闇:さ〜て、やっとここまでたどり着きました
ファ:はいはい
 闇:ちなみに、今回歌の謎解きが行われます
ファ:で?
 闇:はっきり言って謎解きは簡単です
ファ:まあ、所詮バカの考える事だからな
 闇:しどい(ひどい)・・・・・・
ファ:・・・・・・ほんとのことだろうが
 闇:さ〜て、それでは本編へ・・・・・・
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           祝福の都の守り神   Y、運命の朝・昼・夕



ついに祭りが始まった。
この祭りは水竜神を称える物で数多くの旅人も足を運ぶ。
もちろんその混雑に紛れ込んで色々な犯罪も起こるが治安維持隊がそれをちゃんと制圧している。
そして・・・・・・
その日がメビウスたちに残された最後の日であった。


太陽が高く上る頃・・・・・・
メビウスは混雑する人ごみの道からたくさんの屋台が立ち上る公園のベンチに座っていた。
朝降った雨のせいで少しばかりベンチは濡れていたがメビウスは気にしたことでは無い。
見ているものは歌がかかれた紙である。
「う〜ん、これ自体が何かを指してるんだろうな〜」
そう言って首を捻る。
「なんか規則性があるとか隠された文字があるとかかな〜 とも思ったんだけど別にそんなことは無いようだし・・・・・・」
そう言って彼は首を捻り、
「やっぱり地下のあれから作られたものなのかな?」
そう言って頭の中の記憶装置を発動させる。
『大いなる石版の中に、封じられし民よ 百番目の晩餐の時 暗き土竜が動き出し、暗き太陽が登りだす。
  暗き太陽は破壊の意、すべてを飲み込む闇の底、古の野望の結末が、再び目覚める時の声、野望は繰り返させられる。
  狂った循環の環のように、沈黙の咆哮解き放たれる。それが全ての鍵となり、闇は飛び火し魔は目覚む、
  それを封ずは竜神の者、アクレスの麓に眠る王、竜機神を尋ねるべし、
  竜神の力で封ずれば、沈黙は眠りつき、再び遥か遠くで時を待つ。
  今を生きる民たちよ、古の哀れみ背負う者、始まりは終わり、我が名は水竜神アクアウル。
  古の魔獣を一時の、眠りに着かせし水の神。願わくばすべてを背負う、宿命の子等に、この歌よ届け・・・・・・』
そして、紙をもう一度見る。
『大いなる、石版の中央で、百回目の晩餐に、眠りし竜が身動きし、暗き太陽がやってくる。
  暗き太陽昇るとき、眠りし野望は封を解き、悲しみの歌を乗せてくる。
  悲しみの歌は水に落ちた波紋の如く、あらゆる場所に移るんだ。
  明るき光が満ちる時、聖なるベールが都を包み、悲しみの時は終わりを告げ、また遥かの彼方で待ち続く。
  今の時を生きる人、哀れなり生きるもの達よ輝きの泉で待ってるよ、君と出会うその時を・・・・・・』
「この二つは同じ物として見て良いな」
そう言って紙を仕舞い、
「問題は誰がこの思い歌を見つけ出したかって言う点だ」
そう言って腕を組む、
「どーやら、裏で何かが起こってそうだ。厄介なもんだ。地下の事はチャドの方も知らねえって言うし・・・・・・」
彼は昨日の晩にもう一度チャドの所に訪れたのだ。
しかし、彼自身石版に書かれていた歌を見たのは初めてだという。
『あんな物があったなんて・・・・・・』
チャドは悔しそうにそう言った。
彼にとって神殿に自分が知らない物があるというのは口惜しいことなのだろう。
「しっかし・・・・・・俺たちを狙ったあの黒い服の奴らの目的は何だ?」
そう、メビウス・・・・・・正確にはサイレンスだが・・・
・・・を抹殺しようとしてきた刺客とは違う街中で いきなり火炎球ぶっぱなつ奴らの正体が分かってないのだ。
なぜただ単に考えるだけなのにメビウスが外にいるかという理由は、その一味の事をどうにかしようと思っているからである。
議会長に何か恨みを買った覚えは無い。
それは断言できると思いながらメビウスは
やってくる数人の不信な人間に目を付けていた。
ざっと見て大体二・三十人は居る。
「・・・・・・こりゃあ、一団と厄介な奴等が来たな」
メビウスはそう言うと共に右手に鉄の塊を移す。
「さ〜て、どーすっかな」
そう言うと共に呪文を唱え始める。
もちろん周りにばれない様にだ。
そして、
「火炎球!」
何十個もの火炎球がメビウスに殺到する。
それらすべては爆発し、メビウスが居た一角が炎に包まれる。
しかし、悲鳴は上がらない。
拍手が沸いている。
黒服の人間達はこれを劇だとでも言ったのであろう。
そして・・・・・・
『おおおおおお』
平然と座っているメビウスが炎の中から現れた。
ただ単に『飛行』の風結界で防いだだけなのだが・・・・・・
「行くぜ」
そう言うと共に『飛行』をコントロールして体当たりをする。
もちろん自分もバランスを崩し転がるが・・・・・・
メビウスは『飛行』を解除し、次の呪文を唱え始める。
そして、再び黒服たちは火炎球を放ち・・・・・・
「まとめて吹き飛べ!ジェノ発動!」
その瞬間、魔法反射の結界がメビウスの周りに形成された。
もちろん、どうなるかは分かるはずである。
広場は真っ黒な炭が幾つか並ぶはめになった。
もちろんメビウスはその前に姿を消している。
「まあ、直接乗り込んでみますか」
裏通りからパニックに陥っている表通りを見ると共に彼は走り始めた。


「あなたにとって運命とはなんですか?」
裏通りで突然メビウスはそう言われた。
「はい?」
「ですから、あなたにとって運命とは?」
そこに居たのは普通の男・・・・・・しかしこんな事を聞いてくるのは・・・・・・
「あんた・・・・・・審議者か?」
審議者・・・・・・なぜか人々に質問し、その答えを受けるもの。
聞かれた者は必ず答えなければ成らない。
「すまねえが先を急いでるんだが・・・・・・」
メビウスがそう言うが、
「あなたにとって運命とは?」
まったく無意味。
メビウスはため息をつくと、
「俺にとっての運命とは無意味なもの。無くてもいいし、あってもいい」
そう言うと審議者はこくりと頷き、
「では、循環とは?」
そう聞いてきた。
メビウスはぴくりと少し警戒心を出したが、
「循環とは・・・・・・強いようで脆いものだな」
「ほう?」
審議者は首をかしげる。
「つまり、循環って言うのは何時までも繰り返させれる
   強いように見えるけど実はほんの一つ変えるだけで、変わってしまう脆いものだという意味だ」
そう言うと共に時計を見て・・・・・・
「すまん、できればここまでにしてくれるか?ちょっと三時までに行かなきゃならねえ場所があるんだ」
すると、
「ありがとうございました。また会う事もあるでしょう。しかし覚えておいてください」
そう言うと共に一つきり、
「私の名はワイズマン。闇と光どちらにも属さぬ傍観者。それゆえに手出しはできません」
そう言うと共に後ろを向き、
「ではごきげんよう・・・・・・運命と宿命を背負いしメビウス(循環)の名を持ちし者よ」
そう言うと共に彼はメビウスとは逆の方向に歩き出した。
「??????」
しばらくの間疑問符を頭につけていたメビウスだったが
もう一度時計を見ると共にすぐさま走り出した。
そう、それが運命と宿命との全ての始まりだとは知らずに・・・・・・


屋敷のある一角は夕方の人が一番いる時間帯だというのに静まり返っていた。
底の前に佇む一つの人影・・・・・・
漆黒のブレスアーマー、黒塗りの鞘に入っているロングソード、真っ黒なマント、そして、顔全体を隠す仮面・・・・・・
言うまでもない。
これがヴィソール=ウル=デスである。
ヴィソール=ウル=デス。
つまりサイレンスは妙な気配を屋敷の中から感じていた。
「・・・・・・これは・・・・・・瘴気か」
そう、通常の人間でも少し引くほどの瘴気が出ている。
「・・・・・・何かあったな」
そう言うと共に彼は玄関の扉をくぐった。
玄関の扉を開けるとそこは大きなロビーだった。
いくつもの鎧が飾ってある。
彼は中に一歩踏み出し・・・・・・

ギイイイイイイイイイン、バタン

静かな音を残して扉が閉まった。
もちろんサイレンスが閉めたわけでは無い。
ひとりでに閉まったのだ。

その瞬間、彼は漆黒の鞘に入っているロングソードを抜いた。
キル・ソード・・・・・・ヴィソール=ウル=デスが好んで使う剣である。
その剣は血を吸い黒く変色していたがそれでも切り味は落ちてない。
彼はそれを構えると彼自身が使う呪文を唱え始め・・・・・・

がっちゃん、がっちゃん

突然、ロビーにいた全ての鎧が動き出した。
亡霊鎧(リビングアーマー)である。
大体数十体はいる。
彼はキル・ソードを振りかぶり、
「ブリッツ!」
そう言い近くの亡霊鎧に振り落とした瞬間、稲妻と共に亡霊鎧は吹き飛ばされた。
そしてこの時、戦いの火蓋は切って落とされた。


精霊魔法は理解の力を求める。
つまり、それぞれがまったく同じ精霊魔法である必要は無いのだ。
例えばポピュラーな『火炎球』でも使う人々それぞれにくせがあり、唱え方も違う。
そして、ヴィソール=ウル=デスが使う魔法も特殊な唱え方で、色々な魔法になるのだ。
今使った『ブリッツ』は剣に雷を纏わし、当てた相手を『雷』プラス吹き飛ばすという能力を持っている。
そして、彼はこの特殊な攻撃方法をいくつももっているのだ。
そして、それは攻撃だけとは限らない。
防御、治癒、特殊と多彩な物である。
もちろんそのロングソード自信にも魔法がかかっている魔力剣なので相性が良い物と悪い物もある。
そして、この特殊な魔法の利点は魔法を掛けた物をそのままにしておけるという事である。
つまり事前にその魔法を掛けておき、いざとなったらさっきの『キーワード』を言って魔法を解き放つ事が出来るのである。
本当はある特定の精霊と契約をしてその呪文と『キーワード』によって部分召喚しているのが本当の原理だ。
ちなみに、『ジェノ』もこの魔法の一種である。
まあ、最初使ったときは背中に隠し持っていたのだが・・・・・・
ちなみにこの精霊魔法の弱点は一度唱えるとそれを使うのに数分から十数分の時間を置かなければ成らないという所だ。
例えば『ジェノ』ならば約一分。『ブリッツ』なら約四十秒という風にだ。
もちろん強力な術ならそれ相応に間が長くなるという事だ。
ちなみに一番長い攻撃系統の種類が四つ。
『ジオ』・『ゼロ』・『コア』・『スー』と呼ばれる四種類である。
ちなみに『ジオ』が地・植物系統、
『ゼロ』が水・氷系統、
『コア』が炎系統、
『スー』が風・雷系統である。
このことでサイレンスが生き延びてこれたのも何度かあるほどである。
このときもそうである。
通常なら数に負けて倒されるであろう数を彼は見事に切り抜けたのである。
その時間約十五分・・・・・・
改造された事によってできた驚異的身体能力と
彼自身が持っている天性の判断力、魔力。
それによってできたことである。
彼は惨劇のロビーを見渡すと奥の扉をくぐった。
そこに続いているのは廊下。
赤い絨毯が引いてあり、普段は綺麗なのであろう。
だが、カーテンが締め切られランプのみの明かりの前には
それは不気味としか言いようが無かった。
しかしそんなことも彼にとってはどうでもいいことだった。
「瘴気が濃くなってるな」
そう言いながらマントで口元を覆うサイレンス。
このマントもミスリルと今では伝説ともいわれるオリハルコン、
そして黒竜の鱗を編みこんであるため、かなりの魔法防御力と物質耐性がある。
ちなみに、黒竜の鱗は呪いや毒などを跳ね返す力も持っているため、かなり貴重な物である。
彼はある事情でこれを黒竜自身から貰ったのだが・・・・・・


彼はマントで体を守りながら一番奥のまがまがしい瘴気があふれ出ている部屋の前にたどり着いた。
それまでに何度かグールなどの
下級モンスターやデュラハン等のモンスターに襲われたが難なく切り抜けている。
そして、瘴気に咽ながらも彼はドアを開け・・・・・・
「・・・・・・酷いなこれは」
奥に居た・・・・・・いやあったと言った方がいいのであろう。
そのものは異形であった。
繭のような物でそこからいくつ物触手が出ている。
そして、繭のような物の表面にはグロテクストしか言いようが無い元は人間の顔だった物が張り付いている。
多分触手によって食べられた人間達の哀れな最後であろう。
そして、こんな事が出来るのは・・・・・・
「・・・・・・悪魔が一枚噛んでいるのか」
悪魔・・・・・・人間の邪念から言われたといわれる存在。
一千年前の聖魔大戦で魔界に封じられた存在。
そして、五年前・・・・・・ある一人の愚かな人間の欲望によって封じられていた一部が目覚めた・・・・・・
「・・・・・・悪魔に俺がしてやれるのは・・・・・・」
彼はそう言うと共に再び剣を抜き、
「安らかな眠りのみだ」
その瞬間、短く呪文を唱える。
「ジオ」
真上に伸ばした剣の先に周りの風景が凝縮される。
残った風景があった場所には闇とも光ともつかない混沌があった。
『ジオ』
・・・・・・それは重力などすべての力場を歪ませそれを一点集中させた後にそれを敵に放つ術である。
その威力は彼の持っている独自の精霊魔法系統の中の四大魔法に上げられるだけの威力はある。
彼は剣を異形に向かって振り落とした。
『ジオ』は異形に触れると共にその破壊力を発揮する。
『ぎゅあああああああああ、助けてくれ』
『私はああああああああ』
『びええええええええ』
『ぐわあああ、苦しい、苦しいよ』
『ジオ』の直撃を受けて、さまざまな顔が叫びを上げる。
若い女の顔、年老いた老人の顔、小さい幼子の顔・・・・・・
「・・・・・・」
彼はその様子を無情に見た後・・・・・・
「永遠の中に眠りし、魔術王都に眠りし王よ、今この歪みし者達に、今一度道を与えん・・・・・・」
顔が笑ったように見えたがサイレンスはさらにその先を続ける。
「滅びと言う名の、安らかな眠りを・・・・・・」
その瞬間、丸い黒いの檻が異形の周りに形成される。
そして、彼は手を突き出すと絶望に歪んでいる顔を見て・・・・・・
「ИЭоКχτωγ」
特殊な魔法文字を空中に書く。
そして、
「殲滅領域確定、闇を食らう暗黒(ダーク・イーター・ダルク)、発動」
その瞬間、無限に連なる魔導式が檻の内部、全ての存在を滅ぼした。



                                      続く


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     闇:ええっと、ダーク・イーター・ダルクはやっぱり適当です
    ファ:ちゃんと言え、英語が読めなかったんだろうが
     闇:あああああ、ばらしたらだめです
    ファ:・・・・・・もう少し勉強しろよ
     闇:はい・・・・・・ちなみに謎解きまでいけなかったので謎解きは次回で
    ファ:ちゃんと次回で謎解きまでいけよ
     闇:・・・・・・はい、というわけで今回はこれにて・・・・・・