闇:さ〜て前書き抜きでゴー!(ただの手抜き)


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           祝福の都の守り神    V、狙ったのはどっち?




メビウスは歩いていた。
まあ何気無しに歩いているだけ・・・・・・では無いらしい。
後ろから何人かの人影が着いてきている。
昨日の昼に襲ってきた奴等であろう。
「まったく・・・・・・どうしてこう俺は厄介ごとに巻き込まれるんだろう・・・・・・」
他人の目から見れば、そんな仕事についているからに決まっているのだが
メビウスはそんなことお構いなしにため息をつき、
「俺としてはもうちょっと平和に暮らしたいのに・・・・・・」
そう言うと共に再びため息。
そしてだんだん人気の無い方向に足を向ける。
メビウスにしてみれば大勢の人物や、自分を知っている人物が歩いている場所で本性を見せたくないのだ。
そう、ヴィソール=ウル=デスは公式的に死んでいるのだ。
一年前の雪の降る夜に・・・・・・
メビウスはそこまで考えると頭を振って考えを消す。
わざわざ思い出すことも無い。
時々ヴィソール=ウル=デスの時のサイレンスが出てくるが、今ではサイレンスは仮の面。
本来の面はメビウスなのだ。
「・・・・・・アホらし。何考えてんだか」
そう言うと共に後ろの気配に集中する。
気配は五つ。そのどれもが超一流と言われるほどの暗殺者だろう。
きっと哀れな犠牲者は声一つ出せない間に死んでしまうだろう。
そこまで考え、メビウスはそんな自分の考えに苦笑する。
そう、それが普通の羊ならばの話しだ。
「・・・・・・特大の羊被ってる獅子じゃ勝ち目は無いって事だ」
そう言うと共に地を蹴って走り出す。後ろについてくる気配も忠実に追ってくる。
それを気配だけで察知しながらメビウスは投げナイフを放った。
その瞬間、三つの気配が消えた。
しかし、残る二つの気配はなおも追いかけてくる。
「まったくしつこいぜ」
そう言うと共に袖から両手に皮の手袋をはめ、右手に四角い鉄の塊を移動させる。
メビウスは走りつづけ、いきなり背後を振り向くと持っていた鉄の塊を投げつけた。
普通に力の弱い者が投げたのではまったく無駄な行為であるし、それなりの訓練をしてなければ絶対当たらないだが、
力に関しては金剛石をも砕いてしまうメビウスである。
そして、幼い頃から暗殺技術に関しては嫌でも覚えさせられてきたのである。
メビウスにとってこの投塊は必殺の一撃となる。
放たれた鉄の塊は追ってきていた二人の眉間に吸い込まれるようにして貫通した。
もちろん二人とも一瞬にして絶命。
「終わりだな」
そう言うと共に彼は肩の力を抜いた。
「まったく・・・・・・何もんだよこいつら」
そう言って顔を見ようとするが、メビウスは持ち前の本能に従い一瞬でその場を離れた。
その途端、人影のあった場所が突如爆発した。
「・・・・・・まったく失敗したらこれか」
メビウスはそう言うと自らを覆ったマントを元通り装着し、
「また厄介なことになるんだな」
そう言うと共にため息をついた。



「なーんかおかしいのよね〜」
そう言うと共にシルは足元にあった石を蹴った。
彼女は今東西南北の治安維持隊の憩いの場所を歩いている。
まあ、ただ単なる公園だが・・・・・・
「どうもあの堀の話しを聞くと黙りこくっちゃうのよね〜」
そう言うと共に近くのベンチに腰掛ける。
何人もの人々の目線が集まっているがまったく気にしてない。
そんな間にも彼女の頭の中ではさまざまな予想などが立っている。そして、
「よし、これで行ってみましょう」
そう言うと共にすくっと立ち上がった。


シルが向かったのは酒場。
ただし表のである。
「噂を聞くのはこういうところが一番良いのよね〜」
そう言って彼女は近くのテーブルから聞き込みを始めた。
十分後・・・・・・
「なるほどね〜」
 彼女はメモをした用紙を手に取りながらペンを指で挟み揺らす。
その用紙にはいろいろな事がかかれている。
「速い話しがあの堀のことで治安維持隊の中での殺人があったというわけね」
そう言うと共に出てきた紅茶を音を立てずに飲む。そして、
「あっ、そうそう。そこにいる人、私に毒は効かないわよ」
人物には目もくれずシルが言う。
その途端、酒場の中が騒然となる。
彼女がペンで指差しているのは何処か冴えない一人の男。
「わ、私は何も・・・・・・」
必死で弁解しようとするが、
「どうせなら毒の種類も当てましょうか? 毒はこの街では禁止されているドラックの一つ、イリュージョンドラッグ。
  致死量は3,8グラム。
  量が少なければ幻が見えるだけだけど致死量を超えれば発狂して死に至る。薬品ナンバーは確か・・・・・・1043ね」
そこまで言うと用紙を自分のコートの中にしまい、
「さあ、正体を現しなさい」
そう言うと共に机の上においてあった一つの瓶を思いっきり投げつける。
普段行動などにシルは参加しないが、邪術士に不可欠な余りある知識、
そして、箸より重いものを持ったことがないといいながら、百キロ近くの槍をぶん回す力は恐るべきものである。
もちろん、この場合の瓶も超高速でターゲットの方に飛ぶ。
しかし、それまで冴えなかった男が恐るべき早業でその瓶を避け、シルに躍りかかる。
接近戦で一撃で片をつければいいと思ったのだろうが、今回ばかりは相手が悪かった。
五分後、
ぼこぼこに殴られ原型を止めなくなった一人の男が酒場の床に倒れた。


日は暮れて、三人はそれぞれ『スプリン』に帰還した。
メビウスは一回目の襲撃の後懲りずに2、3回襲撃を受けたので、
最後の襲撃の時に一人を死なせずに捕まえて洗いざらい話させたのだ。
もちろん口封じはしておいたが・・・・・・
ラーはある場所の地下で手に入れた銃の試し撃ちと弾丸を買って帰還した。
シルは、男を倒した後宿屋で英雄扱いされ色々と宴会騒ぎをしてきたのである。
結果、
「・・・・・・酒くさいぞシル」
「・・・・・・珍しいな」
「ほっといて」
飲みすぎのせいか口元を抑えながらシルが言う。
「ともかく、俺達を狙っていたのは今の議会長らしい。なんか知らないけど洗脳されていたみたいだ」
メビウスがそう言ってテーブルの上のウオッカを煽る。
皮肉な事にメビウスの体内にはアルコールを分解する装置も組み込まれているため、絶対に酔わないのだ。
「でも、私たちが何をやったって言うのよ〜」
シルがベットに横になりながら言う。
「・・・・・・ここ数ヶ月間かなり派手に動いたからな・・・・・・」
ラーがそう言って腕組みする。
「それでも議会長なんかに関係するようなことは一回もしてないぜ」
メビウスがそう言ってもう一杯ウオッカをグラスに注ぐ。
「それもそうだな」
そう言うと共にラーはメビウスの手からグラスを抜き取り自らが飲み干した。
「・・・・・・」
「・・・・・・ラー、それ間接キス」
メビウスがあまりの事にあっけに取られシルが呆れながらそう言った。
「・・・・・・別に気にすることは無い」
ラーはまったく表情を変えずにそう言いきった。
「・・・・・・そんじゃまあ俺は前司祭長の家っていうのに行ってくるぜ」
そう言うと共にてきぱきと用意を整えるメビウス。
「気をつけてね〜」
シルが口を抑えながらそう言う。
「・・・・・・無理はするなよ」
ラーがそう言うと共にもう一杯グラスを煽る。
「・・・・・・俺が帰ってくるまでに酔っ払ってるなよ二人とも・・・・・・」
メビウスは冷たい目をした後窓からその身を躍らせた。


「・・・・・・」
「そういえば二人で飲み交わすのも久々ね〜」
シルがそう言うとラーの三杯目のウイスキーを抜き取り飲み干す。
それを恨みがましい目でラーは見てるがシルに気づいた様子は無い。
「で?どうだった?相棒は見つかったの?」
シルがなんでもないようにそう言う。
「・・・・・・ああ」
ラーはそう言うとおもむろにコートの内側から一丁の銃を取り出した。
「『TM-GZ』いつもの奴だ」
感情のない声で言うと共にシルの手からグラスを抜き去りウオッカを注ぐとそれを一気に煽る。
「ふ〜ん、やっと元に戻ったって訳ね」
「?どういう事だ?」
ラーがシルに聞き返す。
「やっと一年前のあの日の銃に戻したって訳ねってことよ」
その瞬間、ラーの顔に少しの怒りのような感情が出るが、
「真実でしょ?」
シルはその一言で済ませてしまう。
「・・・・・・それはそうだが・・・・・・」
「いい加減認めたら?あいつの事が好きだったってこと」
ラーが言い渋るがシルはあっさり言葉に出した。
「ラーがあいつの事を好きだったって事も分かるし、それを否定して無理して忘れようとしているのも私にはわかるわ。
   そして、メビウスがあいつにかなり似ているって言うのもね」
シルがそう言ってラーの方に目を向ける。
「いい加減素直になんなさいよ」
そう言うと共にベットに横になる。
「私はもう寝るからメビウスの話しは明日聞きましょう。それじゃあお休み〜」
そう言うと共に静かな寝息が聞こえ始める。
「・・・・・・」
ラーはその様子を見ながら静かにウオッカを飲みつづけていた。


ヴィソール=ウル=デスの格好をしたメビウス。
いやこの場合はサイレンスだ。
彼は夜の町を人目につかないように走っていた。
目指すのは前司祭長チャドの家。
彼は存在が無いような風で走りつづける。
誰一人として彼の姿を見てはいない。
「・・・・・・」
チャドならば頼んだ事はしてくれるだろう。
そう言うどこか確信めいた事が彼の心の中にはあった。
そして、それは的中した。
チャドの家に不法侵入し、彼の部屋の窓を開けると共に一枚の書類がサイレンスに向かって投げられた。
「それが頼まれてたもんだよ」
チャドがウイスキーをちびちび飲みながら言う。
「・・・・・・かたじけない」
サイレンスはそう言うと共にすぐさま窓から身を踊らそうとするが、
「まあ、ちょっと待て。一つ君に話したいことがある」
チャドが言った。
「・・・・・・なんだ?」
サイレンスが動きを止める。
「あまりにも信じられなかったからそこには書かなかったが、一つあの泉で見たものがある」
「見たもの?」
サイレンスがあくまでも冷静に答える。
「そうだ。一人の綺麗な神官の娘という風体のものが水面に立っておったよ。まあすぐに消えたがな」
「・・・・・・消えた?」
サイレンスが冷静な声で答える。チャドは頷き、
「そうじゃ。まるで手品のようにぱっとな。光魔法でも闇魔法でも精霊魔法でもあんな事は見た事は無い」

魔法は大きく分けて四種類ある。
光魔法・闇魔法・精霊魔法・契約魔法である。
光は闇を追い払う浄化の力持つ、闇は精霊を飲み込む強大な力を持つ、
精霊は光を負かす理解ある力を持つ、契約はそれらすべてを見守り、そして導く。
それがこの世界での魔法の強さだ。
(早い話しが光魔法は闇魔法に強くて、闇魔法は精霊魔法に強く精霊魔法は光魔法に強い)
光魔法・・・・・・
主に高位の神官・司祭・ヴァルキュリアなどが使う攻撃魔法の一種である。
闇魔法・・・・・・
契約して行う魔法の種類では無いが強力なものである。
主にシャーマン(巫女)・ドルイド・邪術士・幻術士などが扱う。
精霊魔法・・・・・・
知識などにより発動させる魔法の種類。
主に魔力を持つほとんどの人物
(例外として、光魔法、闇魔法を使う資格を持っていると使えない)
が使用することが可能な魔法。
契約魔法・・・・・・
血の契約などにより使用できる魔法。
全ての種族、職業などに関係なく使用できる。
ただし、対なる者の力を受け継いでいるときは契約ができない。
例をあげると、水と炎、土と風、風と雷、水と氷、鋼と土、
(ただし、ある特殊な条件さえ満たしていれば後ろ三つは同時使用さえ可能となる)。
ちなみに、この世界の魔神とは魔族のことであって悪魔の事では無い。
魔族は力を隠しすべてを見守り、すべてを教える立場にある。
神族も同じ立場にいるが彼らのどちらかの力しか受け入れることができない。
(つまり、炎の魔神(魔族)の力を持っていて炎の竜神(神族)の力を持つことはできない)
この四つに魔法は分類されている。

「・・・・・・解かった。情報を感謝する」
サイレンスがそう言ってもう一度窓から外に身を躍らせようとすると、
「選別じゃ。持ってきなされ」
チャドがそう言ってウイスキーのボトルをサイレンスに投げる。
サイレンスは動きを止め、そのボトルをキャッチすると、
「・・・・・・いつかまた力を貸して欲しい時には前回と同じ方法で連絡しろ。値段は負けてやる」
そう言うと共に今度こそ闇夜にその身を躍らせた。
「ふむ、これで貸しいちという訳じゃ」
どこか楽しそうにチャドはそう言った。
ちなみに、着替えなどをすべて終えメビウスが『スプリン』に帰ったとき、ラーもシルも寝ていた事はお約束ということである。





                              続く


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   闇:さて・・・・・・進んだ楊で全然進んでない章です
   ファ:・・・・・・おい、何章かかるんだよ
    闇:さあ・・・・・・自分でも怖いです
   ファ:・・・・・・
    闇:では次の章で・・・・・・