闇:さて、勉強しながら打ち込みはなかなか大変です
  ファ:・・・・・・先に勉強しろよ
   闇:あはははは(汗)それではいきます


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          U、仮面と素顔と・・・・・・


夜・・・・・・
メビウスは一人暗い夜道を歩いていた。
昼間の事はメビウスにとってかなりの心のダメージを与えるものであった。
それも、昔自らの友たちが倒れた場所で・・・・・・
嫌な予感がするのだ。
そう、あの時のルキーナがラーのような感覚で・・・・・・
そこまで考えて首を横に振る。
「俺は何を考えてるんだ・・・・・・」
メビウスはそう言うと共に自分の内ポケットから一つの仮面を取り出した。
そう、ヴィソール=ウル=デスの時に被る仮面である。
「・・・・・・ヴィソール=ウル=デス、サイレンス=ツア=ベムス、メビウス=タウ・・・・・・」
彼はそう言うと共に頭上を見上げ、
「どれが俺の本当の姿なんだろう・・・・・・」
『もしこれがランスやルキーナならば迷わずサイレンスというだろう。だが・・・・・・』
メビウスの脳裏に蘇る三つの顔・・・・・・
そう、現在の友・・・・・・
彼、彼女等ならすぐさまメビウスと答えてくれるでもあろう。
そう彼は思いつづけていた。
「もしかしたら・・・・・・俺はすべてに仮面を被っているのかもしれない・・・・・・」
彼は勝手に屋根に登って空を見上げる。
「・・・・・・仮面なんて無いかもしれない・・・
  ・・・三つともが自分の素顔かもしれない・・・
  ・・・或は、三つとも仮面かもしれない・・・・・・オリジナルの存在は一体?」
『自らの真実を知れ、道を見つけろ・・・・・・それが俺に言える最後の助言だ』
死ぬ前に友が言った一言が蘇る。
「ランス・・・・・・あれはどう言う意味なんだ・・・・・・」
メビウスはそう言うと共に目を瞑る。
彼の目からは一筋の光が落ちていった・・・・・・


翌日、メビウス達は依頼人の家にやってきた。
物凄い人数の傭兵のような者達が揃っている。
やってきた四人にも厳しいチェックが入ってから四人は家に入った。
「悪趣味だな」
「そうね」
クレイとシルが周りを見ながらそう言う。
「しかし、ご苦労なこったな三日も前から警備し始めるとは・・・・・・」
メビウスがため息をつきながらそう言った。
そう、ヴィソール=ウル=デスが来るまでにあと三日もあるのだ。
「バカの極みね〜」
警備の者達の前で堂々とシルは言ってのけた。
「・・・・・・」
普通ならこんな時注意するラーも今回は無言である。
正確にはこの頃であるが・・・・・・
「まあまあ、ヴィソール=ウル=デスのやり方を知らなくっちゃ無理だよ」
メビウスがシルとクレイをそう言ってこれ以上騒動を起こさせないようにする。
「・・・・・・先に行く」
ラーが冷たくそう言うと自分が与えられている部屋にさっさと歩いていった。
「・・・・・・」
残された人々は何となく冷たい雰囲気になってしまい顔を見合わせ、
「喧嘩、また今度にしましょうか」
「そーだな」
シルと警備兵達はため息をつきながらそう言ったのだった。
しかし、クレイは何となくラーが焦っているというのを感覚で分かっていた。
そして、メビウスが何かを迷っているということも・・・・・・
「大丈夫なのかなこれで?」
「何が?」
何時の間にか消えてしまった
メビウスのいた場所を見ながらクレイは首を曲げ、シルはその様子を不思議そうに見ていた。


夜・・・・・・
ラーは静かに屋敷から出て情報を集めていた。
そして、ラーはそれらの資料を部屋で読んでいた。
「ヴィソール=ウル=デス・・・
  ・・・年齢は不明・・・・・・最初に現れたのが今から大体七年前・・・
  ・・・最後が一年前か・・・
  ・・・外見年齢は最初の頃は大体十七程度と言われているから・・・・・・今は大体二十四ぐらいか・・・・・・」
そう言うと共にレポートを一枚めくる。
「性別も不明・・・・・・ただ男だとは思われる・・・
  ・・・絶対にできないような事をし、敵を欺く為付けられたもう一つの異名が『不可能を可能にする者』・・・・・・」
そこまで読んでラーは一旦言葉を区切ってあたりの気配に集中する。
真上も真下も気配は無い・・・・・・周りの部屋にいる仲間達は寝ているようだ。
そこまで気配を読んでからラーは窓を開けた。
そして、
「よっ、月見で一杯やらないか?」
メビウスがひょっこり顔を出した。
「・・・・・・」
ラーが冷たい目でメビウスを見ると、
「い、いや、月が綺麗だからな〜と、ついでに・・・・・・」
そこで一旦言葉を切り、
「ちょっとラーが無理してるようだしね。息抜き代わりに・・・・・・」
そう言うと共に彼は自分のバックの中から一本の酒を取り出し、
「なっ」
「・・・・・・どうでも良いが頭に血が上らないか?」
ラーはそう言うと共にため息をついた。
「あはははは、じゃあ屋根で待ってるぞ」
そう言うと共に彼は姿を消した。
「・・・・・・息抜きか・・・・・・たまには悪くないかもな」
ラーはそう言うと共に屋根から見を出した。



「いや〜、満月じゃないのがちょっと不満だけど星も月も見えるし良いね〜」
「・・・・・・ふんっ、一番良いのは酒が飲めるからでは無いのか?」
メビウスが周りを見ながら言ったセリフに図星を指すラー。
メビウスは一瞬行動を止め、
「・・・・・・いいじゃん。こう生きて空を見れるって言うのは平和な証拠だろ?」
メビウスはそう言うと共にグラスを取り出しワインをそこに注ぎラーに手渡す。
「ほれ」
「・・・・・・ん」
ラーはそのグラスを素直に受け取ると一気に飲み干した。
メビウスはその様子を見た後自分も一杯飲み干す。
「・・・・・・あんまり無理するなよ」
メビウスがポツリと言う。
「・・・・・・お前もな」
ラーもそう言うと共にもう一杯グラスを煽った。
後に残るのは無言・・・・・・
しかし、その無言は暖かい空気を含んでいた。



翌日、ラーは弾丸を調達する為に町の裏通りの一軒の店を尋ねに行った。
メビウスは朝っぱらからどこかに行ってしまっている。
やることの無いシルとクレイは部屋でカードをしていた。
「しっかし、ラーはこの町に入ったときからおかしかったけど・・・・・・何かあったのか?」
クレイがポツリとそう言った。
「・・・・・・やっぱりあなたもそう思った?」
そう言ってラーはカードを一枚捨てて取る。
「ショウダウン」
そう言ってクレイとシルが共にカードを見せる。
「スリーカード」
「すまんな、フルハウスだ」
シルはくすっと笑うと共に、
「そうね、じゃあ話しましょうか」
そう言うと共に話し始めた。
一年前のラーが表情を変えなくなった忌々しき事件を・・・・・・



一年前・・・・・・
その頃私とラーともう一人、エイルって言う三人でチームを組んでたのよ。
えっ?名前?
今のままよ。
まあ良いとして、私達はここで依頼を受けたわ。
依頼内容は暗殺阻止の依頼・・・・・・
相手は言わなくてもいいと思うけど・・・・・・ヴィソール=ウル=デスよ。
彼の実力は凄かったわ。
はっきり私の魔法でさえほとんど効いた様子が無かったからね。
まあ、あの時、ラーは拳銃を持ってたわ。
『TM―GZ』・・・・・・
そう、彼女の愛用品よ。
でも、弾が切れて交換しようとした一瞬の隙をヴィソールは見逃さなかったの。
ヴィソール=ウル=デスの持っている剣がラーの喉に一直線に伸びて・・・・・・
その剣をエイルはラーを庇う為に受けたのよ。
自らの命と代償に・・・・・・
その後すぐにヴィソールは逃げたわ。
そして、エイルはラーの胸に抱かれて息を引き取った・・・・・・
前からラーが淡い恋心をエイルに抱いていたのは知ってたの・・・・・・
エイルが死んでから十日ほどラーは心が壊れた廃人となってたわ。
そして、十日後からラーは表情を消して
今までずっとヴィソール=ウル=デスを追いつづけていたのよ・・・・・・


シルはそこで話しを終わらせた。
「まあ、エイルの事に関しては私も少しばかり好意を寄せてたのは本当だけどね」
「それで?そのエイルって奴が今のメビウスに似てるって事か?」
クレイが鋭く突く。
「・・・・・・ええ、風体は似ても似つかないのに・・・・・・なんて言うのかな?その・・・・・・魂が物凄く似てるのよ」
「魂?」
クレイが首をかしげる。
う〜んとシルは唸り、
「何て言うのか・・・・・・性格、一つ一つの動作、思いやり、それと時々見せるどこか悲しい顔・・・
  ・・そういうところって言うのが全部って言っても良いほど同じなのよ」
シルはそう言うとともにため息をつき、
「まったく私達も困ったものよね〜」
そう言うと共にカードを集めてきり始めた。



メビウスは裏の酒場で依頼の真相を調べていた。
「・・・・・・なるほど・・・・・・私の偽者か」
彼はそう言うと共に酒を飲みながら集めた情報を見ていた。
情報によると、ヴィソール=ウル=デスを暗殺しようとしているギルドの長が、
数年前からヴィソール=ウル=デスの偽者を使って暗躍していたというのだ。
そして、
「そいつで一年前に俺を殺しに来たと・・・・・・」
そう言うと共にメビウスはその資料を自らの衣の中にしまいこんだ。
「ふざけた野郎だ。確かに俺以上のサイボーグなんだったら俺が負けるのも道理だな」
そう、その人物こそが一年前に彼の友と恋人を殺したのだ。
「これはいい・・・・・・」
彼はそう言って拳を握り締めた。
「自分との過去との決着をつけてやる」
彼はそう言うと共にその店から姿を消した。



「くっくっく、決着をつけるのは俺のほうさ」
メビウスの様子を影から見ている者がいる事に
まだメビウスは気づいていなかった・・・・・・



                                    続く



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闇:この物語の最後まで一通りの時の流れができました
  ファ:それでも三部までだろ?
   闇:ええ、当り前です。
     全部で十六部になりました
  ファ:ぶっ!
   闇:いや〜、多いな〜と思いながら
     ただいま別のオリジナル設定を考えている闇竜です
  ファ:おい!
   闇:まあ、先の事になるでしょう。
     それでは今回はこれにて・・・・・・