。

メビウスは今丁度逆五紡星の真上に居る。
これから邪術の儀式を始めるのだ。
メビウスの格好は、上半身裸だ。
もちろん手は後ろに縛られている。
シルが唱え始める。

我と契約を結びし夜の王よ 今我に更なる力を与えよ
我と汝との間に交わされし 永久の契約につき
今この者を縛る 無限の扉開きたまえ
我が死によりて解き放つまで
この者の自由を 永久に封じたまえ!

死の鉤爪


そう言った時に、いきなり黒い手が現れて俺の左胸に添える。
その瞬間、激痛が俺を襲う。


「ぐをっ」
しかし、その一瞬だけだった。
黒い手は逃げるように消え、後には俺の左胸に三本の鉤爪状の手が残されていた。
「ちなみに、それは私達を殺そうとしても発動するから」
儀式を終えて疲れたのか床に膝を突きながらシルが言う。
「解かった」
そうメビウスは頷き、
「そろそろ服返してくれねえか?」
真顔でラーに言った。


「これで私達の名前を教えれるわ」
部屋に戻ってからラーがそう言う。
「そういや名前聞いてなかったな」
メビウスが今更ながら言う。
シルが苦笑しながら自己紹介をする。
「私の名前はシルベスタン=ラミュール。普通はシルでいいわ。職業は邪術士で成合は暗殺。
  歳は21よ。身長は確か175cm。スリーサイズと体重は内緒vv」
「私はラー=ルシファル。普通はラーだ。職業は暗殺者で成合は暗殺。歳は20だ」
「へ〜、よろしくな」
そうメビウスはにっこり笑う。
すると、
「じゃあ、これをつけておいて」
シルがバッチのような物をメビウスに渡す。
「何だこれは?」
首をかしげながらも受け取るメビウス。
バッチのような物の中には何かが描かれている。
「私達の紋章だ」
 ラーはそう言って自分の服につけている紋章を見せる。
自分の紋章をよく見ると、どうやら竜のようだ。
「へ〜、これが紋章か」
 そう言いながらもメビウスはバッチをつける。
「さて、そろそろアジトに戻るわよ」
ラーがそう言ってシルも立ち上がる。
「じゃあ、案内してくれ」
メビウスもその後に続いた。


                            続く・・・



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    闇:贈るの遅れてました。すみません

  ファ:どうでもいいが、次回はあるのか?
    闇:ええ、一応存在します
   ファ:そうか・・・・
   闇:それでは、今回はこれにて・・・・
   ファ:さようなら〜