闇:さて・・・・・・どれくらいでこれが終わるかな〜
ファ:知るか
闇:・・・・・・冷たいですね
ファ:・・・・・・早く行け
闇:はい。というわけでいきます
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祝福の都の守り神 X、SILENCE and MEBIUS
後六日・・・・・・
その言葉が二人に重くのしかる。
二人とは・・・・・・相棒一人に倒れられたシルとメビウスである。
あの後飛行を使って急いで脱出した後、そのままの状態で医者の家に飛び込んだのだ。
どうも気が良いのか医者の青年は深夜だというのにちゃんと治療をしてくれている。
しかし、聞くと後二日間は絶対安静らしい。
『ほんとは三日ほしい所ですけどあの人の体力なら多分二日で治るでしょう。まあ感知までは5日は欲しいですね』
そう言って『再生』の杖を握った青年が言ったのをメビウスは思い出していた。
ちなみに今の時刻は朝の2時。
シルは疲労のせいでラーの隣のベットで寝ているがメビウスはまったく眠ってない。
彼はラーのベットのそばの椅子に座り、ずっと手を組み合わせたまま身動き一つせずに見ているのだ。
そして、思い出してもいるのだ・・・・・・自らの背負った罪と罰を・・・・・・
『あのときの思いは・・・・・・』
彼の頭の中に雪の中に倒れる一人の女の姿が現れる。
雪は鮮血で真っ赤になり、その向こうで今彼女を殺した男が立っている。
『もうごめんだ』
機械の身体になっても自らに悲観して死ななかったのは本当に彼女がいたおかげだ。
そこまで考えると共にメビウスは顔を上げラーを見る。
強く、本当に強く。自らを信じ、自らの思う道を歩む女。
だけど、どこか危なっかしくて儚い者・・・・・・
記憶の中にある彼女とそっくりなのだ。
「・・・・・・愚かな事だ・・・・・・」
いつもより低い声・・・・・・サイレンスの声を出すメビウス。
サイレンスが唯一愛し、そして守れなかった者・・・・・・
自らの目の前でみすみす殺されてしまったもの・・・・・・
「・・・・・・まだだ」
彼は右手に握る力をさらに強くすると、
「まだ終われねえ」
そう言うと共に左手の手首に巻いてあるロザリナを握り締める。
「まだ終われねえ・・・・・・」
薄れゆく意識の中で見た男の姿が再び蘇った。
「・・・・・・あいつを・・・・・・あいつを見つけ出すまでは・・・・・・」
その言葉は自らを縛りつける罪と言う名の鎖と誓いと言う名の罰・・・・・・
ラーが目を覚ますとあたりは見覚えの無い場所だった。
隣のベットにはシルが眠っている。
そして、
「・・・・・・メビウス?」
「ああ、やっと目が覚めたか」
ラーが声を掛けるとちゃんと反応が返ってきた。
『どうなってるんだ?』
そう聞こうとしたが、
「ここは病室だ。お前はマンイーターの攻撃を食らって気絶した。
あれから何時間も経ってる。それと、お前は後二日は絶対安静らしい」
そう言うと共に立ち上がり、
「もう一度寝てな」
その言葉を聞くと共にラーは再び暗い意識の底に吸い込まれた。
だが、今度は夢に見ることは無いだろうと確信した。
あの一年前の惨劇を・・・・・・
シルは丁度いつもの時間に目を覚ました。
隣ではすやすやとラーが寝ている。
メビウスはどうやら医者の手伝いをしているのか今は居ない。
「・・・・・・えっと・・・・・・どうしよう」
シルは寝ぼけた頭で考え始めた。
「お目覚めですか?」
医者が入ってきた。
「ええ」
シルがそう言うと共にメビウスが入ってきた。
「おう、目が覚めたか、そろそろ帰るぞ」
どこか無理しているような感じでシルに話し掛けるメビウス。
「解かったわ。ラーはどうするの?」
「致し方ない。しばらくここにおいて置いてもらおう」
メビウスが肩を竦めながらそう言う。
「そうしてくださいな」
そう言うと共に一人の看護婦が現れる。
メビウスは一つの皮の袋を渡すと・・・・・・
「それじゃあ頼みます」
そう言ってメビウスとシルは医療所を出た。
三日後、ラーが帰ってきた。
まだ本調子では無いだろうが傷跡はもう無い・・・・・・らしい。
メビウスは男なので見せてもらってないのだ。
当り前といえば当り前である。
「しかしまあ驚いた」
ラーがウイスキーを一本開けながら言った。
「驚いたのはこっちだ」
メビウスがラーのグラスを引っ手繰りながらそう言う。
「目の前で倒れやがるんだから」
その時のことを思い出しながら小さく身震いするメビウス。
その様子に他の二人は気づいた様子は無い。
「さ〜て、明日の晩もう一度潜ってみましょう!」
シルがそう言いながらグラスを煽った。
もちろん翌日は二日酔いに悩まされたのは言うまでもない。
晩・・・・・・
二日酔いもどうにか収まり三人は再び大聖殿の地下にやってきていた。
水は完全に抜け水に埋もれていた部分が姿を見せた。
「しっかしまあ、仏さんが多いね〜」
かなり古い骨をいじりながらメビウスが言う。
「仏って何?」
シルが聞くと、
「東洋の神様らしいぜ。本で読んだ事がある」
そうさらっと言う。
ラーは興味なさそうにその骨の中を進んでいく。
丁度中央の部分に何かの祭壇のような場所があった。
そこに小さな池がある。
池には何も住み着いてない。
ただ澄んだ水があるだけだ。
何処からか光が差し込んでいる。
「そーいや後三日で満月だな」
「・・・・・・いや、もう後二日になった」
ラーがそう言って懐中時計を見せる。
丁度十二時を回った所だった。
「しかし・・・・・・なにもないわね〜」
シルがそう言って周りを見渡す。
そして、
「何あれ!」
天井を見上げてシルが言う。
「何って・・・・・・天井には穴があるだけじゃ・・・・・・」
そう言ってメビウスも上を見上げ、
「何だありゃ」
天井には丁度ドーム型になるように何かの絵が画かれ・・・
・・・いや、浮かんでいるのだ。
「・・・・・・これじゃないか?」
ラーが池を見ながらそう言う。
丁度光が差し込むようになっておりその先に何かの円盤のような物がある。
それが上に映し出されているというわけである。
「こりゃあ・・・・・・ただの遺跡じゃないようだな」
メビウスが唸る。
「シル、上に書いてある文字読めるか?」
「え?」
不意に言われた質問にシルが戸惑う。
「だから上に書いてある文字は古代文字だと思うんだが・・・・・・読めるか?」
再度ラーが聞く。
シルはジーとしばらく見ていたが、
「う〜ん、かなり古くて読みにくいけど・・・・・・」
「ちょっと読んでくれ」
メビウスがそう言う。
実は頭の中の記憶装置を発動させているのだが・・・・・・
「ええっと、大いなる石版の中に、封じられし民よ 百番目の晩餐の時 暗き土竜が動き出し、暗き太陽が登りだす。
暗き太陽は破壊の意、すべてを飲み込む闇の底、古の野望の結末が、再び目覚める時の声、
野望は繰り返させられる。狂った循環の環のように、沈黙の咆哮解き放たれる。
それが全ての鍵となり、闇は飛び火し魔は目覚む、それを封ずは竜神の者、アクレスの麓に眠る王、
竜機神を尋ねるべし、竜神の力で封ずれば、沈黙は眠りつき、再び遥か遠くで時を待つ。
今を生きる民たちよ、古の哀れみ背負う者、始まりは終わり、我が名は・・・・・・」
そこでシルは一旦止め、
「我が名は水竜神アクアウル。古の魔獣を一時の、眠りに着かせし水の神。
願わくばすべてを背負う、宿命の子等に、この歌よ届け・・・・・・ここで終わってるわ」
「魔獣?」
メビウスがある一説で疑問の声を上げる。
「神話では水竜神は始まりの魔獣と呼ばれるものを地に封じその地を祝福して人々をその地に住まわした。
それが今のヴィンディティシオンだと聞いたことがある」
ラーが静かに答える。
「始まりの魔獣、ソウルイーターね」
ソウルイーター・・・・・・始まりの魔獣と呼ばれその力は計り知れない。
ソウルイーターの力の塊は紋章では『絶対』を表す。
そして・・・・・・
伝説ではソウルイーターはあらゆる悪魔を呼び起こす存在なのだ。
しかし、千年前の悪魔と天使と神族・魔族・生きる者すべてが正面から激突したのだ。
人はこれを聖魔大戦と呼ぶ。
このとき、神族の全ての神々が動いた。
水竜神・火竜神・風竜神・金竜神・木竜神、そして竜神と名はつかないが竜機神。
魔族も全ての魔王が動き、炎魔王・冥魔王・惨魔王・地魔王・そして、魔王の中の特殊な位置にいる者が時魔王。
この者達が人間・神竜・ドワ―フ・エルフと共に悪魔と天使の戦いを終わらせたのだ。
このとき、水竜王は始まりの魔獣ソウルイーターと戦い。
これを封印。しかし、その時のダメージで滅びはしなかったものの姿を隠したのだ。
そして、天使軍は惨魔王の中の一人の部下で全滅近くまで追い込まれやむなく天界に逃げ込み、
悪魔軍は人間中の勇者と冥魔王・風竜神の力を借りて地の底、魔界に追い込み、
天界は魔王達が魔界は竜神達がそれぞれ封印したのだ。
そして、全ての神々は自らの地に戻ったと神話ではされている。
しかし、唯一時魔王の存在だけはあやふやなのである。
時魔王は強大な力を持ち、魔王と名がつくが神族の力も使えるほどの者なのだ。
しかし、最後にこの魔王の名が出てくることは無い。
水竜神も姿を隠したと言われているがソウルイーター封印後何処に消えたかはまったく記されてない。
そして、つい最近の五年前の戦争・・・・・・
あれは天界と魔界の封印が弱まったせいで天使と悪魔が出てきてしまったのだ。
それによって一千年間守られた人々の平和は崩れ去った。
最終的には炎魔王・冥魔王・金竜神・木竜神の覚醒で一旦収まったが・・・・・・
その時にある計画があったのだ。
それがアンデロイド計画。
その計画の中にメビウスの名前が入っていた。
そして、その時の事故によってメビウスは身体の六割が機械というサイボーグ人間になったという事だ。
「しっかし、そんな物騒なもんがどこにいるんだか」
メビウスがそう言って腕組みする。
記憶装置は切ってあるようだ。
「しかし・・・・・・この光は何処から入ってるんだ?」
ラーがそう言う。
シルは首を傾げ、
「魔力の光じゃないわ。ついでに言えばあの円盤の下から出てるみたいだけど・・・・・・」
「まあいい。そろそろ帰らないか?」
メビウスはそう言うと共に懐中時計を取り出し、
「そろそろ一時になるぜ」
時の流れとは早い物である。
ラーとシルはこくりと頷き、
「寝不足は美容の天敵だからね〜」
シルが呑気な声で言った。
続く
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闇:え〜と、MEBIUSは適当です(ヲイ)
ちなみに、沈黙と歪んだ循環と言いたかったです。はい
ファ:で?どーみても進んでないように見えるのは気のせいか?
闇:どーみても進んでるように見えますが・・・・・・
ファ:で?また変な歌みたいなの考えやがってこの間のと何が違うんだ?
闇:ええっと、こっちが本物の奴で前回のが
長い間に語り継がれているうちに変わってしまった歌です
ファ:・・・・・・まどろっこしいな
闇:言わんでください
え〜、この章でメビウス君の過去が少しわかりましたね
ファ:そーだな
闇:なんか冷たい・・・・・・
ファ:どーでも良いけど他のは?
闇:・・・・・・
ファ:完全消滅してるぞ
闇:・・・・・・
ファ:そうやってだんまり続けるんならここで終わりにするぞ
闇:・・・・・・
ファ:それではこれにて〜
闇:・・・・・・
(何か納得のいかない顔をした闇竜が
ファクトに連れられて舞台から消えていく・・・・
・・後には久々に静かな舞台が残るだけ・・・・・・)
闇:うっぎゃああああああああああ
(・・・・・・残るだけ・・・・・・なのであろう;)