過去と現実T
闇:という訳で改めてこんにちは闇竜です
ファ:・・・・・・まあ良いとしてこれで終わりにするんだな
闇:ええ、要望などがこない限りは・・・・・・
ファ:・・・・・・つまり要望が多ければやると・・・・・・
闇:まあ無いと思いますがね
ファ;・・・・・・
闇:では、第三部『過去と現実』、スタートです!
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プロローグ
「ご苦労ヴィソール=ウル=デス」
「・・・・・・」
一人の男が黒き衣に身を包んだ者に話し掛けるが、答えは無い。
「次の依頼まで三週間の休暇を与えよう」
「・・・・・・」
ヴィソール=ウル=デスと呼ばれた男はそのまま身を翻し・・・・・・
「ランスとルキーナが酒場で待ってると言っていたぞ」
男がそう言う。
ヴィソール=ウル=デスは少しだけ頭を下げると、
「承知した」
その一言共に闇に消えた。
「・・・・・・ふふふふふ、後少しだ」
男はヴィソール=ウル=デスが消えていったほうを身ながら細く微笑んだ。
「後少しでお前も終わる」
それはヴィソール=ウル=デスが公式的に死ぬ一ヶ月前の事だった・・・・・・
T、消えない傷、言えない思い
「しっかし、いいところだな〜」
メビウスが伸びをしながら言った。
水の都を出て十日、彼らは旅の途中で商業都市トレッドを訪れていた。
「・・・・・・しかし、噂に聞いた通り検問がかなり甘いな。こんなので良いのか?」
ラーがそう言う。
この街に入るために取った行動は通行証を見せただけ・・・・・・
来る者拒まずというのは本当である。
「噂では聞いたことがあったが、本当とはな」
クレイもそう言って驚いている。
「まあ、良いじゃない別に」
シルは気軽だ。
「・・・・・・じゃあ今日はそれぞれ別行動しよう。集合はさっき部屋を取った宿屋に夜八時異存は?」
「ありませーん!」
「う〜ん、まいっか」
「・・・・・・反対する理由が無い」
「そんじゃあ解散!」
四人は思い思いの場所に歩いていった。
「おー、姉ちゃんいいのみっぷりだぜ!」
酒場で歓声が響く。
中心にいるのは・・・・・・言わずと知れたシルである。
ちなみに、酒場の店員と店長は真っ白の灰になっている。
シルがこの店に入った理由はただ一つ・・・・・・
十樽飲んだらただ!というのを見たからである。
これ幸いとばかりに今現在十五樽目に突入しているのだ。
哀れ酒場の店長は泣く泣くその様子を見守るだけだった。
「ひっさびさに帰ってきたな〜」
空き地・・・
・・・昔は大きな自分の住んでいた家が立っていた場所に、クレイはゴロンと横になった。
「あれからもう十年か・・・・・・」
遠い目をして彼は空を見上げた。
緑の挑発の男なのでかなり目立っているが本人は気にした様子は無い。
彼は元はここに住んでいた富豪の息子であった。
活発な所があり、さまざまな事件を起こしたが平和に暮らしていた・・・・・・
そして、十年前のある日、彼の家は陰謀によって焼き払われ、クレイのみが生き残ったのである。
「あいつ等について行ったらたぶん厄介事も向こうからやってくるだろう」
そう小さく声に出して自らの不安を取り除く。
「・・・・・・絶対見つけ出す・・・・・・見てろよ父さん、母さん」
彼は目を閉じた。
『できればこの街は来たくなかった』
メビウスは薄汚れた裏通りを歩いていた。
服装は黒ずくめである。
仮面はしてないが・・・・・・
『あれから一年、いや正確には一年と半年か・・・・・・』
彼はそう言う思うと共に立ち止まった。
彼の脳裏に再び浮かんだのだ。
真っ白な雪とそれに散らばる真っ赤な鮮血・・・・・・
そして、少し離れた所で血まみれになって倒れている友と側に倒れている愛する者と、その後ろで笑いを浮かべている男・・・・・・
「ちっ」
彼はそう言うと共に歯噛みする。
そう、それはサイレンスというもう一人の自分の心が死んだ瞬間であった。
忘れれるわけが無い・・・・・・
「この辺りだったかな」
たった一年ですっかり変わってしまった
町の様子を見ながら彼は一本の路地の曲がり角にたどり着いた。
そこに目立たなくとも小さな墓石があった。
『ルキーナ=タウ=ベムスとグルート=ランス=メビウス、ここに眠る・・・・・・』
そう小さな墓石には書いてある。
「教えてくれ二人とも・・・・・・なぜあの時逃げなかった。お前等なら逃げれただろう!」
静かな声はやがて少しずつ大きくなる。
「ルキーナ、ランス・・・・・・おまえ達は最後に何を伝えたかったんだ・・・・・・」
男の攻撃をメビウスを庇う為に受け、死んだ友人に彼は話し掛ける。
「答えてくれ!二人とも!」
メビウスの声は悲しみに暮れていた・・・・・・
街の喧騒から少し離れた丘にラーは来ていた。
その手には真っ白な百合が持たれている。
「・・・・・・あれから一年か・・・・・・時期は丁度この時期だったな」
ラーはそう言うと共に見やすい位置に置いてある墓石に花を添えた。
『エイル=スターグ=ネーシャン。ここに眠る』
そう墓石には彫られている。
「・・・・・・そう、丁度一年経った・・・・・・でも奴の手がかりはまだ見つかってない・・・・・・」
ラーはそう言うと共に拳を握り締めた。
「たった一年!いや、もう一年だ・・・・・・他の奴らの言う事では死んでるというが・・・・・・奴は生きてる。それは確信だ!」
ラーが顔を上げる。そして、泣きそうな顔をし、
「生きてる時のお前なら仇討ちなんていうものは止めろといっただろうが・・・ ・・・私は・・・・・・私は・・・・・・」
その後は声にならなかった。
泣いているのだ。
表情一つ変えない彼女の事としては物凄い感情である。
彼女はしばらく泣いていた後キッと顔を上げ、
「私は諦めない」
彼女は空の弾丸を宙に放り、
「この手で必ず仕留める」
拳銃を抜くと共にその弾丸に一発放った。
弾丸は一直線に飛び、宙にある空の弾丸を吹き飛ばした。
「ヴィソール=ウル=デスをこの手で・・・・・・必ず!」
彼女の目には炎が宿っていた。
八時に宿屋に集合した時、それぞれの調子は解散した時よりかなり変わっていた。
クレイはいつも通りだが、シルは酔いつぶれていてラーはまったく無表情だ。
ただ、近づくと切られそうな雰囲気をかもし出している。
メビウスは何を言われてもボーとしていて、我ここに在らずという雰囲気だ。
「う〜ん、何かあったのかな?」
シルは完全に部屋で倒れ、後の二人もさっさと寝てしまい、クレイは一人悲しく夕食を食べていた・・・・・・
「おや、お連れさんはどうしたんですか?」
優しく、若く、綺麗という宿の女将が声を掛ける。
まあ、普通にしていてもかなりかっこいいの分類に入るクレイが悲し―く、一人で夕飯を食べているから当然であろう。
もちろん男性客からは嫉妬の視線が飛んでいるが・・・・・・
「ううううう、三人ともそれぞれ寝ちゃったんです」
本気で泣きながらクレイが言う。
ちなみに、彼の名前はクレイ=ヴィル=アルダである(言ってなかった)。
メビウス達にはアルダ家の長男だとは言ってない。
「まあ・・・・・・それは大変で・・・・・・」
ちなみにこの女将の欠点はあまりにも穏やか過ぎるという点だ。
「ううううう」
「良ければ私が一緒に付き合いましょうか?」
女将がそう言う。
「あ、ありがとうございます。一人で食べるのは少し悲しくて・・・・・・」
クレイの顔がぱっと輝く。
「ふふふ、面白いお方」
やはり女将の穏やかさは天然だ。
翌日、四人は裏通りの一角の店を訪れていた。
裏の仕事の中間を受け入れる店である。
さまざまな依頼のチラシが張ってある。
「しっかしまあ、多いな」
始めてくる場所にクレイはキョロキョロしている。
メビウスは昨日よりかはまだましになったがいまだ半分以上ボケ―としている。
シルは二日酔いなのであろう。口元を抑えている。
ラーは・・・・・・昨日からあまり変わってない。
奥から男が一人出てくると共に一枚の依頼状を貼り付けた。
「ふ〜ん、何々?」
クレイがその紙を覗き込む。
そして、
「へ〜、ヴィソール=ウル=デスって死んでなかったんだ」
ポツリと言った一言と共に彼は真横に吹き飛ばされた。
原因は・・・・・・ラーである。
ラーは依頼状に目を通すと共に店の店主に声を掛け、
「おい!この依頼人に会わせろ!」
店主は迷わず奥の部屋に四人を通した。
依頼の内容はヴィソール=ウル=デスに命を狙われているから助けてくれというものだった。
ありがちな依頼であった。
ヴィソール=ウル=デスは殺す相手に事前に予告状を出すのだ。
依頼人は貴族・・・・・・かなり嫌な奴である。
つまり、金は払うから絶対自分の身を守れといってきたのだ。
クレイがイライラしているように床をとんとんと足で叩いている。
シルは半分ぶちぎれている。
メビウスは・・・・・・放心していた。
そう、ヴィソール=ウル=デスは自らなのだ。
もちろん自らそんな予告状は出してない・・・・・・
『誰だ?一体俺の名を語って殺人を犯す奴は・・・・・・』
メビウスは自らの中で自己問答しながら放心しきっていた。
クレイは貴族を見ているのも飽きたので仲間の様子をジーと見ていた。
そして、
ドンッ!ガッシャン!
ラーが思いっきり机を叩いた。
ラーが机を叩いたせいでグラスが床に落ちた。
「おいおい、どうした?」
クレイが不思議そうな顔でそう聞くがラーは無言で依頼人の方に向き、
「その依頼・・・・・・受けよう」
そう言った。
シルは下を向いたまま無言でその意見に肯定し、メビウスはなぜか放心している。
クレイはその様子を不思議そうに見た後、後で聞けば言いと思い何も言わなかった。
ラーがこのとき机を叩いた理由は二つある。
一つがグダグダと醜いことを言う貴族に腹が立っていた。
そしてもう一つは・・・・・・
『ついに・・・・・・ついにこの時がやってきた・・・・・・あの世で見てろよ・・・・・・エイル』
そして、その日からラーはまったく表情を変えなくなった・・・・・・
続く
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闇:今日はアリソンを買って読みふけってましたファ:おい
闇:おかげで一日で読めましたが・・・・・・
ファ:・・・・・・
闇:今月のお小遣い・・・・・・まだ貰ってない・・・・・・
ファ:・・・・・・話すことは無いのか?
闇:・・・・・・ありませんね。それではこれにて・・・・・・