過去と現実X



 闇:さてさて、ようやく決戦です
     一体どうなってしまうのでしょうか!?
     それは闇竜にも分からない・・・・・・(ヲイ)


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            X、運命の夜、決別の戦いへ・・・・・・



運命の日・・・・・・
メビウス達は部屋にいた。
緊張のあまり部屋に篭っているかというと・・・・・・
「きゃはははは」
「・・・・・・ったく何でこうシルが強いんだ」
「あっ、ラーこれで最下位三回目だから罰ゲームだぞ」
「・・・・・・」
部屋の中でカードゲームをしていた。
提案者はシルとクレイ。
『あんまり緊張しすぎてると本番でもたねえぞ』
と言うありがたいセリフと共にメビウスとラーはゲームに巻き込まれているのだ。
ラー達も対して反対する理由も無いからそれに乗っていたのだ。
だが、時は無情に過ぎていく・・・・・・
幾度目かのゲームが終わった時、メビウスが口を開いた。
「そろそろ日が暮れる」
時計はもう六時を指していた。
指定の時間は十一時・・・・・・
後五時間なのだ。
「・・・・・・そうだな。そろそろごまかしも終わらそうか」
クレイがそう言うと共にカードを片付ける。
「そうね・・・・・・それで、何か手を打つの?」
シルがそう言う。
「いや、それは・・・・・・」
ラーが言い渋るが、
「ああ、丁度いい場所があるんだ」
メビウスがそう言う。
そして、声を潜めると、
「隠れる場所も多い、敵がきた時にゲリラ戦に持ち込める場所・・・・・・この町にある国立自然森林公園だ」
そう言った。

ヴィソール=ウル=デスとの決戦まで後五時間。


ヴィソール=ウル=デスとの決戦まで後一時間・・・・・・
見事自然森林公園に忍び込んだ四人は早速それぞれが別れて作業を始めた。
もちろんそれぞれ合言葉を決めてある。
自然森林公園といってもはっきり植物園と変化無い。
大型のビニールハウスのような物の中にその公園はあるのだ。
彼らはそれぞれが単体で戦う事にした。
その方が戦いやすいからだ。
まあ、ラーとシルはチームを組んでるが
クレイとメビウスはそれぞれ一人一人の単独で公園の闇の中にその姿を眩ました。
メビウスは前のように大きな剣を持って。クレイは長細い袋をもって・・・・・・
メビウスにとって人がいるというのは自らのもう一つの姿を見せる事になる。
今の状況でいくらラーに説明したとしても
彼自身もヴィソール=ウル=デスに変わりは無いのだ。
彼は公園の丁度中心部の噴水の傍に座った。
黒い鎧、黒いマント・・・・・・サイレンスとなっている彼は静かに周りを見渡す。
『暗視スコープON、赤外線感知カメラ作動』
彼の脳内の指示により左眼が赤く光る。
まだ異常は見られないようだ。
彼はそれを確認すると共にスコープの電源をOFFにする。そして、装備を確かめる。
『短剣六本・・・・・・魔法の種類は
  ゲイル・グラニト・スウィズ・ダイナ・シャイン・ブリーズだった。
  キル・ソードにはすでにジオを待機させたし、後は・・・・・・』
彼はそこまで考えると背中からもう一つの短剣を取り出し、
『こいつが切り札だ・・・・・・』
そう思うと、すぐさま取り出せるように鎧の隠しの部分にしまう。
スウィズ・・・・・・水によるスピードと防御を落としダメージを与える水・氷属の魔法
ダイナ・・・・・・炎を爆発させて相手を吹き飛ばす炎属の魔法
シャイン・・・・・・敵を幻惑し、攻撃する炎属の魔法
ブリース・・・・・・敵の魔法系統を封じる風・雷属の魔法
切り札・・・・・・??????炎属の魔法
サイレンスは腕につけている時計を見て・・・・・・
「残り十五分か・・・・・・」
思っていたより長く物思いにふけっていたようだ。
サイレンスはそう思うと共に静かに立ち上がった。
考える時は終わったのである。これからはそれを無情にこなしてゆくだけ・・・・・・
「いや、違うな」
サイレンスは自傷の笑みを浮かべた。
これから行うのは暗殺では無いのだ。
決別の為の決戦・・・・・・
今までの仕事とは重みが違う。
彼はそう思うと共に目を瞑った。
時間は後十分。
『せめて最後の十分ぐらいは楽しい思い出を振り返りたいな』
サイレンスは心の中でそう思う。

が、

がさっ

音がした。
サイレンスは目を薄く開く。
その先には、自分と全く同じ格好の者、
唯一違うのはもっている武器が槍という点であろう。
「来たか・・・・・・」
決別の戦いが今始まる・・・・・・


時を遡り・・・・・・ここはラーとシルが潜む場所。
ラーは二つの拳銃を持っていた。
一つはリボルバー式。もう一つはオートマチック式だ。
一つ一つ丁寧に弾を入れていく。
その横でシルはザッハソルテを握り締めていた。
二人の間には沈黙が流れている。
「・・・・・・それで、仇は討てそうなの?」
沈黙を破ったのはシルだった。
ラーの腕がぴたっと止まった。
「・・・・・・正直分からない。奴は私達が思っている以上に強いかもしれない。でも・・・・・・」
シルはその後を言わさなかった。
分かっているのだその後の言葉は・・・・・・
「ねえラー、覚えてる?あいつの最後のセリフ」
「うん?・・・・・・ああ、忘れれるわけが無い。私の腕の中で逝ったんだからな」
ラーはそう言うと共にもう一度口を開き、
「『生きろ』だったな」
そう悲しそうに言った。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
後には二人の間に沈黙が残る。
そして、
「できるだけあいつの遺言守ってやりなさいよ」
そう言うと共にシルが立ち上がる。
遠くから爆発の音がしたのだ。
「そうだな。できるだけな」
そう言うと共にラーも全ての弾丸を詰め替えて立ち上がる。
向かう先は一つ。
爆撃音・・・・・・つまり戦闘が現在起こっている場所・・・・・・
「まあ、無理だろうけどな」
ラーが静かに言った。
そして、二人は静かに走り出した。
公園の中央、噴水の近くに向かって・・・・・・



「重・雷撃陣!」
完全に人に放つのは間違っている魔法をサイレンスは解き放つ。
「重・水縛陣!」
相手も魔法を解き放つ。
そして、雷はすべて水に吸収されてしまった。
しかし、サイレンスは諦めずに次の魔法を唱える。
もちろんこれらの行動は接近戦によって切り合っている中で行われているものである。
槍はリーチが長い分だけ剣に勝るが、
それでも互角に張り合っているのはサイレンスの技術のおかげであろう。
「雷撃弾!」
「風烈弾!」
二つの魔法は接触し、相互干渉を起こしてその姿を無に戻す。
「ふっ!」
そうサイレンスは息を吐き出すと共に渾身の一撃を放つ。
しかし、ヴィソールは予め分かっていたかのように槍のえの部分によって攻撃を防ぎ、
「ほらよっ!あれほど注意したのに癖は治ってないようだな!」
サイレンスはそう言うと共にがら空きのわき腹に思いっきりキックを放つ。
衝撃で吹き飛ぶヴィソール。
そこに追い撃ちをかけるサイレンス。
ヴィソールが吹き飛ばされると共にすぐさま飛びつき、額に思い拳を一撃。
普通の人間ならすぐに死んでしまう所だが
ヴィソールはサイレンスを蹴飛ばすと共にすぐさま立ち上がる。
だが、その仮面には縦に罅が入っていた。
「おい、何時まで隠してるつもりだよ」
蹴り飛ばされたはずのサイレンスもすぐさま立ち上がる。
「ネタはばれてるんだ」
「・・・・・・」
ピシリ、ピシリと言う音を立ててヴィソールの顔を隠している仮面が剥がれていく。
「槍で剣を受ける時に絶対にできるわき腹の隙、
  追い撃ちをかけられた時に一瞬では立ち上がれないその動作、
  そして俺が唱える魔法の必ず相互干渉を起こす呪文を唱えるその癖!忘れたとは言わせねえぜ」
サイレンスがそう言うと共に彼の左半分の仮面が割れ落ちた。
そして、そこには・・・・・・
「そうだろ。ランス」
サイレンスが静かに言った。



「よく分かったね」
「へっ、当り前だ。お前と何度戦ったと思うんだ」
ヴィソール・・・・・・いや、ランスが静かに言った言葉にサイレンスが言い返す。
「そうだね」
ランスは静かにそのエメラルドの目をサイレンスに向けた。
サイレンスの記憶にあるランスの目は両目ともが緑だったが、片目が赤になっている。
ランスはもう仮面が意味が無いというように残っていた右半分の仮面を投げ捨てた。
「それで、僕に何の用?」
「いや、一年前の借りを返そうと思ってな」
サイレンスはそう言うと共に一旦キル・ソードをしまう。
「ふっ、じゃああれも分かってたって訳か」
「いや、気づいたのはつい最近だ」
サイレンスが平然とそう言う。
「ほう、どう言う風にだ?」
「簡単な事さ。この町でお前にあったとき・・・・・・つまり一回目の襲撃だな・・・
  ・・・あの時に焦ってたから分からなかったけどあの動き・・・
  ・・・あの口調・・・・・・どこか俺を真似てるけどお前の訛りがあった。
  その時にちょっとした推測が上がったのさ。
  お前(ランス)は生きているのでは無いのかというな」
「・・・・・・」
ランスは無言でサイレンスの話を聞いている。
「確信に変わったのはあの影の時だ」
「やっぱり、あれは失敗だったか」
ランスが舌打ちをする。
「まあな、俺をだまそうとしてまんまと尻尾を出したからな」
サイレンスがしてやったという顔をしてそう言う。
「まさかルキーナと新しく合言葉を作ってるとはね・・・・・・」
「そう、あの時お前は居なかった。知らなくて当然さ」
サイレンスが肩を竦めてそう言う。
「・・・・・・で?一年前のトリックはもう解いてるんだろ?」
ランスがそう言う。
サイレンスは少し悲しそうに笑った後、
「ああ、よく考えれば実に簡単なトリックだよ」
そう言って話し始めた。
「まずお前はランスの姿でルキーナを襲った。
  そしてその後、『影』を使って死んだように錯覚させて逆上した俺とヴィソール=ウル=デスの姿で戦ったって訳だ。
   冷静さを失った相手を倒すのはかなり簡単だ。それも相手の攻撃の仕方などを知っていれば特にな」
「・・・・・・」
「ついでに影に『死んだ振り』の命令を出しておけば完全だ」
サイレンスがそこまで言って一つため息をつき、
「しかし、なぜ・・・・・・」
「なぜそんなことをしたかだと?」
ランスの目が一気に軽蔑の目に変わる。
「いつでも、いつでもだ。お前だけが目立ち、お前だけが噂になる。
  何百人殺そうと所詮俺はお前のついで・・・・・・これほどの侮辱があると思うか!?」
そう言った後、彼はもう一枚の仮面を取り出す。
微妙にサイレンスの仮面とは違う。
そう、左半分に紋章が書かれているのだ。
『ソウル・イーター』の紋章が・・・・・・
「・・・・・・話を聞いて思ったことが一つある」
サイレンスがキル・ソードを抜いて続ける。
「ヴィソール=ウル=デスの名に未練も愛着も無い。だが・・・・・・」
そう言った後に彼はキル・ソードをランスに突きつけ、
「お前のような奴にはやはりやれぬな」
決別・・・・・・
「そう言うと思ったぜ」
ランスはそう言うと共に持っている槍を構える。
銀の矛槍・・・・・・もっともランスが好む槍の一種である。
威力は抜群・・・・・・威力だけで言うのなら、サイレンスのキル・ソードに引けを取らない。
「・・・・・・さらばだ。元友よ」
「・・・・・・」
そして、二人は対峙する。
一人は、自らの過去との決別をつけるため・・・・・・
一人は、最強の称号を手に入れるため・・・・・・
「爆撃斬!」
「水撃斬!」
二つの魔法が正面からぶつかり、相互干渉を起こして大量の水蒸気と共にその姿を無にする。
ただ、両方とも対してレベルが高くは無いので一瞬にして水蒸気は消えてしまう。
そして、二人が同時に動く。
ランスは槍をサイレンスの頭に向けて突き出すが、サイレンスはその槍を軸として逆に  カウンターを入れて切りつける。
そして、その瞬間狙ったかのように爆発がサイレンスを襲う。
「進歩が無いなサイレンス!」
そう言って吹き飛んだサイレンスに槍で止めを刺そうとするが、その瞬間泥に足を取られて彼は体制を崩す。
もちろんこれもサイレンスの魔法だ。
マッドと呼ばれる大地・植物属の魔法を放ったのだ。
それを見ずに突っ込んだランスは見事にバランスを崩したのだ。
そして、ランスがバランスを崩し、決定的な隙が生じたのを見逃すサイレンスでは無い。
懐から二本の短剣を取り出し、投げつける。
ランスは反射的にそれを払おうとして・・・・・・
「スウィズ、シャイン同時発動!」
その瞬間、シャインのよって一瞬に熱せられた周りの空気が
スウィズによって一気に冷やされ大量の霧を発生させる。
「くっ」
ランスが一歩後ろに下がる。
もちろん義眼を使えば見えるのであるが、
下手に使おうとすれば機械の部分に水が入り込み使えなくなる確率の方が高いのである。
もちろんそれはサイレンスも同じだが彼とランスとは一つの違いがある。
ランスは元々暗殺者として天性の才能をもっているのだ。
そして、サイレンスも天性の才能をもっている。
唯一の違いはランスはその1%の力を過信して全く武道などに取り組まなかった事である。
そして、サイレンスは嫌ながらもそれを仕込まれていたおかげで自らの気配を完全に絶ち、
相手の少しの気配でさえ察知する事が出来るのである。
剣を極めた者のみが使えるといわれる第六眼。
・・・・・・たとえ互換が封じられていようと何が起こっているか分かるという類稀なる才能と技術が必要とされる物である。
この場合もそれが功を招じた。
サイレンスは気配を完全に消して新たに二つの短剣を取り出した。
そして、それを気配を消せてないランスの方に向けて投げ・・・・・・
「グラニト、ブリーズ同時発動!」
その瞬間、重力の網と精神の網が同時にランスに襲い掛かる。
しかし、ランスも暗殺者の一人である。
サイレンスの声が聞こえたと同時に足を使ってその場から一瞬にして離脱する。
それもサイレンスの計算の内、
彼はもう一つの短剣を取り出すと共に気配が動いた方に走り出し、
「ゲイル!」
瞬間、疾風の二撃がランスを襲う。
一つは腕に、一つは腹に当たるが
両方とも固い感触がサイレンスに掛かっただけだった。
「ふはははは、無駄だ!
  俺の肉体はすべて機械で出来た生まれ変わった肉体だ!
  そして、異形との契約をした俺にとって貴様など虫けら同然だ!」
そう言うと共にサイレンスは見えない力によって吹き飛ばされた。
しかし、サイレンスは冷静にそれを対処する。
そして、霧が晴れ・・・・・・
ランスが目の前にしたのは短剣を自らに向けて構えているサイレンスの姿だった。
「ダイナ!」
瞬間的に放たれた短剣と共にすべてを吹き飛ばす爆発がランスを襲う。
そして・・・・・・
「ふはははは、無駄といっただろうが!」
そこには頭のみ肉体のものが立っていた。
体の骨格などをすべて鉄に変えているもの・・・・・・
「・・・・・・やはりそうか・・・・・・」
「ふふふふふ、貴様に勝ち目は無い!異形との契約を結んだ俺にとって死はありえない!
   そして、この魔力の篭った鋼鉄に傷一つつける事はできないのだ!」
そう、高らかにランスは宣言し・・・・・・

ドコオオン


独特の音と共にランスの体が数m吹き飛ぶ。
「なっ」
ランスが驚きの声を上げる。
そして、その音はサイレンスも聞いたことがあった。


 カシャッ

ドゴオオン

独特のポンプ音と共にもう一撃・・・・・・
そして、サイレンスが振り向いた先には・・・・・・
「クレイ・・・・・・」
ショットガンを構えたクレイの姿があった。




                                   続く



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  闇:ふふふふふ、ついにメビウス君の正体がばれちゃいましたね〜
  ファ:別段構わないんじゃないか?
   闇:ふふふふっふふふふ(怪しい笑い)
  ファ:・・・・・・
   闇:というわけで次回のお楽しみです。それでは、今回はこの辺で・・・・・・